増補改訂しました。
木 ボク・モク・き・こ 木部
解字 甲骨文字から現代字まで、枝のある木の象形、下部は根を表す。枝があれば葉が茂る。木陰が示すように木には「枝葉のある木」、木を加工してできる「木材・角材・板」のイメージがある。木は部首になり、また音符ともなる忙しい字だが、ここでは音符だけでなく会意となるさまざまな字を集めた。
意味 (1)き(木)。「樹木ジュモク」「木陰こかげ」「大木タイボク」 (2)材料としての木。「材木ザイモク」「土木ドボク」 (3)五行の一つ。「木星モクセイ」 (4)七曜のひとつ。「木曜日モクヨウビ」
イメージ
「枝葉のある木」(木・休・沐・宋・凩・杲・杳)
材料としての「木材・角材・板」(閑・困・梱・杢)
「形声字」(床)
音の変化 ボク・モク:木・沐・杢 カン:閑 キュウ:休 コウ:杲 コン:困・梱 ショウ:床 ソウ:宋 ヨウ:杳 こがらし:凩
枝葉のある木
休 キュウ・やすむ・やすまる・やすめる イ部
解字 「イ(人)+木(枝葉の茂った木)」 の会意。人が枝葉の茂った木陰で休むこと。[説文解字]は「息止(=休息)也。人に従い木に依る」とする。「木に依る」とは木をたよる意であり、木の下で日光や雨を避けたりすることをいう。
意味 (1)やすむ(休む)。やすまる(休まる)。いこう。やすみ。「休息キュウソク」「休憩キュウケイ」 (2)やめる。「休止キュウシ」「運休ウンキュウ」
沐 モク・あらう 氵部
解字 「氵(みず)+木(枝葉の茂った木)」の会意形声。枝葉の茂った木に雨がふる形。木にとって水分が補給でき、恵みを受ける意となる。また、木の枝葉の茂ったさまを頭髪になぞらえて、水で髪の毛を洗う意ともなる。[説文解字]は「髮を濯(あら)う也。水に従い木の聲(声)」とする。
意味 (1)めぐみをうける。こうむる。うるおう。「沐恩モクオン」(恩恵をこうむる) (2)あらう(沐う)。髪をあらう。「沐浴モクヨク」(髪や体を洗う:浴は体を洗う意)「沐雨モクウ」(①雨で身を洗うこと。②苦労すること) (3)「沐猴モッコウ」とは、さるの意。
宋 ソウ 宀部
解字 甲骨文字は、三角の上部(やね)の下に木を配した形の会意。屋根または覆いの下に木があるさま。甲骨文字では地名またはその長として用いられている[甲骨文字辞典]。金文は「宀(たてもの)+木」の宋となり篆文をへて宋となった。意味は国名・王朝名となった。
意味 (1)殷が周に滅ぼされたのち、遺民を集めてつくった国の名。春秋十二列国の一つ。前286年に斉に亡ぼされた。(2)王朝名。後にできた中国の王朝名。①劉が建国した宋。420年~479年。②趙が建国した宋。960年~1276年。臨安(今の杭州)に遷都以前を北宋、以後を南宋という。「宋音ソウオン」(宋代以後に禅僧らが日本に伝えた日本の漢字音)「宋版ソウハン」(宋代に出版された書物。=宋本)
凩 <国字> こがらし 几部
解字 「几(風の略体)+木(枝葉のある木)」 の会意。枝葉のある木に強く吹く冷たい風を表した国字。
意味 こがらし(凩)。「木枯らし」とも書く。晩秋から初冬にかけて日本の太平洋側で吹く、強く冷たい風。「こがらし」とは、木を吹き枯らす意。
杲 コウ・あきらか 木部
解字 「日(太陽)+木(枝葉のある木)」 の会意。太陽が枝葉のある木の上にあるさまを表し、あかるく明らかの意をあらわす。
意味 (1)あきらか(杲らか)。「杲杲コウコウ」(太陽がかがやいてあかるい) (2)たかい。「杲乎コウコ」(たかいさま。乎はその状態であることをしめす)
杳 ヨウ・くらい・はるか 木部
解字 「木(枝葉のある木)+日(太陽)」 の会意。木の下に太陽が沈んでくらいことを表す。また、おくぶかい意から、はるかの意となる。
意味 (1)くらい(杳い)。おくぶかい。「杳杳ヨウヨウ」(①くらいさま。②はるか遠いさま)「杳ヨウとして」(暗くてよくわからないさま。奥深く暗いさま)「杳冥ヨウメイ」(くらいさま。くらく奥深いさま) (2)はるか(杳か)。「杳然ヨウゼン」(はるかに遠いさま)「杳乎ヨウコ」(深く広いさま。はるかなさま)「杳窕ヨウチョウ」(①はるかなさま。②遠くおくぶかいさま)
木材・角材・板
閑 カン・ひま・しずか 門部
解字 「門(もん)+木(角材)」 の会意。門扉のかんぬきを表わす。門を閉じてかんぬきを差すと、その役所の仕事ができないので、することがなく暇で静かな意。
意味 (1)ひま(閑)。いとま。「閑職カンショク」「閑居カンキョ」(ひまで居る) (2)のどか。しずか。「閑静カンセイ」 (3)なおざり。おろそか。「閑却カンキャク」
困 コン・こまる 囗部
解字 「囗(出入り口)+木(角材)」 の会意。出入り口に角材をはめて出入りをとめ、とじこめる形。こまる意となる。
意味 (1)こまる(困る)。くるしむ。きわまる。「困難コンナン」「貧困ヒンコン」「困窮コンキュウ」「困惑コンワク」
梱 コン・しきみ・こり 木部
解字 「木(き)+困(とじこめる)」 の会意形声。困が「こまる」意となったので、本来のとじこめる意を木をつけて表す。荷物をとじこめる(たばねる)意や、門の仕切り(とじこめる)の横木などを表す。
意味 (1)たばねる。しばる。「梱包コンポウ」(たばねて包む) (2)しきみ(梱)。門や戸の仕切りを設けるために敷く横木。「梱外之任コンガイのニン」(宮門の梱(しきみ)の外の任務。国外遠征など) (3)[国]こり(梱)。こうり(梱)。(荷物をとじこめる)竹や柳で編んだかご。行李とも書く。
杢 <国字> もく 木部
解字 「木(木材)+工(工作する)」 の会意。木材を工作する大工・木工。
意味 (1)もく(杢)。こだくみ。大工。木工。 (2)木目のうち、まれに現れる複雑な模様のもの。「杢目もくめ」「玉杢たまもく」(渦状をなした美しい木目)
形声字
床 ショウ・とこ・ゆか 广部
解字 「广(やね)+木(=牀の略体。ショウ)」 の形声。牀ショウは、①ねどこ。ねだい(寝台)、 ②こしかけ(牀几ショウギ)の意味があり、この意味を广(やね)をつけて表した牀の異体字。日本ではさらに、ゆか(床)、ここから派生した土台・地盤の意味で用いられる。
意味 (1)とこ(床)。ねどこ。寝台。「起床キショウ」(ベッドから起きる)「病床ビョウショウ」「同床異夢ドウショウイム」 (2)こしかけ。「床几ショウギ」(折りたたみ式の腰掛け) (3)ゆか(床)。家の中で地面より高い位置に板を敷いた所。「床上ゆかうえ」「床下ゆかした」 (4)土台。地盤。「河床カショウ」(川底の地盤)「鉱床コウショウ」(地中に形成された鉱物の層)
<紫色は常用漢字>
木は木へんになる。
常用漢字の木へんは86字あり部首の第4位(以下は「常用漢字の部首別ランキング」より)
木 札 本 末 未 机 朽 朱 朴 材 条 杉 束 村 来 果 枝 松 枢 析 東 杯 板 枚 枕 林 枠 栄 架 柿 枯 査 柵 柔 染 柱 栃 柄 某 柳 案 桜 格 核 株 桁 校 根 栽 桟 栓 桑 桃 梅 械 梗 巣 梨 椅 棺 棋 極 検 植 森 棚 椎 棟 棒 楷 楽 棄 業 楼 概 構 模 様 横 権 槽 標 機 橋 樹 欄
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木 ボク・モク・き・こ 木部
解字 甲骨文字から現代字まで、枝のある木の象形、下部は根を表す。枝があれば葉が茂る。木陰が示すように木には「枝葉のある木」、木を加工してできる「木材・角材・板」のイメージがある。木は部首になり、また音符ともなる忙しい字だが、ここでは音符だけでなく会意となるさまざまな字を集めた。
意味 (1)き(木)。「樹木ジュモク」「木陰こかげ」「大木タイボク」 (2)材料としての木。「材木ザイモク」「土木ドボク」 (3)五行の一つ。「木星モクセイ」 (4)七曜のひとつ。「木曜日モクヨウビ」
イメージ
「枝葉のある木」(木・休・沐・宋・凩・杲・杳)
材料としての「木材・角材・板」(閑・困・梱・杢)
「形声字」(床)
音の変化 ボク・モク:木・沐・杢 カン:閑 キュウ:休 コウ:杲 コン:困・梱 ショウ:床 ソウ:宋 ヨウ:杳 こがらし:凩
枝葉のある木
休 キュウ・やすむ・やすまる・やすめる イ部
解字 「イ(人)+木(枝葉の茂った木)」 の会意。人が枝葉の茂った木陰で休むこと。[説文解字]は「息止(=休息)也。人に従い木に依る」とする。「木に依る」とは木をたよる意であり、木の下で日光や雨を避けたりすることをいう。
意味 (1)やすむ(休む)。やすまる(休まる)。いこう。やすみ。「休息キュウソク」「休憩キュウケイ」 (2)やめる。「休止キュウシ」「運休ウンキュウ」
沐 モク・あらう 氵部
解字 「氵(みず)+木(枝葉の茂った木)」の会意形声。枝葉の茂った木に雨がふる形。木にとって水分が補給でき、恵みを受ける意となる。また、木の枝葉の茂ったさまを頭髪になぞらえて、水で髪の毛を洗う意ともなる。[説文解字]は「髮を濯(あら)う也。水に従い木の聲(声)」とする。
意味 (1)めぐみをうける。こうむる。うるおう。「沐恩モクオン」(恩恵をこうむる) (2)あらう(沐う)。髪をあらう。「沐浴モクヨク」(髪や体を洗う:浴は体を洗う意)「沐雨モクウ」(①雨で身を洗うこと。②苦労すること) (3)「沐猴モッコウ」とは、さるの意。
宋 ソウ 宀部
解字 甲骨文字は、三角の上部(やね)の下に木を配した形の会意。屋根または覆いの下に木があるさま。甲骨文字では地名またはその長として用いられている[甲骨文字辞典]。金文は「宀(たてもの)+木」の宋となり篆文をへて宋となった。意味は国名・王朝名となった。
意味 (1)殷が周に滅ぼされたのち、遺民を集めてつくった国の名。春秋十二列国の一つ。前286年に斉に亡ぼされた。(2)王朝名。後にできた中国の王朝名。①劉が建国した宋。420年~479年。②趙が建国した宋。960年~1276年。臨安(今の杭州)に遷都以前を北宋、以後を南宋という。「宋音ソウオン」(宋代以後に禅僧らが日本に伝えた日本の漢字音)「宋版ソウハン」(宋代に出版された書物。=宋本)
凩 <国字> こがらし 几部
解字 「几(風の略体)+木(枝葉のある木)」 の会意。枝葉のある木に強く吹く冷たい風を表した国字。
意味 こがらし(凩)。「木枯らし」とも書く。晩秋から初冬にかけて日本の太平洋側で吹く、強く冷たい風。「こがらし」とは、木を吹き枯らす意。
杲 コウ・あきらか 木部
解字 「日(太陽)+木(枝葉のある木)」 の会意。太陽が枝葉のある木の上にあるさまを表し、あかるく明らかの意をあらわす。
意味 (1)あきらか(杲らか)。「杲杲コウコウ」(太陽がかがやいてあかるい) (2)たかい。「杲乎コウコ」(たかいさま。乎はその状態であることをしめす)
杳 ヨウ・くらい・はるか 木部
解字 「木(枝葉のある木)+日(太陽)」 の会意。木の下に太陽が沈んでくらいことを表す。また、おくぶかい意から、はるかの意となる。
意味 (1)くらい(杳い)。おくぶかい。「杳杳ヨウヨウ」(①くらいさま。②はるか遠いさま)「杳ヨウとして」(暗くてよくわからないさま。奥深く暗いさま)「杳冥ヨウメイ」(くらいさま。くらく奥深いさま) (2)はるか(杳か)。「杳然ヨウゼン」(はるかに遠いさま)「杳乎ヨウコ」(深く広いさま。はるかなさま)「杳窕ヨウチョウ」(①はるかなさま。②遠くおくぶかいさま)
木材・角材・板
閑 カン・ひま・しずか 門部
解字 「門(もん)+木(角材)」 の会意。門扉のかんぬきを表わす。門を閉じてかんぬきを差すと、その役所の仕事ができないので、することがなく暇で静かな意。
意味 (1)ひま(閑)。いとま。「閑職カンショク」「閑居カンキョ」(ひまで居る) (2)のどか。しずか。「閑静カンセイ」 (3)なおざり。おろそか。「閑却カンキャク」
困 コン・こまる 囗部
解字 「囗(出入り口)+木(角材)」 の会意。出入り口に角材をはめて出入りをとめ、とじこめる形。こまる意となる。
意味 (1)こまる(困る)。くるしむ。きわまる。「困難コンナン」「貧困ヒンコン」「困窮コンキュウ」「困惑コンワク」
梱 コン・しきみ・こり 木部
解字 「木(き)+困(とじこめる)」 の会意形声。困が「こまる」意となったので、本来のとじこめる意を木をつけて表す。荷物をとじこめる(たばねる)意や、門の仕切り(とじこめる)の横木などを表す。
意味 (1)たばねる。しばる。「梱包コンポウ」(たばねて包む) (2)しきみ(梱)。門や戸の仕切りを設けるために敷く横木。「梱外之任コンガイのニン」(宮門の梱(しきみ)の外の任務。国外遠征など) (3)[国]こり(梱)。こうり(梱)。(荷物をとじこめる)竹や柳で編んだかご。行李とも書く。
杢 <国字> もく 木部
解字 「木(木材)+工(工作する)」 の会意。木材を工作する大工・木工。
意味 (1)もく(杢)。こだくみ。大工。木工。 (2)木目のうち、まれに現れる複雑な模様のもの。「杢目もくめ」「玉杢たまもく」(渦状をなした美しい木目)
形声字
床 ショウ・とこ・ゆか 广部
解字 「广(やね)+木(=牀の略体。ショウ)」 の形声。牀ショウは、①ねどこ。ねだい(寝台)、 ②こしかけ(牀几ショウギ)の意味があり、この意味を广(やね)をつけて表した牀の異体字。日本ではさらに、ゆか(床)、ここから派生した土台・地盤の意味で用いられる。
意味 (1)とこ(床)。ねどこ。寝台。「起床キショウ」(ベッドから起きる)「病床ビョウショウ」「同床異夢ドウショウイム」 (2)こしかけ。「床几ショウギ」(折りたたみ式の腰掛け) (3)ゆか(床)。家の中で地面より高い位置に板を敷いた所。「床上ゆかうえ」「床下ゆかした」 (4)土台。地盤。「河床カショウ」(川底の地盤)「鉱床コウショウ」(地中に形成された鉱物の層)
<紫色は常用漢字>
木は木へんになる。
常用漢字の木へんは86字あり部首の第4位(以下は「常用漢字の部首別ランキング」より)
木 札 本 末 未 机 朽 朱 朴 材 条 杉 束 村 来 果 枝 松 枢 析 東 杯 板 枚 枕 林 枠 栄 架 柿 枯 査 柵 柔 染 柱 栃 柄 某 柳 案 桜 格 核 株 桁 校 根 栽 桟 栓 桑 桃 梅 械 梗 巣 梨 椅 棺 棋 極 検 植 森 棚 椎 棟 棒 楷 楽 棄 業 楼 概 構 模 様 横 権 槽 標 機 橋 樹 欄
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