はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

たまごかけごはん

2008-03-29 12:31:37 | アカショウビンのつぶやき
 産み立て卵をいただいた。殻がざらざらしていて、産み落とされたときの温もりが伝わってきそう。さあ、今日は大好きな「たまごかけごはん」にしよう。お店で買う新鮮卵には、ちょっとためらいがあり、なかなかチャンスのない「たまごかけごはん」。

美味しい!
食べながら、ふうーっと遠い昔の一頁が甦ってきた。
 5歳ぐらいだった私は、姉に連れられて親戚の家を訪ねた。田舎で、たいしたご馳走もない当時のこと、出されたのは「たまごかけごはん」。
 その頃は、当時のファッションだったのか、よそ行きの洋服を汚すといけないとの母の配慮だったのか、よくエプロンを掛けてお出かけしていた。真新しい真っ白いエプロンをかけて、お行儀よく食べ始めたのはいいが、頬張りすぎたのか、ボタッとご飯をこぼしエプロンを真っ黄色に染めてしまった。帰ったら母に叱られると思ったのか、泣き虫だった私は大泣きに泣いて姉を困らせてしまった。遠い昔のほろ苦い思い出…。
 我が儘な妹に散々苦労されられた姉も今年85歳を迎えた。少しずつ幼くなっていく姉に今度は私がお返しをしなくては、暖かくなったら会いに行こう。


すき

2008-03-29 11:50:25 | アカショウビンのつぶやき

 素敵なバースデーカードを頂いた。いや
「バースデーブック」と言った方がいいのかな…。
本のタイトルは「すき」

あなたがいつも元気でいられますように。
あなたが笑顔でいられますように。
あなたにステキなことがたくさんありますように。
あなたの夢がかないますように。

いっぱいありすぎ?

でも、一番はね、
これからもずーとなかよしでいられますように!

おたんじょうびおめでとう


語らない体験

2008-03-29 07:05:31 | はがき随筆
 永長貞夫氏の私家版「沖縄戦生還記」をご遺族から頂いて読んだ。満州で徴兵され門司から南方へ向かう。途中、左舷に故郷米ノ津の矢筈岳を見、ひそから現在地と進路を知る。沖縄では塹壕堀りの毎日。米軍上陸後は遭遇戦となり、前進した隊が全滅するかと思えば、とどまった隊が全滅する。生は執着の対象ですらなく、わずかのすき間に結果としてだけ残る。
 絶叫もなければ告発もない、抑制の利いた言葉が、孫に語り継ぐためにつづられている。
 氏は50年前、私の担任だった。今思い起こせば、このことを語ることは一度もなかった。
   出水市 花園勝政(65) 2008/3/29 毎日新聞鹿児島版掲載
   写真は桜香(さくらこ)さんからお借りしました。