庭の真ん中で木漏れ日を浴びたぬばたまが黒く光っています。何とも言えない美しい黒色です。
以前、洋服屋で黒の礼服を探したとき、店員さんに「値段で黒色に違いがあります」と実際に並べて見せられ、違いに納得して高い方を買ったのを思い出します。
このぬばたまのような黒色にするとさらに高価になるのでしょうね。
「ぬばたま」はその色から、夜や黒・黒髪などに掛かる枕詞として使われています。
私はたいした歌心もないのですが、どういうわけか万葉集が好きなのです。
高校1年生の古典の授業で習った時も別に万葉集の解説書を買って勉強しました。とはいっても少々かじった程度ですが、一番のお気に入りは最初の雄略天皇の長歌「籠もよみ籠持ち」でした。思春期を男子校で過ごしていたので、おおらかな恋愛の歌に惹かれたのだろうと思います。
おおかた黒髪にかかる枕詞として使われているので色恋にまつわる歌が多いようですが、中にはこんなのもありました。
「ぬばたまの 夜の更けゆけば 久木生ふる 清き河原に 千鳥しば鳴く」(山部赤人)
ヒオウギの美しい花からできる漆黒のぬばたま。自然の不思議さを感じさせてくれます。
タマスダレの花がたくさん咲いています。名前の由来がわかるようです。
酔芙蓉の花も1日に1花のペースで咲き、秋の風情を感じさせてくれます。