先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

アイヌ文化振興策 学生発案 平取・オンライン講座で発表

2022-02-26 | アイヌ民族関連
北海道新聞02/26 05:00
【平取】全国の大学生13人がオンラインで町二風谷地区のアイヌ文化を14日から学んだ講座「大地連携ワークショップ」(町主催)が5日間の日程を終えた。大学生は講座での体験を踏まえ、最終日に同地区でのアイヌ文化振興策を班ごとに発表した。
 講座で学生は、萱野茂二風谷アイヌ資料館やアイヌ古式舞踊をオンラインで見学。事前に送られた材料を使い、アイヌ工芸家から木彫りやアットゥ◆(樹皮の布)織り、アイヌ文様の刺しゅうを教わった。
 最終日の18日は4班に分かれ、アイヌ文化振興策を発表。講談師やラッパーを同町に招き、アイヌ口承文芸の伝承者とコラボするイベントの開催や、大きなテントを設置し伝統儀式「イオマンテ(熊の霊送り)」や神への祈りの儀式「カムイノミ」などを行って、観光客らに儀式での所作などを体験してもらう案が出た。
 そのほか、アイヌ民族などのアイドルグループを作り、アイヌ語の歌やアイヌ文化を取り入れたダンス、衣装で魅力を発信する案、学校の体操着や体育の授業などで使う赤白帽子にアイヌ文様を取り入れるなども提案された。町職員らからは「面白いアイデア」などの意見が出た。
 講座全体について学生からは「(舞踊のオンライン見学では)画面越しでも男性のかけ声が響いて気迫が伝わってきた」「カムイノミは現地の空間や自然と関係していると思うので、現地に行ってみたい」という感想が上がった。(杉崎萌)
◆は小さいシ
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/649944

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

阿寒湖の自然を体験しながらアイヌ民族の考え方や文化にふれるガイドツアー

2022-02-26 | アイヌ民族関連
サライ2022/2/25

阿寒湖を舞台に、自然散策を楽しみながら、日本の先住民族であるアイヌ民族の文化や暮らしの知恵などを五感で学ぶことのできるガイドツアー「Anytime, Ainutime!」が北海道旅行を計画するシニアの話題を集めている。街の喧騒から離れて心身をリフレッシュするだけではなく、そこには生きるヒントとの出会いも。これまでに体験したことのない阿寒湖観光にでかけてみたい。
日本百名山に選ばれる雄阿寒岳、やさしい温泉など阿寒湖はみどころ豊富
2020年にスタートした「Anytime, Ainutime!」は、阿寒湖に暮らす人々の案内で自然散策、ものづくりを楽しみながらアイヌ民族の文化にふれるガイドツアーだ。
太古の佇まいを現代に伝える阿寒摩周国立公園の原生林に抱かれた阿寒湖は、国の特別天然記念物「阿寒湖のマリモ」が有名で、岳人には日本百名山に選ばれる雄阿寒岳、湯巡りなら、温泉宿が湖畔に軒を連ねる阿寒湖温泉街も名高い。
阿寒湖は手つかずの自然が残る国立公園内にあり、周辺には「白龍神王の祠」を奉る湖上に浮かぶヤイタイ島や、温泉街に近いボッケ遊歩道など、自然のエネルギーによって、癒しや活力を得られるというパワースポットが集まった神秘の地。また、日本で最も酸素濃度が高いことから、日本一空気がおいしい場所ともいわれ、見どころ豊富な北海道でも人気の観光名所になっている 。
道内でもっとも大きな「阿寒湖アイヌコタン」は工芸や伝統舞踊の街
この温泉街に接した一角に、アイヌ民族が生活を営む「阿寒湖アイヌコタン」はある。北海道内には民族共生象徴空間「ウポポイ」が2020年に開業した白老町に誕生したほか、日高地方のアイヌ文化の拠点となる平取町など、各地にアイヌ文化が根付いている。阿寒湖アイヌコタンは北海道ではもっとも規模の大きい集落であり、36戸・約120人が暮らす。観光とアイヌ民族が共存する地区として知られ、歴史の中で、アイヌ民族が生活に追われ捨てざるを得なかった工芸や伝統舞踊が観光という形で残り、訪れる観光客に文化を伝承している。
現代では道東屈指の観光スポットとなった阿寒湖であるが、明治以前は、アイヌ語でイオルと呼ばれる、食料や衣類・道具の元となる様々なものを狩猟・採集する狩り場だった。居住者はごくわずかで、各地の集落からやってきては、温泉を利用して植物の繊維を取り出し、衣装を作っていたという。
伝え継がれてきた芸能や工芸の技術
阿寒湖に転機が訪れるのは明治39年のこと。鹿児島県出身の前田正名氏が国有未開地の払い下げを受け、阿寒湖に「前田一歩園」として牧場を拓いたのをきっかけに阿寒湖の存在が広く知られるようになる。
昭和34年には、「前田一歩園」の3代目園主であり、「阿寒のハポ(母)」と呼ばれた、前田光子氏が、阿寒湖の私有地の一部をアイヌ民族に無償で貸し出し、分散して生活していた住民が集結して、現在の「阿寒湖アイヌコタン」がつくられた。アイヌ民族に工芸技術の才能を見抜いた光子氏は木彫りの工芸品を作ることのできる協同作業所をつくり、工芸を活かした自活の道を開いた。
アイヌ民族の文化を広く伝える「Anytime, Ainutime!」
もともと狩り場であった阿寒湖は、先祖代々住み続ける家が少ない。各地から新しく移住した人々が一つになって地域を盛り上げたことで、昭和30年代の一大観光ブームへとつながり、阿寒湖ならではのアイヌ文化が育ったといわれている。
「アイヌ」とはアイヌ語で「人間」を意味する言葉だ。アイヌ民族はあらゆる存在に魂が宿ると考え、中でも自然の恵み、人間が生きていく上で欠かすことのできないものや人知を超えたものを「カムイ(神)」として敬ってきた。阿寒摩周国立公園とアイヌ文化の両方を守りながらガイドをすることで、その考え方やアイヌ文化を全国に伝えることを目標としたのが「Anytime, Ainutime!」である。人と人、人とモノ、人と自然との関係性を大事に育んできたアイヌの思想や暮らしの知恵は、SDGsに繋がる、むしろSDGsの先を行く考えが多く、いまを生きるヒントになるはずだ。
阿寒湖で暮らす人々とともに時間を過ごす阿寒湖ガイドツアー
「Anytime, Ainutime!」のツアーは、阿寒摩周国立公園を散策しながら、アイヌの逸話などを聞く「森の時間」と「湖の時間」、アイヌ民族伝統の刺繍や木彫を体験できる「創る時間」の大きく3種類がある。
ガイドをするのは阿寒湖アイヌコタンに住む人々。木彫作家、民芸店の店主、伝統舞踊の踊り手など本業は様々だ。それぞれが先祖から受け継いだアイヌ民族の伝統や民話をツアー参加者に伝えながら、ここでしか体験できないツアーが展開される。
イオルの森から、阿寒湖の湖畔まで歩くプログラム「湖の時間」
ここでは所要時間約2時間30分で、イオルの森から、阿寒湖の湖畔まで歩くプログラム「湖の時間」を取り上げてみたい。
このツアーは、アイヌ民族に伝わる伝統楽器「ムックリ」の製作から始まる。ムックリは、薄い板についた紐を引くことで弁を振動させ音を奏でる口琴(こうきん)の一種。アイヌ民族はこの楽器を使い、風の音や動物の鳴き声など、自然の中にある音色を表現し奏でる。音を鳴らすかなめの部分を削り、厚みと形を整え、紐を通すと完成する。
森を散策し、阿寒湖の植生とアイヌ民族の知恵を学ぶ
ムックリができあがったら森の中の散策がはじまる。
ツアーの舞台となるのは、アイヌ文化の伝承活動が行われているイオルの森だ。
スタート地点では、両手をすり合わせてから、手のひらを上に向け両手をゆっくり数回上下させるアイヌ民族の伝統的な挨拶「オンカミ」を行う。ツアー参加者同士、参加者とガイドは初対面。「あなたと私の魂が優しく出会えますように」という思いが込められている。
いよいよ神秘の森へと入っていく。ガイドとツアー参加者は「テックワ」という背丈ほどある木の枝のようなものを持って森を歩く。杖として持ったり、土にさして荷物を掛けたりと用途は広く、その昔、熊に遭遇したときは先を切り落とし、槍にして戦ったという逸話も残されている。
アイヌ民族の代表的な文化が現代まで伝えてきた美しいデザインの「アイヌ文様」。ガイドが着る衣服にもアイヌ文様の刺繍が施されている。ゆるやかな曲線を表す「モレウ」やトゲを表す「アイウシ」。アイヌ文様にはさまざまな形があり、その形は自然の中からヒントが得られているという。
ガイドの一人、木彫家の瀧口健吾さんは、彫刻家の父、瀧口政満氏の長男として生まれ、現在は父の跡を継ぎ「イチンゲの店」を経営する。「父から『木は手で触って覚えなさい』と言われましたね」。阿寒湖の森に生育する木に精通し、ツアー参加者にも木肌を触ってもらい、その違いや、どんな道具に向いている木なのかを伝えてくれる。
阿寒湖周辺の植生は多岐にわたる。山菜や木の実を採取し、獣を狩り、川や湖で魚を獲り、その地で得られる恵みを最大限活用する中で身に付けた知恵は、独自の文化として受け継がれてきた。阿寒湖で暮らすガイドが語る、伝承や森の植生にまつわる話に耳を傾け、森を散策する。
雄阿寒岳が、湖面に姿を映す場所に到着
イオルの森は、阿寒湖畔市街地からほど近いところにある散策スポットだ。整備はされていないが、極端なアップダウンはなく距離も短いため、シニアでも気軽に歩くことができるルート。ガイドの案内で歩みを進めると、視界が開け、阿寒湖畔から雄阿寒岳を間近に見ることができる。
湖畔でムックリを演奏し、響きのおもしろさを楽しむ
湖畔に着いたら、出発前につくった手作りのムックリで自由に音を鳴らしてみる。演奏のコツを習ったら、ガイドと一緒に作ったムックリでしばし憩いのひと時を。手作りのムックリはお土産として持ち帰りできる。
山の恵み、湖の恵みを活かしたアイヌ料理はオプションで
ツアープログラムの前後にオプションとして追加できる「食の時間」。アイヌ民族は森、川、湖など周りにある自然の中から、生き抜くうえで必要な食料を調達してきた。阿寒湖アイヌコタンにあるアイヌ料理の店「民芸喫茶ポロンノ」で、自然の恵みを活かしたアイヌ民族のハレの日の食事を提供。受け継がれてきた食文化に触れることができる。
ツアーの紹介
ツアー名/湖の時間
参加料金/大人・子供ともに(1名)1万円(税込)
催行期間/6月~翌3月(4月・5月は休み)
開始時間/10:00~
所要時間/約2時間30分
対象年齢/小学1年生以上
最少催行人数/2名(定員10名)
※最低2名様以上でお申し込みください。
オプション名/食の時間
参加料金/大人・子供ともに(1名)3500円(税込)
催行期間/通年
開始時間/「森の時間」の場合はツアー前、「湖の時間」の場合はツアー後、「創る時間」は催行前後にお申し込みください
所要時間/約1時間
集合場所/阿寒湖アイヌシアター 「イコㇿ」
最少催行人数/1名
ツアーの詳細はこちら 
取材・文/安藤政弘
https://serai.jp/tour/1062148

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「大地と生きる北米先住民族の矜持」鎌田遵著

2022-02-26 | 先住民族関連
日刊ゲンダイ2022/02/25 06:00 更新日:2022/02/25 06:00

 研究者の著者によると、アメリカやカナダは、ヨーロッパからやってきた白人たちが建設した「移民の国」として理解されているが、実際には「依然として数多くの部族や先住民国家が伝統を紡いでいる『先住民族の国』でもある」という。
 事実、アメリカの連邦政府が認定している部族数は574、先住民族が守り抜いた土地、部族自治権のもとにある居留地は300以上に及ぶ。同じくカナダにも600以上の先住民国家、3100カ所以上の居留地が存在するそうだ。

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/301731

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする