先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

第7回 女子プロレスの衣装になったボリビアの伝統衣装(1909年)

2014-05-23 | 先住民族関連
ナショナル ジオグラフィック日本版  2014年5月22日 
 写真家の求めに応じてポーズをとる南米ボリビアの首都ラパスの女性。この写真は「ナショナル ジオグラフィック」1909年2月の特集「雲上の万華鏡都市ラパス」に掲載されました。
 何枚もの下着を重ねてはいてふくらませたスカートに、何色かで織られたショールをまとい、頭には山高帽をかぶっています。これは現在のボリビアでも見られる伝統的な服装です。

 南米のアンデス地域では16世紀にインカ帝国が滅ぼされた後、スペイン人の入植が進むにつれ、ヨーロッパの影響を受けた服装が広がっていきました。山高帽は1850年にイギリスでつくられた男性向けの帽子ですが、アンデス地域にもたらされたときに、女性のファッションに取り入れられました。
 上の写真が掲載された約100年後、2008年9月号の「ナショナル ジオグラフィック」に特集「戦え、チョリータ!」が掲載されました。
 チョリータとは、ボリビアをはじめ、アンデス高地に住む先住民の血をひく女性や、民族衣装を着た女性をさす言葉です。特集では伝統の格好をしてリングで闘う女性を紹介しました。先住民の誇りをかけ、女子プロレスで貧困や差別に立ち向かう女性たちの特集です。伝統的な服装は、現代のボリビアでは民族のアイデンティティを示す重要なアイテムになっているのです。
 次回は、パレスチナの風変わりでかわいい帽子をご紹介します。
 この連載の写真は、下の写真集に収録されています。
『100年前の写真で見る 世界の民族衣装』(ナショナル ジオグラフィック編、日経ナショナル ジオグラフィック社)
ナショナル ジオグラフィックの貴重なアーカイブから、およそ100年前の世界の人々の服装を紹介。Tシャツとジーンズに駆逐される以前の、リアルな日常服としての民族衣装を212点収録。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20140521/398321/?rt=nocnt

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知里真志保・山田秀三と胆振(3)

2014-05-23 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2014年05月21日
■時代映し変容する地名
 アイヌ語地名の研究家山田秀三(ひでぞう)は、1960(昭和35)年の1月から2月にかけて、病に伏した友である知里真志保の願いを受けて、室蘭のアイヌ語地名調査を行っている。知里は、52歳で逝ってしまったアイヌ民族出身の言語学者で、今日までアイヌ文化研究に大きな影響を及ぼしている巨人だ。
 室蘭という地名はアイヌ語のモ・ルエラニ(小さい坂)に由来するが、それは現在の崎守町の仙海寺の前の坂のことだという。明治のはじめまで崎守町の入り江は、海からこの一帯への玄関口だった。その後いまの室蘭駅の北側の小湾に新港と市街が作られ、そこが室蘭となる。崎守町の東につづく陣屋町は、幕末に南部藩が陣屋を構えた、北方警備の前線のひとつだった。
 地名はしばしば、時代とともに旅をする。複雑な海岸線と多くのアイヌ語地名をもつ室蘭は、そんなことを実感させるまちだ。
 函館と札幌間の交通路の一刻も早い実現をめざした開拓使は、1872(明治5)年、噴火湾をはさむ森と室蘭を航路で結んだ。港は崎守町に作られるはずだったが、お雇い外国人らが、航路にはもっと奥のトッカリモイ(チカを採る湾)の方が地形的に良いと主張したのだった。
 陣屋町の東、現在の本輪西(もとわにし)もまた、旅する地名の主題を奏でる場所だ。いま輪西という地名は室蘭湾の奥に当たるが、明治のはじめに仙台藩支藩の角田藩一行が入植したのはこの本輪西で、当初はこちらに輪西という名が当てられた。明治の末に湿地を埋め立てて製鉄所(現・新日鉄住金室蘭製鉄所)ができるとその名をゆずり、もともとの輪西という意味で本輪西となる。
 アイヌの人々とさまざまな関わりをもって多くの作品を残した写真家掛川源一郎(1913~2007)は、室蘭の中央町にある繁盛する薬店に生まれた。掛川少年は大正の末、三つ下の弟とともに、父が本輪西の自然林に作った小屋とその庭を愛した。その嗜好(しこう)が高じてのちに官立千葉高等園芸学校に進み、東京で園芸誌の編集者になる。埋め立て地が少ない当時の地図を見ると、崎守町から本輪西にかけての海岸線はいまの国道のラインに沿っていて、本輪西には栗林商会の社宅などがわずかにあるばかりだ。
 掛川のまなざしを思いながら本輪西を歩いた日、噴火湾対岸の森町にどっしりとそびえる駒ケ岳が見えた。
 (文・谷口雅春 写真・露口啓二)
http://www.asahi.com/area/hokkaido/articles/MTW20140521011260001.html

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