はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

キャベツに感謝

2012-08-10 21:50:18 | はがき随筆


 我が家の菜園の1期生のキャベツ、インゲンなどが食卓に上がりだした。キャベツの青虫取りは大変だ。あまりの多さに、キャベツを処分しようと思ったことも。結局、虫取りを諦め、モンシロチョウになって2期生のナス、トマトなどの受粉に活躍してくれる事に託すことにした。初めての一人農業にしては何もかも良くできている。
 諦めていたキャベツも外葉は葉脈だけになっていたが、真ん中の玉が思いがけず大きくなり、これもまた食卓に上った。2日続けての料理に文句を言っていた主人も「うまい」と我が家の産物にご満悦。
  阿久根市 的場豊子 2012/8/10 毎日新聞鹿児島版掲載

田舎の観音様

2012-08-10 15:29:21 | はがき随筆
 休日ともなると散策コースが長くなり、ある時、西郷団地から奥の田舎道に入ってしまった。あぜ道より少し広い感じの田には田植えがされ、のどかな田園風景である。
 また、その奥に市が立てた看板があり「茂頭の観音様1.5㌔」と書いてある。導かれるままに歩くと、林の中にある木の階段を登ったところに、何と岩に彫られた観音様があるではないか。
 ここは自分の中での大発見であり、散策の御利益を感じた。
 今後、毎月上旬に茂頭の観音様との秘めた逢瀬を楽しみにしている。
  鹿児島市 下内幸一 2012/7/16 毎日新聞鹿児島版掲載

お別れの手紙

2012-08-10 15:18:16 | はがき随筆
 長崎に住んでいた義母が97歳で亡くなった。通夜も11時を過ぎ、斎場の宿泊室に職員の方が文箱を持って来られた。「明日お棺に入れますので折り鶴と手紙をお願いします」
 集まった縁者は思いを巡らす。私は手作りの野菜やみそのお礼を書き、夫は「おやじには苦労したけどそちらでは仲良くしてください。ゴボウ作りは難しくてかないません」と。
 思えば義母は車椅子の生活になりじきに施設へ。病院で最期を迎え、趣味の野菜作りも諦めていた。その分、義母の故郷でもある串木野で長男の夫が励んでいる。本望でしょうね。
  いちき串木野市 奥吉志代子 2012/7/15 毎日新聞鹿児島版掲載