はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

副産物

2010-07-24 10:14:38 | はがき随筆
 水門の深みで優雅に泳ぐコイが、大ジャンプして浅瀬を上り始めた。滑りまろびて土手を下り、やぶを突っ切る脳裏に苦い記憶がよみがえる。
 昨秋、水落としされた用水路にウナギを発見。子どもでも捕れる。高を括り、U字溝のすき間に逃げられた。
 昨秋の二の舞はごめんだ。走る。コイと組んずほぐれつ格闘する浅瀬は地の利。産卵前の太鼓腹は天の利。天地の利を生かし、抱き捕りに成功した。
 ウナギの敵をコイで捕り、大ゴイをぶら下げた凱旋帰路は、意気揚々と鼻もそびえた。ウオーキングの副産物に破顔一笑。
  出水市 道田道範(61)毎日新聞鹿児島版掲載
写真はフォトライブラリ-