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先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

アイヌ語を当たり前に

2021-05-14 | アイヌ民族関連
NHK 2021年5月12日(水)午後5時28分

週末、多くの子どもたちで賑わっている場所があります。子どもたちのお目当ては、ちょっと変わったビンゴでした。
ビンゴで学ぶ「アイヌ語」
訪れたのは民族共生象徴空間「ウポポイ」にある体験学習館。多くの子どもたちが熱心に取り組むのは、アイヌ語を使ったビンゴです。
手元のカードには数字や動物の絵がプリントされ、「5(アシㇰ)」、「レプンカムイ(シャチ)」と文字が書かれています。アイヌ語の単語が次々と読み上げられゲームが進みます。アイヌ語担当職員として子どもたちに優しく教えている、荒田このみさんにお話を伺いました。
アイヌ語との出会いと危機感
荒田さんのルーツはアイヌにあります。アイヌ語を学び始めたきっかけは13年前。当時、白老町でアイヌ文化の担い手を育成する事業の1期生として、伝統工芸や刺しゅうなど幅広く学んでいました。
周りには踊りや工芸といったアイヌ文化に慣れ親しんできた仲間がいましたが、アイヌ語を話せる人はほとんどいなかったということです。
荒田さん:私も日本語を母語として育ちましたが、ほとんどのアイヌがアイヌ語を知らないという状況でした。言葉がいずれ消滅してしまうのかなという危機感を感じました。アイヌ語を学んで、アイヌの仲間に私が教えられるくらい勉強したいと決意したんです
アイヌ語普及のヒントは家庭の中?
ウポポイでアイヌ語の普及に取り組むなか、勇気づけられる経験があったそうです。荒田さんは3人の子どもの母親でもあります。
「子どものころからアイヌ語に触れていれば当たり前に使ってくれるようになるのではないか」と思い、家庭で簡単なアイヌ語を使ってみました。すると、子どもたちがアイヌ語を自然と口ずさむようになったのです。長男の幸太郎くん(7)は地元のアイヌ語講座にも通い始め、アイヌ語で翻訳された歌にも挑戦しています。
荒田さん:3歳の娘は文字を読むことも書くこともできません。それでも毎日続けることで、アイヌ語を話すことが当たり前になっていくのに驚きました。子どもたちにアイヌ語を教えることで、小さい子にどうすれば伝わりやすいかを考えることもできました
荒田さんが目指すもの
家庭での経験を思い出し、教え方も工夫しています。荒田さんが参加者にアイヌ語を教えるときは、なるべく文字を見せません。言葉を音で覚えてもらうためです。文字が書けない小さい子どもでも、音からアイヌ語を覚えることができます。
もともと口承で伝わってきたアイヌ語の音の響きに親しんでほしいという思いがあるということです。
荒田さん:私の子どもたちに必ずアイヌ語を習ってほしいとか、アイヌとして生きてほしいということは考えていません。ただ、もしアイヌとして生きていきたいと考えたときに、その土台は、私たち大人が作らなければいけないと思っています。子どもたちが大きくなったときに、アイヌ語を身近に学べる場所や環境があればいいなと考えています。そのためにも、ウポポイは、アイヌ語が当たり前に飛び交うような場所にしたいです
※アイヌ語のビンゴは2021年5月現在、「伝統的コタン」で行われています。
2020年12月8日放送
アイヌ語
アイヌ民族独自の言語。アイヌ語が日常的に話されることはほとんどなく、ユネスコは2009年、「消滅の危機にある言語」の中で「極めて深刻」と認定した。言語が衰退した背景には、明治時代以降、日本語での教育を進めるなどの同化政策があるとされる。また差別されることをおそれ、家庭の中でも親から子へアイヌ語を教えなくなっていったことが急速な話者の減少につながったともいわれている。
https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-nc1f7b3999686

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バリアフリー社会人サークル「colors」に密着”人間まるだし”ドキュメンタリー

2021-05-14 | アイヌ民族関連
北海道新聞 05/14 00:12

 障害がある人、ない人、グレーな人たちの十人十色な《生》がほとばしるバリアフリー社会人サークル「colors」の500日をきりとった”人間まるだし” スーパーカラフルドキュメンタリー映画『ラプソディ オブ colors』が、29日(土)よりポレポレ東中野(東京)ほか全国で順次公開される。
 「colors」では、毎月10本ものイベントを開催し、年間800人が来場していた。大学教授の講義や音楽フェス、いい加減な飲み会など、イベントの中身はさまざま。そこでは、発達障害、身体障害、音楽家、写真家、ただの呑んべえ、食いしん坊ほかさまざまな参加者たちのカラフルな《生》がほとばしっていた。
 このドキュメンタリーは、「感動の物語」の一言では片付かない。問答無用、人間まるだしの日々の記録。2018年から始まった「colors」の撮影は予定を遥かに超過。いろいろな人物やいろいろな出来事が次から次へと現れ、カメラを止めることができなかったのだ。難病の百人一首シンガーの野望。脳性麻痺の元デリヘル嬢が悩むエッチと介助。実録・ガイドヘルパー物語 e.t.c…。さらには、「colors」が入居する建物の突然の取り壊しが決まり、まさかの閉鎖へ。「colors」代表と参加者たちの日々は、いろいろな人たちのいろいろな世界は…何色に染まる!?
 誰もが複雑なグラデーションの中にいることに気付かされる本作。このドキュメンタリーを取り続けた佐藤隆之監督も含めて、出演者はみなグレーゾーン。十人十色なラプソディ(狂騒曲)が鳴り響く。
 「colors」代表 ・石川悧々さんは、頚椎損傷と脳の血腫による障害者であり、DET(障害平等研修)のトップファシリテーターとして活躍。強烈な個性で聖女とも魔女とも称される。もう一人の強烈なキャラクター、中村和利さんは、地域の障害福祉の立役者でNPO法人理事長。服はヨレヨレ、だらしなさ満載。そんな2人の発言や関係も見どころだ。
 佐藤監督は、民族の中の個人を瑞々しく描いた『kapiwとapappo~アイヌの姉妹の物語~』(16年)に続き、本作が長編ドキュメンタリー2作目。「私の見ていた世界の狭さとコミュニケーション能力不足に愕然!」「障害や福祉のレクチャーではない“人間まるだし”な映画にしたかった」と振り返る。
 本作の試写を鑑賞した、俳優で一般社団法人「Get in touch」代表の東ちづるは「なんなんだ!? 好き勝手に、毒舌満載に、思いやりたっぷりに、さまざまな人たちが集うこのコミュニティは!? いろいろあるけど、そりゃ居心地いいだろうな。こんな社会がいいな。石川さんの笑い声がコロコロと響き渡るような」と、コメント。
 パラ競泳選手・ブラインドダンサーの富田宇宙は、「綺麗事はこの映画の前では無力。これまでスクリーンに切り捨てられてきた世界が、ある。歪曲されることも美化されることもなく、晒されている。フィクションの障害者感動ポルノがパステルカラーの水彩画なら、この映画は原色の油絵具を叩きつけたままのキャンバスみたいなもの。色濃い日常に、人間について考えさせられ、完全に打ちのめされた」と感嘆。
 フリーアナウンサーの笠井信輔は「障がい者、健常者、なぜこんなにもディープインパクトな人ばかりが出てくるのか。漫画のようにキャラの強い“魔女”と“ハエ男”が主人公。障がい者に寄り添う?いや、本音でぶつかりあってるのだ。『障がい者というレッテルを自分ではがしてみたら、普通の人間でした』。その意味は観ればわかる。さらけ出す強さが光る」と、激賞している。 
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/543591

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中国、新疆ウイグル自治区で出生率抑制=豪シンクタンク

2021-05-14 | 先住民族関連
ロイター2021年5月13日2:41 午後15時間前更新
[北京 13日 ロイター] - シンクタンクのオーストラリア戦略政策研究所は12日公表の報告書で、中国による新疆ウイグル自治区での抑圧的な政策がウイグル族など少数民族の出生率の大幅低下をもたらしたと指摘し、ジェノサイド(民族大量虐殺)を証明する追加材料になり得ると分析した。
報告書は3月に公表された地方の人口統計を含む中国の公式データに基づき、中国政府が同自治区の出生率を管理し始めた2017年以来、公式な出生率が「前例のない急激な低下」を示したと説明。具体的には17年から19年の間に同自治区の出生率はほぼ半減し、行政区画の中でもウイグルなど少数民族が多い地区は低下が特に顕著だったという。
中国外務省はコメントの要請に応じていない。
報告書は「われわれの分析はこれまでの研究も踏まえた上で、中国政府の新疆での政策がジェノサイドに該当する可能性について有力な証拠を提供している」とした。
https://jp.reuters.com/article/china-xinjiang-births-idJPL4N2N01GC

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NZ下院議員、ハカを踊って退場に 「差別発言」に抗議(動画)

2021-05-14 | 先住民族関連
BBC 2021年5月13日

ニュージーランド下院のラウィリ・ワイティティ議員(マオリ党)が12日、他党議員への抗議として伝統的な「ハカ」を踊り、議場から退出させられた。
下院ではかねて、国民党のジュディス・コリンズ党首がジャシンダ・アーダーン首相に「ヒ・プアプア報告書」について質問を繰り返している。この報告書では、政府が先住民族と協力し一定の自治を与える可能性が示されている。
ワイティティ議員はこれに対し、コリンズ氏による「繰り返される侮辱的な言葉」を厳しく批判。議論が白熱したためトレヴァー・マラード議長に着席を命じられたものの、代わりに「ハカ」を踊り、退場させられた。
同議員は2月にも、規則で定められているネクタイを着用していなかったとして、退場を言い渡されている。
https://www.bbc.com/japanese/video-57097873

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先住民マオリの議員、議場で「ハカ」踊って退場 NZ

2021-05-14 | 先住民族関連
CNN.co.jp 2021年5月13日 10時23分

ニュージーランドのマオリ党共同党首ラウィリ・ワイティティ議員/Nick Perry/AP
(CNN)ニュージーランド議会で12日、先住民マオリの議員が先住民の権利に関する審議の最中に伝統の踊り「ハカ」を踊り、議場から退場させられた。
退場させられたのはマオリ党共同党首のラウィリ・ワイティティ議員。ジャシンダ・アーダーン首相の質疑応答を遮って、野党の言動が人種差別的だとして非難した。
議長との緊迫した応酬を経てマイクのスイッチを切られたワイティティ議員は、ハカを踊り始めて即座に退場を命じられた。
https://news.livedoor.com/article/detail/20183222/


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《アマゾン》ヤノマミ族居住地を襲撃=マフィア絡みの違法金鉱夫ら=軍の掃討作戦後も続く抗争

2021-05-14 | 先住民族関連
ニッケイ新聞 5/13(木) 7:56
 ブラジル北部ロライマ州の先住民居住地で10日、違法な活動を行っている金鉱夫(ガリンペイロ)による襲撃事件が起き、死傷者が出た。また、翌日は同件の捜査を行っていた連警捜査官らも銃撃されたと10~11日付現地サイトなどが報じた。
 連警捜査官が襲撃されたのは、ヤノマミ族居住地内のパリミウだ。同はウラリコエラ川沿いにあり、10日に起きた襲撃事件の捜査で同地を訪れていた警官達が州都ボア・ヴィスタへの船に乗り込もうとした時、小舟で近づいた金鉱夫達が銃撃を加えた。警官も応戦したが、死傷者は出なかったようだ。
 ヤノマミ族の住民団体「ウトゥカラ」などによると、金鉱夫の攻撃は頻繁に起きており、10日の抗争では金鉱夫3人が死亡、金鉱夫4人と先住民1人が負傷した。
 10日の事件は、先住民達が小舟で金の採取場に向かう金鉱夫を捕まえた直後、後続の舟に乗った金鉱夫達が銃弾を浴びせたために起き、先住民は弓矢や銃で対抗した。先住民に捕まった鉱夫は国立先住民保護財団(Funai)職員の手で連警に連行され、取り調べ後に釈放された。
 ウトゥカラ副会長のダリオ・ヴィトリオ・コペナワ・ヤノマミ氏によると、10日の襲撃は11時半頃に起き、舟7隻で近づいた金鉱夫達との間で約30分間の銃撃戦が発生。先住民が現場で集めた薬きょうには380口径と9ミリ口径のものが混じっていた。
 連警が検察庁と軍、Funaiに提出した文書によると、ウトゥカラはこれらの機関に対し、暴行事件頻発を防ぎ、パリミウの安全を保障するよう要請。金鉱夫達は復讐を誓いながら退散しており、住民達は再度の襲撃を恐れている。
 Funaiは11日、同件に関する情報には偏りがあると前置き後、連警と協力して状況を観察し、調査を行うと発表。検察庁同州支部は、適切な措置を採るために現場からの情報を待つとしつつ、大量虐殺回避のために金鉱夫を退去させるべく、連邦裁判所に働きかけていると語った。
 全国司教会議傘下のインジオ宣教師協議会は、「連邦裁判所は2018~20年、あらゆる手段を講じてヤノマミ族居住地の金鉱夫を即刻かつ完全に退去させるよう命じており、今回の事件は連邦政府の無策の結果」との声明を出した。
 ヤノマミ族は2万7千人以上おり、ロライマ、アマゾナスの両州に住んでいる。同族の居住地は1992年制定で、金の採取や精錬は違法だ。同族の半数は金鉱夫達が働く地域から5キロ以内に住んでいる。また、居住地内の金鉱夫は2万人以上と見られている。
 陸軍は3月に行ったブラジル・ヴェルデ作戦でヤノマミ族居住地内の金採取、精錬所6カ所を解体、小型機15機を押収したが、金鉱夫と先住民の抗争は続いている。1月に連警が行った作戦では、少なくとも20の違法な滑走路が見つかっており、一部では金鉱夫達はサンパウロ州が本拠の犯罪組織の州都第一コマンド(PCC)の息がかかっていると報じられている。
 12日付G1サイトによると、ブラジル国内の61団体は同日、ボルソナロ政権の環境、人権政策と、新型コロナのパンデミックに対する対策を批判する文書を経済開発協力機構(OECD)に提出、ブラジルの同機構入りに反対する姿勢を示した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f85458afbddd3b511aca81836241a0ecb7a0a2b8

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テレビ離れが進む本当の理由、ここでしか言えない女性局員激論120分

2021-05-14 | アイヌ民族関連
ビジネスインサイダー 5/12(水) 20:00
直近ではテレビ朝日の報道ステーションのCM動画炎上など、テレビは女性社員の登用や働き方だけでなく、ジェンダー意識も時代とずれているのでは、と感じる“事件”が起きている。
実際、テレビ局で働いている女性社員は、どう感じているのか。在京テレビ局の報道や情報番組などで働く女性社員5人に集まってもらい、ジャーナリストでBusiness Insider Japanエグゼクティブ・アドバイザーの浜田敬子が率直にその実態を聞いた。
Aさん:40代。情報番組や報道などを担当。
Bさん:30代。入社以来、主に情報番組を担当。
Cさん:50代。主にニュース番組、特集番組などを担当。
Dさん:40代。主に技術を担当。
Eさん:40代。報道現場が長く、情報番組なども担当。
報ステCM炎上問題、テレビ内で議論はあったのか
浜田:最初に報ステのCM問題ですが、みなさんや周りはどう受け止めていましたか?
※報道ステーションCM問題:報道ステーションの番組CMで、若い女性に「どっかの政治家が、『ジェンダー平等』って掲げている時点で、時代遅れ」と発言させるなど、ジェンダーに関する無理解が指摘され炎上。テレビ朝日はすぐにCMを削除し謝罪した。
Aさん:当日ニュースをチェックするためにTwitterを見ていたら、ものすごい勢いで炎上していたので、CMを実際に見ました。これはただ事ではなくなるな、とすぐに思いました。私自身もあのCMには怒りを覚えたので、周囲でその感情を共有したいと思って、いろんな人に「見ましたか?」と聞いて回ったのですが、女性も含め何人もに、「何が悪いのか、分からない」と言われてしまい……そんな会話を立て続けにしてしまったので、「私やっぱりこの会社ではマイノリティーなんだ」と自覚しました。
Bさん:炎上したCMについて、男性陣に「どこが悪かったと思います?」と聞いてみました。「森問題は分かるけど、、今回はどこが悪いのか分からないから教えて」と控え目に聞いてくる人から、「何やっても文句言う奴いるよね」みたいな人まで。隠れていた男性の本音に気付くきっかけになりました。
Dさん:うちの局の番組ではソフトに「ダメだよね」と報じていたので、ひとまず安心したのですが……社内の仲のいい女性のアナウンサーとこの話をしていた場にいた男性のプロデューサーに聞いてみたら、「本当に何が悪いのか、分からないんです……」と。2人で「あのね……」と説明をしました。
浜田:テレビでは他局の事故、不祥事は報じにくい、批判しにくいのでしょうか?
Bさん:「お前のところはどうなんだ」って言われた時に、返す言葉がないというようなことはあるかもしれません。
Eさん:いくつかの番組では取り上げていましたが、賛否両論という構成でした。コメンテーターも制作者側に考えが近い人が多いので、「何が悪いのか分からない」という声も流していました。
他の業種の会社の人と話したり、普通に生活したりして、「社会はこういうモードだよね」と思って企画を考えても、会社に入った瞬間に(周りの空気に)「あ、違ったー!」と思ってネタ選びから構築し直す、それを繰り返しているイメージです。特にジェンダー問題に関しては。
Aさん:テレビ朝日が出した「想いが伝わらなかった」との謝罪文を見ても、何を伝えようとしたのかがいまだに分からないです。あの後、論点を整理した記事がいろいろ出たのに、どの局でも重く受け止められていないという話を聞いて、これはテレビ局に共通した課題だと感じます。
「炎上した」事実を受け止めて、なぜ炎上したのかを学ばなければ、同じことがまたどこかの局で絶対に起きます。むしろあのCMの炎上で、さらにジェンダー問題は面倒臭いとなって、ニュースや番組で扱うこともどんどんタブーになっていくことを心配しています。
なぜテレビでジェンダーの話題を扱わないのか
浜田:皆さんの話を聞いて、肝心のテレビ業界で重く受け止められていないということに驚きました。
2月の森発言の際には、各局ともニュースでも情報番組でもかなり時間を割いていたので、テレビもジェンダーの話題を取り上げるようになったという印象だったのですが。
Aさん:森発言は、視聴率をすごく取ったんです。視聴率が高くなければやらなかったと思います。私も森発言がこれだけ見られるのなら、フェーズは変わったと思ったんですが。
Eさん:うちの会社は報ステ問題だけでなく、森問題もどっちも分からない人が多いです。報ステは男性の願望が漏れちゃっただけ。「もうこれくらいでジェンダーの問題は手打ちにしてよ」感。「私たちは平等だもん」っていう言葉を借りて、おっさんの願望が乗っかっちゃっただけだと思っています。
森さんは、感想が漏れちゃっただけ。感想と願望という点で根っこは一緒で、どっちも本音。なぜそう思ったかというと、森さんの問題が出た時、「これは大ニュースだ!やばい!」って私が言った時に、社内で誰もついてこなかったんです。
浜田:そうなんですね。その後ジェンダーギャップ120位の問題はどの程度報じましたか?
Eさん:短くしかやっていません。
Aさん:昨年の121位の時には、私が「やらないんですか?」と提案したら、「それってなんですか?」と聞き返されたので、説明しました。今回も順位は分からないけど、準備をしておいたほうがいいのでは?と声をかけたのですが、男性デスクから「ジェンダーギャップってなんですか?」と言われて。「嘘でしょ……」と思いながら、説明をしました。
本当によくあるやり取りです。ジェンダーの話題は、以前よりは取り上げるようになりましたが、「取り上げよう」と言い出すのは限られた女性社員のみ。それが続くと、言い出しにくくなってしまう。だからこそ、切実に女性が増えて欲しいです。
Bさん:「ジェンダーとか不平等なんて、視聴者が嫌がるし難しいから、言わないでくれ」と男性から言われることもあります。だから言葉や表現には目をつぶっても、まずは女性の問題を世に出すことを優先していると現場からは聞きます。あとよく言われるのが、「ジェンダーは視聴率取れない」っていうことですね。男性でも女性でも「数字がついてくるならやるけど」っていうタイプの人もいます。
Cさん:人権問題を報じる難しさは数字がついてこないということ。編成担当からは、「女、子どもは数字が取れない」「マイノリティーはもっと取れない」と言われて続けてきました。一番苦しい人ってテレビを見る隙間や余裕もないんですよね。
最近やっとTwitterなどで一番声をあげにくかった方があげられるようになり反響も大きくなってきたので、ここで踏ん張らないとなと内部では話しています。視聴者の「この番組良かった!」という声を、自ら働きかけて認識してどうデータ化するかは、戦略的にやらないといけないなと思います。
Aさん:いま各局ともSDGsの企画に力を入れてますよね? SDGsの5番目のゴールはジェンダー平等なんですが、なぜかジェンダーの視点だけ抜け落ちるんです。SDGsやれっていうからジェンダー企画を出しても、「そういうのじゃないから」って。
マジョリティー街道歩んだ男性社員は変われない
浜田:それでも海外の動きも含めて、社会の変化を見れば、当然メディアも変わらざるを得ないと思うんです。新聞社にも同様の構造はあったけど、この数年女性記者や若い男性記者が声を上げ始め、少しずつジェンダー関連の記事が増え、扱いも大きくなってきています。テレビの経営層、意思決定層たちはなぜ変われないのでしょう。
Eさん:マジョリティー街道を歩んだ人たちを変えるのは、相当難しいと感じています。家庭環境などに比較的恵まれた状態で成功体験を積んだ上で、社会的な地位と収入面を求めてテレビ局に入社した男性が相当いる。マイノリティーになった経験が一度もない人の意識を変えるのは本当に難しいです。
Cさん:テレビ局の上層部や経営層は比較的学歴もあって成功体験もあるので、社会的強者の視点で物事を考えがちだと思います。ようやくマイノリティーやジェンダーの人たちのことを考えようと言い始めたんですけど、そこのギャップがまだ埋まってない。
私の職場でも、基礎的な知識から学ぶ勉強会や研修は頻繁にやっていますが、意思決定者のほとんどは男性なので、女性たちはみんな孤軍奮闘で頑張って声を上げて、なんとか突き破って、という感じです。
日本のマスコミって世界的に見ると特殊で、国内マーケットだけで十分成り立ってきたので、一般企業のようにグローバル化の波にさらされずに成長してきた。過去の成功体験から抜け出せない岩盤層と言われる人たちが、まだ上層部に残っています。そこが変わると、メディア全体が急激に変わる可能性もあるかなと思います。
Dさん:おじさんたちは「男女差別がない」と思ってるんです、本気で。「うちは能力があるなら、上にあげてるから」って。確かに女性の役職者もゼロではないので。
民放全体を見ても制度的にヤバいものは無くなっています。次の課題は、やはり局長以上にどれだけ女性を増やせるか。今年2月に民放労連が新聞労連や出版労連と一緒に女性役員の数を発表しましたが、在京の局での女性役員の数はゼロか1。制作局の局長の女性の数も見事にゼロで、この数字はインパクトがありました。森発言直後だったこともあり、大きく注目されたのですが、このニュースを取り上げたのは新聞とテレ東とAbemaのネットニュースだけでした。
Aさん:ただ深刻なのは、私の肌感として同世代(40代)は岩盤層と一緒の価値観です。20~
30代の男性たちで、ちょっと変わってきているかなくらい……。
B:某局のインターネット担当の男性と話した際に、「社内でのジェンダーに関する雰囲気はどうですか?」と聞いたら、「うちはフラットになんでも話せる感じだよ」と言われましたが。
Eさん:でも、中途半端な理解なんですよね。そういう人って。「俺って育休とかも取るイケダンだよ」って人は増えてます。でも、イケダンが言っている男女平等を真に受けていいものなのか。
Aさん:一方女性だからと言って、みんな女性差別を感じていたり、ジェンダーの問題に関心があるわけでもないです。「私たちおじさんと同化してよかったじゃん」と言われたこともあるし、男女差別は存在しないとはっきり言われたこともあります。
Dさん:飲み会断れない系ですね。もう一方が、「私もうバリバリしないからいいわ」っていう女性たち。偉くなる道とか大変だし、望んでいないしっていう人も一定数いて、私、今でもそんなに仕事してて偉いね!と言われることもあります。
外には厳しいが、自浄作用が働かない内部
浜田:お話を聞いていると、テレビを中から変革をするのは難しいと感じますが、何が突破口になると思いますか?
Eさん:岩盤層を動かすのは経営的な危機感しかないと思います。
浜田:逆にいうと、テレビはまだそこまでの危機感はないということですか? コロナで広告収入が激減していて、どの局、どの番組も制作費を厳しくカットしていると聞きますが。
Eさん:大変なことになっていて、制作費もめちゃくちゃ削ってます。人件費にも手を出してる状況です。
Dさん:でもどこか思ったほどじゃないみたいなムードも感じます。収入は減ったけど、制作費も減ったから、利益は大丈夫だったじゃんみたいな雰囲気。それって縮小ってことじゃないですか?っていう感じなんですけど。
Eさん:社員のリストラに手をつけるくらいの頃に、ようやく気がつくんだと思います。今はあまりにも多い社外スタッフのリストラで止まっているので、まだおじさんたちのサンクチュアリ感が崩せないのかなと思います。
Bさん:偉い人たちは、あと10年逃げ切れば自分たちは安泰だと思っているんです。
浜田:経営への危機感以外にきっかけになるとしたら、視聴者からの声ですか?
Cさん:報ステの炎上があった日、NHKの番組でも炎上がありましたよね。Eテレの番組のTwitterで、障がい者差別と女性差別を比較するような発言があって批判が殺到し、NHKは速やかに謝罪のツイートも出しましたが、報ステのことがなかったらもっと大きく叩かれたと思います。
そういう意味でも視聴者からの声は重要ですよね。もともとメディアは、外に対して謝罪するという文化が弱いです。言論機関として、正しいことを正確に伝えている、という意識があるからだと思いますが、根本的な思想や価値観が間違っていたことを、内部ですらオープンに語り合う文化がない。
メディアで自浄作用が機能しないのは、起きた事象をオープンにして、再発防止につなげる仕組みが弱いからだと思います。外のことは批判するのに、自分たちの内部で起きていることには甘く、組織として穏便に済ませてしまう部分があるように思います。
財務省事務次官事件(テレビ朝日の女性記者に対するセクハラ事件)の時も、「うちの局はないよね」で終わりました。セクハラなどが社内であっても、以前は「みなさん気をつけましょう」という一般的な注意喚起だけ。具体的な事象を知らないと、自分たちがやっていることがハラスメントに当てはまるかどうかも分からない。
だから「ないよね」になる。背後にあるのは、(社内でハラスメントなどがあった時に)「当事者がかわいそうだ」「当事者の人生を守らなければ」という意識。仲間を守るという論理で間違いが共有されないんです。人間関係と起きている事象は、切り離して考えるべきで、どうシステムとして再発防止につなげるのかが重要です。恒常的な仕組みをメディア全体で作っていかなければ。
Eさん:テレビ局の場合、番組を作るスタッフは制作会社の方々がマジョリティーなんですよね。そこもアップデートしていかないと。制作会社の人たちも参加できる研修会などもありますが、なかなか参加してもらえません。
Dさん:先日日テレで起きたアイヌへの差別問題発言(日本テレビの情報番組『スッキリ』で出演者が、アイヌ民族に対する差別的表現があったとして、放送倫理・番組向上機構(BPO)の審議入りとなった)も、うちのADとか気づかない自信があるって言っていて、基本的な知識不足も感じます。
Cさん:番組制作の現場にプロフェッショナルが減ってしまったことも大きい。かつてはこの分野のプロという先輩がいて、若手はその人たちから基礎を学んで独り立ちする流れがあったんです。それが人員やコスト削減などの流れの中で、継承が難しくなって。
社会との意識差が「テレビ離れ」を加速する
Cさん:私はメディア内部の意識と社会のメディアに対する見方のギャップを、ずっと痛感してきました。
例えば働き方に関する報道でも、以前は「お前たちの足元がブラックなのに、何言ってるんだ」っていう声がすごく来ました。それで危機感を持って、自分たちの足元を変えながら発信しようという流れになり、ようやく少し変わってきたところです。
報ステのCMを見た時にも、同じような印象を受けたんです。「自分たちも変わってないのに、あんなこと言うなよ」っていう声が聞こえてきました。そのギャップに、視聴者は怒りとか失望を感じているんだろうと思います。このギャップにメディアがどう気づくか。特に全く気づけていない上の人たちがどう気づくかが重要だと思います。
浜田:今どの局も若い世代の視聴者をどう獲得するか、躍起になっていますよね。社会との意識差があると、特に若い世代に見てもらうことはますます難しくなると思います。
Aさん:テレビが出しているものは、おじさんフィルターを通しているので、そこを是正すれば道があるんじゃないかと思っています。そのためにもおじさんフィルターを通していることを自覚してもらうことが大事かと。若い世代の感覚とずれていることを、自覚していないので。
Eさん:私、テレビってN=1理論がずっと続いていると思うんです。つまり「俺の嫁がりんごダイエットが良いって言ってるから、りんごダイエットがウケる」っていう理論。全ての女性が、あなたの妻なのかみたいな。その対象が妻からADに変わっただけ。AD2~3人に聞いたものが若者にウケるに違いないって思い込んでいる。N値が一定程度大きいデータを分析するとかないんです。
Dさん:あれだけ視聴率と言いながら、数字に頼らない。全然科学的じゃなくて、感覚的にやっているんです。俺がいいと思うものを作れば、世間が後からついてくるんだって思っている人はまだ多いので。
コロナはテレビの働き方を変えたのか
浜田:テレビでは長時間労働問題も早くから指摘されていますが、その労働環境の問題も女性の働きにくさにつながり、先ほどの「マイノリティーへの視点」が欠けやすい背景としてありますよね。
Cさん:新聞とテレビで違うのが、テレビは場所に縛られる仕事だということです。それ故に、24時間働けるパワーがないと生き残れない文化が根強くあります。最近までそれに乗っかれない子育て中の女性や、介護をしている人、病気をした人は、どんどん振り落とされてきました。
働き方改革とジェンダー意識はセットで考えなければいけない。仕組みを変えないと、ジェンダー平等意識も醸成されないから両輪です。今は自宅でも試写や打ち合わせができるようになったんですが、最初はずっと逆風でした。子育て中や介護中の女性たちから、まずリモートワークを始めさせてもらって、実績を作って少しずつ職場全体に広がってきた感じです。
浜田:それはでもコロナで活きましたよね?
Cさん:すごく活きました。あの時にやっていなければ、あの時の女性たちの頑張りがなければ、今回コロナ禍で自宅でスムーズに仕事はできなかったと思います、
Dさん:コロナでバラエティはすごく変わっています。編集上がりの確認もリモートになって。でも報道ではできていないんです。
Eさん:うちはかなりリモートになりました。社員だけじゃなく、制作会社の人たちも含めて。最初はface to faceじゃないと伝わらないって騒いでいた人もいたんですが、第二波、第三波とコロナが続いたので、みんな受け入れるようになりました。
浜田:その働き方はコロナ後も定着すると思いますか。
Aさん:うちはもう戻り始めてます。システムの問題もありますが、基本プロデューサーは「俺が出てこないと、番組は回らない!」って思っているし、リモートが大嫌いな人も来ちゃうし。「リモート分かんねえ!」ってパソコン閉じちゃうような人もいるし。
浜田 敬子
https://news.yahoo.co.jp/articles/4046fbecddacbd30ee3c8216e6c4bafcbf56bfa8

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