はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

2人の食卓

2008-03-07 17:28:29 | アカショウビンのつぶやき
ほっそりとした体を保ちたいならば
おなかをすかした人に
食べ物を分けてあげなさい


これは、オードリー・ヘプバーンが好きだった、
米国人作家、サム・レベンソンの詩
「時の試練をへた人生の知恵」の一節です。

 日本発の国際貢献活動「テーブル・フォー・ツー」とは、低カロリーのメニューを選べば、食事代の一部20円が、国連の世界食糧計画(WFP)に寄付され、アフリカなどの学校給食費にあてられる仕組みです。
20円は途上国での学校給食1食分の費用。一つの食事を途上国の見知らぬ子どもと分かち合うという意味で「2人の食卓」と呼ぶという。

 横浜市や伊藤忠商事、富士通などが昨年から社員食堂で導入し、自らの肥満防止や社員の健康増進が途上国支援につながることが共感を呼び、インドや米国にも輪を広げつつあるという。

 レストランで、メニューを決める時、真っ先に考えるのは「食べきれる量かな…」。戦中派の私はモッタイナイが染み込んでおり、残すのは罪悪感を感じる。夫がいた頃はいつも応援して貰ったが、今は独り分の小さな胃袋しかないので、美味しそうなメニューも我慢しなければならない。この運動が広がって、量もカロリーもひかえめなメニューが多くなってほしいとつくづく思う。

 遠い国の子どもと食事を分け合うことができることは素晴らしい
  
 ※ 毎日新聞「発信箱」から引用しました。



小さな希望

2008-03-07 07:47:15 | はがき随筆
 夕方、可燃物だけは自分で持参しようと家を出たが、途中でつえを忘れたことに気づいた。歩行困難で介護してもらう日常生活なのに……。不安が募る。ペースメーカーは異常な強さで動く。倒れるのを覚悟で曲がった背を伸ばし、泳ぐように歩いて家にたどり着く。不思議!!
 わずかだが歩けた。60日ぶりだ。動けば最悪の事態を招くとの恐怖心で何もできず、絶望のどん底で苦しんでいた。助けてくれる知人友人のお陰だと、うれしくて感謝の涙があふれる。少しずつ努力したい希望が見える。夕闇の沈丁花の香りの中から優しい夫の声が……空耳?
   薩摩川内市 上野昭子(79) 2008/3/7 毎日新聞鹿児島版掲載
   写真はネロさんからお借りしました。