診察室から出てくると「もう帰りましょうよ」と力のない目で私を見つめた。それが愛犬ランとの別れになってしまった。
病院から帰ると、毛布でくるんで暖めてやった。が、気づいた時は、もう遅かった。いくら呼んでも反応はなかった。
築山のキンモクセイの下に妻と共に黙々と穴を掘った。眠っているランをそっと納めた。
シェパードの雑種の中型犬だったランは8年間、家族と一緒だった。小屋の床を総すのこ張りにした時「涼しいね!」と、共に寝ころんだこともあった。
その小屋は今、空っぽ。誰もいない。
出水市 中島征士(63) 2008/3/23 毎日新聞鹿児島版掲載
病院から帰ると、毛布でくるんで暖めてやった。が、気づいた時は、もう遅かった。いくら呼んでも反応はなかった。
築山のキンモクセイの下に妻と共に黙々と穴を掘った。眠っているランをそっと納めた。
シェパードの雑種の中型犬だったランは8年間、家族と一緒だった。小屋の床を総すのこ張りにした時「涼しいね!」と、共に寝ころんだこともあった。
その小屋は今、空っぽ。誰もいない。
出水市 中島征士(63) 2008/3/23 毎日新聞鹿児島版掲載