はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

不思議な褒美

2010-10-04 17:30:17 | はがき随筆
 コンロ上にナスを転がし焙る。ジューッと音をたて、シュッポッポと、まるで蒸気機関車が走っている。台所に香ばしい香りが漂う。娘は焙りナスに舌鼓を打った。素朴な田舎料理だが、都会の娘には新鮮さを感じたのか、心打たれた様子。タレは腕の見せ場だ。魅力的な味覚が隠されている。長年のキャリアから「お母さんの味」。娘も料理の腕は立つが、私の料理をほめたたえた。うれしかった。
 私の腕にも自信がわいた。娘は何を標的にしたのか、パールのネックレスをいただいた。ありがとう。20日間の臨海合宿は夏の楽しい思い出だ。
 姶良市 堀美代子(65) 2010/10/4 毎日新聞鹿児島版掲載