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先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

NZ第2の都市で乱射、大阪の高校が語学研修中

2019-03-16 | 先住民族関連
読売新聞 2019/ 03/16
 クライストチャーチはニュージーランド第2の都市で、英国風の古い町並みで知られる。日本人の観光客も多く訪れる都市で起きた今回の事件に、同市との交流を持つ日本の学校関係者や旅行会社からは不安の声が上がった。
 大阪府東大阪市の市立日新高校は、語学研修で6人の生徒を4日からクライストチャーチに滞在させていたが、事件を受け、帰国させることを決めた。
 市教委によると、15日正午頃、引率の教諭から高校に「研修先のカレッジ近くで乱射事件が起きた。犯人は捕まっていない」と連絡があった。生徒らは校内放送で事件の発生を知り、教室内で待機。外部からの侵入者を防ぐため学校は封鎖されたという。
 研修は20日までの予定だったが、高校が帰国を決定。市教委の担当者は「こんなことが起こるとは思いもしなかった」と語った。
 城西大学(埼玉県)では、19日から10日間の予定で、クライストチャーチ市内にあるカンタベリー大学を訪問し、日本語を学ぶ学生との交流会や、先住民族マオリの文化を学ぶツアーを企画していた。
 1~3年生までの10人が参加予定だったが、引率役でニュージーランド出身のザイン・リッチー准教授は「こんなことが母国で起こるとは思ってもみなかった。まだ情報が十分ではなく、容疑者が全員捕まっているかもわからない。渡航の可否を検討せざるをえない」と話し、今後、現地の状況や学生、保護者らの意見などを集約した上で、判断するとした。
 また、ニュージーランドへのツアーを手がける旅行会社エイチ・アイ・エス(HIS)広報室は、「テロが続いたり、犯人が捕まらなかったりという事態になれば、ツアーをキャンセルする客も出てくるのでは」と不安を語った。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190315-OYT1T50245/

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伊達の歴史、文化体感 ミュージアム 4月開館へ内覧会

2019-03-16 | アイヌ民族関連
北海道新聞 03/16 05:00
【伊達】市が4月3日に開館する博物館「だて歴史文化ミュージアム」(梅本町)の内覧会が15日、開かれた。伊達を開拓した仙台藩亘理(わたり)伊達家ゆかりの品のほか、アイヌ民族や縄文時代の文化財などを展示する。館内は温度や湿度管理を徹底し、これまで公開が難しかった重要文化財(重文)も展示できるようになる。
 ミュージアムは、築後約50年がたち老朽化していた市開拓記念館(2017年11月閉館)の後継施設。新築した「本館」と既存施設の「体験学習館」、既存施設を改修した「宮尾登美子記念アートホール」の三つの建物で構成される。新築や改修の総工費は約8億円。
 内覧会は、亘理伊達家20代目当主の伊達元成学芸員(40)が案内した。伊達さんは常設展示室のコンセプトについて、同家による開拓以前からアイヌ文化や縄文文化があった点を指摘し「二つの文化の流れを見てもらえるように工夫した」と説明した。
 常設展示室では、亘理伊達家の先祖、伊達成実(しげざね)のよろいかぶとのほか、約2千年前の有珠モシリ遺跡から出土し、重文に指定される骨角器などを展示する。
 開館と同時に、連合国軍総司令部(GHQ)担当官が収集した芸術品を公開する「フランク・シャーマンコレクション展」も始まる。洋画家藤田嗣治の絵画や愛用のめがねなどが展示される。
 ミュージアムは月曜休館で、開館時間は午前9時~午後5時(初日は午前10時から)。観覧料は一般300円、小中学生200円。(中野訓)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/286862

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先住民族の思いに触れて 23日「サーミの血」上映会 北欧の少女の歩み描く

2019-03-16 | アイヌ民族関連
北海道新聞 03/15 12:24 更新

 愛好家でつくる札幌映画サークルは23日、北欧の先住民族サーミの少女の生涯を描いた映画「サーミの血」の上映会を札幌市中央区南2西5の札幌プラザ2・5で開く。札幌では2017年に上映されたが、日本でアイヌ民族に関わる新法案が今国会に提出されたのを機に自主上映を企画。「映画をきっかけに先住民族の思いに触れてほしい」と来場を呼びかける。(斉藤千絵)
 作品は、家族や故郷から離れ、「スウェーデン人」として生きることを選んだ少女の歩みや苦悩を描く。アマンダ・シェーネル監督自身もサーミの血をひいており、少女が朝もやの中をトナカイと駆けたり、差別に耐える場面はフィクションながら現実感がある。
 上映後は、研究者が主人公の顔の幅や鼻の長さを計測する映画の一場面に似た体験を実際にしたというアイヌ民族の清水裕二さん(78)のゲストトークや、短編ドキュメンタリー「85年ぶりの帰還~アイヌ遺骨 杵臼(きね うす)コタンへ」の上映もある。
 上映時間は《1》午前10時半《2》午後2時《3》6時―の3回(最終回は映画のみ)。前売りは大人千円(当日1300円)で、市内各プレイガイドなどで購入できる。問い合わせは、事務局岩本さん(電)090・7055・0074へ。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/286644

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Master - an Ainu Story マスター -アン・アイヌ・ストーリー

2019-03-16 | アイヌ民族関連
週刊ジャーニー No.1077(2019年3月14日)掲載
© Adam Isfendiyar
北海道の先住民族アイヌを取り上げたエキシビション。東京で写真家の助手として過ごした経歴をもつ英国出身のフォトグラファー、アダム・イスフェンディヤル氏が、約2年間に渡り、阿寒アイヌ民族文化保存会代表の松田建治氏に密着し行ったインタビューと、その生活を撮りためた写真を展示。アイヌとして生まれた苦悩や誇りが赤裸々に綴られている。
3月22日(金)~4月10日(水)
Sway Gallery
70-72 Old Street, EC1V 9AN
最寄駅:Barbican
月~金:午前11時~午後7時
4日(木):午前11時~午後7時30分
入場無料
http://sway-gallery.com
https://www.japanjournals.com/travel/events/japan/12606-master-an-ainu-story.html

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アイヌ伝統工芸を体験 イラクサから糸作り編み込み-白老

2019-03-16 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2019/3/15配信

イラクサの編み込み作業に熱中する参加者たち
 白老モシリは12、13の両日、しらおいイオル事務所チキサニでポンサラニプ作り体験を行った。町民10人が参加し、乾燥させ内皮を糸状にしたイラクサを使ってペットボトル入れを製作。底と筒の部分で編み方が異なるため、参加者たちは講師から何度も指導を受けながら作品を完成させた。
 町内のアイヌ伝統工芸サークル「テケカラペ」(山崎シマ子代表)が講師を務めた。山崎代表によると、ポンサラニプ(小さな編み袋)は従来はシナの皮を使って作られており、野菜を入れたまま土を水で洗い流したり、山菜採りに用いるなど、さまざまな用途に使われていたという。
 ミニ体験では、森野で採取したイラクサを乾燥させ、もんで外皮を取り除き、残った内皮を糸にしたものを使用。参加者たちは、初日に内皮から糸作りをする作業を体験してから作品作りに入った。最初に4本の糸を平らに並べたものを交互に編み込んで底部分を製作。その後、筒部分をさらにイラクサの糸を編み込み、2日間かけて完成させた。
 初めてのポンサラニプ作りを体験した井上睦さん(38)は「底の部分が特に難しかったが、とても楽しかった。完成した作品は自宅に飾っておこうと思います」と話していた。
 山崎代表は「アイヌの人たちは、何かを作る際に自然のものを使っていた。とても知恵のいることだったと思います。シナやイラクサの皮を糸にするなんて今じゃ考えられないことでしょ」と語った。
https://www.tomamin.co.jp/news/area2/15885/

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イデーショップ自由が丘でメキシコのテキストとクラフト展 ラグやバッグなど

2019-03-16 | 先住民族関連
自由が丘経済新聞 2019.03.15

 メキシコで買い付けたテキスタイルやクラフトなどの手仕事品を紹介する展示会「Color of Mexico メキシコのテキスタイルとクラフト」が現在、イデーショップ自由が丘店(目黒区自由が丘2、TEL 03-5701-7555)で開かれている。
 メキシコには現在も約70の先住民が暮らし、その多くはそれぞれの伝統を受け継ぎ、昔ながらのものづくりが盛んに行われている。そうした手仕事によるアルテサニア(民芸品)を求め、イデーのバイヤーがメキシコ4州を巡って買い付けてきたラグやクッションなど約400点を、同店とイデーショップ梅田店(大阪市)の2店で展示販売する。
 メキシコの手仕事品は「豊かな色彩感覚」「自由なクリエーション」が特徴で、同展担当者によれば「特にラグ、クッション、マルチカバーなどのテキスタイルは、伝統的な色や柄が表現されているものや、素晴らしい刺しゅうが施されているものも多く、その多様性と芸術性の高さには目を見張るものがある」という。
 「民芸の街」として知られるオアハカ州で、羊毛を使った織物作りが盛んなのがテオティトラン・デル・ヴァレ村。同村の先住民・サポテカ族が手掛ける「サポテック ラグ」は、羊毛を紡ぐところから染め、手織りまで一貫して作られる。サイズは約80×150センチで、価格は7万8,740円~10万8,000円。
 マヤ人の末裔(まつえい)である先住民族が多く住むメキシコ南部チアパス州は、村ごとにさまざまな織物があり、中でも標高約2000メートルの山間部にあるサン・アンドレアス・ララインサール村で織られているのが「チアパス刺しゅう」。ひし形のような模様が特徴で「柄の多くは水・雨・土・生き物など自然がモチーフとなっている」という。同テキスタイルを使った「チアパス刺しゅうのクッションカバー」の価格は8,640円~1万800円。
 メキシコシティの北東に広がるイダルゴ州テナンゴ地方に住むオトミ族の女性たちが手掛ける「オトミ刺しゅう」は、植物や動物、神話に登場する生き物をカラフルな糸で表現したもの。「オトミ刺しゅうのタペストリー」(約34×40センチ)の価格は6,480円。
 そのほか、「陶芸の街」として知られるハリスコ州トナラ村から「トナラの陶器のオブジェ」(約18×7センチ=4,320円~)や、メキシコでは「買い物バッグ」として愛用されているプラスチック製「メルカドバッグ」などもそろえる。
 営業時間は11時30分~20時(土曜・日曜・祝日は11時~)。4月1日まで。
https://jiyugaoka.keizai.biz/headline/1672/

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『ゴールデンカムイ』のアイヌ語監修者による公式解説本『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』発売

2019-03-16 | アイヌ民族関連
amass.jp2019/03/15 12:57掲載

人気漫画『ゴールデンカムイ』のアイヌ語監修者が、漫画の名場面をふんだんに引用しながら解説を行った、同作の公式解説本『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』が本日3月15日発売。同作の作者・野田サトルによるオリジナル描き下ろし漫画も収録
●『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」 (集英社新書) 』
中川 裕 (著), 野田 サトル (イラスト)
<内容紹介>
2018年に手塚治虫文化賞でマンガ大賞を受賞し、アニメ化も果たした累計発行部数900万部超の大ヒット冒険活劇漫画「ゴールデンカムイ」。同作をきっかけにして、初めてアイヌ文化に興味を抱いたという方も少なくないのではないか。
本書はそんな大人気作品のアイヌ語監修者が、漫画の名場面をふんだんに引用しながら解説を行った、画期的入門書である。
「アシ(リ)パたちの名前はどのように決まったのか」「話題の“オソマ”と“チタタプ ”にまつわる裏話とは?」「“ヒンナ”の正確な意味と、本当の使い方」など、原作ファンならば漫画が100倍面白くなること必至の知識が満載となっている。
もちろん、それだけではなく「アイヌの先祖はどこから来たか?」「アイヌ語から解き明かす北海道の地名」「徹底解説! アイヌ文学」など、原作を知らない方でも楽しめる内容が盛り沢山。
アイヌ文化について知りたいならば、まず最初に読むべき最高の入門書だと言えるだろう。
【本書の主な内容】
・「カムイ」とはそもそも何なのか?
・世にも恐ろしい魔物たちの伝説
・アイヌは子どもの名前をどのように決めるのか
・超特急! アイヌ語入門
・『ドラゴンボール』そっくり!? アイヌの英雄物語「ユカ(ラ)」徹底解説
・家庭で作れるアイヌ料理
・大人気! 「オソマ」と「チタタ(プ)」にまつわる裏話
・「ゴールデンカムイ」 あの名シーンの背景
・アイヌ語監修の仕事と創作秘話 ほか
【目次】
序章 アイヌ文化に人々を惹きつける「ゴールデンカムイ」の魅力
第一章 カムイとアイヌ
第二章 アイヌの先祖はどこから来たか?
第三章 言葉は力
コラム1 小樽から見た「ゴールデンカムイ」 (寄稿:石川直章・小樽市総合博物館館長)
第四章 物語は知恵と歴史の宝箱
第五章 信仰と伝説の世界
野田サトル先生描き下ろし オリジナル漫画
第六章 「ゴールデンカムイ」のグルメワールド
コラム2 黄金の民・アイヌ (寄稿:瀬川拓郎・札幌大学教授)
第七章 「ゴールデンカムイ」名シーンの背景
第八章 アシリパたちの言葉 アイヌ語とは
終章 アイヌ語監修というのは何をやっているのか?
付録 「ゴールデンカムイ」をより楽しむためのブックガイド
【著者略歴】
中川 裕(なかがわ ひろし)
1955年神奈川県生まれ。
千葉大学文学部教授。東京大学大学院人文科学研究科言語学博士課程中退。
1995年、『アイヌ語千歳方言辞典』(草風館)を中心としたアイヌ語・アイヌ文化の研究により、金田一京助博士記念賞を受賞。
野田サトル氏による漫画「ゴールデンカムイ」では、連載開始時から一貫してアイヌ語監修を務める。
著書は『アイヌ語をフィールドワークする』(大修館書店)、『アイヌの物語世界』(平凡社ライブラリー)、『語り合うことばの力』(岩波書店)など多数。

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「LGBTQ2の旗」を掲げるのが義務――カナダの小学校

2019-03-16 | 先住民族関連
MSN2019/03/15 19:00 TABI LABO編集部
© 提供元:https://tabi-labo.com/290858/wt-elementaryschool-lgbtq2flag
LGBTQのシンボルマークとして、世界中のいたるところで掲げられているレインボーフラッグ。
カナダでは、先住民族の「男性と女性の魂を両方持つ人(two-spirit)」という生き方も反映された言葉、“LGBTQ2”が使われています。今年の6月、誰に対しても平等な社会を創りあげようとする同国らしい条例が施行されます。
首都オタワや経済都市トロントなどを抱えるオンタリオ州が、平等を象徴するレインボーフラッグを掲げることを義務づけました。同州の小学校が対象です。
プライド月間である6月に、最低でも1週間はLGBTQ2の旗を掲げなければいけないというのが詳しい内容。国旗や校旗に並べることで、彼らへのサポートを表明するのです。
カナダの小学校が示すように、それぞれが多様な性のアイデンティティを持っていることは当たり前。そんな道徳的情操教育の一環でもあるのでしょうね。
Reference: Ontario board will force elementary schools to fly homosexual ‘pride’ flag in June / LifeSiteNews
Top image: © iStock.com/nktwentythree
https://www.msn.com/ja-jp/lifestyle/life/e3-80-8clgbtq2-e3-81-ae-e6-97-97-e3-80-8d-e3-82-92-e6-8e-b2-e3-81-92-e3-82-8b-e3-81-ae-e3-81-8c-e7-be-a9-e5-8b-99-e2-80-95-e2-80-95-e3-82-ab-e3-83-8a-e3-83-80-e3-81-ae-e5-b0-8f-e5-ad-a6-e6-a0-a1/ar-BBUNU7E#page=2

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スクリーンで体感!キュアロン監督『ROMA/ローマ』劇場で観る前に知っておきたいこと

2019-03-16 | 先住民族関連
webDICE2019/03/16

▲映画『ROMA/ローマ』アルフォンソ・キュアロン監督と主演のヤリッツァ・アパリシオ (via @Participant Media)
3/21(木・祝)よりアップリンク渋谷・吉祥寺にて上映
第91回アカデミー賞では同年度最多タイの10部門でノミネートされ、外国語映画賞、監督賞、撮影賞の3冠を受賞し話題を呼んだ映画『ROMA/ローマ』。アルフォンソ・キュアロン監督が「この映画はスクリーンで観られることを念頭に置いて映像と音響を設計した」と語り、劇場公開を望んだ本作がアップリンク渋谷・吉祥寺で3月21日(木・祝)より公開となる。webDICEでは上映にあたり、キュアロン監督をはじめスタッフやキャストの発言そして国内外の記事から、日本で上映されるまでの経緯と作品の魅力についてまとめた。
なお、アップリンク吉祥寺ではこだわりのサウンドシステムにより、環境音だけで構成された本作のサウンドを最大限に引き出す。アップリンク吉祥寺の各スクリーンの音響を調整した元ソニーの社員でハリウッドのサウンドスタジオで研究してこられたサウンドソムリエの藤田猛さんは次のように語っている。「この映画館は田口音響研究所の平面スピーカーを使用した世界初の映画館で、録音された音源を平面波により位相が狂わず正確に再現するという音響特性を最大限に引き出しました」。ミニシアターならではの親密な劇場空間と極上のサウンドシステムで映画『ROMA/ローマ』をぜひお楽しみいただきたい。
設備の整った大画面でその精密にデザインされた映像と音の細部を堪能することができるはずだ。
製作の背景「家族の傷は人類に共有される傷」
この物語は1961年生まれのキュアロン監督自身の子供時代の体験がもとになった自伝的作品で2006年以来、この企画を温めてきたという。彼の生まれたメキシコの首都メキシコシティの中心部にある街コロニア・ローマ地区が舞台となっている。時代は1970年代前半、この時期メキシコではトラテロルコ事件(1968年)、血の木曜日事件(1971年)という、政権に対する若者の抗議行動を体制側が弾圧する事件が起こった。こうした社会的混乱をバックグラウンドに、そこで中流家庭の一家と、家政婦であり乳母のクレオとの関係を描いている。クレオはキュアロン監督を育てた乳母のリボをモデルにしており、彼女に捧げられている。
アルフォンソ・キュアロン監督と主人公クレオのモデルとなったリボ(via @Participant Media)
「この映画の製作は、クレオの人となりを追うこと、そして彼女を通してパーソナルな家族の傷を探る過程でした。そして私はそれが、メキシコで多くの人が共有した傷であることを理解しました。さらには、すべての人類に共有される傷であるという結論に達したのです」(キュアロン監督)
(【The Gurardian】Alfonso Cuaron on Roma: ‘We cast for almost a year … I couldn’t find the right person')
キュアロン監督はリボのイメージに近い俳優を探すためにキャスティングに1年をかけ、最終的に演技経験のないヤリッツァ・アパリシオを起用することを決めた。撮影にあたり、自身の乳母リボにインタビューを行い、そのエピソードをベースに物語を編んでいった。
当初、撮影監督にはキュアロン監督の前作『ゼロ・グラビティ』(2013年)などを手がけるエマニュエル・ルベツキが担当する予定だったがスケジュールが合わず、キュアロン本人が担当することになった。
自らの幼少時代を題材にした今作についてキュアロン監督は影響を受けた映画作家と作品についてThe Gurardianのインタビューで次のように述べている。
「ビクトル・エリセとスティーヴン・スピルバーグは私のDNAです。子供のように物事に驚く気持ちを持つ監督たち。私の世代はスピルバーグに大きな影響を受けた。そしてエリセの『ミツバチのささやき』(1973年)は幼年時代をテーマにしたマスターピースです」(キュアロン監督)
(【The Gurardian】Alfonso Cuarón on Roma: ‘We cast for almost a year … I couldn’t find the right person' )
今作の完成後、Netflixが世界配給権を獲得したが、製作時の資金調達は行っていない。出資したのはニューヨークに拠点を置く製作会社パーティシパント・メディア。これまで『ビースト・オブ・ノー・ネーション』『わたしはマララ』など社会的なテーマの作品を数多く手がけているパーティシパント・メディアのCEOデヴィッド・リンドはこの企画にゴーサインを出し、キュアロンのプロダクション会社が110日以上の撮影をメキシコシティで行うにあたり1,500万ドル(約16億7,785万円)を出資した。
パーティシパント・メディアは、ハリウッドの大手スタジオも含む計7社に10分間の映像を見せ、世界配給の交渉をした。そのうち4社は、スペイン語のモノクロ映画は有料テレビ放送には向かないので、全編を見た上で有料テレビチャンネルの権利を放棄して劇場権だけを得る(かつてワインスタイン社が『アーティスト』でそうしたように)方向で検討したいと言った。だが、その時点ではポストプロダクション中だったため、全編を見せることができなかった。
そのため、パーティシパント・メディアは、残りの3社と1ヵ月にわたる交渉を続け、宣伝、配給、賞レースへの参加についてもっとも説得力があり財政的にも実行可能な提案をしたNetflixに託すことを決めた。Netflixが提示した2,000万ドル(約22億3,713万円)は、中国での権利を除いた劇場上映を確約する世界配給権で(中国はパーティシパント・メディアが権利を持ち、このほど検閲が通ったばかり)、これを上回る金額を提示するスタジオはなかった。(【IndieWire】Spielberg vs. Netflix: Separating Myth and Reality About the Post-Oscars Battle)
目指したのは「デジタル・ブラック・アンド・ホワイト」
そして「とにかくリアルな音響」
これまでの彼の作品のなかで最長の110日以上に及ぶ撮影において、キュアロン監督はアリ社のデジタルシネマカメラ、アレクサXTをモノクロセンサーに変更したタイプを使用するとともに、6Kのシネマカメラ、アレクサ65を使いカラーで撮影後、ポスプロでモノクロに修正する方法を採用し、理想の「デジタル・ブラック・アンド・ホワイト」を獲得した。
「影とハイコントラストが際立つクラシック映画の画ではなく、より自然で今日的なモノクロの画が欲しかった。フィルムとデジタルの各メディアにはそれぞれ独自の言語と長所と短所がありますが、デジタル形式の驚くべきダイナミックレンジを探求したいと思ったんです」(キュアロン監督)
(【American Cinematographer】Roma: Memories of Mexico)
▼Netflixによるメイキング映像『Restoring ROMA』
https://www.youtube.com/watch?v=KHPFt4wgUuY
また、『ROMA/ローマ』にとって音響は映像と同じくらい重要だ、とスタッフは口をそろえる。今回いわゆる映画音楽は使用せず、そこで鳴っている自然音のみで音響を構成。鳥のさえずりなどの自然の音から街なかで奏でられるマーチング・バンドの音まで、様々な音がミックスされている。この作品はパン(固定したカメラが水平方向に移動させる撮影方法)が多用されているが、そうした画の動きに合わせて音も変化させたり、前景・中景・遠景に分かれた画のレイヤーと同様に音についてもレイヤーが組まれ、とにかくリアルであることにこだわったと音響効果編集者のクレイグ・ヘニガンと音響技術者スキップ・リーヴセイは語る。ストリートで聞こえる雑踏の音のために350人の俳優をスタジオに集めレコーディングしたという。
(【DEADLINE】For ‘Roma’, The Sounds Are As Important To Alfonso Cuaron As The Images ? Watch The Featurette)
本作でスキップ・リーヴセイとともに第91回アカデミー賞音響編集賞にノミネートされた音響編集者セルヒオ・ディアスは、この作品の音響のために1年半を費やしたという。
「キュアロン監督はあらゆるシーンで自分が望む正確な考えを持っていました。メキシコシティはとても工業的な街ですが、1970年代当時は鳥や木が多く残り、車も少なかったので、その時代の雰囲気を手に入れるのは大変な挑戦でした。当時の自動車はいまと異なるエンジンでしたから、特定の音を抜き出して最終ミックスに使用しました」
「いい音を記録するために、私たちにはひとつ考えがありました。それは人通りの少ないクリスマスの日に録音するということです。私は12月25日の午前6時から午後6時まで街に出てレコーディングしましたが、そこで多くの街の音を録ることができたんです」
「いちばん大変だったのは飛行機の音と露天の音ですね。映画の冒頭に登場する飛行機はプロペラエンジンという設定ですが、いまはボーイング747が主流ですので、ほうぼうを探さなければなりませんでした」(セルヒオ・ディアス)
(【AWARDSDAILY】Interview: Sergio Diaz On Capturing The Sound Of Roma)
音楽については、敢えて演出的なスコアを用いず、テレビやラジオから低く流れるオルケスタ・ペレス・プラードやイボンヌ・エリマンなど当時のラテンやポップスの楽曲により、1970年代前半のメキシコシティの空気を再現している。こうした手法について、キュアロン監督はマーティン・スコセッシ監督作品からインスピレーションを受けたと述べている
「私が初めてそのように音楽が使われるのを観たのはおそらく『アフター・アワーズ』(1985年)だったと思います。主演のポールを演じたグリフィン・ダンが誰かに話しかけるシーンで、遠くからプリテンダーズの曲が流れている。映画で有名な曲が使われるときは、得てしてあからさまに大音量で鳴らされるものですが、この映画ではかすかに聞こえるだけでした。小さなラジオから聞こえてくるというのがとても美しく、まるで自分がその場所にいるような気持ちになったのです」(キュアロン監督)
(【VARIETY】Alfonso Cuaron Tells Why His Scoreless ‘Roma’ Prompted an ‘Inspired’ Companion Album)
キュアロン監督の16歳の娘で、今作にインスピレーションを受けて制作された曲を集めたアルバム『Music Inspired By The Film Roma』にベックやビリー・アイリッシュ、T・ボーン・バーネットらとともに参加しているブ・キュアロンもその考えに同意している。
「私は、映画では音楽が感情を操ると思います。『ROMA/ローマ』にはスコアをいれなかったのは、リアルを追求するため、感情を操作したくなかったからだと思います」(ブ・キュアロン)
(【VARIETY】Alfonso Cuaron Tells Why His Scoreless ‘Roma’ Prompted an ‘Inspired’ Companion Album)
俳優に台本を渡さず自然な演技を引き出す
キュアロン監督は、できるだけ俳優たちの自然な表情を収められるよう、台本を役者に渡さず、撮影現場で演技の指示をしていった。
「私が監督としてやるべき仕事は、登場人物が現実の生活の中で彼らが反応するのと同じようにその瞬間を創造することです」(キュアロン監督)
(【FRANCE 24】With 'Roma,' Alfonso Cuaron reinvents how he makes films)
「この映画が世界で上映されて、アルフォンソ(・キュアロン監督)の個人的な映画で、メキシコを舞台にしているにもかかわらず、異なる国の人々がこの物語を観てとても一体感を感じていただけたことがとても興味深かったです」(主人公の乳母リボ役のヤリッツァ・アパリシオ)
(【VARIETY】‘Roma’ Actress Yalitza Aparicio on the Challenge of Playing Alfonso Cuarón’s Real-Life Nanny)
『ROMA/ローマ』リボ役のヤリッツァ・アパリシオ
映画のメインカットにも使用されている海辺のシーンについて、アカデミー賞授賞式後、『万引き家族』で『ROMA/ローマ』と同じく外国語映画賞にノミネートされた是枝裕和監督は会見の際に「(主人公のクレオとその雇い主の子供たちがおぼれかける)海辺のシーン。あれをどうやって撮ったのかを(キュアロン監督に)ききました。『(映画では)波が高くみえるけど、そんなことはない。子供も実際に海に入っているけど、安全に、もちろんダイバーを周りに配置している。前の日に嵐だったから少し波が高かったけど』と言っていたけど。1テイクで撮ったと言っていました」と語っている。(【朝日新聞】アカデミー賞は「まるで地方選挙のよう」是枝監督にきく)
VARIETYではこの海辺のワンカットのシーンが桟橋を使い、入念な準備のうえ撮影されたことがわかるメイキング映像が公開されている。(【VARIETY】How Alfonso Cuarón Filmed that 'Roma' Beach Scene in One Shot)
「私が好きなのは色彩、地域語の多様さの魅力だ」
スペイン語字幕問題
本作の公開後、キュアロン監督はスペインで配信されているバージョンについて苦言を呈した。この映画で登場人物はメキシコ式スペイン語を話しているが、Netflixはスペインでの劇場公開時(Netflix配信同様)スペイン式スペイン語の字幕をつけたのだ(配信同様)。これに対してキュアロン監督は「メキシコのスペイン語はスペインの人たちにとって理解できないという事はありえない。教条的で無知で、スペイン人にとっても無礼だ。スペインのペドロ・アルモドバル監督の作品にメキシコのスペイン語で字幕を付けるようなもの」「私がもっとも好きなのは、色彩、地域語の多様さの魅力だ」と反発した。(【Guardian】Alfonso Cuaron condemns Spanish subtitles on Roma)
『ROMA/ローマ』はメキシコ式スペイン語とスペインの先住民族ミシュテカのミシュテカ語が使用されている。主人公のクレオは家政婦を務めるためにその両方を話すが、彼女を雇う一家はスペイン語しか話せない。言語の違いを超えた関係を描く上で、スペインとメキシコそれぞれの文化を大切にすべきだというキュアロンの願いが込められている。キュアロン監督による批判の後、Netflixは配信においてはスペイン式スペイン語での字幕を削除し、代わりにスペイン式スペイン語を用いる聴覚障害者のためのクローズド・キャプションを選択画面から選べるよう追加した。(【IndieWire】YAlfonso Cuaron and More Upset Netflix Offers ‘Roma’ Subtitles in Spain: ‘It’s Very Offensive’)
オスカー3冠達成
「画面の背景に追いやられ続けてきたキャラクターを描く」
TheWrapなどのメディアによると、Netflixは『ROMA/ローマ』のアカデミー賞獲得へ向けて2,500万ドル(約27億9,173万円)から3,000万ドル(約33億5,008万円)を費やした。これは映画の製作費のおよそ2倍にあたる。Netflixはアカデミー賞ノミネート作品の条件である「前年にロサンゼルス郡内の商業映画館で1週間以上連続して有料上映すること」という条件を満たすために、11月21日にロサンゼルス、ニューヨーク、メキシコシティで公開をスタートしたのを皮切りに、12月14日からは190ヵ国のNetflixで配信。そして世界の43地域・1,600の劇場で公開された。現在、配信開始から約3ヶ月を経て、Netflixで観られる状況にあっても、世界約500の劇場で上映が続いている。(【IndieWire】Spielberg vs. Netflix: Separating Myth and Reality About the Post-Oscars Battle)
Netflixはこのために『英国王のスピーチ』や『ラ・ラ・ランド』などをオスカーに送り込んできた「アワード・コンサルタント」リサ・タバックをPR担当に起用した。ここまでの巨額を投じなぜNetflixはオスカーが欲しかったのか、IndieWireの記事は、オスカーを獲得することは、マーティン・スコセッシのような巨匠にNetflixで映画を製作することを説得することが可能になるとともに、加入者の増加に繋がるためだ、と分析している。
『ROMA/ローマ』は第91回アカデミー賞において作品賞、監督賞、主演女優賞(ヤリッツァ・アパリシオ)、助演女優賞(マリーナ・デ・タビラ)、脚本賞、撮影賞、美術賞、音響編集賞、録音賞、外国語映画賞の10部門にノミネート。『女王陛下のお気に入り』と並び最多ノミネート数となった。そして見事外国語映画賞、監督賞、撮影賞を受賞。撮影監督も兼任したキュアロン監督は、監督賞と撮影賞を同時に受賞した初めてのフィルムメーカーとなった。
「先住民族の女性を中心にした映画を認めてくれたアカデミーに感謝します。彼女は、労働者の権利を与えられないまま仕事をしている、世界中の家庭内労働者7,000万人の1人であり、映画においても歴史的に画面の背景に追いやられ続けてきたキャラクターです」
「アーティストである私たちの仕事は、他の人が目を向けないところに目を向けることです。目を背けることを促される時代だからこそ、その責任はより重大なものになるのです」(キュアロン監督)
アカデミー賞受賞式直後の2月27日にアップされたVARIETYのインタビューでキュアロン監督はあらためて今作に込めた思いを語っている。
「アーティストがアーティストである理由とは、他の人が見ていないことを見て表現することです。アーティストは、日常生活の中で特別な何かを見ることができるからです。当然のことと無視することを見極めることです。あなたはクレオというキャラクターを見るということは、彼女の存在を認めるということで、私たちは異なる人間ではないということを理解します。私たちは似ているのです。共感への扉を引き、理解に繋がります。映画は共感のための機会になると言われています。あなたが偏見を乗り越えることができれば、私たちはひとつで同じであるということを理解できるでしょう」
「私は『ROMA/ローマ』を政治的映画にするつもりはありません。ある固有の出来事についての映画を作ったつもりです。『ROMA/ローマ』は私たちが人間として共有できる傷があることを描いています。それこそが、この作品が現在起こっていることと無関係ではないことの証です。階級と民族的背景の間にある関係性についての映画です。メキシコでは人種差別についての会話の糸口となっています。しかしアメリカでもそれは可能なはずです」
「トランプ大統領に『ROMA/ローマを観てほしいか?それはわかりません。字幕がありますから、読むのが大変でしょう!1時間で退屈してしまうと思います。一時停止するか、誰かが字幕を代わりに読んであげなくてはいけませんね」(キュアロン監督)
(【VARIETY】Alfonso Cuarón on His New Oscars, Netflix and if Trump Should Watch ‘Roma’)
映画『ROMA/ローマ』(via @Participant Media)
全国での上映が続々決定している『ROMA/ローマ』だが、3月15日にはメキシコ外務省が在日メキシコ人コミュニティと日本のアミーゴ(友人)たちを招待する上映会が在日メキシコ大使館講堂エスパシオ・メヒカノにて実施。このイベントではアルフォンソ・クアロンというカタカナ表記だが、webDICE編集部が在日メキシコ大使館に問い合わせたところ、もちろん日本ではキュアロンという表記が一般的であることを認識したうえでメキシコ外務省主催ということもあり、実際の発音に近いクアロンという表記にしたとのことだ。
http://www.webdice.jp/dice/detail/5762/

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毎週日曜よる6時放送『世界遺産』「地球最後の秘境」チリビケテ国立公園(コロンビア)を日本のテレビ初撮影!

2019-03-16 | 先住民族関連
(世界遺産登録後としては、世界初撮影)大迫力の空撮映像などを2週にわたって放送する!
TBS 3月15日(金)12時50分
毎週日曜よる6時から放送中の『世界遺産』では、4月7日(日)と14日(日)の2週にわたって「地球最後の秘境」チリビケテ国立公園の貴重な映像をお届けする。
チリビケテ国立公園はコロンビアの南東部、アマゾン河流域に位置する同国最大の国立公園。広さは四国の1.5倍にあたる。昨年、自然遺産と文化遺産の両方で世界遺産に登録された複合遺産だ。
この一帯はつい最近まで反政府ゲリラの拠点となっており、危険なため撮影不可能だった。また、それ以前から、この一帯は一般人の立ち入りを禁止している。実はこの公園内では、非接触民と呼ばれる文明と隔絶した生活を送る人々が暮らしている。彼らが外の世界と接触しないですむよう保護するために、立ち入りが禁じられているのだ。
こうした事情から、チリビケテ国立公園はほとんど調査が行われておらず、まさに「地球最後の秘境」と呼ぶにふさわしい。番組は5ヵ月かけて撮影交渉し、4回断られたが、観光向け旅番組ではないこと、ユネスコの推薦を受けていることから、非接触民と霊的に交信ができる少数民族の長老(シャーマン)が同行することを条件に、特別に撮影許可が下りた。チリビケテ国立公園の撮影に成功したのは日本のテレビ番組では初であり、世界遺産登録後としては世界初となる。
壮大な景観をつくっているのは、ジャングルにそびえ立つ砂岩の台地・テーブルマウンテン(卓状山地)。頂上がテーブルのように広く、山の周囲は高さ300メートルから500メートルの断崖となっている。あまりにも急峻で登山ルートもないため、撮影隊はヘリコプターで移動。さらに、周囲の少数民族にとっては聖なる山なので、撮影には彼ら少数民族の長老(シャーマン)が同行する。シャーマンは霊的に非接触民や山の精霊と交信し、撮影の許しを得ることができるので、トラブルを避けられるのだ。
公園の大きな特徴のひとつである、森林に点在するテーブルマウンテン。その劇的な景観は、奥地にありアクセス至難であることから、より一層印象深いものとなっている。
先住民が書き残した古い岩絵が断崖に遺されており、古いものは約1万2千年前に描かれたものだといい、かつてアメリカ大陸に渡った人類の中でも最古の痕跡の可能性がある。岩絵の数は7万5千枚を超え、テーブルマウンテンの麓周りの60の岩陰遺跡の壁に見られる。権力と豊饒の象徴であるジャガーの崇拝と結びついていると信じられているこの絵は、狩猟の場、戦い、踊り、儀式の様子を描いている。遺跡内に定住しない先住民のコミュニティは、その地域を神聖なものと考えている。
希有な自然景観と、きわめて古く貴重な人類の記録を併せ持つチリビケテ国立公園。世界でも珍しいこの地の貴重な映像を4月7日、14日の2週にわたって放送する。ご期待ください。
https://www.tbs.co.jp/hot-jyouhou/201903151250.html

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マリナ・シルバさんインタビュー(上)アマゾン森林伐採は発展もたらさない 温暖化防止へ行動を

2019-03-16 | 先住民族関連
毎日新聞 2019年3月15日
 地球温暖化防止に向けたパリ協定は2020年から施行されるが、ブラジルでは開発志向派のジャイル・ボルソナロ氏が新大統領に就任し、米国に続いてパリ協定から離脱するのではと懸念されている。アマゾン熱帯雨林の保護活動で著名なブラジルの元環境相、マリナ・シルバさん(61)に地球環境問題と世界情勢について書面インタビューした。2回にわたって掲載する。【MOTTAINAIキャンペーン事務局、翻訳協力 舛方周一郎・神田外語大学外国語学部専任講師】
 ――18年のブラジル大統領選で汚職追放を掲げて当選したボルソナロ氏が1月1日、新大統領に就任しました。ボルソナロ氏は女性や性的少数者、黒人に対して差別的発言を繰り返し批判を浴びてきました。それにもかかわらずボルソナロ氏が支持を集めた理由は何でしょうか。また大統領選でボルソナロ氏と戦ったシルバさんは何を求めますか。またシルバさんご自身は今後どのような活動を行っていくのでしょうか。
 シルバさん ボルソナロ氏は大統領選挙で、軍人や政治家、富裕層、大部分の保守的なカトリックと福音派といったブラジル社会のより保守的な階層からの支持を得ています。これは過去20年間、ブラジル民主運動党(PMDB)の支援のもとでの労働党(PT)とブラジル社会民主党(PSDB)による政権運営の失敗と、その失敗の原因となった大規模な汚職事件の大混乱によるものです。加えてボルソナロ陣営は、選挙の数カ月前から私を含む多くの候補者を標的にしたフェイクニュースを拡散しました。
 ボルソナロ政権は、過去40年間にブラジルが培ってきた社会環境政策を破壊し、今後はパリ協定からのブラジルの脱退を準備するとともに、アマゾンの大規模な森林伐採や、バイオマスエネルギー利用の増加を過度に促すはずです。自然保護区域や先住民が居住する土地は、廃止または面積減少という強い脅威にさらされています。私はすべての社会環境的な政策の後退に抵抗する中心となり、「持続可能なネットワーク」(シルバさんの所属政党)の指導者として、持続可能な開発の価値と実践を促進する教育と政策形成の分野で活動を続けていきます。
 ――昨年12月、ポーランドのカトウィツェで開かれた国連気候変動枠組み条約第24回締結国会議(COP24)では、地球温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」の実施方針(ルールブック)を採択しました。これによって途上国を含むすべての国が基準年や目標年をそろえ、温室効果ガス削減目標を策定し国連に報告することが決まり、先進国から途上国への資金支援については、先進国が隔年で向こう2年間の支援額を自主的に提示することになりました。シルバさんは今回の結果をどう評価しますか。
 シルバさん 私はCOPで示された前進を高く評価しているものの、その決定は常に遅く、実行にも時間がかかることを心配しています。一般にCOPでの決定は、産業革命前からの地球上の気温上昇を2度未満に抑えるために必要とされる基準であり、重大性、緊急性を伴うものです。しかし大多数の国々の政府は、形式的で官僚主義的なやり方で気候変動条約を扱い続けています。温暖化を防止する財政資源の確保のためにともかく行動に移さなければなりません。
――ブラジルは19年のCOP25の自国招致を返上し、チリでの開催が決まりました。ボルソナロ新大統領は「ブラジルのトランプ」と呼ばれ、トランプ米大統領と同様に地球温暖化対策に後ろ向きで、パリ協定からも脱退するのではないかと懸念されています。ブラジルは1992年に気候変動枠組み条約などを採択した地球サミットをリオデジャネイロで開催して以来、世界の環境問題解決への取り組みをリードしてきましたが、ブラジルの環境政策は今後どうなるのでしょうか。
 シルバさん ボルソナロ氏が優先的に進めると思われることは、過去40年間の各政権下でブラジルに培われてきた社会環境的なガバナンスの構造を最大限に弱体化させることです。ボルソナロ氏と彼の政治的支持基盤は環境問題に関しては、かなりゆがんで誤った見方を持っています。彼らは、環境保護や持続可能な開発を擁護することは、イデオロギー的に左翼の政策課題であり、国の発展をまひさせ、他国の利益を助長することを望むことだと見なしています。さらに、気候変動の問題を認めず、その問題に向き合うことを拒むことで、環境破壊や地球温暖化によって被害をこうむる人々を見放しているのです。
 ――地球温暖化対策を進める上で、二酸化炭素を吸収し酸素を排出する熱帯雨林の役割は重要ですが、ボルソナロ大統領はアマゾンの開発を積極的に進める方針を示しています。今後のアマゾンの熱帯雨林の保護について、またそこに住む先住民族の権利の保護について、どのようにお考えですか。
 シルバさん アマゾンは、ブラジルだけでなく地球にとってきわめて重要な社会環境的な財産です。アマゾンは生物多様性や天然資源の巨大な貯蔵庫であることに加えて、ブラジル経済の活力となる世界最大の淡水保全区域の一つであります。アマゾンは毎日200億トンの水蒸気を大気中に放出しています。それは雨となって貯水池にたまり、ブラジルの大半の電力を供給し、農業大国ブラジルのかんがい用水をまかなっています。
 ここ数十年で行われたアマゾンの経済開発によって、すでにアマゾン熱帯雨林の19%が減少しましたが、国の発展を示すような社会的な指標を生み出すことはありませんでした。森林伐採は国の発展をもたらさないのです。アマゾンの森林は社会文化的な多様性を保全する知恵と技術と知性を駆使して活用されるべきです。
 さらに、アマゾンの先住民コミュニティーや保護活動の支援、そして森林の持続的な利用のための国家戦略がなければ、アマゾン熱帯雨林の保護を保証することは不可能です。そこに住む人々の権利を認めることだけでなく、彼らの土地を開発によって横領する文化を止め、住民の収入と永続的な雇用を生む活力のある森林経済をつくる必要があります。
マリナ・シルバ 1958年、ブラジルのアマゾン奥地でゴム採取労働者の貧困家庭に生まれた。16歳で初めて読み書きを学ぶ。重金属中毒に苦しみながら、大卒後に政治運動や環境保護活動に取り組み、36歳で同国史上最年少の上院議員に就任。環境相時代は伐採率を6割削減し、数多くの国際的環境賞を受賞した。2015年10月に毎日新聞社の招きで初来日。「持続可能な開発と環境保護」をテーマに上智大学で開かれたシンポジウムで講演し、広島市の原爆資料館などを訪問した。
http://mainichi.jp/articles/20190315/org/00m/040/004000c

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