はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

育った子スズメ

2012-08-09 12:14:49 | はがき随筆
 本堂の軒から落ちて来た1羽の子スズメは、生きてはいるがまだ裸ん坊である。親は気付いていないのか探す気配がない。
 さて、困った。どうしよう。思案のあげく、寺の雑事を手伝っている老婦人が仕方なく家で餌付けをすることになった。
 あれから約3週間。籠に入れて連れて来た。羽も立派に生え餌も自分でついばみ、人にもなれている。部屋の中で籠から出してみた。喜んで飛び回るが、いたる所にフンをして困る。これから先は私の担当だと言う。さて、どうしたものか。外に放しても自立できるのだろうか。思案にくれている。
  志布志市 一木法明 2012/8/9 毎日新聞鹿児島版掲載

裸電球の夏

2012-08-09 12:08:31 | はがき随筆


 今年は節電の夏だ。節電といえば昭和20年の夏を思い出す。
 連日の空襲で夜は灯火管制が敷かれ真っ暗だった。裸電球に黒の蛇腹を付けていたので更に暗かった。停電もしょっちゅうで「あっ、また停電」と突然消えた。電気といえば裸電球があるだけだった。家族は狭い部屋で暗い灯の下、代用食の夕食を取っていたが、家族の楽しいだんらんがあった。
 戦争が終わって灯火管制も、蛇腹もなくなって、輝く裸電球がまぶしかった。
 節電の今、生活は豊かになったが、裸電球で停電の多かった夏がなつかしい。
  出水市 畠中大喜 2012/8/8 毎日新聞鹿児島版掲載

トルコ紀行5

2012-08-09 11:47:47 | はがき随筆


 イスタンブールを語るのは難しい。旧市街、新市街、アジアサイドと分かれていて、その間には海峡がある。旅行者のほとんどは旧市街の散策で堪能した気分になると思う。ぼくがそうで、荒々しいほどの活気とそれを生み出す多種混交の人の波。橋の上から魚釣りをする人やバザールの店員が地元の人だと思うが、金髪碧眼から肌の色もいろいろ。
 2000年近い歴史の上に立つ建造物や城壁が変遷を見ただろう。活力がぶつかり合い、民族宗教文化なと、微妙なバランスを感じる街で、10年後が見たい街でもある。
  若宮庸成 2012/8/7 毎日新聞鹿児島版掲載

撮った!

2012-08-09 11:39:37 | はがき随筆


 月下美人をやっと撮影できた。今年3度目の開花だ。2~3週間ほど前の朝、しおれたツボミに気が付き、カミさんと二人で大いに悔やんだのだが、さらに昨日の朝、また2輪咲き終わっていたのだ。そのヨコにはツボミが5輪ほど咲く準備を終えていたので「今夜こそ撮る」と自分自身と月下美人に誓う。11時半、風呂から出てパンツ一丁で行って見た。咲いていた。
 玄関先にある、我が家で一番大きな木(ユス)の影に咲いているため狙いにくい。それでも何とかカメラに納めることができた。これで今年も月下美人の面目も保つことができた。
  西之表市 竹田静瞭 2012/8/6 毎日新聞鹿児島版掲載