はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ゴーヤー

2012-08-23 21:44:12 | はがき随筆
 ゴーヤーを好きになったのはあり時から。それまではあの苦みになじめなかった。
 その日は、姑の葬式。台所をお手伝いくでさる奥さん方が、骨揚げの待ち時間にと弁当を持たせてくださった。その中にスライスしたゴーヤーを、さっとゆでてしぼったものに、しょうゆとはなかつおかけた一品があった。その素朴な料理は、おにぎりに合い、おいしい。朝から何も食べていないお腹を満たす。人は悲しい時にもお腹がすくものだと涙と一緒にほろ苦さを飲み込んだ。
 あれから28年。ゴーヤー料理のレパートリーも広がった。
   鹿児島市 内山陽子 2012/8/23 毎日新聞鹿児島版掲載
              

姿勢の大切さ

2012-08-23 21:35:21 | はがき随筆
 2カ月前から背中の右下辺りが時折痛いので、テープを張ると効果がでるが、1日で消える。医学書を見ると膵臓のあるところとあり、母はこのがんで亡くなっており、内心驚きさっそく、病院でレントゲン、エコーの検査。先生の「特に心配する影はありません」の言葉に安心し、家に帰り妻に説明する。
 妻は「それは姿勢が悪いのよ。食事、読書、腰掛けの姿勢が日ごろから」と言う。内心うなずく。半分疑いながら、注意して生活すると5日目より痛みが消える。姿勢の大切さを痛感。我が家の名医にはしばらく頭が上がりません。
  鹿屋市 小幡晋一郎 2012/8/22 毎日新聞鹿児島版掲載

誕生日に

2012-08-23 21:29:00 | はがき随筆
 寂しい私のために天国から夫が神に頼んで手配してくれたように、関西から鹿大に入学した孫。下宿したいとも言わず、4年間を溝辺の我が家から通学した。卒業後は親のいる大阪と私との中間点、福岡に就職。ただ今、社会人2年目。先日、私の誕生祝うに帰って来てくれた。私の好物の上等のカステラやケーキを土産に。近所の魚屋さんで新鮮やクロダイを刺身にしてもらい、作っておいた煮物や酢の物で乾杯。ここに帰って来ると野菜も魚もおいしいよと。うれしいことを言ってくれる。
 今日はありがとうねと、素直に孫に礼を言った。
  霧島市 秋峯いくよ 2012/8/21 毎日新聞鹿児島版掲載

「主婦ってね」

2012-08-23 21:22:10 | 岩国エッセイサロンより
2012年8月23日 (木)

   岩国市  会 員   山下 治子

溶けたキャラメルみたいな真夏日続き。エアコン、冷蔵庫、人、まるで限界テストのような連日だ。と、冷蔵庫が息たえだえに汗をかきだし、氷ができなくなった。冷蔵庫の無い夏は地獄だ。容量が合えばよいからとあわてて買った。

やれやれと一息ついて4日後、同じ家電店が大処分セールを始めた。何だか損した気がして腹が立つ。今までの方が使い勝手がよかったなど愚痴も出る。「いずれ2人だけになるんだ。ちょうどよかったかもしれんぞ」。夫は冷えたビールを取り出し、「まぁ飲め、うまいぞ」。そうだね。

 (2012.08.23 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩國エッセイサロンより転載

「平和を願って」

2012-08-23 21:20:28 | 岩国エッセイサロンより
2012年8月21日 (火)

岩国市  会 員   横山 恵子

父急死後、しばらくして原爆資料館ヘボランティアに行った時、手紙を渡された。それは、以前ガイドした大阪の小学6年生からのものだった。
「原爆の怖さを知り、帰ってから1~5年生に伝えました。これからも私たちができることに取り組んでいくつもりです……」。戦禍をくぐり抜けた父の声無き声を伝えなくては。手紙が背中を押してくれた。
 今年も被爆地広島・長崎の平和式典に参列した人、人、人。心を一つにし、世界へ向け核廃絶を訴えるために……。何としても未来ある子供たちに平和というバトンを渡したい。

  (2012.08.21 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩國エッセイサロンより転載