漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「般ハン」 <舟でめぐる・はこぶ>と「搬ハン」「槃ハン」「盤バン」「磐バン」

2024年02月20日 | 漢字の音符
 改定しました。
 ハン  舟部 bān・bō・pán          

解字 甲骨文第1字は「凡ハン(うつわ)+攴ボク(手に持った道具)」の会意形声で、手に道具をもち中空の器(たらいなど)を作る形。第2字は、凡ハン⇒横向きの皿ベイ(さら)に変わった字で、手に道具をもち皿(さら状のうつわ)を作る形で盤バン(おおざら)の原字[甲骨文字字典]。金文で、凡⇒舟になり、篆文で攴⇒殳に変化した般になった。もともと凡(中空の器)を作る形であったが、後に盤バン(おおざら)や槃バン(たらい)が分離し、また凡が舟(くり舟)に変化したことにより、意味も舟を動かして「めぐる」「まわる」、中に物をいれて「はこぶ」、舟による交易や生活の「ありさま・ようす」を表わすようになった。
意味 (1)めぐる。まわる。「般船ハンセン」(船をめぐらす) (2)はこぶ。(=搬) (3)大きい。いわ。 (4)たのしむ。「般逸ハンイツ」(おおいに楽しむ)(5)物事のようす。種類。「諸般ショハン」「全般ゼンパン」 (6)梵語・paññā(パンニャーの音訳語)「般若ハンニャ」(①事物や道理を明らかに見抜く深い智慧。迷いを去って悟りをひらく。②[国]鬼女の能面)「般若ハンニャ」「般若面」とも言う。

イメージ  
 「舟でめぐる・はこぶ」
(般・搬)
 原義の「皿状のうつわ・まるく大きい」(盤・磐・槃)
 「形声字」(瘢)
音の変化  ハン:般・搬・槃・瘢  バン:盤・磐

舟でめぐる・はこぶ
 ハン・はこぶ  扌部 bān  
解字 「扌(手)+般(舟ではこぶ)」の会意形声。般が、物事のようす(諸般・全般)の意に専用されるようになったので、扌(て)をつけて元の「はこぶ」意味を明確にした。
意味 はこぶ(搬ぶ)。持ちはこぶ。移す。「運搬ウンパン」「搬出ハンシュツ」「搬送ハンソウ

皿状のうつわ・まるく大きい
 バン・ハン  皿部 pán
解字 「皿(さら)+般(まるく大きい)」の会意形声。まるく大きい皿。また、まるい台状のもの。転じて、物をのせる台にも使う。
意味 (1)はち。おおざら。まるい台状のもの。「円盤エンバン」(①円く平たいもの。②陸上競技の投擲トウテキ(円盤投げ)に用いる道具。)「旋盤センバン」(回転する盤:工作機械) (2)物をのせる台。「碁盤ゴバン」「基盤キバン」「地盤ジバン」(①地面。②建造物などを据える基礎となる土地。土台)「岩盤ガンバン」(岩石の地盤)」「骨盤コツバン」 (3)わだかまる。まがりくねる。「盤踞バンキョ」(土地を占拠して勢力をふるう。=蟠踞)
 ハン・バン・たらい  木部 pán
解字 「木(き)+般(皿状のうつわ)」の会意形声。まるく大きい木のたらい。また般の意味(4)に通じ、楽しむ意がある。
意味 (1)たらい(槃)。平たい鉢。「槃盂バンウ」(たらいと鉢) (2)梵語の音訳字。「涅槃ネハン」(仏教における理想の境地) (3)たのしむ。たのしみ。「槃楽バンラク」(あそび楽しむ)
 バン・ハン・いわ  石部 pán
解字 「石(いし)+般(まるく大きい)」の会意形声。まるく大きい石、すなわち大きな岩。
意味 (1)いわ(磐)。大きな岩。いわお。「磐石バンジャク」(おおきな岩。非常に堅固なこと)「磐座いわくら」(①神が鎮座する大岩、神社のご神体になっているものが多い。②山中の大きな岩やガケ) (2)地名。「磐城いわき」(旧国名。福島県東部と宮城県南部にまたがる地方。磐州バンシュウ

形声字
 ハン  疒部 bān
解字 解字 「疒(やまい)+般(ハン)」の形声。ハンは斑ハン(まだら)に通じ、皮膚にまだらに残る傷あとが原義。傷あと一般をいう。また、しみやそばかすをいう。
意味 (1)きずあと。「瘢痕ハンコン」(きずあと)「瘢創ハンソウ」(切り傷のあと) (2)しみ。そばかす。「雀瘢ジャクハン」(そばかす=雀斑)
<紫色は常用漢字>

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