はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

波音

2015-01-15 17:33:51 | はがき随筆
 NHKの朝ドラ「花子とアン」で白蓮事件の場面を見て、亡き母が「昔、材を捨て心の富を選択した絶世の美人、平和の語り部がいた」と話したのを思い出す。母が語った美人とは歌人、柳原白蓮のことではと憶測。白蓮を知りたい衝動にかられ、妻に「何か知らないか」と尋ねる。いちき串木野市に白蓮が来た形跡があるという。長崎鼻に赴くと、波打ち際に白蓮の歌碑が建つ。「右も海 左も海の 色蒼く 沖の小島に 想ひは ふかし」と刻んである。さざ波の音を子守唄に戦死した息子への鎮魂歌か。今、我も白蓮と同じ波音を聞き,平和な海を見る。
  出水市 宮路量温 2015/1/8 毎日新聞鹿児島版掲載

初投稿

2015-01-15 13:21:02 | はがき随筆
 ずぅ~と、はがき随筆の愛読者で、朝の夫婦の会話にもよくのぼり、1度もお会いしていないのに、紙面を通して旧知の友であるかのように、その方の心配もしたりした。お会いしてみたくてペンクラブの会に出かけることに。前夜は興奮して眠れず、夫にも私の興奮が感染し、夫婦で初の真夜中お茶会になりました。恋人みたいに。
お会いしてみて、皆さんが夢を追っかける若者のようにキラキラ輝いて、初参加の私を温かく迎えてくださり、楽しいひとときを過ごしました。皆様に励まされ、はがき随筆初投稿となりました。
  鹿児島市 永野町子 2015/1/7 毎日新聞鹿児島版掲載

子別峠

2015-01-15 13:12:09 | はがき随筆
 胸が張り裂けそうになる響きの峠がある。「子別峠」という名のついたその地は、熊本県の秘境・五木から八代へ向かう平沢津を通る途中にある。
 峠へのつづら折の小道の所々には、紫の可愛い野菊が風に揺れて咲いていた。私には、親と、泣く泣く別れた薄幸の子供の形見草のように思えた。
 いよいよ八代へ向かう山の境近くには子別峠という道標がひっそりと立っている。昔、口減らしのため八代や人吉へ子守奉公に出され、歌われたという「五木の子守唄」。その旋律が耳によみがえり、私は心が痛んで耐えられないほどだった。
  出水市 小村忍 2015/1/6 毎日新聞鹿児島版掲載

灰と共に生きる

2015-01-15 13:02:29 | はがき随筆
 錦江湾にそびえる薩摩の壮大な桜島は、薄灰色の噴煙をなびかせている。灰に生きる島の人々の暮らしは家の周辺に防風林、防砂林に一葉の樹木が植えてある。風が吹くと灰が舞い、人の体、髪の毛に混ざる。婦人は手拭いをかぶり、絣の上衣、もんぺを着用。ビワ、大根、小ミカン、サツマ芋。農産物も水、土壌、空気が会う。里の産物のゆで芋を乾燥したものや大根を桂むきにして軒先につるす。芋を細かく砕いて粉にする。団子の粉に加工。島に生きる人の知恵ははちきれんばかりだ。全てをお手本に。教訓に。灰に負けずに明日の夢に懸けよ。
  姶良市 堀美代子 2015/1/5 毎日新聞鹿児島版掲載

まさかまさか

2015-01-15 12:54:21 | はがき随筆
 灰色の冬空となる頃。1本の電話が鳴った。小1時代の担任の恩師が長野から里帰り。子どもたちに会いたいと同窓生からの連絡だった。そして「まさか」の60年ぶりの再開。伺うと、96歳とは信じがたい姿勢に「さすがは師」と驚いた。懐かしい思い出の中、先生ヒッケワスレていました。60年前の宿題「絵日記」と絵を差し出すと、じ~っとその絵を眺め笑顔で一言。あなたにはこんな才能があったんだね。旅立った仲間もいるが、96歳の師にこんなお褒めをいただき、健康であることに感謝とあの日が走馬燈のように浮かんできた。
  さつま町 小向井一成 2015/184 毎日新聞鹿児島版掲載

ふ、ふ、ふ

2015-01-14 05:45:37 | 岩国エッセイサロンより
2015年1月13日 (火)


  岩国市  会 員   樽本 久美

 「パンの耳」との出会い。
 偶然、私の前にパンを買っていた女性が「パンの耳ありますか?」と聞いていた。「ありますよ。100円です」と店員さんが。
 何でも興味を持つ私。「私にもパンの耳ください」といって買ってみた。300円ぐらいの食パンの切れ端なので、日ごろ買うパンよりも高い。まずいわけはなかった。それからは、毎回「パンの耳ありますか?」と聞いたが、なかなか手に入らない。4回に1回の確率でゲットできる。宝くじよりもいいかな?
 手に入れた日は「小さな幸せ」を感じる。「ふ、ふ、ふ」。私のストレス解消法。
  (2015.01.13 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載

庭で野菜のんびりと

2015-01-09 17:55:52 | 岩国エッセイサロンより
2015年1月 7日 (水)


    岩国市   会 員   山本 一

 わが家の庭の一角に5坪ほどの畑がある。今は大根、水菜、春菊、それにホウレンソウとグリーンピースが小さな芽を出したばかりである。
 毎週の釣りやパソコン、川柳、雑文などの趣味に追われ、畑は必要最小限しか手を掛けない。草で土が見えなくなったら草引きをし、収穫後の整地と再植え付けだけだ。
 肥料は生ごみ処理機のかすを埋めるだけ。無農薬の上、狭いところに10種類がひしめき、当然のことながら連作障害が起こる。
 病気や虫にやられる。時には野鳥の餌にもなり、その年によって出来、不出来が著しい。
 毎年当たり外れがないのがゴーヤーだ。青ジソやパセリ、オクラ、カブは、虫に餌を与えているようなもので、盛期になると急に葉がなくなってしまう。
 あれこれ趣味を抱えた老人の身の丈に合った畑作りのつもりだが、野菜も野鳥も虫も、病気を起こす細菌も、みんな生き物だ。生き物相手は難しい。

    (2015.01.06 中国新聞「広場」掲載)岩国エッセイサロンより転載

書き初め会

2015-01-04 21:22:51 | アカショウビンのつぶやき


 今年も、錦江町で行われた「書き初め会」に行ってきました。
指導は、田貫独心先生。
小学生から大人まで、
書に親しんでいる人も、
40年ぶりに筆を握った人も
外国からのお客様も、
楽しいひとときを過ごしました。



独心先生のお話で始まり
紙、筆、墨、硯など、それぞりについて深く学びました。


用意されたお手本はいっぱいあります。


平和を願って、何枚も挑戦でするKさん。


外国からのお客様も興味津々の様子。


ちびっ子書家も、頑張ります。


会心の絵顔!

控え室では、インタビューを受けてる子も…。


講評です。先生の言葉に聞き入ってますね。

明けましておめでとうございます。

2015-01-04 21:12:52 | アカショウビンのつぶやき


だいぶ遅いご挨拶になりましたが、今年もよろしくお願い致します。

偶然車から見た、とっても大きな虹!
小雨交じりの空の、はしから端まで架かった大きな虹でした。

明るい希望が見えました。

昨年は、体調不良でかなり落ち込みましたが、
加齢による体力低下には逆らわず、
今残された体力を失わないよう、ぼちぼちいきましょう。
ブログ更新もままなりませんが、見守ってくださいね。

my柿

2015-01-03 15:24:29 | はがき随筆
 玄関横に小5の次男が種から育てた柿の木がある。6年目にして台風被害を免れた10個が色づいた。大事に見守っていた次男が干し柿を作ると言うので、一緒に皮をむき、ビニールのひもで4個を物干し竿につるした。
 それからしいうもの、毎日、「いつ食べられる?」と聞く次男に1ヶ月と答えながら、2週間目に1個を試食した。美味しい! かくして1週間を待たず、残り3個も胃袋へと消えた。
 樹上の実は、透明感のある朱色の熟柿へと変わりつつある。次男と私は熟柿も好物だ、野鳥を気にしながら、食べ頃を今か今かと待っている。
  垂水市  川畑千歳 2015/1/3 毎日新聞鹿児島版掲載

新しく生き直す

2015-01-03 05:27:53 | はがき随筆
 「あなたの前向きな明るさにイライラして怒りがこみあげてきたわ」
 ひどいうつを患う彼女が、別れ際に吐き出した言葉である。
 返す言葉が見つからなかった。彼女の心に寄り添えなかったことが悲しかった。前向きな明るさが彼女の力になると思い込んだ自分の独りよがりを恥じた。
 「泣く人と共に泣きなさい。笑う人と共に笑いなさい」を生きるには、絶えず自分の殻を破り、もっと大きく、もっと自由にならなければいけないと思い知らされた。
 さあ、新しく生き直そう。
  鹿屋市 伊地知咲子 2015/1/1/ 毎日新聞鹿児島版掲載

幾つになっても

2015-01-03 05:21:22 | はがき随筆
 市の公民館講座の写真講座に通い始めて半年。同学のIさんの年齢を先日初めて知った。今年で90歳。私の母親と同じ年齢なのだ。
 「他に何もすることがないので参加しました。」と,物静かなIさんは謙遜されるが、さまざまな題材を選んで写真に表現されている。飲み会にも自分のカメラを持ってきて映して記念写真を参加者全員に配られた。
 90になってもこうした活動をされる意欲は「すごい」の一言に尽きる。幾つになっても楽しみながら生きていけるのだと、歳を重ねていく自分の励みになった。
  姶良市 中馬和美 2014/12/31 毎日新聞鹿児島版掲載