共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

古民家の節句

2015年03月03日 19時43分40秒 | 日記
今日は全国的に3月3日の桃の節句でございます。まあ、男寡の私にはとんと縁のないものではありますが、折角本格的な春に向けての華やいだお節句でもありますから、久しぶりに開成町にある旧瀬戸家に行ってみました。

毎年この瀬戸屋敷では、この一帯の名主だった旧家らしく、歴代の女の子誕生の度に揃えた雛人形を一堂に展示する《瀬戸屋敷ひなまつり》という催しを毎年開催しています。今日はちょうどお節句当日でもありますので、一昨年に続いて来てみました。

小田急線開成駅から出ているシャトルバスで10分少々揺られると、瀬戸屋敷に隣接する駐車場に到着します。入場料¥300を受付で払って門をくぐると、引き込み水路の水で回る水車小屋の向こうに茅葺きの母屋が現れます。ちょうど梅が満開になった庭を眺めながら、母屋へと入って行きました。
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目眩く緋毛氈の世界

2015年03月03日 19時41分35秒 | 日記
土間で靴を脱いで上がると、次の間から既にこの状態です。

今では住宅事情ですっかり見かけなくなった七段飾りがズラリと並び、緋毛氈で部屋が赤く見えるほどです。天井からは近所の主婦の皆さんによって制作された吊し雛が所狭しと吊り下げられて、尚一層の華やかさを演出しています。

作られた時代によって様々な大きさや装いの雛人形があって、かなり見応えがあります。真ん中に写っている一揃えなどは内裏雛や三人官女が居並ぶ御殿まであって、かなり立派なものです。
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こちらにも

2015年03月03日 19時40分28秒 | 日記
次の間から続く南面した座敷にも御覧のように、歴代揃えられた七段飾りが所狭しと並べられています。

瀬戸家は旧小田原藩主だった大久保家とも繋がりの深い家柄だったようで、雛道具の中には大久保家の紋の入ったものもありました。
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大吊し雛

2015年03月03日 19時38分24秒 | 日記
母屋の裏手に建つ土蔵の中にも、様々な雛人形が展示されていました。その中でも圧巻だったのが、御覧の大吊し雛です。

これは地区の主婦の皆さんが手分けして2年以上の歳月をかけて制作したものだそうで、高さが2.6mもある巨大なものです。画面の奥に写っているおばさんと比べるといかに大きいかが分かって頂けると思いますが、ここまで大きな吊し雛には滅多にお目にかかれるものではありません。

這い子に末広、俵ねずみに鴬といった細かな細工の人形が吊り下げられていて、それぞれに生まれた女の子の健やかな成長を願う意味が込められているということです。

それにしても、ここまで大きなものではないにしても、生まれた女の子一人一人に対して大人達が一針一針想いを込めて作る吊し雛という文化のある土地柄に、ちょっと羨ましさを感じました。
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亨保雛

2015年03月03日 19時36分18秒 | 日記
今回の展示で特に目を引いたのが、この亨保雛(きょうほうびな)です。これは御近所の蔵の中から発見されたものだということでした。

この雛人形は文字通り亨保年間、ちょうど徳川幕府八代将軍吉宗の治世に登場した雛人形です。作り始められた当初は現在の雛人形とあまり変わらない大きさのものだったようですが徐々に大振りになっていったようで、この内裏雛も座高が30cmはあろうかという大きさです。装束にもボリュームを出すために袖や裾、袴といった部分に綿が詰められていて、かなり立体的な造形になっているのが特徴です。

また、この内裏雛の前には官女の人形もあるのですが、ただ酒器を捧げるだけでなく、袖を翻して千秋万歳の舞を舞う姿のものや、唐子の装束を身にまとっているのものもあります。これは特に関西圏にあった雛人形の特徴のようで、この家の雛人形が広範囲から集められたものであることが分かります。

もっとも、どんどん華美に装飾化されていったのが当時の質素倹約を旨とするお上の目に留まってしまったようで、終いには禁止令が出されるほどだったそうです。それも裏を返せば、いかにこの雛人形の人気が高く、庶民の間にまで親しまれていたかを物語る逸話となって残るかたちとなりました。

この展示会では、このような貴重な人形の他にも、地区の主婦の皆さんが作った吊し雛や、段がそのまま収納箱にもなる箱雛、花弁が開くようにほどけて中から可愛らしい内裏雛が現れる巾着雛といった手作り雛も沢山飾られています。3月15日まで開催されていて、期間中は近くにある松田山の河津桜まつりも同時開催していますので、春を感じたい方はお出かけになってみては如何でしょうか。
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