「覧ラン」を独立させ音符字をさらに追加しました。
監 カン・みる 皿部
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/7c/bb1439b55648756ab93ebc686db302f3.jpg)
解字 甲骨文は、水の入った皿(うつわ)をのぞきこむ人(「目+人」=見)の形だが、意味は祭祀名になっている。金文と篆文は、「臣(目を90度回転させた形。下を見る目)+人(ひと)+一(水をはった)+皿(さら)」 の会意。現在の字は、人⇒𠂉に変化した監になった。人が水を張った皿(水盤)の上に、おおいかぶさるようにして下を見て顔を映し見ること。水鏡、および鏡を見る意となる。転じて、見張る意となり、さらに見張る意から監房(ろうや)の意となる。監を音符に含む字は、「かがみ・よく見る」「見張りをする」、水を張ってある水盤である「うつわ」のイメージを持つ。
意味 (1)みる(監る)。みはる。とりしまる。「監視カンシ」「監督カントク」 (2)ろうや。「監房カンボウ」「収監シュウカン」
イメージ
「かがみ・よく見る」(監・鑑)
「見張りをする」(檻・艦)
水かがみの「うつわ」(濫・籃・藍・襤・塩)
音の変化 カン:監・鑑・艦・檻 ラン:濫・籃・藍・襤 エン:塩
かがみ・よく見る
鑑 カン・かがみ・かんがみる 金部
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呉王夫差鑑(上海博物館所蔵。春秋時代・前5世紀)
解字 「金(金属)+監(かがみ)」 の会意形声。青銅製の水かがみ。監(水かがみ)に金をつけ水盤が青銅であることを示した字。また、かがみに自分を映してよく見る意から、かんがみる・見分ける意ともなる。なお、同じ意味をもつ鏡キョウは、「金(金属)+竟(さかいめ)」で、金属の表面をみがいた境目で姿を映すかがみの意。
意味 (1)かがみ(鑑)。手本。「明鑑メイカン」(曇りのないかがみ) (2)かんがみる(鑑みる)。見分ける。照らし合わせて見る。「鑑査カンサ」(優劣を目利きする)「鑑定カンテイ」「鑑賞カンショウ」
見張りをする
檻 カン・おり 木部
解字 「木(き)+監(見張りをする)」 の会意形声。木の枠にとじこめて監視するおり。囲いだけで天井がない檻は、欄(てすり)の意味で使われる。
意味 (1)おり(檻)。猛獣や罪人などを入れておく丈夫なかこい。「檻車カンシャ」(罪人などを運ぶ、おりのついた車)「檻猿カンエン」(檻に入れられた猿。自由がきかない例え)「檻穽カンセイ」(おりと、おとしあな) (2)てすり。「欄檻ランカン」(=欄干)「折檻セッカン」(檻が折れる。宮殿のてすりにしがみついて皇帝に諫言しようとした朱雲を役人がひき下ろそうとしたとき檻が折れた。①きびしく意見すること。②子供などをきびしくしかる)
艦 カン・いくさぶね 舟部
解字 「舟(ふね)+監(見張りをする)」 の会意形声。敵を監視する舟。転じて、軍艦の意となる。なお、後漢末の辞典[釋名]は「上下に牀ショウ(板張り)を重ねるを艦と曰う,四方を板を以って施(ほどこ)し矢や石を禦(ふせ)ぐ,其の内側は牢檻(おり)の如き也」とし、檻(おり)と関連付けて解字している。
意味 いくさぶね(艦)。戦闘用の船。「軍艦グンカン」「艦隊カンタイ」「旗艦キカン」(司令官の乗っている軍艦)「巨艦キョカン」「戦艦センカン」「砲艦ホウカン」「航空母艦ボカン」(航空機を載せ、その発着する甲板をもつ艦)「僚艦リョウカン」(同じ任務の味方の軍艦)
うつわ
濫 ラン・みだれる・みだりに 氵部
解字 「氵(水)+監(うつわ)」 の会意形声。うつわを越えて水があふれること。
意味 (1)水があふれる。ひろがる。「氾濫ハンラン」 (2)みだれる(濫れる)。みだりに(濫りに)。「濫獲ランカク」「濫用ランヨウ」「粗製濫造ソセイランゾウ」
籃 ラン・かご 竹部
解字 「竹(たけ)+監(うつわ)」の会意形声。竹で作ったうつわ(竹かご)。
意味 かご(籃)。竹などを編んで作ったかご。「華籃カラン」(はなかご)「魚籃ギョラン」(魚をいれるびく)「籃輿ランヨ」(竹作りの駕籠かご)「揺籃ヨウラン・ゆりかご」
藍 ラン・あい 艸部
解字 「艸(くさ)+監(うつわ)」 の会意形声。うつわの中(藍がめ)で染める草。あい染めの草。
意味 (1)あい(藍)。あいぐさ。タデ科の一年草。葉を発酵させて染料とする。「出藍シュツラン」(藍草で染めた藍色は、もとの藍草より青い)(2)あいいろ。「藍綬ランジュ」(勲章をさげる藍色のひも)(3)梵語の音訳語「伽藍ガラン」(僧園)(4)(襤ランに通じ)ぼろ。「藍褸ランル」(ぼろ。弊衣ヘイイ)
襤 ラン・ぼろ 衣部
解字 「衣(ころも)+監(=濫。みだりに)」の会意形声。濫りに用いた(濫用した)衣。使い古したぼろの衣をいう。
意味 ぼろ(襤)。使い古した衣。また布切れ。ぼろぎれ。「襤衣ランイ」(ぼろの衣。やぶれごろも)「襤褸ランル・ぼろ」(①使い古した衣。②使い古した布。③使い古して役に立たないもの。④欠点。短所。「襤褸が出る」)
塩[鹽] エン・しお 土部
海水をうつわで煮つめて作る塩
解字 旧字は「鹵ロ(岩塩を袋に入れた形の象形:しお)+監(うつわ)」 の会意形声。うつわの中に塩田で濃くした海水を入れて煮つめて作る塩。新字体は、鹽から臣を取り、さらに鹵⇒口に略したものに、土(塩を含んだ塩田の土)を加えたもの。もと、天然の岩塩を鹵ロ、海水から作る塩を鹽エンと区別していた。
意味 (1)しお(塩)。「塩田エンデン」「食塩ショクエン」 (2)塩素。「塩酸エンサン」
覧[覽]ラン <広くながめる>
覧[覽] ラン・みる 見部
解字 旧字は覽で「見(みる)+監の略体(皿⇒罒となり右上に移動)」 の会意。監の原義である水かがみをみる形にさらに見をつけた字。水かがみは下を向いて見るので、高い所から下をひろく見る意となる。新字体は旧字から皿を略した。
意味 (1)みる(覧る)。広くながめる。「展覧テンラン」(並べ広げたものを見る)「天覧テンラン」(天子がながめる)「遊覧ユウラン」(旅をしながら広く見る) (2)全体を見通せるようまとめたもの。「便覧ビンラン」「要覧ヨウラン」
イメージ
「上からみる」(覧・攬・纜)
「形声字」(欖)
音の変化 ラン:覧・攬・纜・欖
上からみる
攬 ラン・とる 扌部
解字 「扌(て)+覽(上からみる)」の形声。上からひろくみて手でコントロールすること。
意味 (1)とる(攬る)。集めて手に持つ。とりまとめて持つ。「収攬シュウラン」(とりまとめる)「攬裙ランクン」(裙クン(スカートのすそ)をまとめて手にもつ)「攬筆ランピツ」(筆をとる) (2)まとめて扱う。「包攬ホウラン」(半職業的に納税代行を行うこと)「承攬ショウラン」(一手に請け負う)
纜 ラン・ともづな 糸部
解字 「糸(つな)+覽(上からみる)」の形声。比較的新しい字。南北朝時代(543年刊)の[玉篇]は「舟を維(つな)ぐ索(つな)也」とする。従って部首の糸は索または綱(つな)の略体であろう。舟の艫(とも・船尾)から岸を見て係留する場所におろすロープ(つな)をいう。かなり大型の船が出来て以降の字であろう。
意味 (1)ともづな(纜)。舟を岸につなぐつな(綱)。ともづなする。「牽纜ケンラン」(ともづなをひく)「解纜カイラン」(ともづなを解く)「収纜シュウラン」(ともづなを巻きとって船出する) (2)太いつな。「電纜デンラン」(絶縁体でおおった太い電線。ケーブル)
形声字
欖 ラン 木部
解字 「木(き)+覽(ラン)」の形声。ランという名の木。
橄欖
https://baike.baidu.com/item/橄榄/220866?fr=aladdin
意味 「橄欖カンラン」に使われる字。「橄欖カンラン」とは、カンラン科の常緑高木。東南アジア原産。楕円形の核果は食用。果実は食用にされ、種子からは油が採れるため、東南アジアや華南で栽培される。「欖仁ランニン」(橄欖の種子。油をとる)
<紫色は常用漢字>
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監 カン・みる 皿部
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解字 甲骨文は、水の入った皿(うつわ)をのぞきこむ人(「目+人」=見)の形だが、意味は祭祀名になっている。金文と篆文は、「臣(目を90度回転させた形。下を見る目)+人(ひと)+一(水をはった)+皿(さら)」 の会意。現在の字は、人⇒𠂉に変化した監になった。人が水を張った皿(水盤)の上に、おおいかぶさるようにして下を見て顔を映し見ること。水鏡、および鏡を見る意となる。転じて、見張る意となり、さらに見張る意から監房(ろうや)の意となる。監を音符に含む字は、「かがみ・よく見る」「見張りをする」、水を張ってある水盤である「うつわ」のイメージを持つ。
意味 (1)みる(監る)。みはる。とりしまる。「監視カンシ」「監督カントク」 (2)ろうや。「監房カンボウ」「収監シュウカン」
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「かがみ・よく見る」(監・鑑)
「見張りをする」(檻・艦)
水かがみの「うつわ」(濫・籃・藍・襤・塩)
音の変化 カン:監・鑑・艦・檻 ラン:濫・籃・藍・襤 エン:塩
かがみ・よく見る
鑑 カン・かがみ・かんがみる 金部
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呉王夫差鑑(上海博物館所蔵。春秋時代・前5世紀)
解字 「金(金属)+監(かがみ)」 の会意形声。青銅製の水かがみ。監(水かがみ)に金をつけ水盤が青銅であることを示した字。また、かがみに自分を映してよく見る意から、かんがみる・見分ける意ともなる。なお、同じ意味をもつ鏡キョウは、「金(金属)+竟(さかいめ)」で、金属の表面をみがいた境目で姿を映すかがみの意。
意味 (1)かがみ(鑑)。手本。「明鑑メイカン」(曇りのないかがみ) (2)かんがみる(鑑みる)。見分ける。照らし合わせて見る。「鑑査カンサ」(優劣を目利きする)「鑑定カンテイ」「鑑賞カンショウ」
見張りをする
檻 カン・おり 木部
解字 「木(き)+監(見張りをする)」 の会意形声。木の枠にとじこめて監視するおり。囲いだけで天井がない檻は、欄(てすり)の意味で使われる。
意味 (1)おり(檻)。猛獣や罪人などを入れておく丈夫なかこい。「檻車カンシャ」(罪人などを運ぶ、おりのついた車)「檻猿カンエン」(檻に入れられた猿。自由がきかない例え)「檻穽カンセイ」(おりと、おとしあな) (2)てすり。「欄檻ランカン」(=欄干)「折檻セッカン」(檻が折れる。宮殿のてすりにしがみついて皇帝に諫言しようとした朱雲を役人がひき下ろそうとしたとき檻が折れた。①きびしく意見すること。②子供などをきびしくしかる)
艦 カン・いくさぶね 舟部
解字 「舟(ふね)+監(見張りをする)」 の会意形声。敵を監視する舟。転じて、軍艦の意となる。なお、後漢末の辞典[釋名]は「上下に牀ショウ(板張り)を重ねるを艦と曰う,四方を板を以って施(ほどこ)し矢や石を禦(ふせ)ぐ,其の内側は牢檻(おり)の如き也」とし、檻(おり)と関連付けて解字している。
意味 いくさぶね(艦)。戦闘用の船。「軍艦グンカン」「艦隊カンタイ」「旗艦キカン」(司令官の乗っている軍艦)「巨艦キョカン」「戦艦センカン」「砲艦ホウカン」「航空母艦ボカン」(航空機を載せ、その発着する甲板をもつ艦)「僚艦リョウカン」(同じ任務の味方の軍艦)
うつわ
濫 ラン・みだれる・みだりに 氵部
解字 「氵(水)+監(うつわ)」 の会意形声。うつわを越えて水があふれること。
意味 (1)水があふれる。ひろがる。「氾濫ハンラン」 (2)みだれる(濫れる)。みだりに(濫りに)。「濫獲ランカク」「濫用ランヨウ」「粗製濫造ソセイランゾウ」
籃 ラン・かご 竹部
解字 「竹(たけ)+監(うつわ)」の会意形声。竹で作ったうつわ(竹かご)。
意味 かご(籃)。竹などを編んで作ったかご。「華籃カラン」(はなかご)「魚籃ギョラン」(魚をいれるびく)「籃輿ランヨ」(竹作りの駕籠かご)「揺籃ヨウラン・ゆりかご」
藍 ラン・あい 艸部
解字 「艸(くさ)+監(うつわ)」 の会意形声。うつわの中(藍がめ)で染める草。あい染めの草。
意味 (1)あい(藍)。あいぐさ。タデ科の一年草。葉を発酵させて染料とする。「出藍シュツラン」(藍草で染めた藍色は、もとの藍草より青い)(2)あいいろ。「藍綬ランジュ」(勲章をさげる藍色のひも)(3)梵語の音訳語「伽藍ガラン」(僧園)(4)(襤ランに通じ)ぼろ。「藍褸ランル」(ぼろ。弊衣ヘイイ)
襤 ラン・ぼろ 衣部
解字 「衣(ころも)+監(=濫。みだりに)」の会意形声。濫りに用いた(濫用した)衣。使い古したぼろの衣をいう。
意味 ぼろ(襤)。使い古した衣。また布切れ。ぼろぎれ。「襤衣ランイ」(ぼろの衣。やぶれごろも)「襤褸ランル・ぼろ」(①使い古した衣。②使い古した布。③使い古して役に立たないもの。④欠点。短所。「襤褸が出る」)
塩[鹽] エン・しお 土部
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/6b/56fc940d64b7aebc2de21dd062f582db.jpg)
解字 旧字は「鹵ロ(岩塩を袋に入れた形の象形:しお)+監(うつわ)」 の会意形声。うつわの中に塩田で濃くした海水を入れて煮つめて作る塩。新字体は、鹽から臣を取り、さらに鹵⇒口に略したものに、土(塩を含んだ塩田の土)を加えたもの。もと、天然の岩塩を鹵ロ、海水から作る塩を鹽エンと区別していた。
意味 (1)しお(塩)。「塩田エンデン」「食塩ショクエン」 (2)塩素。「塩酸エンサン」
覧[覽]ラン <広くながめる>
覧[覽] ラン・みる 見部
解字 旧字は覽で「見(みる)+監の略体(皿⇒罒となり右上に移動)」 の会意。監の原義である水かがみをみる形にさらに見をつけた字。水かがみは下を向いて見るので、高い所から下をひろく見る意となる。新字体は旧字から皿を略した。
意味 (1)みる(覧る)。広くながめる。「展覧テンラン」(並べ広げたものを見る)「天覧テンラン」(天子がながめる)「遊覧ユウラン」(旅をしながら広く見る) (2)全体を見通せるようまとめたもの。「便覧ビンラン」「要覧ヨウラン」
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「上からみる」(覧・攬・纜)
「形声字」(欖)
音の変化 ラン:覧・攬・纜・欖
上からみる
攬 ラン・とる 扌部
解字 「扌(て)+覽(上からみる)」の形声。上からひろくみて手でコントロールすること。
意味 (1)とる(攬る)。集めて手に持つ。とりまとめて持つ。「収攬シュウラン」(とりまとめる)「攬裙ランクン」(裙クン(スカートのすそ)をまとめて手にもつ)「攬筆ランピツ」(筆をとる) (2)まとめて扱う。「包攬ホウラン」(半職業的に納税代行を行うこと)「承攬ショウラン」(一手に請け負う)
纜 ラン・ともづな 糸部
解字 「糸(つな)+覽(上からみる)」の形声。比較的新しい字。南北朝時代(543年刊)の[玉篇]は「舟を維(つな)ぐ索(つな)也」とする。従って部首の糸は索または綱(つな)の略体であろう。舟の艫(とも・船尾)から岸を見て係留する場所におろすロープ(つな)をいう。かなり大型の船が出来て以降の字であろう。
意味 (1)ともづな(纜)。舟を岸につなぐつな(綱)。ともづなする。「牽纜ケンラン」(ともづなをひく)「解纜カイラン」(ともづなを解く)「収纜シュウラン」(ともづなを巻きとって船出する) (2)太いつな。「電纜デンラン」(絶縁体でおおった太い電線。ケーブル)
形声字
欖 ラン 木部
解字 「木(き)+覽(ラン)」の形声。ランという名の木。
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https://baike.baidu.com/item/橄榄/220866?fr=aladdin
意味 「橄欖カンラン」に使われる字。「橄欖カンラン」とは、カンラン科の常緑高木。東南アジア原産。楕円形の核果は食用。果実は食用にされ、種子からは油が採れるため、東南アジアや華南で栽培される。「欖仁ランニン」(橄欖の種子。油をとる)
<紫色は常用漢字>
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