俺俺
最初、オレオレ詐欺の物語かな?
と思いながら読み始めました。
たしかに、偶然携帯を拾った自分が、
「俺」じゃないと感じる『俺』の、
振り込め詐欺から、
この物語は始まりますが…
(書いていることがよく分からないと思います)
個の「俺」が、実は絶対的な俺でなく、
存在感の薄い「俺俺」。
最初は互いのために、
存在していたような俺等三人、
穏やかな境地で開放感の中にいる俺等、
分かり合えた俺等から、
「俺」の増殖が起こる。
そして増殖の結果の「俺山」の崩壊。
俺達は破綻し、
俺達の消去に至る。
空虚な存在の俺は、
もう自分が俺か、
俺俺か判別できなくなってしまい
無秩序になった世界を彷徨する。
テーマの思いつきは斬新で奇抜。
怖ろしくも不思議な感覚の小説です。
人生の意義も探せない絶望的な状況で、
あるはずのない世界を描いています。
この世はみんな画一的な俺俺、
…というのもまた
あり得るかとも思えますが…
無個性な人間社会、
現代に生きる人間の、
取り替え可能な社会を、
描いているのだけど…
物語としては中頃から、
一本調子の感がしてきて、
収まりがつかなくなってきたように感じ、
だんだん読み進めるのが
きつくなってきました。
亀梨和也主演で映画化でされるそうです。
こんな現実離れした不思議な世界、
どう映画化されるのかな?
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