恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

11/7(土)三遊亭天どん「新作大全」@お江戸両国亭

2020年11月07日 | 噺とか
新作と古典の使い手・三遊亭天どん師匠の会です。
三遊亭圓朝・円丈・天どんのそれぞれの新作を口演するということで、
本来は昨年の今頃に行われていたはずなのですが、
台風のために延期となって今に至るという曰くつきの会。
なんでも文化庁芸術祭参加公演なんだそうで、
詳しいことはよくわかりません、客席の後方には審査員席もありました。
会場は予約で満席とのことで、実に盛況でありました。

「女子高生の設定」  ごはんつぶ
「にゅう」      天どん
「ジャグリング」   ストレート松浦
「ぺたりこん」    天どん
-仲入り-
「ともびき寄席」   天どん

ごはんつぶさんのネタは1年ほど前にきく麿師匠の会で聞いています。
演題はわかりませんでしたが、今回貼り出されて「女子高生の設定」と判明。
深夜にオフィスで働くサラリーマン二人の他愛もない話から始まる噺。
以前と比べると改良されていたのでしょうかね。
客席も非常に沸いておりました。
マクラでは前座名「ごはんつぶ」についてひとくさり。
思えば高座で師匠をいじるのを聞くのは初めてかも。
そろそろ二つ目も見えてきましたかね。

天どん師匠一席目は圓朝師匠の作品から。
「牡丹灯籠」などの大ネタの多い圓朝作品の中にも、軽い話があり、。
去年は無理に牡丹灯籠なんてネタ出ししたから台風が来た、と。
あまりやる人がいないのは、面白くないからだとはいうものの、
過去の作品を掘り出すことに意義がある、ということで「にゅう」という噺へ。
当然初めて聞いたわけなのですが、演題だけ見ると新作みたい。
もちろん、中身は古典なのですが、もっと演じられてもいいぐらい楽しい話でした。
若干、しょうもない下ネタが入るあたりが広まらない原因か。
茶道具の名前なんかが難しくてわかりにくいといいますが、
「金明竹」でも同じようなものですからね。

ゲストはストレート松浦さんで、ジャグリング。
ただ、いつもの感じではなく、お江戸両国亭が狭いこともあって、
今回はスタンディングではなくて高座に座ってやるスタイル。これは初めて。
いつものお手玉や中国ごまも座ったままやるとかなりきついんだそうで、
とにかく体幹が試されるとおっしゃっていました。
寄席の高座では見られないネタを見ることもできて、非常に楽しいものでした。

仲入り前に今度は円丈師匠作の「ぺたりこん」。
これも何度か聞いていますが、円丈師匠の代表的な新作落語なんでしょうね。
高座に上がるときの出囃子が円丈師匠の「官女」だったことから、
露骨にテンションが下がるという天どん師匠。
いつもながらの師匠いじりも面白いもので。
天どん師匠の演じる炎上作品としては、「横松和平」「肥辰一代記」などを聞いていますが、
どれも原作に忠実でありながら天どんカラーが出ていますね。
世の不条理を描きつつも、なんだか可笑しい、そんな新作です。

仲入り後は天どん師匠自身の作である「ともびき寄席」。
この噺も幾度となく聞いていますが、その時その時でくすぐりなどにも変化がみられ、
天どん師匠を代表する鉄板ネタかもしれません。
この日も会場を大いに沸かせておられました。
正直なところを言えば、天どん師匠の他の新作を聞いてみたい感じもしたのですが、
終わってみての満足感はやはりさすがといったところ。

立冬とはいいながらも秋晴れの気持ちのいい一日。
楽しい一日を過ごさせていただきました。

恐懼謹言。

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