苫小牧民報 2021.05.24
新型コロナウイルス感染拡大に伴う国の緊急事態宣言で、道内の道立・市町村施設の多くが臨時休館を続ける中、アイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)の営業継続に地元の白老町内から疑問の声が上がっている。国が不要不急の外出を控えるよう求める事態の中で「国立施設のウポポイをどうして開け続けているのか」と矛盾を指摘する意見も広がる。
緊急事態宣言下でも営業を続けるウポポイ
■営業継続に不安感
「緊急事態宣言下に、お客さん、どうぞ来てください―と、営業を続けるウポポイの姿勢に疑問を抱かざるを得ない」。町内に住む70代の男性は道内で感染者が急増する危機的状況を踏まえ、そう話した。感染力が強いとされる変異株が広がる中で「町にウイルスが持ち込まれ、感染者が出てしまう可能性は誰も否定できない」と不安視する。
北海道に緊急事態宣言が発令された16日以降、感染拡大を抑え込むために道立や市町村の施設は、31日までの期間で次々に臨時休館に入った。ウトナイ湖野生鳥獣保護センター(苫小牧市)や洞爺湖ビジターセンター(洞爺湖町)、支笏湖野営場(千歳市)など環境省の直轄施設、国立日高青少年自然の家(日高町)や国立大雪青少年交流の家(上川管内美瑛町)、国土交通省管轄の国営滝野すずらん公園(札幌市)といった道内各地の国立・国営施設も同様に休館、利用停止の措置を取った。
道の要請や施設管理者の自主判断で、国立を含めて公共施設の多くが閉じたにもかかわらず、ウポポイが営業を続けることに地元白老町の吉村智町内会連合会長は「この情勢下で開館し続けなければならない理由は何なのか」と首をかしげた。新型コロナに感染すると重症化する恐れのある高齢者が人口の半数近くを占める町だけに、営業続行によるウイルスの侵入リスクを懸念した。
■国の姿勢を疑問視
町内で居酒屋を営む60代の男性は、国の姿勢に憤りを隠せない。「飲食業界のわれわれは休業要請や営業時間の短縮に我慢して協力している。町内の公共施設も休館にしているのに国立のウポポイはなぜ、ほぼ普通通りに営業を続けているのか」と顔をしかめた。町議会議員の男性は「緊急事態宣言を発令し、外出自粛などを国民に求める国は、率先して国立施設を休館にすべき立場ではないのか」と話した。
白老アイヌ協会の山丸和幸理事長も国の矛盾を指摘した上で、「他の施設が休んでいるのに、アイヌの施設だからといって、特別に営業していてもいいのか―という批判につながりかねない」と心配した。
ウポポイを管理運営するアイヌ民族文化財団(札幌市)は営業継続について「道の休業要請の対象施設ではないため、従来通り感染対策をしっかりと行いながら開園を続けている」と言う。しかし、職員の一部からは「緊急事態宣言の発令でテレワーク準備の連絡があり、休業に入るものと思っていたが、そうならなかった。来館者や職員を感染から守るためにも休園にした方がいい」との声も出ている。ウポポイは国交省と文化庁の二つの省庁が関与する施設のため、職員の一人は「省庁同士の足並みはどうなっているのか」といぶかしがる。
国立の博物館や美術館などを運営する文化庁は、宣言延長に伴う東京都知事の要請で12日以降、都内の国立文化施設を再開方針から一転して休業継続にした。町議を務める別の男性は「胆振管内でも感染拡大が続く中で白老町役場は住民感情や懸念の声を受け止め、国に対しウポポイの休業を要請するよう、道知事に求めてほしい」と強調。町は「町民の不安が高まれば、その状況を道に伝えることを考えたい」と話した。
http://www.hokkaido-nl.jp/article/21754
新型コロナウイルス感染拡大に伴う国の緊急事態宣言で、道内の道立・市町村施設の多くが臨時休館を続ける中、アイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)の営業継続に地元の白老町内から疑問の声が上がっている。国が不要不急の外出を控えるよう求める事態の中で「国立施設のウポポイをどうして開け続けているのか」と矛盾を指摘する意見も広がる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/11/6d7f73432e3748a5db4667e94aed7422.jpg)
■営業継続に不安感
「緊急事態宣言下に、お客さん、どうぞ来てください―と、営業を続けるウポポイの姿勢に疑問を抱かざるを得ない」。町内に住む70代の男性は道内で感染者が急増する危機的状況を踏まえ、そう話した。感染力が強いとされる変異株が広がる中で「町にウイルスが持ち込まれ、感染者が出てしまう可能性は誰も否定できない」と不安視する。
北海道に緊急事態宣言が発令された16日以降、感染拡大を抑え込むために道立や市町村の施設は、31日までの期間で次々に臨時休館に入った。ウトナイ湖野生鳥獣保護センター(苫小牧市)や洞爺湖ビジターセンター(洞爺湖町)、支笏湖野営場(千歳市)など環境省の直轄施設、国立日高青少年自然の家(日高町)や国立大雪青少年交流の家(上川管内美瑛町)、国土交通省管轄の国営滝野すずらん公園(札幌市)といった道内各地の国立・国営施設も同様に休館、利用停止の措置を取った。
道の要請や施設管理者の自主判断で、国立を含めて公共施設の多くが閉じたにもかかわらず、ウポポイが営業を続けることに地元白老町の吉村智町内会連合会長は「この情勢下で開館し続けなければならない理由は何なのか」と首をかしげた。新型コロナに感染すると重症化する恐れのある高齢者が人口の半数近くを占める町だけに、営業続行によるウイルスの侵入リスクを懸念した。
■国の姿勢を疑問視
町内で居酒屋を営む60代の男性は、国の姿勢に憤りを隠せない。「飲食業界のわれわれは休業要請や営業時間の短縮に我慢して協力している。町内の公共施設も休館にしているのに国立のウポポイはなぜ、ほぼ普通通りに営業を続けているのか」と顔をしかめた。町議会議員の男性は「緊急事態宣言を発令し、外出自粛などを国民に求める国は、率先して国立施設を休館にすべき立場ではないのか」と話した。
白老アイヌ協会の山丸和幸理事長も国の矛盾を指摘した上で、「他の施設が休んでいるのに、アイヌの施設だからといって、特別に営業していてもいいのか―という批判につながりかねない」と心配した。
ウポポイを管理運営するアイヌ民族文化財団(札幌市)は営業継続について「道の休業要請の対象施設ではないため、従来通り感染対策をしっかりと行いながら開園を続けている」と言う。しかし、職員の一部からは「緊急事態宣言の発令でテレワーク準備の連絡があり、休業に入るものと思っていたが、そうならなかった。来館者や職員を感染から守るためにも休園にした方がいい」との声も出ている。ウポポイは国交省と文化庁の二つの省庁が関与する施設のため、職員の一人は「省庁同士の足並みはどうなっているのか」といぶかしがる。
国立の博物館や美術館などを運営する文化庁は、宣言延長に伴う東京都知事の要請で12日以降、都内の国立文化施設を再開方針から一転して休業継続にした。町議を務める別の男性は「胆振管内でも感染拡大が続く中で白老町役場は住民感情や懸念の声を受け止め、国に対しウポポイの休業を要請するよう、道知事に求めてほしい」と強調。町は「町民の不安が高まれば、その状況を道に伝えることを考えたい」と話した。
http://www.hokkaido-nl.jp/article/21754