増補改訂しました。
甾 シ 田部

解字 甲骨文から篆文まで、物をいれるカゴを描いた象形。現代字は「巛+田」の形に変化した甾シとなった。なお、甾は酒などをいれる「かめ」などの説もある。
意味 (1)容器。(2)川の名。(=淄)
イメージ
「かご」(甾・輜)
「形声字」(淄・鯔・錙)
「同体異字」(緇)
音の変化 シ:輜・淄・鯔・錙・緇
かご
輜 シ 車部
解字 「車(くるま)+甾(かご)」の会意形声。車の荷台をカゴのように覆って幌をかけた幌車。
輜車シシャ(「典藏臺灣」より)
意味 ほろぐるま。ほろで覆ってある荷車。「輜車シシャ」(荷車。ほろ車。特に軍用品を載せる車)「輜重シチョウ」(重い荷物を載せたほろ車の意。①軍隊の荷物。食料・武器など。②旅行者の荷物)
形声字
淄 シ 氵部
解字 「氵(みず)+甾(シ)」の形声。シという名の川。また「緇シ・くろ」に通じ、黒色をいう。
意味 (1)川の名。「淄水シスイ」(山東省北部の川)(2)くろ。黒いろ。黒くそまる。
鯔 シ・ぼら・いな 魚部
解字 「魚(さかな)+甾(シ)」の形声。シという名の魚。シは淄シに通じ、淄水シスイにすむ魚の意か。この魚は海水魚であるが、幼魚のうちはしばしば川を遡上し大きくなると海を回遊する。成長するにつれて名前が変わる出世魚。呼び名は「おぼこ」⇒「いな」⇒「ぼら」などと変化する。
①
②
①群れる鯔(いな)の背中(先が丸みをおび黒っぽい。「舞阪蜆山橋」より)
②「いなせ風の髷」(大原梨恵子著「黒髪の文化史」より)
意味 (1)ぼら(鯔)。淡水と海水に出入りする魚。卵巣を塩漬けして、カラスミをつくる。(2)いな(鯔)。ぼらの若いもの。「鯔背いなせ」(いなの背中、全体に黒っぽい)「鯔背銀杏いなせいちょう」(江戸時代の男の髷(まげ)の一種。江戸日本橋の魚河岸の若者たちが結ったまげ。頭頂部に鯔(いな)の背のような形の髷を載せたもの。銀杏はここで髷の意)
錙 シ・わずか 金部
解字 「金(金属)+甾(シ)」の形声。[説文解字]は「六銖シュ也。金に従い甾シの聲(声)」とする。一銖シュは重さの単位で一両の24分の1、周代の一銖は約0.6グラム[新漢語林]。六銖は3.6グラムであり、きわめて軽い。従って、錙シは銖シュとともに、わずか、軽い意味となる。
意味 (1)重さの単位。六銖の重さ。 (2)わずかな。きわめて小さい。「錙銖シシュ」(わずか。きわめて小さい)「錙錘シスイ」(少量)
同体異字
緇 シ・くろ 糸部

解字 篆文は、田の上が「巛(かわ)+一(せきとめる)」になった字。巛(かわ)が一でせき止められてあふれることで、水害をいう。そこに田がついた「巛+一+田」は、水害で田が泥でおおわれ黒くなること。糸がついた緇シは、黒い泥で染めること。また、黒く染めた衣服をいう。現代字は一がとれた緇になった。
意味 (1)くろ(緇)。くろい。黒く染める。「緇帷シイ」(樹木が生い茂って黒いとばり(帷)に囲まれているさま)「緇塵シジン」(ちり。けがれ)(2)くろぎぬ。くろい衣服。「緇衣シイ・シエ」(①黒い衣服。②僧侶の衣服、発音はシエ)(3)僧侶。「緇徒シト」(黒染めの衣を着た人々、転じて僧侶)
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
甾 シ 田部

解字 甲骨文から篆文まで、物をいれるカゴを描いた象形。現代字は「巛+田」の形に変化した甾シとなった。なお、甾は酒などをいれる「かめ」などの説もある。
意味 (1)容器。(2)川の名。(=淄)
イメージ
「かご」(甾・輜)
「形声字」(淄・鯔・錙)
「同体異字」(緇)
音の変化 シ:輜・淄・鯔・錙・緇
かご
輜 シ 車部
解字 「車(くるま)+甾(かご)」の会意形声。車の荷台をカゴのように覆って幌をかけた幌車。

輜車シシャ(「典藏臺灣」より)
意味 ほろぐるま。ほろで覆ってある荷車。「輜車シシャ」(荷車。ほろ車。特に軍用品を載せる車)「輜重シチョウ」(重い荷物を載せたほろ車の意。①軍隊の荷物。食料・武器など。②旅行者の荷物)
形声字
淄 シ 氵部
解字 「氵(みず)+甾(シ)」の形声。シという名の川。また「緇シ・くろ」に通じ、黒色をいう。
意味 (1)川の名。「淄水シスイ」(山東省北部の川)(2)くろ。黒いろ。黒くそまる。
鯔 シ・ぼら・いな 魚部
解字 「魚(さかな)+甾(シ)」の形声。シという名の魚。シは淄シに通じ、淄水シスイにすむ魚の意か。この魚は海水魚であるが、幼魚のうちはしばしば川を遡上し大きくなると海を回遊する。成長するにつれて名前が変わる出世魚。呼び名は「おぼこ」⇒「いな」⇒「ぼら」などと変化する。
①


①群れる鯔(いな)の背中(先が丸みをおび黒っぽい。「舞阪蜆山橋」より)
②「いなせ風の髷」(大原梨恵子著「黒髪の文化史」より)
意味 (1)ぼら(鯔)。淡水と海水に出入りする魚。卵巣を塩漬けして、カラスミをつくる。(2)いな(鯔)。ぼらの若いもの。「鯔背いなせ」(いなの背中、全体に黒っぽい)「鯔背銀杏いなせいちょう」(江戸時代の男の髷(まげ)の一種。江戸日本橋の魚河岸の若者たちが結ったまげ。頭頂部に鯔(いな)の背のような形の髷を載せたもの。銀杏はここで髷の意)
錙 シ・わずか 金部
解字 「金(金属)+甾(シ)」の形声。[説文解字]は「六銖シュ也。金に従い甾シの聲(声)」とする。一銖シュは重さの単位で一両の24分の1、周代の一銖は約0.6グラム[新漢語林]。六銖は3.6グラムであり、きわめて軽い。従って、錙シは銖シュとともに、わずか、軽い意味となる。
意味 (1)重さの単位。六銖の重さ。 (2)わずかな。きわめて小さい。「錙銖シシュ」(わずか。きわめて小さい)「錙錘シスイ」(少量)
同体異字
緇 シ・くろ 糸部

解字 篆文は、田の上が「巛(かわ)+一(せきとめる)」になった字。巛(かわ)が一でせき止められてあふれることで、水害をいう。そこに田がついた「巛+一+田」は、水害で田が泥でおおわれ黒くなること。糸がついた緇シは、黒い泥で染めること。また、黒く染めた衣服をいう。現代字は一がとれた緇になった。
意味 (1)くろ(緇)。くろい。黒く染める。「緇帷シイ」(樹木が生い茂って黒いとばり(帷)に囲まれているさま)「緇塵シジン」(ちり。けがれ)(2)くろぎぬ。くろい衣服。「緇衣シイ・シエ」(①黒い衣服。②僧侶の衣服、発音はシエ)(3)僧侶。「緇徒シト」(黒染めの衣を着た人々、転じて僧侶)
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