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苫小牧市がIR誘致継続 課題山積 市民と再考を 苫小牧報道部・鈴木雄二

2020-03-16 | アイヌ民族関連
北海道新聞 03/15 11:21
 カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)の誘致を目指している苫小牧市は2020年度予算にIR関連費を計上し、誘致継続の姿勢を明確にした。だが、IRは鈴木直道知事が昨年11月に「誘致に挑戦したい」としつつも、当面の認定申請を行わないことを表明。IRを巡る汚職事件を背景に、道が20年度予算案でも関連予算の計上を見送り、IRの早期開業の道は事実上閉ざされた。市はこうした状況を受け止め、まちづくりにIRが本当に必要なのか、市民に問い直すべきだ。
 苫小牧市は、新千歳空港に近接する植苗地区の一帯を「国際リゾートエリア」として開発し、高級ホテルや商業施設、大規模展示・会議場などを整備する構想を描く。IRはエリアの中核施設と位置づけ、市内経済界と連携して誘致を目指してきた。
 同エリアではIRと別に、健康をテーマにした海外富裕層向けリゾート施設の整備計画が進む。不動産開発森トラスト系の投資会社MAプラットフォーム(東京)が最大2500億円を投じ、高級ホテルなどを23年にも開業する。
 市は20年度、MA社の事業計画も踏まえつつ、IR誘致の可能性を探り、外国人を同エリアから市中心部などに回遊させる方法を専門家を交えて調査する。関連予算は1500万円。岩倉博文市長は「人口減と少子高齢化が進むなか、将来も持続可能なまちづくりを続ける新たな戦略として、構想の実現にチャレンジしてきた」と強調する。
 市がIR誘致にこだわるのは、富裕層を照準とする集客と経済効果への大きな期待が背景にある。市の試算では、IRには最大で年間838万人が訪れ、うち外国人客が175万人を占める。開業後の経済波及効果は年間2100億円。このほか、カジノ利用料や固定資産税などの市税収入の増加も期待する。
 苫小牧は製紙業の企業城下町として栄え、石油、自動車産業などの企業も誘致することで成長してきた。外部資本を導入し、地域活性化を図る政策は綿々と継承され、IRにも通じるところがある。
 しかし、道がIRの認定申請を見送ったのは、開発による自然環境への影響など、目下の課題の早期解決が難しいためだった。市が今後もIR誘致を目指すならば、事業効果を高めるための調査よりも、積み残した「宿題」を片付けることが先ではないか。
 カジノによるギャンブル依存症対策、上下水道や道路といったインフラ整備の負担、既存の商業施設などへの影響―。環境問題以外にも山積する課題にどう対応するか、市として明確な考え方を示すべきだ。現状では具体的な解決策の検討は道半ばで、20年度予算も市民向けの説明会の経費などは盛り込んでいない。
 一方、まちづくりには時間軸の視点も重要だ。IRの認定申請の主体の道は、20年度予算案でIR関連費用の計上を見送った。現職国会議員が逮捕されたIRの汚職事件が影を落とし、道議会側の慎重な声にも配慮したとされる。
 市は、国が3カ所を上限に21年夏にも決めるIR開設地が1、2カ所にとどまり、空いた枠に再挑戦するシナリオに期待していたが、道の予算計上見送りで、それも難しい情勢になった。次の機会は、国が開設地域数を再検討する約10年後との見方が強い。
 IR誘致が当面難しく、将来の実現性も不透明な現実を直視すれば、市は外部資本に依存せずに、地域資源を生かすまちづくりの戦略を磨く必要があるだろう。苫小牧の西隣の胆振管内白老町ではアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の開業を控え、市内でも国内外の観光客を呼び込む機運が高まっている。苫小牧港東港区では今春、道内の農水産物輸出の拠点となる大型冷凍冷蔵倉庫が完成予定だ。地域の価値を高め、経済の活力を生み出すテーマには事欠かない。
 市内では昨秋、鈴木知事のIRを巡る判断が迫る中、誘致の是非を問う住民投票を目指す市民有志が団体をつくった。カジノとギャンブル依存症問題を考える勉強会も開かれた。苫小牧の将来を、行政や企業任せではなく、市民自ら考えようとする意識が高まった。市はIRが直面する諸課題を謙虚に受け止め、市民とともに立ち止まり、見つめ直す姿勢を示してほしい。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/402544

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特急北斗も停車 白老おいで

2020-03-16 | アイヌ民族関連
北海道新聞 03/15 05:00
 【白老】JR北海道のダイヤ改正で、胆振管内白老町のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の4月24日開業を前に、札幌―函館間を結ぶ特急北斗が14日、白老駅に初めて停車した。地元ではウポポイの集客に弾みがつくと期待が高まっている。
 北斗は上下24本中19本が停車。14日は旅行帰りの町民らが利用した。同駅停車の特急は札幌―東室蘭のすずらん12本を含め、2倍以上の1日31本になった。
 国はウポポイの年間来場者目標100万人のうち、14万人をJR利用者と想定。ウポポイに近い駅北側と、商店街に面した駅南側を結ぶ高架型の自由通路も、この日開通した。商店街で米穀店を営む田辺真樹さん(60)は「ウポポイの来場者が流れてくれば、寂しい商店街がにぎやかになる」と期待する。
 一方、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う一時減便で、白老駅停車はすずらんが23日から6本に、北斗が4月6日から16本に減る。いずれも4月23日までの予定。(金子文太郎)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/402490

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