花ごよみ

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愛に乱暴  吉田 修一

2013-08-20 | 本 ま、や行(作家)

愛に乱暴

この本の主人公である桃子、
不実な夫に対して、
彼女は本当に愛を持っていたのか?
それとも無意識に、
自分の過去を正当化したくて
単に夫に執着していただけなのか?

主人公、夫、義母…
登場人物全て
共感できる人物がいない。

不倫中の女性の日記、
彼女の普段の生活、
不倫をされている妻の日記、
というパターンで
進められて行きますが
読んでいる途中で、
なにか誤った方向に
進行しているんではないかと
気持ち悪さを感じてしまいます。

桃子が女と会う前日の、
わくわくして浮かれている様子など
まるで女性作家なのかと
思ってしまうほどのリアリティー。
揺れ動く桃子の心の闇の、
描き方が上手いです。

床下の穴とかチェインソーとか
理解不能な妻の行動、
何かが起こりそうな不安感、
緊張感も…

やったことはやり返される、
奪った夫をまた奪われるにしても
それほどの価値のない夫のために
異常をきたすほどの
危うい精神状態に
陥ってしまうなんて…
すっきりしない読後感。






コメント
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