先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

<ほん>土井美千代・こども冨貴堂=旭川市

2019-03-26 | アイヌ民族関連
北海道新聞 03/24 10:26
■幼児向き
『おしいれじいさん』(尾崎玄一郎、尾崎由紀奈/作)
 おしいれがあるおうちはドキドキするおはなし。おふとんを出すときにそおっとふすまを開けたら、おしいれじいさんを見つけるかもしれませんよ。
 かくれ上手なおしいれじいさんは、おふとんが出されて広くなった夜中のおしいれで遊んでいます。頭にかいちゅう電灯のようなあかりをつけている姿は深海魚に似ています。おしいれの下の段でつりざおを見つけて大物のさかなをつりあげようと奮とうしますが、かかるものは小さなぬいぐるみやハンガーばかり。あきらめかけたときにつりざおに大物の手ごたえが!! こどものときに暗くてせまいおしいれに入るのが好きでした。昭和のにおいがただよう不思議な世界をあじわってくださいね。(福音館書店 972円)
『おおかみのこがはしってきて』 (寮美千子/文 小林敏也/絵)
 おおかみのこが走ってきて氷の上でつるんと転びました。「どうして転んだの?」「氷がえらいから」「氷はとけるよ」「お日さまがえらいから」「だけど…」。お父さんと子どもがお話しをしています。初めのものよりもえらいものがずっと出てきて最後のえらいものは何でしょうか。このお話はアイヌ民族に伝わる早口言葉が基になっているそうです。シンプルな文と美しい絵で大自然のめぐみを敬い感謝しながら暮らしていたアイヌ民族の人たちの精神を伝えています。大地が息づきゆっくりとした時間のなかで私たち人間は生かされている、地球上で生まれたどんな命も同じだということを思い起こさせる絵本です。うれしい復刊です。(ロクリン社 1836円)
■低・中学年向き
『キタリス・ウーと森のお医者さん』(竹田津実/文・写真 瀬川尚志/絵)
 野生のリスと仲良くなれたらと、あこがれます。竹田津さんはじゅう医。今は山の中の小さな家でのんびりとくらしているそうですが現役のころから、拾われてきた野生生物をちりょうしてきました。ある日、生まれてまもないキタリスが持ちこまれました。ウーと名付けた赤ちゃんのリスを無事に育て、野生のキタリスの力を借りながら自然界のなかでも生きていけるようにする術は、長年とことん動物たちをちりょうしてきたからこそできることです。ウーは竹田津さんのことが大好きで自然の中にかえっても何度ももどってきました。ウーを通して生きる厳しさと喜びを実感します。そして、なんといってもウーがかわいいのです。(PHP研究所 1512円)
『ねこのオーランドー たのしい日々』(キャスリーン・ヘイル/さく こみやゆう/やく)
 ねこがトラの毛皮を着てネズミの頭がついたマフラーをおしゃれに巻き、人気フレンチレストランで食事したりスケート場でワルツをおどります。マーマレード色のねこのオーランドーとおくさんのグレイスのデートのワンシーンです。愛し合っているふたりにはこどもが3びき。みんな個性的でやんちゃな子ねこたち。人間の世界で、当たり前に人間と同じように暮らすオーランドー一家のお話しはごっこ遊びで空想の世界がどんどん広がっていくような楽しさがいっぱい。ねこらしいしぐさの絵もみりょく的です。子ねこたちが両親に見せる出しものの発表会の夜はゆかいで幸せなひとときになりました。ユーモアあふれるねこ一家のおはなしです。(好学社 1728円)
■高学年向き
『ぼくにだけ見えるジェシカ』(アンドリュー・ノリス/作 橋本恵/訳)
 フランシスはファッションに興味がある男の子。それが理由でいじめを受けています。学校のベンチで独りでいると見知らぬ女の子がとなりに。話しかけると「見えるの?」とおどろかれました。女の子はゆうれいだったのです。ゆうれいのジェシカと気が合い友だちになります。さらに、ジェシカのことが見えるふたりの強力な友だちを得たフランシス。フランシスの生活は明るい方へと導かれていきます。
 なぜフランシスたちにだけジェシカが見えるのか。かのじょがゆうれいになった訳は。真相が分かったときは別れのときでした。ジェシカはフランシスの心の中に生き続け、自分の好きなことに自信を持てる少年に成長したのです。(徳間書店 1620円)
『ことばハンター』 国語辞典はこうつくる(飯間浩明/作)
 「やばい」ということばは、どんな時に使いますか? 昔は犯罪者が自分にとって悪いことに使っていたのに今はいいことにも使いますよね。ことばは生きています。昔はなかったことばが生まれたり、ちがう意味として使われたり。「やばい」は教科書にはないけれど国語辞典には説明がのっているんですって。出版社によって説明文が異なっていたり、同じ辞典でも、新しく出版されたときに説明がかわることもあるそうです。子どものころからことばに興味を持っていた飯間さん。今も看板の文字や興味のあることばを見つけたら記録して国語辞典作りの資料にしています。ことばって楽しい。たまには紙の辞書をひらいてみませんか。(ポプラ社 1296円)
■中学生向き(共同通信)
『ムーンナイト・ダイバー』(天童荒太/著)
 2011年3月11日に津波でさらわれ、水底に沈んだままの人がいる。
 プロのダイバー、瀬奈舟作は遺族の思いを背負い、津波の犠牲者たちの遺留品を回収するため、夜、月の光をたよりに海に潜る。事故の影響で海水は汚染されている。
 舟作も兄と両親を津波で失った。「どうしておれが残った? なぜあっちの町がなくなって、こっちの町は平気だ?」。悲痛な問いを抱え、現実を受け止めきれずにいる。ある日、遺族の女性が夫の指輪を探さないでほしいと言う。あきらめることからしか、新たな一歩をふみ出せない人たちがいるのだ。海底にねむる人たちは確かに生きていたのだと、私たちの脳裏に刻みつける。(文春文庫 691円)
『薄情』(絲山秋子/著)
 舞台は群馬県高崎市周辺。主人公の宇田川静生は、東京の大学で学んだが実家にもどって両親と暮らしている。
 よく車で郊外へ行く。旧市内と旧郡部の境目、住宅地でも農村でもない地帯を「境界の区域」と名づける。境界の区域に、木工職人の鹿谷さんの工房がある。地元の人々が集まる場所でもあり、宇田川も通うようになった。
 鹿谷さんは東京に家庭がある。高校時代の後輩の女性、蜂須賀が仕事を辞め、名古屋から群馬にもどって来た。蜂須賀と鹿谷が恋愛騒動を起こし、居づらくなった鹿谷は群馬を去る。厳しい自然、せまい人間関係としがらみ。それでも地元で生きることを選んだ人たちの強さと優しさが描かれる。(河出文庫 778円)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/289429

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