はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

『ツルを八代盆地に勧誘したい』

2010-11-04 21:19:14 | 岩国エッセイサロンより
2010年11月 3日 (水)
     岩国市  会員   安西詩代

 10月27日朝、待ちに待ったナベヅル4羽が山口県の八代盆地に飛来した。数日前、八代小学校の児童たちが「つるよ来い来い集会」をして、空に向かって全児童24人が「つるよ来い!早く来い」とかわいい声で叫んだ。こんなにいとしい思いでつるを待ってくれるくれているところがあるだろうか。1羽増えるたびにニュースとなり、八代盆地の住民ばかりでなく多くの県民が、「今年は昨年(越冬数は7羽)より多く飛来して」と願っている。

 鹿児島県の出水平野には毎年、多すぎるぐらいのツルが飛来する。私にツルの言葉が話せたら、「あなたたち、八代盆地にいらっしゃい。エサ場もしっかり造ってあるし、すごく住みやすい所よ」と、出水平野でツルを勧誘したい。(出水平野でツルの世話をされている皆様、ごめんなさい)

 私が小学校の頃、母に連れられ八代のツルを見に行って「鶴の卵」というフワフワのお菓子を買ってもらったのを思い出した。その頃は何羽ぐらい飛来していたのであろうか。たくさんのツルが田んぼにいた気がする。そのころに近い風景が再び訪れることを願う。

        (2010,11,03 朝日新聞「声」欄掲載)岩国エッセイサロンより