4月1日は誕生日。
長女からお祝いにと和田屋の山菜お節が届いた。
和田屋は白山麓鶴来町で150年続く老舗料理旅館で、
山菜や川魚、猪など白山の恵みを素朴に供してくれる。
色とりどりの料理、さらにこの下には
数々の山菜の煮しめがびっしりと詰まっていた。
お品書きを見ると、煮しめの中に、蕗の薹、楤の芽、薇、土筆、独活、薊など素材名が記されている。
順にふきのとう、たらの芽、ぜんまい、つくし、うど、あざみのことだが、
さらに「こごみ」や「ぎぼうし」など、この時期ならではの山菜が並ぶ。
このほか、岩魚、桜鱒、稚鮎、猪、すっぽんといった野趣あふれる素材もふんだんに。
それぞれの料理名を紹介したいところだが
料理の数にして21品、煮しめ一品だけでも8種類の素材が使われているし、
そもそも料理名を並べ立てたところでその美味しさが伝わるものでもない。
それで、お品書きに添えてあった店主のご挨拶を全文ご紹介。
気持ちのこもった文章から、「白山麓の春」を感じていただけたなら幸いだ。
山々がこれから一斉に芽吹く季節となりました。
皆様にご注文頂戴いたしました山菜お節の為に、
先日山にまいりましたら、いつも通れるはずの林道に
雪がたくさん残っておりまして、道路まで木々が倒れ、
今年の雪の多さを改めて感じておりました。
山菜お節の上に付いております木は、
その時に山から採ってまいりました、
白山麓の「黒文字(くろもじ)」の木でございます。
黒文字は、清涼感のよい香りがすることから、
お茶や、生薬にすることがある木でございますが、
中国地方では「福木」とし、「福が来る縁起の良い木」として
用いられるそうでございます。
黒文字の枝の根元を少し切ってくださいますと、
清々しい深山の香りが蘇ってまいります。
本日は当屋「山菜お節」をご注文いただきまして
誠にありがとうございます。
どうぞ、白山麓の春の芽吹きを、心を込めて
木箱にたくさんお詰め致しました。
白山近郊のさまざまな種類の山菜を五感で楽しみ、
たくさんの春を感じていただけましたら
この上なく嬉しく思います。
和田屋七代目主人 和田壮央
Simon & Garfunkel - April Come She Will (from The Concert in Central Park)