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沖縄の舞踊家、墓前で慰霊の舞 牡丹社事件を追悼

2016-06-30 | 先住民族関連
毎日新聞2016年6月27日 23時13分(最終更新 6月27日 23時15分)

牡丹社事件の犠牲者の墓前で八重山舞踊家による舞が奉納された=台湾屏東県車城郷で2016年6月26日、鈴木玲子撮影
宮古住民ら犠牲に 日台関係史の出発点
 【屏東(台湾南部)鈴木玲子】1871年に台湾南部・屏東県に宮古島(沖縄県)の船が漂着し、宮古住民らが先住民パイワン族に殺害された「牡丹社事件」で、沖縄の民間団体「八重山台湾親善交流協会」が26日、現地の墓を訪れ、地元住民と交流を図った。墓前では八重山舞踊家が慰霊の舞を奉納した。
 同団体は2013年、歴史的につながりの深い八重山と台湾の交流促進を目指し、沖縄県石垣島の住民有志らが台湾出身者らと共に結成した。石垣では戦前に入植した台湾人がパイナップルや水牛耕作を導入して農業振興に貢献。この功績をたたえる顕彰碑が12年に石垣に建立され、団体の結成につながった。
 13年には多くの台湾出身者の故郷である中部彰化県で伝統舞踊の公演会を開催。今回は日台関係に大きな影響を及ぼした145年前の同事件の地を選び、地元住民と交流した。
 訪問団は37人。屏東県車城郷にある犠牲者の墓前では、酷暑の中、日台関係者が花や果物を供え、八重山舞踊家が慰霊の舞を奉納した。パイワン族の子供たちによる合唱や、団体メンバーによる慰霊の歌も披露された。
 訪問団を率いた宮野照男・沖縄支部長は「言葉や文化が違い、コミュニケーションが図れなかったために起こった痛ましい事件。皮肉にもこの事件が日台関係史の出発点になったと言える。未来志向で交流を進めていきたい」と語った。慰霊の舞を奉納した八重山舞踊家の川井民枝さんは「安らかに眠ってくださいという気持ちを込めて一生懸命に踊った。気持ちは届いたと思う」と話した。
 また呉麗雪・屏東副県長(副知事)は「文化交流により台湾と日本の理解を深め、和解の道を歩んでいきましょう」と呼びかけた。同夜には同県芸術館で八重山舞踊やパイワン族の歌などが披露された。
牡丹社事件
 1871年、沖縄本島の琉球王府に年貢を運んだ宮古島の船が帰路に台湾南部・屏東県に漂着した。乗組員66人のうち54人が牡丹社という集落で先住民パイワン族に殺害された。12人は漢族に助けられた。
 明治政府はこの事件を口実に74年に「台湾出兵」を行い、南部を制圧した。近代日本初の海外出兵となった。清が賠償金を支払い、日本軍は台湾から撤退したが、琉球は日本に帰属すると清に認めさせることになった。清はこの後、防衛強化のため、積極的に台湾経営に乗り出すようになった。
http://mainichi.jp/articles/20160628/k00/00m/030/135000c

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18歳へのメッセージ/5 根深い差別、断ち切れ 「アイヌ資料館」館長・萱野志朗さん(58)

2016-06-30 | アイヌ民族関連
毎日新聞2016年6月29日 北海道朝刊
 「なぜアイヌが学校の先生なのか」。北海道平取町にある萱野(かやの)茂二風谷(にぶたに)アイヌ資料館の館長、萱野志朗さん(58)は、生徒の保護者が陰口を言っていたことを知人から聞いた。遠い昔ではなく、2000年代になってからの話だ。
 志朗さんのいとこが30年ほど前に結婚した際には、相手の両親や親族が「アイヌ」を理由に一人も結婚式に出席しなかったこともあった。最近ではあからさまな差別が表面化することは少なくなったとされるが、志朗さんは「根深い差別や偏見は今でも残っている」と話す。
 志朗さんは、アイヌ民族で初の参院議員となった故萱野茂さん(1926〜2006年)の次男。「言葉は民族の証し」という父の意思を引き継ぎ、アイヌ語の季刊紙の発行やミニFM局による放送講座などで、民族の言語の継承に取り組む。国も複合施設整備などでアイヌ文化復興を後押しするようになった。
 アイヌの人口は、道の13年の調査で道内に約1万7000人とされるが、道外は正確には不明。国が昨年秋に実施したアイヌ1000人の意識調査によると、有効回収705人の72%が「差別や偏見はあると思う」と回答。「自分」が差別を受けたという人の中には「アイヌへの差別発言を聞いた」「職場で不愉快な思いをした」との回答も多かった。
 「アイヌの血筋を引きながら、出自を知らない子どもが『あの子はアイヌ』といじめていたケースもある」と志朗さんは指摘する。
 政府は今年5月、アイヌ民族への差別解消や生活向上を図る新法制定などを検討することを打ち出した。志朗さんはその動きを歓迎しつつも、「法の下の平等」「人種による差別の禁止」という憲法の理念の実現へ、一歩を踏み出したに過ぎないと思う。
 茂さんは「足を踏んでいる人は、踏まれている側の痛みに気づきにくい」とよく口にしていた。父の言葉を思い出しながら、志朗さんは「親が子に誤った差別意識を植え付けると、世代をまたいで負の連鎖が続く。国の施策として断ち切る必要がある」と訴えている。【澤俊太郎】=つづく
少数者の存在、意識して
 いま、私たちアイヌ民族には国会の議席がなく、日本国民として「差別をなくす」という当然の権利を確立するための意見を通しづらい状況にある。そんな立場の人々がいることを理解してほしい。そして少数者の意見を国政に反映させるには今の選挙制度で本当に良いのか、ということも考えながら、選挙権を行使してもらいたい。
 ■ことば
法の下の平等
 憲法は第14条で「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又(また)は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と規定。第2項で「華族その他の貴族の制度は、これを認めない」とした。
http://mainichi.jp/articles/20160629/ddr/041/010/004000c

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「ゴールデンカムイ」作者・野田さん 白老アイヌ民博に色紙

2016-06-30 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 (2016年 6/29)

館内に設置されたゴールデンカムイの特設コーナー
 アイヌ文化をストーリーに取り入れた人気マンガ「ゴールデンカムイ」の作者・野田サトルさんの自筆サイン色紙が、白老町のアイヌ民族博物館内で展示され、来館者の話題を集めている。若者に人気の同作品を館内でも販売しようと、出版する集英社に打診。快諾とともに作者の野田さんから色紙が届いた。野本正博館長は「全国の若い世代にアイヌ文化に興味を持たせるきっかけをつくったという点で貢献度は非常に大きい」と作品を絶賛。同館の話題づくりに加え、来館者に対するアイヌ文化の理解浸透に大きな期待を寄せている。
 ゴールデンカムイは週刊ヤングジャンプで連載中のマンガ。「マンガ大賞2016」の大賞作品に選ばれ、全国的に人気を集めている。
 作品は明治末期の北海道が舞台。隠された金塊を探す日露戦争帰りの元陸軍兵士・杉元佐一と、道中で知り合ったアイヌ民族の少女アシリパの2人が主人公。同じように金塊を探す一味の追跡をかわし、時には戦いながら金塊の在りかを探すというストーリーだ。
 作中にはアイヌ民族の食や狩猟、生活、伝統的な習わしなど幅広い文化が取り上げられており、アイヌ語表記もアイヌ語研究者の中川裕氏が監修している。
 野本館長が出版社側に館内販売を打診したのは連休明けの5月上旬。従来とは違ったアイヌ文化の普及啓発効果に着目したのがきっかけで、「出版社側からすぐに取り扱いを快諾する返事を頂いた」という。合わせて色紙も届き、博物館のミュージアムショップ・イカラカラ内に展示特設コーナーを設けた。
 色紙には登場するキャラクターのアシリパがカラーで描かれ、「白老ポロトコタンさまへ」の添え書きも。売店担当の中村孝子さんによると、中高生を中心に色紙と記念撮影する人がいるといい「書籍を全巻まとめ買いする人もいますね」と言う。
 野本館長は「博物館がアイヌ文化を紹介するのとは違った切り口で面白く、若い人たちがアイヌ文化に親しむという点では最高のメディア」と高く評価する。主人公の少女アシリパが頭に巻く「マタンプシ」(鉢巻き)は、昔の白老地方のアイヌ女性が着用していたものと同じデザインといい、館内スタッフにとっても身近に感じているよう。同じ文様のマタンプシを中村さんが手縫いで制作中。近々展示コーナーに飾る予定だ。
 昨年には作品の愛読者がコスプレ姿で来訪し、館内で写真撮影をしたこともあったといい、「多方面でアイヌ文化に対する興味や関心が集まっているのは大歓迎」と学芸課の八幡巴絵係長。”ゴールデンカムイ効果”による来館者の底上げにも期待が集まりそうだ。
http://www.tomamin.co.jp/20160640034


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