Forbes JAPAN 2025.02.18 18:30
Scott Travers | Contributor
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2018年11月16日朝のこと。26歳の米国人宣教師ジョン・アレン・チャウは、カヤックを漕いで北センチネル島に向かっていた。海岸線は静かで、打ち寄せる波音と、遠くの海鳥の声だけが響いていた。
チャウは、すでに2度上陸に挑んでいた。前日の朝、彼は小屋に近づき、英語で呼びかけて接触を試みた。センチネル族たちは猛然と彼を追い払い、海岸から怒号を投げかけた。同日午後、彼は2度目の挑戦に出た。しかし1人の少年が彼に矢を放ち、防水加工の聖書に当たった。チャウは撤退するしかなかった。彼は震え上がったが、諦めてはいなかった。
そして翌日、チャウは3度目の賭けに出た。彼を島まで連れてきた漁師は、不安を覚えつつ遠くから見守った。連れてきたことは違法行為だったが、漁師は2万5000ルピー(約4万4000円)で引き受けていた。インド政府は1956年以降、外部の人々と先住部族の両方を守るため、接触を全面禁止していた。
しかし、チャウの決意は固かった。彼は島に足を踏み入れた。
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