はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

「9・11」

2011-09-18 18:08:18 | 岩国エッセイサロンより
2011年9月18日 (日)

岩国市  会 員   樽本久美

10年前、1人でアメリカに行った。偶然にも世界貿易センターに旅客機が突っ込んだ1週間前のことだった。元英会話の先生のクリス宅で4日間の滞在。その時、隣家で車椅子の母親が盲目の娘さんのために本を読んでいた姿を今でも思い出す。

交通事故で不自由な体になっても、子供のために本を読んでいる母。今回、大地震で多くの子供たちに本の読み聞かせや絵本を贈る活動が盛んに行われている。9月になると必ずあの日のことを思い出す。心が渇いた時には「あの絵本」を幾度となく読んでいる。今年も9・11が来た。

  (2011.09.18 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩國エッセイサロンより転載

家族で「臓器提供」問題を

2011-09-18 07:47:06 | 岩国エッセイサロンより
2011年9月17日 (土)

岩国市  会 員   安西 詩代    

先日、「少年脳死、臓器提供」という記事を見て、すばらしい家族だと思うと同時に、短時間でこの難しい選択をされた家族の苦悩を察すると胸が痛む。

18歳未満の臓器提供は、昨年7月の改正法本格施行以来まだ2人目だそうだ。臓器提供がなかなか進まないのは、親の判断だけで臓器提供を承諾することにためらいがあるのも一因ではないだろうか。自分の家族のこととして考えたくないことだが、「臓器提供」のニュースがあった時は、家庭内でこれを話題に話し合ってほしい。

今回、臓器を提供された家族の方は、「本人は臓器提供関連のテレビ番組を見て、『死んでも人の役に立つなんてすごいよな』と話していた。本人だったら希望したと思う」と話したという。7人の体の中で、彼の臓器が生き続ける。臓器だけでなく、彼の意思、家族の思いも移植された方に伝わることだろう。  

私も12年前から臓器提供カードを携帯し、「死んでも人の役に立てるのは良いこと」と思っている。しかし、目は老眼が進み、血圧も高めになった。移植できる場面が訪れたとき、役に立てるか心配だ。自分だけの体ではないと思って、犬切に生きよう。

 (2011.09.14 朝日新聞「声」掲載)岩國エッセイサロンより転載