はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

花嫁と父

2010-07-03 20:48:45 | はがき随筆
 娘と腕を組み、ステップを合わせ、ウエディングロードを歩く。父親の心を揺らす道だ。
 色黒の私が、純白のドレスをまとう色白の娘を引き立てたのか、式場が「きれい!」の声で沸く。花嫁と父は感謝の気持ちを腕で伝え合う。まぶたに幼い姿の娘が浮かぶ。浴槽でおぼれかけたり、韓国岳で転げ落ちそうになったこと。万里の長城で、へたり込んだ初めての海外旅行。母を助けて登った富士の山など、思い出は尽きない。
 腕を離す時がきた。13歳まで風呂を共にした愛娘の背中をそっと押し、笑顔で″六月の花嫁″を花婿に託した。
  出水市 清田文雄(71) 2010/7/3 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はフォトライブラリより


3枚の書き物

2010-07-03 20:29:08 | はがき随筆
 本棚から会社時代の書き物が出てきた。営業社員の人柄、仕事ぶりを「色」「漢字」「その他」に例えた3枚の用紙。仲間を奇抜な表現で実に特徴をつかみ、的を得たものだと当時、感心したものだった。
 それは人柄を色の12色、漢字一文字で静、熱、努などで表現し極めつけは「その他」。動きの鈍い社員をかたつむり。講釈を並べる者を壊れた拡声器。積極性に欠ける土偶。そして切れ味鋭い包丁、弾丸、イチローなどと仕事ぶりを見事に例えた。
 え? 今の私ですか。色は黄。漢字は快。その他は真夏に咲く大輪のヒマワリ!かな。
  鹿児島市 鵜家育男(65)2010/7/2 毎日新聞鹿児島版掲載