今シーズン2度目となる富樫バラ園の話。
バラの開花時期は案外長いが、
宮仕えの身では楽しむチャンスは週末だけ。
それで、犬の散歩を兼ねて毎日このバラ園に出かける家内から
刻々と変わる開花状況を聞き、やきもきもしている。
年によっては見ごろを外し、傷んでいない花を探すということもあったからだ。
しかし今年は、幸運にも2週にわたり、咲き誇るバラを楽しむことができた。
富樫バラ園までは、早朝の散歩を兼ねて、自宅から2キロの道のり。
歩き始めたころ、肌寒いほど空気はひんやりとしていたが、
途中、ダラダラと長い坂道を登ることもあって、
バラ園に着くころには額に汗がにじむほど体が温まっていた。
そして、その火照った体を冷まし、そしてやさしく包んでくれたのがこの光景。
朝のさわやかな空気と穏やかな光の中で、
赤、ピンク、白、黄色、オレンジ、紫...など、
色とりどりに咲き誇るバラたち。
ここには140種あまりものバラが植えられているそうだが、
それが、まるで金平糖を散らしたように
朝の穏やかな光の中でいきいきと輝いていた。
実はこの日、ただの鑑賞だけではなく、
ひとつだけ決めていたことがあって、
それは、赤いバラを「おとなしく撮る」ということだった。
赤い花が強い光を受けると、
赤い色が塗りつぶれて、まるで厚いペンキを塗ったように写ることが多い。
専門的には色飽和というらしいが、
それを抑える方法を試してみたかったのだ。
簡単に言うと、彩度とコントラストを抑えるのだが、
抑え過ぎるとせっかくの赤色がくすんでしまう。
くすまない程度に塗りつぶれを抑える、このバランスが難しい。
やはり、花の撮影は奥が深いものだとあらためて思った次第だ。
それはそれとして...。
そんな愚痴めいたことを考えながらも、
実はそれも含めた朝の散歩すべてを楽しむ自分がいる。
バラの甘い香りに包まれた朝の光景。
月並みな表現だが、一週間待ち焦がれた至極の時間だった。