はがき随筆9月度の入選作品が決まりました。
▽鹿児島市城山、竹之内美知子さん(76)の「空に泳ぐあひる」(4日)
▽出水市武本、中島征士さん(65)の「待ち伏せ二つ」(30日)
▽志布志市志布志町志布志、小村豊一郎さん(84)の「夜明けの渚」(16日)
の3点です。
この欄を担当して初めてのことですが、9月の投稿には若い方のものが数編あり、また若者の好印象を描いたものも数編ありました。若い世代にやや失望しかけていたものにとっては、気分が少し変わりました。
山下智恵さん(23)の「人生の夏休み」(12日)と百瀬翔一郎さん(20)の「悩んでみよう」(23日)は、大学生らしい迷いの季節が表れています。勘米良亜紀さん(35)の「うわのそら」(27日)は電話の友人のグチを聞きながら、自分の子どものころの幸せに気づく内容で、若さからのお別れのころあいです。
福崎康代さん(47)の「地下鉄の天使」(28)は、地下鉄の階段で荷物を持ってくれた女子高生への感謝の気持ちの溢れた文章で、明るい気持ちになります。これは橋口礼子さん(76)の「感動」も同様で、山道の倒木を一人で片付けている青年の「親切、真心にふれ感動した」内容です。
萩原裕子さん(58)の「声が聞きたい」(11日)は、脳出血での闘病中のご主人が、携帯電話で亡き母親の声が聞きたいと言われるのに、中学生の娘さんが、とっさの機転で携帯に入力してその場をおさめたという内容です。宛先は「天国」でありアドレスはなかったそうです。
若い世代が社会の中心になりだしたようです。
今月の優秀作を次に挙げます。
竹之内美知子さんの「空に泳ぐあひる」は猛暑と降灰のある日、ふと空を見あげると白い雲が刻々形を変え、一時あひるに見えた。地上の酷暑と天上の自由な広がりがうまく対比されています。
中島征士さんの「待ち伏せ二つ」は、飼いネコがニンジン畑で待ち伏せをして、虫を待ち伏せて狙う小鳥を狙ってくわえ、見せに来るという内容です。クレマチスからの命名でその名をマチスといい、15歳で急逝したとありますが、愛情溢れる追悼の文章です。
小村豊一郎さんの「夜明けの渚」は美しい文章です。老いの早起きのせいで海岸の渚を見に行く。空のは残月。自分の人生が月のようにまた「膨らむ日」はないが、充実した日々を送りたいものだという感想です。
(鹿児島大学名誉教授・石田忠彦)
▽鹿児島市城山、竹之内美知子さん(76)の「空に泳ぐあひる」(4日)
▽出水市武本、中島征士さん(65)の「待ち伏せ二つ」(30日)
▽志布志市志布志町志布志、小村豊一郎さん(84)の「夜明けの渚」(16日)
の3点です。
この欄を担当して初めてのことですが、9月の投稿には若い方のものが数編あり、また若者の好印象を描いたものも数編ありました。若い世代にやや失望しかけていたものにとっては、気分が少し変わりました。
山下智恵さん(23)の「人生の夏休み」(12日)と百瀬翔一郎さん(20)の「悩んでみよう」(23日)は、大学生らしい迷いの季節が表れています。勘米良亜紀さん(35)の「うわのそら」(27日)は電話の友人のグチを聞きながら、自分の子どものころの幸せに気づく内容で、若さからのお別れのころあいです。
福崎康代さん(47)の「地下鉄の天使」(28)は、地下鉄の階段で荷物を持ってくれた女子高生への感謝の気持ちの溢れた文章で、明るい気持ちになります。これは橋口礼子さん(76)の「感動」も同様で、山道の倒木を一人で片付けている青年の「親切、真心にふれ感動した」内容です。
萩原裕子さん(58)の「声が聞きたい」(11日)は、脳出血での闘病中のご主人が、携帯電話で亡き母親の声が聞きたいと言われるのに、中学生の娘さんが、とっさの機転で携帯に入力してその場をおさめたという内容です。宛先は「天国」でありアドレスはなかったそうです。
若い世代が社会の中心になりだしたようです。
今月の優秀作を次に挙げます。
竹之内美知子さんの「空に泳ぐあひる」は猛暑と降灰のある日、ふと空を見あげると白い雲が刻々形を変え、一時あひるに見えた。地上の酷暑と天上の自由な広がりがうまく対比されています。
中島征士さんの「待ち伏せ二つ」は、飼いネコがニンジン畑で待ち伏せをして、虫を待ち伏せて狙う小鳥を狙ってくわえ、見せに来るという内容です。クレマチスからの命名でその名をマチスといい、15歳で急逝したとありますが、愛情溢れる追悼の文章です。
小村豊一郎さんの「夜明けの渚」は美しい文章です。老いの早起きのせいで海岸の渚を見に行く。空のは残月。自分の人生が月のようにまた「膨らむ日」はないが、充実した日々を送りたいものだという感想です。
(鹿児島大学名誉教授・石田忠彦)