はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

親指も

2011-10-07 21:15:09 | はがき随筆
 「親指」とは、よく言ったものだ。
 最近、右手の親指を負傷し、外科に通うことになってしまった。包帯を巻かれた親指は、ハサミも使えず、卵を割ることもボタンをかけることも、ままならず。他の4本の指の助けを借りるものの容易でない。顔を洗うことすら、不自由である。
 いままで、この指の有り難さに気付くはずもなく、普通に楽々と暮らしていたことが、うそのようだ。
 親指を負傷して、その手助けを母親に委ねている。親も、親指も、本当に有り難いものである。
  肝付町 永瀬悦子 2011/10/7 毎日新聞鹿児島版掲載

「一挙両得」

2011-10-07 11:58:31 | 岩国エッセイサロンより
2011年10月 7日 (金)

   岩国市  会 員   安西詩代

 プロ野球が佳境に入ってきた。阪神ファンの夫は「なぜ、そこで打たないんだ」「バカだな、おまえは」「何をぐずぐずしているんだ」と大声でテレビに怒鳴る。近所の人には2人暮らしの我が家ゆえ、夫婦げんかとしか思えない。

今年は対処法を考えた。夫が文句を言い始めると一緒になって「そうよ、ダメな選手よね。何億ももらい過ぎよね」「こんないい球、打たないなんて」と夫の数倍の悪口を言うと「そりゃ、仕方ないよ。毎回打てることはないよ」と選手の肩を持つ。この作戦、功を奏したと同時に私のストレス発散にもなる。

 (2011.10.07 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩國エッセイサロンより転載