北海道新聞 03/15 05:00
<単行本>
◆壁抜け男 マルセル・エーメ著、ヨシタケシンスケ絵
世界の作家の短編小説を新訳で紹介する「世界ショートセレクション」シリーズ。フランスの作家の6編を収録。骨董屋(こっとうや)に並ぶ靴に憧れるが、貧しさのため諦めている少年の悲しみと喜びを描いた「七里のブーツ」、壁を抜ける特殊能力を身につけたために破滅の道をたどる中年男が主人公の表題作など、恵まれない庶民に向けた温かいまなざしが感じられる良作がそろう。平岡敦訳。(理論社 1430円)
◆子どもたちのビミョーな本音 武井明著
思春期外来を開設する市立旭川病院の精神科医が、長年向き合ってきた小中高生60人の声を紹介する。発達障害があったり、親から暴力を受けていたりと複雑な例も。学校や親との関係で悩む様子や、解決に向けた本人たちの工夫にも触れた。著者は「問題を抱える子や親の解決の糸口に」と願う。(日本評論社 1980円)
◆秘蔵古写真 紀行 日本カメラ博物館監修
幕末や明治期の日本各地を写した、日本カメラ博物館所蔵の古写真約500点を“紀行”というテーマで編集収録。英国軍人サットン撮影による箱館奉行所役人とアイヌ民族との会見や、開拓使に雇われたオーストリア人写真師スティルフリード撮影の道内風物も必見。かなたに消えた日本の風景に目が離せなくなる写真集だ。(山川出版社 1980円)
<文庫・新書>
◆全盲の弁護士 竹下義樹 小林照幸著
中学生の時に網膜剥離で失明した後、1981年、9回目の挑戦で司法試験に合格し、全盲の弁護士第1号となった竹下義樹(よしき)の半生を描く。生活保護行政の問題を追及した柳園(やなぎその)訴訟の原告弁護団長を務めるなど、人間の尊厳や生きる権利を守るため、困難な闘いに挑んだ弁護士活動を紹介。2005年刊の単行本を文庫化した。(岩波現代文庫 1342円)
◆昔は面白かったな 石原慎太郎、坂本忠雄著
作家、政治家として歩んだ石原と多くの作家を担当した文芸編集者坂本の対談集。戦時中、米軍機から機銃掃射された体験を持ち、その後、批評の神様とされた小林秀雄にたてついた若き日の石原。悪筆の石原の原稿を解読する坂本の苦労話のほか、往年の文壇エピソードから死生観まで縦横に語り合う。(新潮新書 792円)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/402708
<単行本>
◆壁抜け男 マルセル・エーメ著、ヨシタケシンスケ絵
世界の作家の短編小説を新訳で紹介する「世界ショートセレクション」シリーズ。フランスの作家の6編を収録。骨董屋(こっとうや)に並ぶ靴に憧れるが、貧しさのため諦めている少年の悲しみと喜びを描いた「七里のブーツ」、壁を抜ける特殊能力を身につけたために破滅の道をたどる中年男が主人公の表題作など、恵まれない庶民に向けた温かいまなざしが感じられる良作がそろう。平岡敦訳。(理論社 1430円)
◆子どもたちのビミョーな本音 武井明著
思春期外来を開設する市立旭川病院の精神科医が、長年向き合ってきた小中高生60人の声を紹介する。発達障害があったり、親から暴力を受けていたりと複雑な例も。学校や親との関係で悩む様子や、解決に向けた本人たちの工夫にも触れた。著者は「問題を抱える子や親の解決の糸口に」と願う。(日本評論社 1980円)
◆秘蔵古写真 紀行 日本カメラ博物館監修
幕末や明治期の日本各地を写した、日本カメラ博物館所蔵の古写真約500点を“紀行”というテーマで編集収録。英国軍人サットン撮影による箱館奉行所役人とアイヌ民族との会見や、開拓使に雇われたオーストリア人写真師スティルフリード撮影の道内風物も必見。かなたに消えた日本の風景に目が離せなくなる写真集だ。(山川出版社 1980円)
<文庫・新書>
◆全盲の弁護士 竹下義樹 小林照幸著
中学生の時に網膜剥離で失明した後、1981年、9回目の挑戦で司法試験に合格し、全盲の弁護士第1号となった竹下義樹(よしき)の半生を描く。生活保護行政の問題を追及した柳園(やなぎその)訴訟の原告弁護団長を務めるなど、人間の尊厳や生きる権利を守るため、困難な闘いに挑んだ弁護士活動を紹介。2005年刊の単行本を文庫化した。(岩波現代文庫 1342円)
◆昔は面白かったな 石原慎太郎、坂本忠雄著
作家、政治家として歩んだ石原と多くの作家を担当した文芸編集者坂本の対談集。戦時中、米軍機から機銃掃射された体験を持ち、その後、批評の神様とされた小林秀雄にたてついた若き日の石原。悪筆の石原の原稿を解読する坂本の苦労話のほか、往年の文壇エピソードから死生観まで縦横に語り合う。(新潮新書 792円)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/402708