はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

第33回おかあさんコーラス合唱祭

2010-10-30 21:59:41 | アカショウビンのつぶやき

そろそろリハーサルです。メゾさんはもう一度、音の確認です。


スカーフをもう一度丁寧に結び直し、リハーサル室に移動します。


3世代で歌うグループは、お子ちゃまも元気に歌っています。


素敵なコスチュームのグループが多いのですが、シンプルなTシャツスタイルは新鮮でした。



 今年も「鹿児島県お母さんコーラス」で歌いました。
5月に練習スタートした「Ave Maria」は、鈴木憲夫作詞作曲の素晴らしい曲です。

かなり難しく、半年近くのあいだ繰り返し繰り返し練習しました。
アカペラで歌い始める怖さ…。
途中で伴奏が入ると半音から、ひどい時は1音下がっているのです。
今回は伴奏者のご都合で伴奏に合わせる練習が少なかったこともあり、下がる所は分かっているのですが、なかなか修正できません。

とうとう不安を抱えたまま本番を迎えてしまいました。

長い曲で6分以上かかります。
一番怖いところは何とかクリアしました。
思わず先生がオーケーサインを送ってくださいました。(*^_^*)
楽譜に書き込んだ沢山の注意事項を一つ一つ思い浮かべながら歌いました。
でも緊張のせいか、1カ所間違えた(>_<)
練習では問題なかったところなのに…残念!

何はともあれ、終わりました。

聞くのが怖いMDでしたが…みんなで一緒に聞きました。
人数が少ない割には、良く響いていますが、やっぱり下がり気味。
でもこれが私たちの実力なんです。

さあ、気を取り直してクリスマスの賛美と、あと一月と迫った第九演奏会に向けて全力投球です。

同居者

2010-10-30 12:32:08 | 女の気持ち/男の気持ち


 面白いこともあるものだ。息子が家を離れるたびに小動物が現れる。最初は6年前だった。
 就職で彼が独り立ちした4月のある朝、入れ替わるようにツバメの若夫婦がやってきた。1人暮らしの家の玄関先だけが急ににぎやかになった。
 「新しい入居者を紹介します」
 写メールを送ると、すぐに返信があった。
 「仲良く暮らすように」
 そして今回。突然の移動で慌ただしく出発することになった前夜のこと。帰宅するなり、靴も脱がないうちに息子が弾んだ声で言った。
 「夕べ、とってもいいものに会った」
 深夜の風呂場で、小さなヤモリに遭遇したのだという。
 「どんなの」
 「灰色のかわいいやつだよ」
 何気なく視線を動かした息子が、小さいけれど、はしゃいだ声をあげた。
 「あっ、あれだ、あれだよ」
 つられて玄関の天井の隅の暗がりに目を凝らすと、小指ほどの大きさのものが逆さまになってゆっくり歩いている。
 「ヤモリがいる家に、悪いことは起きないっていうからね」
 息子は安心したように顔をほころばせた。
 うちにもちゃんといたんだね。ヤモリ君、末永くよろしくね。私も嬉しくなって、一緒に笑った。
  鹿児島市 青木千鶴 2010/10/30 毎日新聞の気持ちより 写真はフォトライブラリより

一瞬の出来事

2010-10-30 12:11:51 | はがき随筆
 和歌山から、従姉夫妻が訪れたのは、昭和51年春のころ。内之浦のロケット基地へ案内することになった。炊きたてのご飯、キビナゴ、漬物、コンロも準備し出発した。
 山間の眺めのよいところで休憩。さてと立ち上がった時、突然、霧が立ちこめる。私たち全員が視界から消える。棒立ち。乳白色の霧に包まれた感じは柔らかく、ぬくもりがあり、そして明るい。
 その時、谷底からウグイスのさえずり。矢のように一声。それに合わせて霧は、さっと消えた。不可思議な自然との遭遇に私は謙虚に生きようと思った。
  鹿屋市 小幡由美子(76) 2010/10/30 毎日新聞鹿児島版掲載

夕食の時間

2010-10-30 10:23:21 | はがき随筆
 ある日の夕食時に、夫が「ミソ汁の具の豆腐が、最近、木綿豆腐じゃない」と言った。
 私は「うん! 絹ごし豆腐の方が好きだから」と言うと、夫は少し怒ったような声で「木綿豆腐の方がいい」と言った。
 夫いわく「絹ごし豆腐は、昼食の時に食べるように」と勝手なことを言う。
 以来、夕食のミソ汁の具に絹ごし豆腐は出さなくなった。
 それから、今までは、何でも上手に出来た方の料理を夫に出していたが、それを2回に1回にして平等にした。夫は気づかないようであるが、一矢報いたような気分になった。
  鹿児島市 今釜ゆかり(46) 2010/10/29 毎日新聞鹿児島版掲載