はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

恥の問題

2010-11-01 21:36:22 | はがき随筆
 恥=世間に対する面目、名誉を失うこと。そう辞書に書いている。人の心の持ち方にかかわることだ。社会的に最も信頼し敬愛されるべき人が、故意に事を運び、非難されるとしたら、まさに大きな恥。今、改ざんなどで世間を大騒ぎさせている。日常的に見られる親子、友人、師弟間のトラブルや、公共の場のいかがわしい行為も枚挙にいとまがない。
 一方「同じ石に三度つまずくは恥辱なり」の諺も有名。個人の問題で、自戒を諭す教えだ。公私にかかわらず、自己を高めるべきだという社会的要請に、真剣に取り組まねばならない。
  薩摩川内市 下市良幸 2010/11/1 毎日新聞鹿児島版掲載

「父からの絵手紙 元気もらう」

2010-11-01 19:18:40 | 岩国エッセイサロンより
2010年10月31日 (日)
   山陽小野田市  会 員   河村 仁美

 80歳を過ぎ肺気腫を患っている父の楽しみは絵手紙だ。この時季はおいしい秋みーつけたとばかりに、次々と絵手紙が届く。「秋の宝石キラキラ」のブドウ。「どかんと秋」では、はがきいっぱいにダイナミックに描かれたナシ。今治市に住む父の絵手紙をながめていると、ふるさと愛媛を思い出し、私の心は満腹になり、元気が出る。

 今年の初め、体調を崩し絵手紙を描く気力を無くした父。気休めにコンテストへの応募を勧めた。それが、まさかの審査員特別賞。80歳で手にした賞状に描く気力がよみがえった。ほくほくのサツマイモの絵手紙には「好きなときにちょっと描く。その日の気分でのびのびと。気楽な心が味のある絵にしてくれる。思いついた言葉をそえて」の文字がある。

 最近は、母の「これだけ描けるんだから、ぼけてないよ」の言葉に励まされ、描き続けていると聞いた。父には病気に負けないで、これからも感動いっぱい、感激いっぱいの絵手紙を届けてほしいと願っている。

  (2010.10.25 愛媛新聞掲載) 岩国エッセイサロンより転載