終業式、退職を控えた、
中学の女性教師が
クラスの生徒を前にしての一人語り。
愛する一人娘を失った原因となる
教え子を告発。
その少年に対する復讐。
衝撃的な第一章の幕開け、
最初から、引き込まれます。
感情を交えないで語る、
女性教師がこわい。
第一章聖職者は驚きのラスト。
さらっとした書き方も、
よけいに不気味さを感じます。
第二章後は、登場人物が順々に、
真実を語るという構成。
感情移入は出来ない人達。
あまりに陰鬱で救いがないです。
事件を本人、級友、
家族から語らせ真相に導く。
どの章にもある悪意というベース。
それはラストまで続きます。
心の恐ろしさが伝わってきて、
気分が悪くなりそうな暗い話。
普通に生きてきた人達、
そんな人々が心に歪みが生じ、
傷つけ、憎み合う怖さ。
人間的な暖かさの
感じられない登場人物は
救いがないです。
それが不気味さを増大させます。
読書中の不快さはあっても
それでも止められない、
もっと先を読み進めたくなる小説です。
本を読み進めていくにつれ、
繋がりをみせるストーリー。
絡み合う伏線、すぐれた構成。
本作がデビュー。
「熱血やんちゃ先生」という名前、
なんか妙に浮いていて
この小説の薄暗い雰囲気に、
そぐわない感じ。
それが不思議と強い印象をもたらして
忘れられない名前になりました。
第29回小説推理新人賞受賞
2009年本屋大賞受賞
『このミステリーがすごい!2009年版』 国内第4位
『週間文春ミステリーベスト10』第1位
評価高いんですね!
図書館でもなかなか順番が
まわってきませんでした。