好書好日 2021/05/15 07:00
「翻訳と文学」書評 他者と共にいるために(好書好日)
「翻訳と文学」 [編著]佐藤=ロスベアグ・ナナ
トランスレーション・スタディーズ。異なる言語を生きている他者を、いかに理解するのか。
錚々(そうそう)たる作家、詩人、翻訳者、研究者らによる、それぞれの最新の「翻訳と文学」論を読むと、「文芸の本質には創作だけでなく編纂(へんさん)や翻訳も含まれる」ことが具体的に実感できる。とりわけ、「文化の翻訳または翻訳と権力の関係などを研究」する編著者によるアイヌ文学者・鳩沢佐美夫の「自己構築」をめぐる論考は必読だ。隣人のことばに、どんなことばで応答すれば、私たちは共にいられるのか。
歴史は繰り返す。「他者」のいない世界なら、翻訳は不要だ。むろん、「他者」がいない世界など、どこにもない。ゆえに「文芸のみならず文化すべての基礎にある」翻訳は永遠なのだ。
本書を出発点に、学際的で横断的な学問としてのトランスレーション・スタディーズが、今後、ここ東アジアで、どのように展開するのか追いかけたい。
https://news.goo.ne.jp/article/book_asahi/trend/book_asahi-14349880.html
「翻訳と文学」書評 他者と共にいるために(好書好日)
「翻訳と文学」 [編著]佐藤=ロスベアグ・ナナ
トランスレーション・スタディーズ。異なる言語を生きている他者を、いかに理解するのか。
錚々(そうそう)たる作家、詩人、翻訳者、研究者らによる、それぞれの最新の「翻訳と文学」論を読むと、「文芸の本質には創作だけでなく編纂(へんさん)や翻訳も含まれる」ことが具体的に実感できる。とりわけ、「文化の翻訳または翻訳と権力の関係などを研究」する編著者によるアイヌ文学者・鳩沢佐美夫の「自己構築」をめぐる論考は必読だ。隣人のことばに、どんなことばで応答すれば、私たちは共にいられるのか。
歴史は繰り返す。「他者」のいない世界なら、翻訳は不要だ。むろん、「他者」がいない世界など、どこにもない。ゆえに「文芸のみならず文化すべての基礎にある」翻訳は永遠なのだ。
本書を出発点に、学際的で横断的な学問としてのトランスレーション・スタディーズが、今後、ここ東アジアで、どのように展開するのか追いかけたい。
https://news.goo.ne.jp/article/book_asahi/trend/book_asahi-14349880.html