3階建ての我が家は、玄関が2階にあるので階段を11段上がらなければならない。老後の人生を思いやるときに最も恐れていたのが、加齢によるひざと腰の痛みからの歩行困難で、玄関までの11段が魔の階段になることだった。
そこで喫茶店として貸していた1階をワンルームにリフォームすることにした。かなり迷ったが、これからの20年を見据えて早めの対策を講じたのだ。73歳の夫と64歳の私たち夫婦にとって、リフォームに踏み切るのは体力的にも精神的にも今をおいてないと思ったからだった。
喫茶店のカウンターはそのまま活用して、対面式のキッチンにした。厨房は衣類や寝具、生活用品などを置く部屋に。食器類は作り付けの食器棚に収まるだけに絞り込み、室内にはベッド以外の家具類を置かないようにした。車椅子での生活も視野にいれてのことである。
不要なものは買わない。余分なものは増やさない。買いだめはしない。それを常に自分自身に言い聞かせて、老後の日々はシンプルをベストとして過ごしたい。
打ち合わせ、見積もりも終えて、工事開始が待ち遠しい。
当面は私のマイルームとして使って良いとの内諾を夫からは得ている。願わくは、ずっとその状態が続いてほしい。
このリフォームが無駄だったということになるのが一番いいから。
長崎市 松本和子 2010/11/25 毎日新聞女の気持ち欄掲載
そこで喫茶店として貸していた1階をワンルームにリフォームすることにした。かなり迷ったが、これからの20年を見据えて早めの対策を講じたのだ。73歳の夫と64歳の私たち夫婦にとって、リフォームに踏み切るのは体力的にも精神的にも今をおいてないと思ったからだった。
喫茶店のカウンターはそのまま活用して、対面式のキッチンにした。厨房は衣類や寝具、生活用品などを置く部屋に。食器類は作り付けの食器棚に収まるだけに絞り込み、室内にはベッド以外の家具類を置かないようにした。車椅子での生活も視野にいれてのことである。
不要なものは買わない。余分なものは増やさない。買いだめはしない。それを常に自分自身に言い聞かせて、老後の日々はシンプルをベストとして過ごしたい。
打ち合わせ、見積もりも終えて、工事開始が待ち遠しい。
当面は私のマイルームとして使って良いとの内諾を夫からは得ている。願わくは、ずっとその状態が続いてほしい。
このリフォームが無駄だったということになるのが一番いいから。
長崎市 松本和子 2010/11/25 毎日新聞女の気持ち欄掲載