先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

私が台湾の“先住民”を「原住民」と呼ぶ理由「すでに滅んでしまった民族」と呼ばないために

2019-03-28 | 先住民族関連
Wedge infinity2019年3月28日 酒井充子 (映画監督)
 私はこれまでの台湾取材で、たくさんの原住民族の方にお会いしてきた。最初の作品『台湾人生』で「台湾の主人は高砂族の原住民たち」と誇りを持って語ってくださったパイワン族の故タリグ・プジャズヤンさんをはじめ、日本語が流暢な人たちは「原住民」を日本語の発音で「げんじゅうみん」と言ったし、私自身も「原住民(族)」という言葉を使ってきた。

©『台湾萬歳』マクザム/太秦
 ところが、以前、別のサイトのコラムで台湾の原住民族について言及した際、「原住民(族)」の表記が「差別的なニュアンスを感じる人がいる」として「先住民(族)」と直されて戸惑った。修正の根拠は共同通信社発行の『記者ハンドブック』だという。図書館へ行って開いてみた。「差別語、不快用語」という項目の「人種、民族、地域の表記」の欄に「土人→先住民(族)、現地人」とある。が、「原住民(族)」という言葉は見当たらない。
 そもそも、「原住民(族)」という言葉は差別的なのだろうか。というわけで、この「原住民(族)」という呼称について考えてみたい。
「原住民族」は彼ら自身が獲得した呼称
 台湾では、太古から台湾に暮らしてきた人びとを「原住民族」と呼ぶ。現在、台湾政府が認定している16部族で約55万人。台湾の全人口のわずか2%ほどだが、17世紀以降、漢民族の移住が盛んになるはるか以前から、彼らは台湾の住人だった。彼らの呼称は時代とともに変遷してきたが、台湾の民主化が進んだ1994年、彼ら自身が主張する「台湾のもともとの主人」という意味の「原住民」が憲法の追加修正条文に明記された。97年には「原住民族」とされ、いまに至る。
 彼らが自ら主張する呼称を獲得するまでには、長い道のりがあった。清の時代は「番人」(漢民族化した民族は「熟番」、そうでない民族は「生番」)、日本統治下では当初「蕃人」と呼ばれた。「蕃」は「蛮」の同意語で、「未開の」「野蛮な」といった意味。のちに「高砂族」とされたが、これは台湾総督府が1923年、裕仁親王(のちの昭和天皇)が台湾を訪問したのを記念し、「蕃人」を「高砂族」に改めることを決めたためだ。とはいえ、当時の新聞記事や在台邦人の口から「蕃人」という言葉が消えることはなかった。
 第二次世界大戦後、台湾統治を始めた中華民国は、高砂族を「高山族」に変え、のちに「山地同胞(山胞)」とした。台湾のもともとの主人たちは有史以来、時の外来政権により呼称を与えられ、社会の周縁に追いやられ、それらを甘んじて受け入れざるを得ない立場に置かれてきた。2016年、蔡英文総統が就任後、初めて迎えた「原住民族の日」(8月1日)に原住民族の過去四百年の苦難に対して謝罪したことは記憶に新しい。
 1980年代に入り、台湾社会全体が民主化への歩みを進める中で、彼ら自身も権利回復運動を展開していく。84年、大学で学ぶ若者や長老教会関係者らが中心となって「台湾原住民権利促進会」を発足させ、88年には17条の「台湾原住民族権利宣言」を発表。「台湾原住民族」の名のもとに、土地の返還や自治の実現などを要求したのだった。
「原住民(族)」という日本語は差別的なのか
 それにしても、そもそも、日本語の「原住民(族)」という言葉は差別的なのか。原点、原石、原本などを見ればわかるように、「原」は「もと」や「みなもと」といった意味で、差別的な意味は持たない。国語辞典で「原住民」を調べても、「その土地に、もとから住んでいた民」(広辞苑 第七版)、「(征服者や移住民に対して)もとからその土地に住みついている人々。先住民。」(旺文社国語辞典 第十一版)などと記されており、どこにも差別的な意味は見いだせない。
 日本の書物で、「原住民」という言葉を最初に記したのは坪内雄蔵(逍遥)である。1901(明治34)年に出版した『英文學史』(東京専門学校出版部)の第一編「上古期の文学」第一章「英国の原住民及びアングロ、サクソン族」の中で、「英國の原住民と英國の文學史との間には殆ど些の關係も無し」と述べ、そのすぐあとで触れるブリトン族より前に住んでいた民族を「原住民」と呼んだ。さらに坪内は、アングロサクソン族が、「原住民」であるブリトン族を撃退して以降、政治においても文学においても「眞の英國史」が始まったと続ける。本書には、「蠻族」「蕃民」という言葉も出てくるが、明らかに「原住民」と区別して使っていることがわかる。
 一方、「先住民」という言葉を探していくと、1907(明治40)年の『地底探検記』(江見水蔭著/博文館)にたどり着く。目次の最初が「先住民の研究」で、「抑も我々大和民族―現在の日本人―その祖先が、此土地に来たらぬ前には、如何なる種族の住民が此所に居たらうか」という課題が掲げられている。明治時代後半の時点で、「原住民」と「先住民」はいずれも「前に住んでいた民族」という意味で使われていた。では、いつから「原住民」に「差別的なニュアンス」が加わったのだろう。
 2007年、ある「宣言」が国連総会で採択された。英語で「Declaration on the rights of indigenous peoples」。国際連合広報センターによると、日本では「先住民族の権利に関する宣言」と訳されている。そこからさかのぼること四半世紀、国連の人権小委員会は1982年、この宣言の草案を作成することになる作業グループを設置していた。世界的に「indigenous peoples」の人権問題が注目されるようになった1980年代から、訳語としての「先住民族」が広く使われるようになり、定着していったと言えば言い過ぎだろうか。
 かたや「原住民族」は「indigenous peoplesの訳語ではない」という理由で積極的には使われなくなった。そして、同じ「原」という字を使う「原始人」の「未開社会の人間」という負の意味が「原住民」に持ち込まれた結果、「差別的なニュアンス」を背負わされてしまったとは考えられないだろうか。
「すでに滅んでしまった民族」と呼ばないために
「台湾原住民文学選」(草風館)などの翻訳がある天理大学名誉教授の下村作次郎氏によると、台湾研究者の中にも、あえて「先住民族」を使う人もいるそうだ。しかし、下村氏は「彼らが勝ち取った『原住民族』という呼称を尊重したい。どうしても先住民族と言わなければならないなら、“世界の先住民族のうちの、台湾の原住民族”と言います」と話す。そして、「日本語とはいえ、『先住民族』を文字にしたときに、台湾の人がそれを読んでどう感じるか」とも。ある翻訳本のタイトルを付ける際に、「原住民族」という言葉にこだわって取り上げることをためらうメディアがあるのなら、その代わりに「エスニックマイノリティ」という言葉を使って、同書への関心を向けてもらおうと考えたという。
「先住民族」ではなく「エスニックマイノリティ」を選んだのは、台湾で「先住民族」は「すでに滅んでしまった民族」という意味になるからだ。台湾も日本も漢字を使う国である。もちろん、同じ漢字を使っていても意味が違う言葉はたくさんある。しかし、「原住民族」と名乗っている人を「原住民族」と呼ばない理由はない。ましてや、日本語の「原住民族」に差別的な意味はないのだから、わざわざ「すでに滅んでしまった民族」という意味の「先住民族」に言い替える必要などない。
 台湾の「原住民(族)」は彼ら自身が獲得した呼称である。もともと日本語の「原住民(族)」に差別的な意味はない。台湾で「先住民(族)」は「すでに滅んでしまった民族」という意味になってしまう。以上の理由から、わたしは台湾の「原住民族」を「原住民族」と呼びたいし、以上の理由を説明しながら、「原住民族」という呼称を使うことを広げていきたいと思っている。もちろん、「先住民族」と呼ぶことを否定しない。「先住民族」と同じように「原住民族」という言葉を自由に使えるようになればいい。読者のみなさんはどのようにお考えだろうか。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15729

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【主張】アイヌ新法 分断招かず振興を図ろう

2019-03-28 | アイヌ民族関連
日本経済新聞2019.3.28 05:00
 政府が、アイヌを初めて「先住民族」と明記したアイヌ新法の今国会成立を目指している。
 新法は、アイヌ文化の継承や振興を目的に市町村が実施する事業に対して、国が交付金を支給する制度の創設が柱だ。アイヌの人々の誇りを回復し、それが尊重される社会を実現する。これを後押しする新法には意味がある。
 ただし、金をばらまくだけのものになっては本末転倒だ。博物館関連施設の建設など多額の資金を投じる以上、資金の使い道の透明性確保はもちろん、無駄のない事業計画の策定が求められる。
 北海道ウタリ協会(現公益社団法人北海道アイヌ協会)の働きかけもあり、平成9年に北海道旧土人保護法が廃止され、アイヌ文化振興法が制定された。その10年後には国連が先住民族権利宣言を採択し、日本も賛成した。これを受けて衆参両院は先住民族認定を国に求める国会決議を採択した。
 アイヌ新法案の国会提出は、この延長線上にある。
 ただ、新法は国連宣言がうたった土地に対する権利などの「先住権」は定めていない。土地や資源の権利に関する話が具体的に浮上すれば、国家の分断を助長しかねないためだ。わが国とは歴史も状況も異なるが、米国など4カ国が国連宣言に反対したのはこれを懸念してのことだろう。
 政府は宣言の定める権利について、居住している国から分離・独立する権利を付与するものではなく、(アイヌ以外の)他者の権利を害してはならないとの立場をとる。財産権も国内法による合理的な制約が課されるものであるという視点に立つ。ここを譲っては国の根幹が揺らぎかねないという判断には妥当性があろう。
 アイヌは全国に1万3千人以上いるとみられるが、だれがアイヌなのかを明確にするのは容易ではない。このため「新法では個人の認定を棚上げした」(内閣官房)という。だからといって、アイヌと関係ない組織が甘い汁を狙って群がるようでは禍根を残す。国や自治体は交付金の管理を徹底する必要がある。
 31年度予算に計上された交付金は10億円に上る。北海道白老町では240億円をかけてアイヌ関連施設も建設予定だ。国会では納税者の視点も忘れず、新法が真にアイヌのためになるよう建設的な議論を交わしてほしい。
https://www.sankei.com/column/news/190328/clm1903280001-n1.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

<続・サーミの血>

2019-03-28 | 先住民族関連
土田英順のボストンバックにチェロと酒2019年03月27日
「サーミの血」 が上映されたあと、短編ドキュメンタリー 「八十五年ぶりの帰還 アイヌの遺骨 杵臼コタンへ」 が上映されました。 また、その前には新冠出身のアイヌの方、 「コタンの会代表」 清水裕二さんのゲストトークもありました。
以下、パンフレットより
『サーミの血では主人公 (エレ・マリャ) が学校で本人の意思に反して生体計測を受ける場面があります。 サーミの人々を人間扱いしないあの場面は感情を揺さぶられます。』
『しかし同様のことが1950年代の北海道でもアイヌに対して行われていました。・・・ 1952年頃、小学校の高学年だった清水さんは、放課後、数名の生徒と一緒に教室に残されました。 全員がアイヌでした。』
『やがて見知らぬ男性が現れ、大きなコンパス状の器具で清水さんの頭の各所を計測し始めました。 それから清水さんは服を脱ぐよう命じられました。』
『男性は定規とピンを使って清水さんの背中を調べました。 面積当たりの体毛の数を数えていたのではないかと清水さんは考えています。』
1930年代にスエーデン人がサーミの人たちに行なっていたのと同じことが日本でもアイヌの人々に対して行われていたのです。
つづく。
http://blog.hokkaido-np.co.jp/enjoy-cello/2019/03/-78-1478.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

訪日外国人向けPR動画公開 盆ダンスや体験観光紹介-白老

2019-03-28 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2019/3/27
 白老町はこのほど、町ホームページで訪日外国人を対象にした滞在型観光プランと多文化共生プロモーションの盆ダンスのPR動画を公開した。昨年10月に実施した1泊2日の滞在型観光プランを楽しむ外国人観光客の様子などを紹介している。
 2020年4月の民族共生象徴空間開設を地域活性化の起爆剤に位置付ける町は、増加が予想される観光客、特に訪日外国人への対応として、体験プログラムの造成に取り組んでいる。
 今年度は、1泊2日の滞在型観光プランを造成し、昨年10月に外国人観光客を招いて、町内でさまざまな体験観光を実施。仙台藩白老元陣屋資料館での歴史体験、竹浦地区にある民宿での宿泊、社台にあるカフェで貝殻や花などを使ったクラフト体験やアイヌ文化を体験してもらった。動画では、楽しそうに体験する外国人観光客の様子のほか、インタビューも収録している。
 また、多文化共生プロモーションビデオでは、昨年10月に虎杖浜越後踊り保存会などの団体や町民エキストラなど約220人が集まって撮影した虎杖浜越後盆踊りを公開。多文化共生のまちづくりの一環として、地域に伝わる盆踊りやアイヌ民族の古式舞踊などを織り交ぜたPR動画となっている。
https://www.tomamin.co.jp/news/area2/15956/

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地下鉄さっぽろ駅構内にアイヌ文化発信拠点 シマフクロウの大型オブジェも

2019-03-28 | アイヌ民族関連
札幌経済新聞 2019.03.27
 札幌市営地下鉄南北線さっぽろ駅構内に3月21日、アイヌ文化発信スペース「minapa(ミナパ)」がオープンした。
メインモニターに表示されるアイヌ語の天気予報
 「ミナパ」は、アイヌ語で「大勢が笑う」の意味。札幌市が進めているアイヌ施策推進計画に合わせ2015年度から整備を進めていた。
 同スペースには、アイヌ文化を継承する工芸作家の貝澤徹さんが制作したシマフクロウのオブジェ(高さ約2.5メートル、幅約2.4メートル、奥行約0.7メートル)をシンボルとして設置し、天井にはアイヌ文様を施したパネルを設置。柱に木の装飾を施して森の雰囲気を演出する。
 大型9面マルチモニター(高さ約2メートル、幅約3.8メートル)を使ったメインシアターでは、アイヌ語による天気予報やクイズ、フランス人作家ボリス・ラべさんが制作したアイヌ文様アニメーションなど、アイヌ文化の魅力を発信する映像を上映する。
 メインシアターの天気予報で紹介する道内14地域の気温と連動して柱の色が変化したり、一部の柱の近くを通ると、動物の鳴き声や川の水音などを自然の音が聞こえたりする演出も用意する。
 設置している2つの大テーブルは体験型コンテンツを表示するスクリーンになっており、18世紀のアイヌの生活を表す「チセ(アイヌの住居)とコタン(集落)」、狩猟や和人との交流を表す「森と海」のCGアニメーションを投影する。アニメーションは、四季や時刻に連動して変化するほか、手をかざすと解説が表示されるようにした。
 オープンから1週間、同所では札幌市民や観光客が足を止めメインシアターに見入ったり、シンボルオブジェの前で記念写真を撮ったり、アイヌ文化に興味を持つ人の姿が多く見られた。
 札幌市市民文化局市民生活部アイヌ施策課の山田幸徳さんは「多くの方がこの空間を訪れ、アイヌ民族の歴史や文化を身近に感じていただくことで、共生社会の実現につながれば」と期待を寄せる。
 各種映像の放映や光と音の演出時間は9時~22時。
https://sapporo.keizai.biz/headline/3043/

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

権利保障で注文も 衆院国交委がウポポイなど視察

2019-03-28 | アイヌ民族関連
北海道新聞03/27 20:39

アイヌ古式舞踊を見学する衆院国土交通委員会理事会のメンバーら
 【白老】衆院国土交通委員会(谷公一委員長)は27日、アイヌ民族に関する新法案を巡り、今国会の審議の参考とするため、胆振管内白老町で来春開業するアイヌ文化復興の拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の建設現場などを訪れた。
 委員会の理事ら16人が参加。ウポポイの整備状況を確認した後、運営主体の公益財団法人アイヌ民族文化財団(札幌)の白老事務所で古式舞踊を見学した。
 視察後、苫小牧市内で北海道アイヌ協会の加藤忠理事長、北大アイヌ・先住民研究センターの常本照樹センター長らと意見交換。谷委員長は終了後、法案がアイヌ民族を先住民族と位置づけたことを評価する声が相次ぐ一方、アイヌ民族による自由なサケ捕獲が盛り込まれなかったことなどから「具体的な権利保障に踏み込むべきだという声もあった」と話した。
 また、アイヌ文化振興に向けた交付金の創設に関し、地域に柔軟な使い方を認めるよう求める意見も出たという。(金子文太郎)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/290670

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

<教授陣のマンスリー講座>山崎幹根氏(地方自治論) 新知事の課題 「縮み志向」脱し方向性示せ

2019-03-28 | アイヌ民族関連
北海道新聞03/27 09:28
 現在、統一地方選挙に向けた選挙運動が繰り広げられている。中でも、一騎打ちの与野党対決型となった北海道知事選には、特に注目が集まっている。ところが、具体的な政策案をぶつけ合うマニフェスト型選挙ブームが去り、新人である両候補者の公約は抽象的な言説や、個別のアイデアに流れる傾向がある。無論、両者の差異を見極めることも大事だが、今回は見方を変え、どちらの候補者が当選しようとも、新知事が対処しなければならない困難な課題について考えたい。
 第一に、新知事は道職員を鼓舞し、道庁組織を活性化することが求められる。近年、ようやく見直されてきたが、道は行政改革のために長年、職員の数と給与を削減してきた。同時に、道が独自で行う事業費も削った結果、存在感が薄れてきた。近年、「道庁スルー」と言われるゆえんである。このため、全体として元気がないようにも見える。
 しかし、依然として多くの人的資源を持つ道庁が地域社会や経済に果たす役割は小さくない。それに、知事の思いを具体化し、政策として実行する担い手は、職員集団に他ならない。
 いままでの「縮み志向」を転換し、積極的に市町村や民間団体との結びつきを広げてゆく可能性をどのように高めてゆくのか。実は、北海道遺産など職員グループによる提案が、道の政策として結実した成果もいろいろある。トップの座に就く新知事がどのように職員の意欲を引き出し、この巨大組織を統率してゆくのかが問われている。
 第二に、新知事には、北海道の目指すべき方向性を道内外に示しつつ、信念を貫き続けることが求められる。振り返れば、北海道は長らく国策として開拓・開発され続けてきた。それゆえ、社会資本整備など他府県より優遇されてきた一方で、資源供給地として国策への貢献として動員され、利用されてきた面もある。
 今後も、北方領土問題、アイヌ民族に関する政策、広大な国土の保全や環境の管理など、数々の政策課題を解決するためには、国と、場合によっては外国の機関や団体ともタフな折衝を行う場面が生じる。その際に、妥協を強いられる事態に直面することは想像に難くない。
 そのような時に、「苦渋の決断」を言い訳に大勢順応主義に陥るのか、もしくは、国と地方との違いを口実に消極主義に徹するのか。あるいは、したたかな粘り腰の交渉ができるだろうか。いずれにせよ、新知事の言動が時々の状況に左右されないためには、今までの道政から教訓を引き出し、北海道の、そして道民の側に立脚した確固たる信念を常に持ち合わせていなければならない。
 ドイツの学者であるマックス・ウェーバーは、ちょうど100年前に行った「職業としての政治」と題する講演で、政治家には、情熱、責任感、判断力という特別な才能が求められると喝破した。こうした資質を持ち、これらの課題に対処できる候補者はどちらか、投票日まで熟考したい。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/290389

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイヌ新法案審議へ道内視察 27日に衆院委

2019-03-28 | アイヌ民族関連
北海道新聞03/26 05:00
 衆院国土交通委員会(谷公一委員長)は25日、アイヌ民族に関する新法案の審議の参考とするため、27日に胆振管内でアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」(白老町)など関連施設の視察や、関係者との意見交換を行うと発表した。
 委員会は2020年に開業するウポポイなどを視察した後、道の阿部啓二副知事や北海道アイヌ協会の加藤忠理事長、北大アイヌ・先住民研究センターの常本照樹センター長らと苫小牧市内で意見交換を行う。
 法律で初めてアイヌ民族を「先住民族」と明記した法案は、4月10日ごろに同委員会で審議入りする見込み。同委理事によると、現地で行う意見交換を参考人質疑の代わりとし、1日間の審議で同日中に採決する。衆院通過後、参院で4月中に成立する見通し。(金子俊介)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/289913

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

松本潤主演ドラマ『永遠のニシパ』6・7北海道先行、7・15全国放送

2019-03-28 | アイヌ民族関連
北海道新聞03/25 16:26

 嵐の松本潤が主演するNHKの北海道150年記念ドラマ『永遠のニシパ~北海道と名付けた男 松浦武四郎~』の放送日が決まった。北海道先行で6月7日(後7:30~8:55 総合)、全国放送は7月15日(後7:30~8:53)。また、初代開拓使長官 鍋島直正役で小日向文世、新政府参与 大久保利通役で江口洋介の出演も発表された。
 松本が演じるのは、幕末に蝦夷地を調査し、北海道という名前を考案した探検家・松浦武四郎。幕末、ペリーの黒船来航依頼、江戸幕府はロシアの国境画定要求など、海外列強から開国を迫られる未曾有の危機にあった。武四郎は、蝦夷地をロシアから守らなければならないと決意して調査する。そこでアイヌ文化の豊かさ知り、アイヌの人々のやさしさに共感を抱くようになっていく。
 松本のほかに、アイヌの女性リセ役の深田恭子、リセの義父でアイヌの長老エカシ役の宇梶剛士。新たに発表された小日向、江口。アイヌの人々であるリセの兄・ウテルク役に木村彰吾、リセの息子・市助役にヴァサイェガ渉と正垣湊都、リセの義母フチ役に曽川留三子、案内人イワンハルカ役に納谷真大。
 江戸にいる、第二代開拓使長官・東久世通禧役に山田良明、旧幕府外国奉行・堀井出雲守役に石井正則、旧幕府老中・阿部伊勢守正弘役に筧利夫。松前にいる、松前藩家老・佐島勘解由(かげゆ)役に西村まさ彦、商人・新堂佐七郎役に石倉三郎、商人・湊屋彦兵衛役に斎藤歩、新堂屋手代・六之助役に有薗芳記らが出演する。
■公式サイト(3月25日午後5時オープン)
http://www.nhk.or.jo/sapporo/nispa/
松本潤、NHKドラマ主演決定 北海道と名付けた探検家役「とても大きな挑戦」
松本潤、人生初ちょんまげ姿披露「似合わないと思っていたので、びっくりです」
嵐・松本潤が告白「実はきのこ派でした」 選挙委員長から党首に転身
嵐、2020年をもって活動休止 松本潤コメント全文「最後の日まで5人で走り抜いていきたい」
“時代を彩る男”松本潤、最新ファッション13スタイルを華麗に着こなし
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/289763

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイヌ民族、ツルの舞幻想的 池田で観賞の集い

2019-03-28 | アイヌ民族関連
北海道新聞03/25 05:00
 【池田】十勝川流域でタンチョウを観察し、アイヌ民族による「サロルンリムセ(ツルの舞)」を観賞する集いが24日、千代田堰堤(えんてい)(千代田)などで開かれた。来場者は雪の中、幻想的な踊りを堪能した。
 十勝管内のアイヌ協会や十勝川中流部市民協働会議などでつくる実行委が初めて開き、約50人が参加した。
 幕別町で行った野鳥観察では、タンチョウの幼鳥やオジロワシのつがいが見られ、参加者は熱心に望遠鏡をのぞいた。
 その後、千代田堰堤に戻り、踊りを観賞。平取アイヌ文化保存会が、ツルが湿原で遊ぶ様子などを踊りで表現した。続いて帯広カムイトウウポポ保存会が、ひな鳥が親鳥に飛び方を教えてもらい、飛び立つまでの踊りを披露。着物の裾を持ち上げて飛び跳ねる様子は、羽を広げたタンチョウのようだった。
 帯広カムイトウウポポ保存会の酒井奈々子会長は「この舞は20、30年ぶりに踊った。今後どんどんやりたい」、踊った酒井真理さん(37)は「今後も継続し、将来的にアイヌ料理を出すなどしてお祭りになれば」と語った。(米田真梨子)
☆「サロルンリムセ」の「ム」は小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/289586

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイヌ伝統サケ漁を継承 25歳男性、北海道の千歳川

2019-03-28 | アイヌ民族関連
日本経済新聞 2019/3/25 9:21
アイヌ民族の伝統的なサケ漁を若い世代で継承しようと、北海道千歳市の会社員佐々木翔太さん(25)が昨年12月、地元の千歳川本流で漁を始めた。「マレク」と呼ばれる、かぎ形のもりを使った漁法で、自然と共に生きたアイヌの姿を再現したいと奮闘している。
アイヌの血を引く佐々木さんは幼い頃から祖母に連れられ、伝統舞踊やアイヌ語を学んだ。中学生の頃には「周りと違うことをするのは嫌だな」と感じたこともあった。高校に入って、地元でアイヌ文化を伝承していた年配の人たちが相次いで他界した。「素晴らしい文化がなくなってしまう。自分がやらなくては」と、積極的に伝承活動に携わるようになった。
千歳市では30年ほど前から、千歳アイヌ協会が秋サケを迎える儀式「アシリチェプノミ」を毎年9月に行ってきた。千歳川の用水路にサケを放流して捕まえており、参加した佐々木さんは物足りなさを感じた。実際に遡上してくるサケを捕獲し、アイヌが持っていた自然に対する感謝の念を受け継ぎたかったという。
佐々木さんと千歳アイヌ協会は、サケの人工ふ化、放流に取り組む団体と協議。道からも許可を得て、昨年12月中旬から今年1月末まで千歳川本流で伝統的なサケ漁を試みた。
川底の産卵床に注意しながら歩いて川へ入り、狙いを定めてマレクを突く。期間中、小学生から70代まで十数人が40匹ほど捕獲した。中学生が89センチの大物を仕留めた時には、歓声が上がったという。今後は丸木舟を使った漁にも挑戦する。
佐々木さんはアイヌ舞踊などを子どもたちに教えており、生徒の中にはアイヌ以外の子もいる。「アイヌでも和人でも、興味を持ってくれる人は仲間です」と語った。〔共同〕
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42853990V20C19A3000000/

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイヌ新法案 歴史と文化への理解深めたい

2019-03-28 | アイヌ民族関連
読売新聞 2019/03/25 05:00
 アイヌの人々がたどった歴史と、豊かな文化への理解を深め、将来に引き継ぐことが大切だ。
 政府は、アイヌ民族に関する新たな法案の今国会での成立を目指している。「先住民族」と初めて明記し、文化の継承を国と自治体の責務と位置付けた。内閣にアイヌ政策推進本部を設置し、態勢も強化する。
 アイヌの誇りを尊重し、支援する上で大きな意義を持とう。
 アイヌの人々は、北海道を中心に、13~14世紀に独自の文化を形成した。狩猟や漁労などを生業とし、日本語とは全く異なるアイヌ語を話してきた。
 明治以降、アイヌ語の使用の制限といった同化政策を強いられたが、今も自らをアイヌと認識する人は少なくない。
 法案は、市町村が立案するアイヌ振興策に、国が交付金を支給する制度の創設を盛り込んだ。事業は、交流センターの整備や観光イベントの開催などを想定する。
 儀式や漁法の伝承のため、国有林野での樹木採取や、河川でのサケの捕獲に配慮する。工芸品の商標登録もしやすくする。実効性のある取り組みが求められる。
 1997年に制定された現行のアイヌ文化振興法は、アイヌ語や文化の振興、伝統の普及啓発を主眼としている。
 アイヌ施策の拡充に乗り出す契機となったのは、2007年に採択された「先住民族の権利に関する国連宣言」だ。翌年、衆参両院はアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議を採択し、政府も先住民族との見解を表明した。
 その後、博物館の整備を検討するとともに、新法制定に向けてヒアリングなどを重ねてきた。
 法案は、国連宣言にうたわれている、土地に対する権利などの「先住権」は定めていない。
 入植者に多数が虐殺された海外の先住民族と同列には並べられまい。アイヌと移住者との共生の取り組みは進んでいる。「誰がアイヌか」を確定するのは容易ではないとの指摘もある。
 市町村が主体となって地域単位で支援策を強化し、あわせて人々の生活環境の改善を図る。施策の方向性は現実的と言えよう。
 北海道白老町に建設中の国立アイヌ民族博物館は、来年4月にオープンする。周辺の施設と合わせて、アイヌの歴史や信仰、言語、暮らしを学び、古式舞踊などを体験することもできる。
 アイヌの伝統に触れることは、日本が長年育んできた多様な文化を考える機会となろう。
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20190324-OYT1T50187/

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウエペケレ6話刊行 楽しく・やさしいアイヌ語教室-白老

2019-03-28 | アイヌ民族関連
苫小牧民報2019/3/25配信

「森竹竹市ウエペケレの研究」を刊行した大須賀さん
 白老楽しく・やさしいアイヌ語教室(大須賀るえ子代表)はこのほど、「森竹竹市ウエペケレの研究」を刊行した。白老町出身の詩人で旧町立白老民俗資料館初代館長も務めた森竹竹市氏が残したウエペケレ(アイヌ民族の口承文芸)6話をアイヌ語のカタカナ表記とローマ字表記、日本語で紹介。大須賀さんは「民族共生象徴空間開設の前に森竹さんのことをまとめておきたかった。森竹さんの言葉を大事にそのままで掲載しているので資料として残してもらえたら」と話した。
 同教室では、2004年から「アイヌ語辞典」などの編集、発行作業に取り組んでおり、今回もアイヌ民族文化財団の助成を受け、大須賀さんと同教室で学ぶ5人のメンバーとともに、白老を代表する森竹さんのウエペケレ6話の訳文作業に取り組んできた。
 収録したのは「熊物語」「小便を飲め(オクイマ・ク)」「鹿姫の恋」「あの世に行った話」「雷神の妹」「臼の婆さん」の6話。中でも「臼の婆さん」は、日本語でしか作品が残っていないため、メンバーたちがさまざまな文献を参考にしながらアイヌ語訳を付けている。また、カタカナ表記についても、森竹氏が使った言葉をそのまま使用するなど、「彼の独特の方言も多く、原作を曲げずに掲載することでこれからアイヌ語を勉強する人にとっても資料になれば」と大須賀さんは話した。
 「森竹竹市ウエペケレの研究」は200部作成。22日には大須賀さんが安藤尚志教育長を訪れ、16冊を町内の小中学校や図書館へ寄贈。安藤教育長は「これまでの財産をしっかり学校で活用できるよう教育委員会としても取り組んでいきたい」と話した。
 大須賀さんは「次は心から尊敬している金成マツのユーカラに取り組みたい」と語った。
https://www.tomamin.co.jp/news/area2/15937/

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイヌ語で「地の果て」はどこか?

2019-03-28 | アイヌ民族関連
ブックウオッチ2019/3/24
書名 千島列島の山を目指して
サブタイトル 知床、千島、カムチャッカ紀行
監修・編集・著者名 大谷和男 著
出版社名 牧歌舎
出版年月日 2006年12月 1日
定価 本体2000円+税
判型・ページ数 A5判・242ページ
ISBN 9784434085994
BOOKウォッチ編集部コメント
 北海道という地名が命名されて150年。行きつけの図書館で北海道特集をやっていた。そこでたまたま手にしたのが本書『千島列島の山を目指して――知床、千島、カムチャッカ紀行』(牧歌舎)。読み進めるうちに引き込まれ、結局、図書館の閲覧コーナーで大半を読んでしまった。
 著者の大谷和男さんは1960年生まれ。学生時代から知床に魅せられ、社会人になってからは化学会社の技術者をしながら、埼玉の深谷山岳会に所属。知床のさらに先にある山々の登山を試みた報告書が本書だ。
「空白の島」「極北の謎の半島」
 まずテーマが珍しい。「千島列島の山」。えっ、そんなところに行けるの?と思ってしまう。何せ南千島には北方領土がある。今はロシアが占有しているが、日本との間では領土問題があって、日本人はなかなか行けないところではないのか。さらに北千島の先の「カムチャッカ」。名前は聞くが、遠すぎてどんなところなのかイメージすらわかない。というわけで、普通の日本人にとっては「空白の島」「極北の謎の半島」。しかもそこにある山に挑んだ貴重な記録ということになる。
 本書の扉に現地風景の写真がいくつか掲載されている。見とれてしまったのが、カムチャッカ半島の山々だ。中でもクリュチェフスカヤ山がすばらしい。カムチャッカ半島の最高峰で標高4750メートル。見る方向によっては富士山に似ているということで、「カムチャッカ富士」の異名もあるらしい。この山の最大の特徴は活火山だということ。いまだに毎年のように噴火している。ユーラシア大陸最高峰の活火山だという。ネットで画像検索したら、円錐形の雪山が噴火して白い山肌を赤い溶岩が流れ落ちる写真が出ていた。一見の価値がある。
 もうひとつ、カムチャッカではカーミン山も強烈だ。こちらは4570メートル。やはり円錐形をしている。クリュチェフスカヤ山の近くにあり、相似形の兄弟山のような感じだ。ともに神々しさが半端ではない。日本列島を北へ北へと遡行していくと、ここにたどり着くのだ。
隊長が滑落事故
 本書の中では、この二つの山にアタックした話がハイライトだ。同じ高山でもヒマラヤの山々には、多くの登山パーティが殺到し、シェルパなどの支援体制も手厚い。なんとなく人工的な山登りという感じがする。しかし、このカムチャッカの山々は、いまだ現地にたどり着くのも一苦労。まったく観光地化されておらず、手付かずの雪原の中に端座する。しかも活火山だからいつ噴火するか分からない。スリル満点だ。
 大谷さんは深谷山岳会の30周年記念事業としてこの登山を企画した。登山を原点から見直すという観点から、まだ原始の世界が残っていると考えられるカムチャッカの山を選んだ。メンバーは16人。結果的にクリュチェフスカヤ山の登頂には成功したが、カーミンは強風のため4400メートルで撤退した。クリュチェフスカヤ山の下山途中では隊長が滑落して負傷、一時は意識不明になるという大事故も発生した。その詳細も記されている。
 もう一つのハイライトは北方領土。択捉、国後の登山だ。こちらはカムチャッカに比べると、いささか牧歌的。山も低いが、登山自体がほとんど行われていない山なので、それなりに苦労している。本書にはDVDも同梱されており、そちらで択捉、国後を映像とし見ることもできる。道路などのインフラが最悪で、川には橋がなく、キャタピラーが付いた軍用らしき車両で突破する。
 これらは1994年から1997年にかけての登山行だが、その後、2004年には北千島の無人島にある阿頼度山2339メートルにも登っている。北千島は太平洋戦争で戦場にもなったので、本書には原野に転がるゼロ戦のエンジンや当時のトーチカの写真も掲載されている。
 ペレストロイカ以降、早稲田大探検部などが個別の山には登っているようだが、南北千島、カムチャッカのすべてにチャレンジしたという意味では、本書は珍しい記録ではないだろうか。
最大の被害者は先住民族
 著者の冒険の起点となった知床は、アイヌ語で地の果てという意味だという。
 実際、著者が知床に通った1980年代末ごろは、「行ったものでないとわからない壮絶な這い松地獄」が広がり、危うく死にかけたこともあった。そしてその知床から遠望した北方領土や、さらにその先の島々への思いがその後の冒険行へとつながった。
 「国後、択捉では、景色が知床にとてもよく似ていることに驚き、原始の知床の姿を見た思いがした。また北千島は、南千島とは全く異なる印象で、第二次世界大戦の残骸も数多く見たことから複雑な思いになった」
 「全千島列島は日本とロシアの歴史の中で翻弄されてきた。日本の主張する北方四島は、日本かロシアかと言われればもちろん日本のものだと思うが、日本かロシアかの視点を越えて考えると、その最大の被害者は先住民族であろう」
 著者は山登りをしながら、そんなことも考えていたと記している。
https://www.j-cast.com/bookwatch/2019/03/24008761.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする