「海の日」に始まる4連休、久しぶりにカメラを持ち出した。
越前岬(福井県越前町)2021.07.23 18:33 Sony α7S2 FE2.8 16-35 GM (35㎜ ,f/7.1,1/200sec,ISO100)
33度を超える猛暑日だったが、
夕方ともなると海から吹いてくる風はここちよく
日の入りまでの時間をやさしい景色の中で過ごすことができた。
さて、コロナ禍による緊急事態宣言の中、東京オリンピックが始まった。
国内外の関係者の思惑の違いが見え隠れし、
さらに、運営関係者の相次ぐ不祥事の発覚など
直前までごたごた続きの中での開催となった。
無観客での開催は致し方ないといえるが
間近での声援がない中、「表現者」としての選手たちの心持ちはどうなのだろう、と考えてしまう。
先の東京オリンピックが終わって間もない頃だったと思う。
市川崑監督による映画「東京オリンピック」が製作された。
その映画を暗幕を張った小学校の体育館で観た。
小学校低学年の時のことだから、やがて60年前。
記憶は断片的だが、その中で鮮明に覚えていることがある。
大きく映し出された選手たちの表情なのだが、「勝った」「負けた」の感情表現ではない。
勝負に臨む緊張した表情、そして、緊張から解き放たれた後の必死の形相などが
スローモーションでスクリーンいっぱいに映し出されていたのだ。
いや、実際にはスローモーションではなかったのかもしれない。
けれども、一瞬の選手たちの表情に長い時間、目を凝らした、
という記憶が心に焼き付いているのだ。
オリンピックの記録映画は「東京」以前から残されていて、
その後も「白い恋人たち/グルノーブルの13日」など名作も生まれている。
ところが、最近のオリンピックでは作られたという話をまったく聞かない。
オリンピックそのものが商業化されて
なにがしかの利権がそれを阻んでいるのかもしれない。
しかし、コロナ禍というかつてない状況の中での開催、
しかも、無観客だからこそ、しっかりとした記録として残してみてはどうだろう。
競技の記録ではなく、「表現者」としての選手たちの映像の記録としてである。
「時よ止まれ、君は美しい」
ミュンヘン・オリンピックの記録映画につけられたタイトルは
半世紀の時を経ても色褪せない。
この感動的な言葉をすべての選手に贈りたい。
Keiko Lee - We Will Rock You