親の生き様と、愛ある心を知らされる。
堤真一、岡本綾の静かな心を抑えた表情、
それに反して大沢たかおの熱い心と表情。
昭和初期の地下鉄シーン、
東京オリンピックの頃の、
レトロな雰囲気もいい。
映画の中では、みち子の深い心までは、
描かれてはいないので、
映画だけを見たのなら感じ方も、
少しは変わってくるかとも思われます。
兄の亡くなり方も、
映画と本では違っているけど
これは仕方のない事情も、
あるのかと思いました。
大きな父の心、過去の真実、
兄がもっと早く分かっていたのなら、
不幸からは救えたかもしれません。
原作にそって映像化しているので
次々におこるタイムスリップ、
期待と共に見ることが出来ました。
本は文字だけで想像力を働かせて
心に訴えていくだけですが
映画は本と違い、目で見、
耳で聞くことによって、
直接に心に響きます。
地下鉄の疾走、
轟音と共に走り去る地下鉄、
これは映画ならでは。
地下鉄でのタイムスリップには
ゴーッという音が効果的な役割。
そしてオムライスは、
嗅覚までも刺激しそうになります。
[地下鉄はいい、思った場所に、
自在に行ける…]
生存中の記憶も、もう、かなり
うすれかけている父のことも
たまには思い出してみようかな…。
悲しすぎるみち子との愛を超え、
父への理解の深まりによって、
家族のことを見直し、
これからの再生を、
想像できる終わり方で、
ホッとした気持ちです。