折にふれて

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湖北菅浦 「何もない」風景

2023-03-12 | 琵琶湖 余呉 湖国

久しぶりに訪れた湖北菅浦。

     菅浦(滋賀県長浜市)2023.03.11 10:34am  Sony α7S2  FE2.8 16-35 GM 

 

季節ごとに様々な表情で出迎えてくれる菅浦だが

この時期は拍子抜けするほど何もない。

いや、あえて出迎えてくれたといえば、

湖畔の八重桜の枝にわずかに膨らんだ蕾くらい。

その枝越しに静かに寄せる琵琶湖の波を眺めながら

ふと思い出した映画のワンシーンがあった。

それは菅浦がロケ地となった「男はつらいよ」の第47作「拝啓 車寅次郎様」で

寅次郎(渥美清)がマドンナ役の典子(かたせ梨乃)に出会うシーンだ。

 

典子は都会に住む主婦で写真が趣味。細々と貯めた小遣いで撮影の旅に出ることを生きがいにしている。

菅浦の湖畔で撮影を楽しむ典子に寅次郎が声をかける。

 寅次郎: ナニ写すんだい? 水ばっかりで何もありゃしねえじゃねえか。

 典子 : 何もないからいいのよ。 ただ水と光だけ。

 寅次郎: へえー。 そういうもんかねえ。

 

そう、水と光だけ。

けれども、その中には

向き合った人だけにしかわからない空気の香りや季節の気配、

そして穏やかに流れる時間が潜んでいるのだ。

 


まだ3月も前半というのに、この日の陽気は4月中旬並みだったとか。

その陽気に誘われて。そしてあり余る時間をふんだんに使いながら

湖北、越前海岸と撮影旅を楽しんできた。

その道中、車内に流れたロイ・オービソンの艶やかな声が

旅の終わりまで心に残った。

A Love So Beautiful Roy Orbison

 

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