はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

家族の心に亡父の姿

2012-10-26 17:56:39 | 岩国エッセイサロンより
2012年10月21日 (日)
   岩国市   会 員   横山 恵子

 毎月やって来るめい夫婦と1歳6カ月の子ども。先日来るなり、仏壇の前で手を合わせた。

 2歳7カ月の孫は、私の手を引いてろうそくを指さす。付けてやると線香に火をともして手を合わせた。「ひいじいちゃん、喜んでるよ」と頭をなでてやると、うれしそうな顔をした。

 父が事故で亡くなって半年。悲しみも、孫たちのあどけないしぐさに癒やされる。

 父は公務員を定年で辞めて後、福祉施設で76歳まで働いた。退職後は庭の一角で、無農薬野菜作りに精を出した。

 父亡き後、長男一家が草取りに来た時、長男が突然大声で「すご―い。棒がずず― っと入って行く」と叫んだ。そういえば父は「畑づくりは土地づくり」と言って、堆肥を作っていた。

 末っ子が「おじいちゃんの頑張ってる後ろ姿は目に焼き付いているよ」とも。たとえ肉体はなくとも、魂は心の中で生き続けるものと思う。これからも何かにつけ、思い出しながら生きていくのだろう。ありがとう、父さん。

   (2012.10.21 中国新聞「広場」掲載)岩国エッセイサロンより転載

「どっちかなー」

2012-10-26 17:53:43 | 岩国エッセイサロンより
2012年10月19日 (金)

    岩国市  会 員   吉岡 賢一

 満1歳の誕生日と定年退職が重なったあの日から、ジジの暇つぶしであり遊び相手となってくれた初孫君。今や小学6年生。ここ1、2年はお友達との付き合いやスポ少の練習、英会話塾などでジジ、パパに付き合っている暇がない。それでも、自分の一大事には間違いなくやってくる。
 今回は修学旅行で、北九州や下関、山ロヘ行くという。「楽しんでおいで」。白い封筒を渡す。二ッコリ、とろけるような笑顔で「ありがとう」。おむつを替えながら、寒さに震え暑さをしのいで公園をはしごした日々。感謝するのはどっちかなー。
   (2012.10.19 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載