先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

小樽産ホタテブランド「おタテ」売り込み着々 ツアー応募殺到、地元100店提供

2022-02-14 | アイヌ民族関連
北海道新聞02/13 18:32 更新
 【小樽】小樽・祝津沖で養殖するホタテを「おタテ」と名付けてブランド化しようとする本年度の事業が着々と進んでいる。小樽市や漁業団体、小樽商大など市内の産学官17団体でつくる実行委員会が事業を展開しており、1月には観光客にかまくら内でホタテ料理を味わってもらうツアーを行った。新年度のPR戦略も練っており、新型コロナウイルス禍で打撃を受ける地域経済を活性化するため、隠れた逸品の知名度向上に向けた取り組みが熱を帯びている。
 「かまくらの中でホタテ料理なんて『映える』。自慢したくなった」。1月22日夜、小樽の観光スポット・堺町通り商店街に程近い場所に設置されたかまくら内で、小樽市在住の主婦堤優さん(36)は友人と写真を撮りまくった。
■インスタ映え
 小樽産ホタテをもじった「おタテ」のブランド化を推進するプロジェクト実行委が企画した無料のモニターツアーだ。かまくらで刺し身やすし、海鮮鍋などのホタテ料理を楽しみ、市内のホテルに1泊できるお得な内容で、10組20人の募集に145組290人の応募が殺到した。小樽市出身で埼玉県伊奈町から参加した会社員寺林香織さん(26)は「小樽のホタテは知らなかったけどユニークな取り組み。インスタグラムで広めたい」と笑顔を見せた。
 元々、小樽市はホタテの稚貝生産地として知る人ぞ知る存在だ。市内のホタテ漁は明治から昭和初期にかけ、ニシン漁と並び盛んだった。一時は乱獲で漁は途絶えたが、地元漁協などが1979年にホタテの養殖試験を始め、82年に事業化に成功。その後、約1年の成育で安定的に出荷できる稚貝の生産を本格化し、今は宗谷管内枝幸町や岩手県大船渡市など全国8カ所に出荷している。
 稚貝の2020年漁獲量は過去最多の2856トン、漁獲高は7億7千万円に上る。一方、成貝の漁獲量は38トン、漁獲高は1千万円と市内でも出回る機会が少ない。コロナ禍の地域経済立て直しに寄与するため、成貝も含めた知名度アップを図ろうと始まったのが「おタテ」のブランド化事業だ。
 昨年3月に小樽商科大や石狩・後志管内漁業士会、小樽市などがプロジェクト実行委員会を発足させて活動を本格化させていた。同5月にはコロナ禍で失われた観光需要の回復を後押しする観光庁の「域内連携促進に向けた実証事業」(事業費1200万円)に選定された。
■バイヤー納得
 実行委は、巨大ホタテやベビーホタテで有名な他地域と差別化を図るため、2年ほど養殖した約100グラムの中サイズを成貝として売り出している。大手スーパーの水産バイヤーに試食してもらい、「貝柱の弾力が非常に強く、コリッとした食感とうま味がある」とお墨付きを得た。
 昨年10月には飲食店100店に独自のホタテ料理を提供してもらうフェアを1カ月間行った。前後して市内スーパーでの活ホタテの販売やPRポスターの配布、プロモーション動画の発信など周知に力を入れた。今月11~13日には人力車観光後に市内のレストランでホタテ入り魚介スープを味わってもらうツアーも行っている。市内のホタテ漁師中村貞夫さん(56)は「知名度を上げる効果はかなりあった。今後も需要があれば供給していく」と成貝の生産拡大に意欲的だ。
 観光庁の実証事業は本年度限りだが、実行委は新年度以降も活動を継続する方針。実行委のメンバーで小樽商大の高野宏康学術研究員(47)は「大きすぎず小さすぎない『おタテ』は他地域のホタテと競合しない。料理のバリエーションも多く万能な観光資源になる」とし、祭りの開催などさらなる一手をもくろんでいる。(平田康人)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/644921

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

台湾の温泉郷をゆく(後編)――泉質と風景が究極の癒しをもたらす泰安温泉

2022-02-14 | 先住民族関連
Nippon•com2022.02.13
全国130カ所以上で温泉が湧き出る温泉パラダイス・台湾。日本統治時代に温泉郷として整備されたところも多い台湾温泉の魅力を2回にわたって紹介する。後編は、筆者が「台湾西海岸随一の泉質」と推す台湾中部苗栗県の泰安温泉について、温泉宿のオーナーのインタビューも交えながら、その魅力を紹介する。
大地震を契機に再開発された泰安温泉
泰安温泉は台湾中部の苗栗県に位置し、台北から南南西に直線距離でほぼ100キロ離れた海抜500メートルほどの山あいにある。先住民族のタイヤル族と客家(はっか)系漢人の混在するこの地域は、「水雲三星」と呼ばれる横龍山(1318メートル)、虎山(1492メートル)、鳥嘴山(1437メートル)の、それぞれを龍、虎、鳳に見立てた三山に囲まれ、汶水渓の河岸沿いに温泉ホテルや旅館が十数軒点在する風光明媚(めいび)な温泉郷だ。ここは泰安郷錦水村に行政区分されるが、「錦水」とは客家語で「煮えたぎる水」を意味する。
泰安温泉は日本統治時代の1908年にタイヤル族「打必歷社(タビラス集落)」の長老、都来蓋努(ドルラットガイウン)が狩りの途中で偶然発見、10年にこの地に警察療養所が建てられたのが始まりとされる。当時は「上島(うえしま)温泉」と呼ばれていた。周辺は欅(けやき)の原生林で、日本統治時代には林業が栄えた。近郊の冬瓜山遊歩道沿いには、樹齢1000年を超える欅の御神木(ごしんぼく)も近年まで健在だった。また、この一帯は機械油の原料としてアブラギリも盛んに植林されたのだが、この点は後述する。
実はほんの20年ほど前までは、泰安温泉は前述の警察療養所を前身とする旧・上島温泉の泰安警光山荘、騰龍温泉山荘、虎山温泉緑園館(現・湯之島虎山温泉会館)の3軒の宿が点在するのみのひっそりとした温泉場だった。ところが、「921大地震」が契機となり、泰安温泉が今日の姿に発展したと聞けば、意外に思うのは筆者だけではなかろう。
1999年9月21日に台湾中部南投県集集鎮を震源に発生した921大地震で、台湾中部の谷関、廬山、東埔といった温泉郷が壊滅的な被害を受けた。台湾交通部観光局はこの年を「台湾温泉観光年」として、温泉観光を大々的に推進しようとした矢先のことだった。それでも台湾政府は未曾有の災害に正面から向き合い、温泉業者の救済や復興も含め、積極的な温泉振興策をその後も進めた。泰安温泉にとってはこれが追い風となった。筆者が投宿した「錦水温泉飯店」のオーナーで中華民国温泉観光協会名誉理事長の徐享鑫氏は、開業当時を振り返り、こう語ってくれた。
「錦水温泉飯店は2001年に泰安温泉郷では4番目の温泉ホテルとして開業しました。私が台北での公務員生活を辞して故郷の苗栗に戻り、建築業に転じてから数年後のことでした。泰安温泉はもともと泉質に恵まれていたこともありますが、地震の影響で泉源が枯渇したり、施設が損壊してしまったりした台湾中部の他の温泉郷の代替地として発展する機会を得たのです」
泰安温泉では乱開発による泉源の枯渇を防ぐために、政府の厳しい基準をクリアした業者だけが新規での温泉宿泊施設の建設を許された。この結果、各温泉ホテル・旅館はゆったりとした敷地に各々が独立する格好で建てられることとなった。その一方、賑やかな温泉街が形成されることは無かった。
筆者がすすめる台湾西海岸随一の泉質
泰安温泉は弱アルカリ性炭酸ナトリウム泉で、いわゆる「美人の湯」である。肌に触れた瞬間に違いが分かるほど保湿性に優れ、台湾の西海岸では随一の泉質ではないかと訪れるたびに筆者は感じていた。
それを証明する科学的根拠がある。2007年8月3日付で行政院国家科学委員会に提出された嘉南薬理科技大学観光事業管理学科の陳文福助理教授(当時)の「台湾温泉水の酸化還元電位の研究」成果報告書によれば、調査対象となった台湾全土の11カ所の泉源のうち、酸化還元力のレベルの指標であるORP値が、泰安温泉では最低値のマイナス277ミリボルトを記録した。この数字を徐氏は、「この数値は抗酸化力が極めて高い泉質であることを意味し、地中の奥深くで1万年の単位でゆっくりとろ過されて湧き出た温泉であることを物語っています」と解説してくれた。
また、19年7月31日から8月6日には、温泉科学が専門の大河内正一法政大学名誉教授を代表とする調査団も、52カ所の温泉の泉質のORP値を測定。泰安温泉と花蓮県の安通温泉の2カ所が台湾の温泉で最も優れた泉質であるとのお墨付きを得た。
春にはアブラギリの花が山を白く染める
この地域の観光資源にも目を向けてみよう。台湾北部から中部の山間部では、4月から5月にかけて、台湾華語で「油桐花」と呼ばれるアブラギリの純白の花が一斉に咲き、山全体がうっすら雪化粧したかのようになる。雨に打たれると花が回転しながら舞い落ち、地面を真っ白に埋め尽くす。様子は「五月雪」と称される。咲いて良し、散って良しの花だ。
アブラギリはもともと中国の長江以南が原産の植物だ。日本統治時代に台湾に持ち込まれ、その名の通り油分を多く含むことから機械油の原料として山間部に植えられた。しかし、戦後は石油に取って代わられ、山中に放置されることとなった。
アブラギリが再び耳目を集めるようになったのは、ここ20年ぐらいのことだ。客家人が多く暮らす海抜の低い山間部に咲くことから、台湾客家を象徴する花と見なされるようになった。2001年に客家事務委員会が政府機関として成立してからは、「客家桐花祭(アブラギリ・フェスティバル)」が毎年開催されるようになった。この時期に泰安温泉を訪れる際には、アブラギリ鑑賞と組み合わせると良い。さらに、この季節は蛍の繁殖期とも重なる。夜になれば、無数の蛍がほのかな光を瞬かせながら飛び交う幻想的な光景に出逢えるかもしれない。
イチゴと豆腐作りが盛んな太湖郷
また、泰安温泉に隣接する大湖郷は、イチゴの一大産地である。12月から3月にかけて、週末になるとイチゴ狩りの観光客でごった返す。大湖地区農業組合の説明によれば、その作付面積は全国の9割にも達するという。台湾のイチゴ栽培は1934年の日本品種「春香」の導入までさかのぼる。大湖で栽培されるようになったのは57年のことだった。近年までは「豊香(とよのか)」が主流だったが、現在はあっさりとした味わいの「香水」が人気の品種だそうだ。現地でイチゴを有機農法で栽培している周美琴氏に話を聞いた。
「イチゴは植えてから数カ月間は大量の水分を必要とします。汶水や後龍渓の水源に恵まれていたこと、山あいの温暖な気候が生育に適していたことから、イチゴ栽培が大湖で広まったのです」
大湖のイチゴは露地栽培だ。野鳥がついばむこともあると笑う周氏は、大ぶりのイチゴを摘んで筆者に手渡してくれた。滋味のある甘酸っぱさが口いっぱいに広がった。
大湖から泰安温泉に向かう道沿いには「清安豆腐老街(洗水坑豆腐街)」がある。汶水の支流である洗水坑の清流が豆腐作りに適していたことから、豆腐街として発展した。台湾の屋台ではおなじみの「臭豆腐」も、スタンダードの白い豆腐の他に、漢方薬で煮込み黒く色付けしたものや、紅麹や青菜を練りこんだ赤や緑のものまであり、旅人の舌ばかりでなく目も楽しませてくれる。
究極の癒しを体感できる温泉
さて、観光案内はこれくらいにして、泰安温泉に戻ろう。渓谷の豊かな自然に囲まれた環境でドイツ式の温泉保養地の概念を提唱する徐氏は、こんな考えを披露してくれた。
「緯度の差が南北に100キロ、もしくは標高差が1000メートルに達すると、人間の身体は自然に現在の環境に合わせようと調整を始めます。台北から南に100キロ下った場所に位置する泰安温泉で、周囲の1000メートルを超える山をトレッキングすれば、身体には緯度差と標高差の両面から生理的な調整機能が働きます。これに「水療(ハイドロセラピー)」や温泉の効能が加わることで、究極の癒しを提供できるのです」
この温泉の魅力の謎が解けた気がした。ホテルのキャッチフレーズは「身も心も魂も癒される上質の温泉を体感」。料理レシピ本を執筆したこともある徐氏監修の精緻な客家料理も、また楽しみの一つ。なるほど、看板に偽りはない。
写真は一部を除き、筆者撮影・提供
バナー写真=虎山や汶水渓に囲まれた泰安温泉郷の錦水温泉ホテル。
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g02060/

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする