はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

かるかん

2011-10-26 22:22:44 | はがき随筆
 郷土銘菓のかるかんが大好きだ。あんこの入っていない白いのが。店により味もそれぞれだが、山芋の配合が多いとしっとりもちもちした出来になるようだ。
 若いころ、ディーゼル車で通勤していたが、毎朝一緒になる女性がお菓子工場に勤めていて「山芋を触るので、手がかゆくなる」と両手をさすりながら話していたことがあった。
 子供時分には、箱入りの大きなかるかんを思う存分食べたいと思っていたっけ。
 時々、無性に食べたくなり、手のひらサイズの四角い5枚入りを買いに行く。
  鹿児島市 本山るみ子 2011/10/24 毎日新聞鹿児島版掲載

はがき随筆9月度入選

2011-10-26 21:50:55 | 受賞作品
 はがき随筆9月度の入選作品が決まりました。

▽鹿児島市薬師、種子田真理さん(59)の「異床同夢」(19日)
▽同市城山、竹之内美知子さん(77)の「真夜中の報告」(1日
▽屋久島町平内、山内淳子さん(53)の「涼風」(23日)

の3点です。

 季節の変わり目のせいか、夏の草花を愛でたり、初秋の菜園の稔りを楽しんだり、という季節感を表した文章が、9月は多かったようです。それぞれに心なごませる文章でしたが、難を言えば、もうひとひねり欲しいという印象をもちました。
 種子田真理さんの「異床同夢」は、交際中に、煙草を止めたご主人が吸いたがっている夢を見たことを話すと、ご主人も吸ってしまった夢を見たという不思議な経験が書かれています。霊の交感とまではいいませんが、夏目漱石が『漾虚集(ようきょしゅう)』でそのことを小説にしています。
 竹之内美知子さんの「真夜中の報告」は、ご主人の初盆に帰省した孫娘が、プロポーズしてくれた恋人の印象を話してくれた。お祖父ちゃんにどこか似ているという報告に、思わず胸がときめいた「お盆の夜」のことでした。これも『樣虚集』ですが、恋愛感情は遺伝するという小説があります。
 山岡淳子さんの「涼風」は、夏休み中の空っぽの教室で仕事をしていると、涼風が通り抜けた。これを「極楽風」というのかと感謝の気持ちがわいたという、瞬時の感覚をとらえて、それが巧みな文章になっています。こういう感覚には心を洗われるような懐かしさを感じます。
 入選作のほかに3編を紹介します。
 志布志市志布志町志布志、小村豊一郎さん(85)の「彼岸花」(24日)は、その時期になると固い土を割って必ず芽を出す彼岸花の不思議が描かれています。そこから、若山牧水の生家の彼岸花、それに墓参などを連想し、自然の神秘に思いを馳せた文章です。
 指宿市十二町、有村好一さん(62)の「FMかのや」(2日)は、故郷から内海を隔てた指宿に暮らしていて、FMかのやから聞こえて来る大隅の方言を懐かしんでいるという内容です。何時まで経っても「ふるさとの訛りなつかし」ですね。
 出水市大野原町、小村忍さん(68)の「伝説の大楠」(25日)は、恋を裂かれた二人が、それぞれの思いを楠の実に託して植え、大楠になったという伝説の紹介です。恋はかなえられないものだからこそ、このような伝説に憧れるのでしょうね。
  (鹿児島大学名誉教授・石田忠彦)

二水会

2011-10-26 21:41:51 | はがき随筆
民生委員、スタッフ数名、市社協の指導のもと月に1度第2水曜に行われる生き生きサロン「二水会(ふたみずかい)」があった。
 参加者30名、ラジオ体操、柔軟体操で体をほぐす。難しかったのは空ビール缶を10個立てた組が勝ちのゲーム。緊張の汗の中、皆熱心。最初はグーでジャンケンポン、白組がまず、グラッ、パタン。また、紅組も同じくダウン。どうしてもまっすぐには立てない。引き分け万歳!
 最後は読書の秋とて「山ん婆」物語を音読し、静かな静かな「里の秋」を合唱。お茶会では芋で作ったガネが美味。よき汗を流し感謝、感謝の日でした。
  阿久根市 松永修行 2011/10/23 毎日新聞鹿児島版掲載

秋を探しに

2011-10-26 21:35:48 | はがき随筆
 冗談大好きな私。妹宅に行きつい冗談言葉。真剣に聞いた義弟が連休で家族旅行に行き、休み明け出勤したら、同僚に「連休はどちらへ」。「僕は秋を探しに行きました」と返事。すると、皆がどっと笑ったらしい。
 何でか不思議な気がしたと。
 私が思うに、義弟には、その言葉が似合わなかったのだ。
 弟いわく「姉さんは気軽に秋を見つけにと言葉が出るが、僕が言うとおかしいのかね」。
 言葉には使って似合う人、似合わない人がある。悪口を言っても真剣にされず、少しのことで激怒される場合も。人の持ち味で面白い結果になる。
  肝付町 鳥取部京子 2011/10/22 毎日新聞鹿児島版掲載