趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
三陸鉄道 久慈から宮古ゆき 片道乗車券
1987(昭和62)年9月に、三陸鉄道北リアス線(現・リアス線)久慈駅で発行された、宮古ゆきの片道乗車券です。
水色三陸鉄道自社地紋のB型一般式大人・小児用券で、日本交通印刷で調製されたものです。
同社は3.11の東日本大震災では多大な被害を受けた激動の歴史を持っていますが、本年は同社にとって2度目の激動の1年でした。
3月23日、JR山田線の宮古駅~釜石駅間の経営が三陸鉄道へ移管され、北リアス線・南リアス線を含む久慈駅~盛駅間がリアス線としてひとつの路線になって生まれ変わりました。これは、地元にとっても悲願の全線開通で、華々しい再出発・・・のはずでした。
ところが、10月13日に台風19号が襲いかかり、リアス線は全線で運転を見合わせることになり、盛駅~釜石駅間では運転が再開されたものの、釜石駅~久慈駅間については、線路被害状況が77カ所(線路の路盤流出や土砂流入、のり面崩壊等)、電力信号通信システム被害状況が16カ所(ケーブル管路流出、信号器具箱浸水等)という甚大な被害を受け、引き続き運転を見合わせ、釜石駅から津軽石駅間および田野畑駅~久慈駅間でバスによる代行輸送が行われています。
同社は震災を受けたときから、常に復興に向けて前向きな対応をしていただけに、大変残念に思いますし、ぜひとも復興して頂きたいと思います。
本年も拙ブログ「古紙蒐集雑記帖」に御訪問くださいまして、ありがとうございました。本年の更新は今回を以って終了させていただきます。年明けは新年より更新をしたいと思いますので、来年も引き続き拙ブログをよろしくお願いいたします。
それでは皆様、良いお年をお迎えくださいませ。
古紙蒐集雑記帖管理人 isaburou_shinpei
近畿日本鉄道 桜井から90円区間ゆき片道乗車券
前回エントリーの連絡乗車券と同じ、1985(昭和60)年8月に、近畿日本鉄道(近鉄)桜井駅で発行された、90円区間ゆきの片道乗車券です。
桃色近畿日本鉄道自社地紋のB型金額式大人・小児用券となっています。
当時の桜井駅は、国鉄と近鉄の構内は分離されておらず、連絡跨線橋の上に中間改札口が存在し、そこにあった精算所では硬券乗車券が発売されておりました。
同社の硬券乗車券は通常発売されている例は少なく、同駅や鶴橋駅の中間改札口等、限られた駅でしか入手することはできませんでした。
裏面です。
下車前途無効ですが、当時の近鉄には指定駅で途中下車ができるルールがありましたので、「(指定駅を除く)」という文言が入れられておりました。
また、同社のすべての有人駅には自動改札機が設備されておりましたので、「自動改札機はとおれません」という注意書きがあります。
三輪駅発行 桜井接続近鉄線130円区間ゆき 片道連絡乗車券
1985(昭和60)年8月に、桜井線三輪駅で発行された、桜井駅接続近鉄線130円区間ゆきの片道連絡乗車券です。
桃色こくてつ地紋のB型金額式大人・小児用券で、大阪印刷場で調製されたものです。
当時は関西地区の駅ではよく見られた様式の会社線への近距離連絡乗車券でしたが、当日は最安の区間である近鉄線90円区間ゆきの券が欠札となっており、130円区間ゆきの券を買い求めたように記憶しております。
この券は同年4月20日の運賃改定以後に設備された券と思われますが、図示いたしませんが券番は0007となっており、あまり需要のある口座ではなかったのかも知れません。
また、通常であれば「近鉄線」の文字はすべてゴシック体となっているのが一般的ですが、この券は「近鉄線」と「線」だけが明朝体となっています。この時期、他にもそのような例が見受けられましたので、運賃改定によって印刷数量が増大した繁忙期に、間違った製版のまま、様々な口座に転用してしまったものと思われます。
奈良電気鉄道 奈良電京都駅発行 桜井ゆき片道連絡乗車券
1957(昭和32)年4月に奈良電気鉄道(現・近畿日本鉄道京都線)奈良電京都(現・京都)駅で発行された、近畿日本鉄道桜井駅までの連絡乗車券です。 (近畿日本鉄道=以後、近鉄)
桃色奈良電気鉄道自社地紋のB型一般式大人・小児用券です。
この券は同社の奈良電京都駅から大和西大寺駅まで行き、同駅にて近鉄橿原線に接続し、さらに大和八木駅にて近鉄大阪線に接続の上、桜井駅までの行く経路の連絡乗車券となっています。
奈良電気鉄道は近鉄京都線の前身で、奈良電京都(開業時は桃山御陵前)から大和西大寺(開業時は西大寺)に至る路線でしたが、1963(昭和38)年10月に近鉄と合併して近鉄京都線となり、同年11月に会社が解散しています。
同社はあまり資金の無い会社であったようで、当初から大軌に乗り入れることによって京都~奈良間の輸送ルートを確立しようとしたようです。
また、発駅である奈良電京都駅は、将来的に国鉄を跨いで京都駅烏丸口にターミナルを建設する計画があり、晩年まで現在位置で仮駅として営業していたようですが、東海道新幹線京都駅建設工事の際の1963(昭和38)年9月に現在の高架駅が開業し、永らく仮駅で営業していた同駅が本駅となっていますが、開業から1か月で近鉄に移管されてしまっています。
〇委 上総亀山から180円区間ゆき 片道乗車券
1986(昭和61)年10月に久留里線上総亀山駅で発行された、180円区間ゆきの片道乗車券です。
桃色こくてつ地紋のB型金額式大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
同駅は1936(昭和11)年に久留里線久留里~上総亀山間が延伸開業された際に開業した駅でしたが、開業から8年後の1944(昭和19)年、戦局の悪化により延伸部分は休止に追い込まれ、戦後の1947(昭和22)年に運転が再開されています。
久留里線は国鉄民営化後の2012(平成24)年までタブレットによる閉塞方式が行われており、同駅には運転要員が配置され、窓口業務も行われていましたが、特殊自動閉塞化されると運転要員の配置が不要となり、現在は久留里駅が管理する無人駅になっています。
久留里線の延伸区間は気象の影響を受けやすい路線で、本年9月に上陸した台風15号の被害によって約1か月間運休となり、10月に運転が再開されるも、10月の豪雨の影響によって再度運休となり、11月になってやっと運転が再開されています。
花巻電鉄 花巻から花巻温泉駅ゆき 片道乗車券
1972(昭和47)年1月に岩手中央バス(旧・花巻電鉄)花巻駅で発行された、花巻温泉駅ゆきの片道乗車券です。
灰色TTDてつどう地紋のB型金額式大人・小児用券で、日本交通印刷で調製されたものです。
この頃はすでに花巻電鉄は岩手中央バスと合併していましたが、乗車券は花巻電鉄のままとなっていました。
この当時の花巻電鉄線は、この券が発行された約7年前の1965(昭和40)年7月に中央花巻(現在のJR花巻駅前右側のなはんプラザ付近)~西花巻間が廃止され、さらに約3年前の1969(昭和44)年9月に花巻~西花巻~西鉛温泉間の軌道線が廃止されており、残された路線は花巻~花巻温泉間の鉄道線のみとなっていました。
花巻駅は島式ホーム1本の駅で、国鉄の花巻駅から跨線橋で接続しており、跨線橋からホームへ降りた所に花巻電鉄の改札口がありました。
鉄道線が残された同社路線ですが、この券が発行された1か月後の1972(昭和47)年2月に全線廃線となってしまい、1976(昭和51)年には岩手県交通に統合されてしまっています。
花巻電鉄というと驚異的に細い面構えの「馬面電車」デハ1形電車が有名ですが、この車両は軌道線用の車両となっており、軌道線廃線後も在籍はしていたものの、通常の運用からは離脱しており、晩年は殆ど運転されていなかったようです。
(花巻電鉄デハ1形デハ3)
しかし、同社の車両のなかで一番「らしさ」のあったデハ1形デハ3号は現在も花巻市内で保存されており、その姿を見ることができます。
新宿高速バスターミナル バスタ新宿から東京ディズニーランド®ゆき片道乗車券
2018(平成30)年7月に、新宿バスターミナルが運営する、バスタ新宿から東京ディズニーランド®ゆきの片道乗車券です。
黄色新宿バスターミナル自社地紋の感熱式券売機券で、レシートのような長い券になっています。
東京ディズニーランド®へ行く便は「新宿⇔東京ディズニーリゾート®」線という路線で、座席を指定しない乗車定員制のため、便の指定を受けたうえで発券します。
地紋部分を拡大してみました。蛍光色のような黄色の文字で「SHINJUKU EXPRESS BUS TERMINAL」と書かれていますが、薄くて見づらいです。
裏面です。
ご案内文が印刷されており、運営会社である新宿高速バスターミナルの社名が印刷されています。
東京ディズニーランド®および東京ディズニーリゾート®は日本国内で登録商標の登録がありますので、日本の商標法では登録商標である旨の表示をするように努めなければならないとされている(73条)ため、券面の表記に登録商標を示すマークである「®」もしくは「(R)」が必要と判断されたのでしょう、日本語表記の後ろにはマークが付けられているのが特徴です。
JR東日本 さいたま新都心から130円区間ゆき片道乗車券
2012(平成24)年7月にJR東日本東北本線さいたま新都心駅で発行された、130円区間ゆきの片道乗車券です。
桃色JRE地紋のA型金額式券売機券となっています。
JRの券売機券は発駅が四角で囲まれたスペースに記載されており、比較的大きな文字になっていますが、同駅は平仮名と漢字7文字という文字数であるため、限られたスペースで表現するため、フォントは小さく、また、2行書きになっています。
あまり文字数の多い駅で発行された券売機券を見たことはありませんが、オレンジタウン駅とかいろいろありますので、そのような駅でも2行書きであったりするものと思います。
2020(令和2)年に暫定開業予定の高輪ゲートウェイ駅は8文字になりますのでやはりこのようなデザインになるのではないかと考えられます。
日本民営鉄道協会発行 地方鉄道・軌道乗車証
1980(昭和55年)10月に日本民営鉄道協会が発行した、地方鉄道・軌道乗車証です。
黄色っぽい日本民営鉄道協会地紋の定期券サイズの券となっています。
地紋の拡大です。「みんえいてつどう」という文字が入れられています。また、真ん中部分には国会議事堂の絵が入れられています。
この券は同協会が発行した国会議員向けの無料パスで、1946(昭和21)年に衆参両議長から国鉄同様の無料パス発行の要請から始まったもので、協会加盟事業者の路線に限り、使用することができます。
日本民営鉄道協会は日本の鉄道事業者および軌道事業者の業界団体で、会員はほとんどが純民間資本の鉄道事業者および軌道事業者ですが、一部第三セクターの事業者や公共企業体であった営団地下鉄のような事業者も会員となっている他、逆に非加盟の民間事業者もあります。
裏面です。
なぜか、非加盟の公営交通事業者である札幌市交通局が運営する札幌市営地下鉄では利用できない旨の記載があります。
東京私鉄連合協議会発行 電車共通優待乗車証
1978(昭和53)年2月に東京私鉄連合協議会が発行した、電車共通優待乗車証です。
灰色東京私鉄連合協議会地紋の紙券で、定期券サイズになっています。
東京私鉄連合協議会という団体名称は現存しないようで詳細は不明ですが、現在の連合東京の構成組織である、私鉄東京連絡会のような団体と考えます。
東京急行電鉄(東急電鉄)をはじめ、東武鉄道・小田急電鉄・京王帝都電鉄(京王電鉄)・京浜急行電鉄(京急電鉄)・京成電鉄・帝都高速度交通営団(営団地下鉄。現・東京メトロ)・西武鉄道といった当時の都内大手私鉄が加盟しているようです。
基本的に都内を走る民営鉄道事業者が加盟していますが、純然たる民間の鉄道事業者ではない営団地下鉄も加盟しています。
地紋の拡大です。加盟各社の名前が組み合わされており、一般的な私鉄乗車券の地紋とは異なります。
裏面です。
記載事項に拠りますと、加盟各社の都区内区間に限りフリー乗車できるもので、電鉄会社直営であれ、路線バスには使用できないようです。
通用は都内に限られますが、都内各所を散歩するには威力を発揮できそうな券です。
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