はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

お母さんコーラス

2012-10-27 21:56:03 | アカショウビンのつぶやき


今年も歌いました。
鹿児島県お母さんコーラス・合唱祭。
今年は県内各地から55団体が参加し、
コスチュームもいろいろ。楽しい演出もあり、
それぞれが練習の成果を発表しました。






信愛コーラスは、
なかにしあかねの女声合唱曲集「よかったなあ」から

「小鳥たち」と
モーツアルトの「アレルヤ」

毎年選曲に時間がかかるのですが、
今年の「小鳥たち」は、全員が「歌いたい!」
と選んだ曲でした。

小鳥たちは
あんな小さな鳥ですから
めいめい 自分の夢からか
神様の夢からか
夜のあいだだけは
その体が みんな くちばしの方へと
すぼまっていき みんなで つながって
ながい ながい 一本の笛の音になって
銀のいとのように…

ファンタジックな詩は、まだまだ続きます。
ともすれば、一本調子になりそう。

「詩を読むように、感情を込めて歌いましょう。」
「表情に気をつけましょう」

何回も注意されながら、本番はどうだったかなあ。

明後日は、本番のMDを聞きながら反省会です。
聞くのがこわい-。



再出発

2012-10-27 21:49:01 | はがき随筆
 仕事大好きな主人が後継者もいないしと余力を残し、かっこいいやめ方をした。私はこれから人生が始まると口笛を吹きたくなる気分だった。2人で家庭菜園、水泳、パソコンと思いをはせた。今ではすべて私の楽しみに。主人は「こいじゃいかん」と言いながら楽しみを見つけることができず1年半。不完全燃焼でくすぶっていた時、久しぶりの阿久根港のイワシの豊漁で火が付いた。古い乾燥機の修理をしながら気分全開。ついに仕事再出発となった。今夜の食卓には菜園でできたブロッコリー、トマト、里芋とイワシの塩干しが並んだ。あと何年…。
  阿久根市 的場豊子 2012/10/27 毎日新聞鹿児島版掲載

やっとゴール

2012-10-27 21:31:17 | はがき随筆


 やっと米の収穫にこぎつけた。秋空の下、コンバインが最後の1株を刈った。「終わった」。田植えから100日余。今年は秋の晴天続きが幸いした。が、手間がかかった。田植えまでの水田耕。植えてからの朝夕の水管理。悩んだジャンボタニシの駆除。あぜの草刈り。病虫害の駆除。スズメおどし。台風の心配などだった。そして、何よりも第4コーナーで少し倒れた。しかしやっと汗が報われた。夕食時、老夫婦で「乾杯! 乾杯!」だった。
  出水市 畠中大喜 2012/10/26 毎日新聞鹿児島版掲載

お願いします。

2012-10-27 21:24:39 | はがき随筆
 CDから流れるサックスの生演奏。それは「ジャス&スクリーンミュージック」。
 60年代の曲は懐かしく、過ぎ去りし日に連れ戻されていく。その昔、ラジオから流れる音楽に魅了され、亡き夫とダンスをしていたことが思い浮かぶ。
 スカートの両端をつまみ、「お願いします」と、足を出すと仕方なさそうに立ち上がる夫。
 私は背伸びして踊っていた。思い出すとちょっぴり感傷的になる秋の夜である。
 サックスの甘く切ない音色は私の気持ちをかき立て、笑顔の写真にそっとつぶやくのです。
 「お願いします」
  鹿児島市 竹之内美智子 2012/10/25 毎日新聞鹿児島版掲載

カップル

2012-10-27 21:19:13 | はがき随筆
 思い出がわき上がると、私の中でカップルが生まれる。
 娘の睦美がベビーだった頃、手と足は、ずんぐりむっくり不格好。柔らかくてピンクのはちきれんばかりの肉のかたまりで、つい吹き出してしまったものだ。愛犬ジョンがうちに来たときも、手と足がずんぐりむっくり、象のようにごつくて不格好でおかしかった。歩けずにころがってばかり、かわいい顔をしてクンクン鳴いていた。
 「母さんの思い出の中であなたとジョンはカップルよ」と言ったら、睦美が目を三角にするだろう。いつか言ってみようとチャンスを狙っている。
  鹿屋市 伊地知咲子 2012/10/24 毎日新聞鹿児島版掲載

秋の夜風

2012-10-27 21:13:39 | はがき随筆
 寝付かれない夜だ。障子に映る影絵に誘われて庭に出た。
 満天の星。静かな晩だ。
 心が洗われる? そのようなハイカラな気持ちなどない。月には思い出も多く、歳月だけを感じる。
 その時、ピーポ、ピーポ。
 近くで鳴りやむ。どこだろう。この音はいつも静寂を破る。
 あちこちのお年寄りの顔が浮かんできた。
 大事に至らなければよいがと願う。
 夜も更け、外気は冷たい風。救急隊の方もご苦労さま。
 この夜風はもう「おなごだまし」ではない。
  姶良市 山下恰 2012/10/23