KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

『線で繋ぐ剣山~紀伊水道』柴小屋休憩所から雲早山東尾根

2023年10月13日 | 四国の山


今週は奥様たちは〇〇ツアーで『焼岳』に出かけて行った。一日目は上高地の散策、二

日目に中の湯温泉から登るという行程のようだが、登山はともかくバスの移動だと8時

間近く(それ以上?)かかるのが今の私の腰では無理。先日の大阪への出張の新幹線で

の移動でもけっこう堪えた。ただ自家用車だとこれが不思議と長時間乗っていても苦に

ならない。今の車のシートの相性がよっぽどいいのだろうと思う。

そんな事で毎年恒例の10月入っての石鎚詣でもと思っていたら、奥様たちが『来週に

行きたい!』宣う。今年は少し色づきが遅れているとはいえ、来週18日となると紅葉

もピークアウトしてる?と思いながらも、仕方がないのでどこか別の山をと考えた。

とは言え『線で繋ぐシリーズ』はやはり三人で歩かないと何を言われるか分からない。

腰の調子もそんなに良くないし、それならまあ無難な線で雲早山ででもお茶を濁そう

かとYAMAPを見ていたら、柴小屋から雲早山まで歩いている活動日記が目に留まっ

た。実はこの区間、雲早山から菖蒲権現、柴小屋から菖蒲権現の2回に分けて歩く事に

なると考えていたので、『線で繋ぐシリーズは三人で』の前言は即撤回。奥様たちには

『下見に行ってきます!』と言い訳をしてホクホク顔で出かけてきた。

自宅から高速で板野ICまで走り藍住町、石井町を経由して神山町へ。ここからはスマ

ホのGoogleMapのナビに従って走ると、これがとんでもない事になる。最初は県道20

号線と国道439号線が交差する場所から『大久保の乳イチョウ』方向へ誘導されたが、

途中でどうも道が怪しくなり引き返す。次に町役場の西側の野間谷川に沿って南に走っ

て行くが、これも道が鋭角に曲がってコースを誘導され、ハンドルを何度も切り返し、

行止りだったり、切り返しで左前が見えずにドスンと大きな音をたてて落ち込んだりと

冷や汗を繰り返して、何とか柴小屋への道に飛び出した。(本来なら役場からまだ西の

国道沿いに雨乞いの滝と剣山スーパー林道の標識から南に曲がるのが正解)

柴小屋休憩所へはアケボノツツジの咲くころの薬研谷に出かけるのに何度か走っている

のに、全く忘れてしまっていた。途中の道はとにかく『落石注意』の標識が目立ち、落

石防止のネットに溢れんばかりの落石のある危なそうな場所も通過する。




柴小屋休憩所はこの時期さすがに一台の車もなく、車のメーターの外気温は12度を表

示していた。車から降りると気温もさることながら風が強く吹いていたのが寒気さを誘

った。着てきたシャッを脱ぎ、着替え用に持ってきた少し厚手のシャツに着替えてスタ

ートする。東の稜線上に見える風力発電の羽の風切音がここまで聞こえてきた。










いつもは柴小屋山や大道丸の取付きとなる登山口を今日は横目に見ながら通過してその

まま舗装路を歩いて行く。10分ほど歩くと左手に真新しい法面保護のコンクリート枠

が見えてきた。










その法面保護の斜面を通り過ぎるとその尾根が下がりきった場所になる。そこからその

尾根に向かって折り返すようにして登って行く。尾根に沿って登って行くと法面保護の上

端に出る。そこからは北に向かっての眺望が広がっていた。そこを過ぎると何故か石の蹴

込の階段が続いていた。(四国のみちかな?)










荒れた階段を登って行くと程なく山頂に着いた。三等三角点 高根山 1231.98m。三

角点の脇の岩の上にはヤッホー地蔵が書かれた石があった。周りを見てみるが山名標識

はなかった。南側の岩の上に登ると雲早山からの稜線と高丸山が見えた。







まずは今日の一つ目のピーク


左端が高丸山




一つ目のピークをゲットしたら、蕾のままのリンドウを眺めながら階段を降りて行く。

林道に出て南にススキ原を眺めながらしばらく歩くと、道の両側に石碑が並ぶ旭丸峠

氷小屋跡入り口の標識から右に林道から山道へと入って行く。



白樺植林30周年の碑


氷小屋跡への道の石碑と入口の標識






氷小屋跡は当時蜂須賀の殿様に氷を届けるための氷室があったそうだが、道はさかて山

を巻くようにして続いていたので、途中からピークに向かって適当に登って行く。

さかて山山頂は山名標も三角点もなく、YAMAPの活動日記からトラックをダウンロ

ードしていなかったら通り過ぎてしまいそうな場所だった。






二つ目のピーク



さかて山から広尾根を下ると三差路になった林道に出る。左の舗装路は勝浦川の源流部

から川に沿って上勝町に続く道、右手は未舗装のあけぼの峠を通って土須峠へと続く、

剣山スーパー林道だ。但しこの道は雲早山の登山口の先で通行止めになっている。






土須峠に続く剣山スーパー林道






三差路の奥の看板のある場所からまた尾根へと取り付いて行く。ピークを回り込むよう

にして比較的明瞭な道が続いて行くが、大岩を過ぎ尾根の道になるとゴロゴロ岩の道に

なる。














苔むした岩の転がる場所から道は分かりにくくなる。とにかく尾根を外さないようにと

登って行くと正面にさらに大きな岩。この岩は左に巻いて尾根に戻ると間もなく旭ノ丸

山頂に着いた。1312mのピークだがここも三角点はない。山名札があるお陰で山頂

だと何となく判る程度の眺望もないピークだった。






今日の三つ目!


シコクママコナ



先程は左側が植林地だったが、山頂からは右手が植林地になる。自然林との境を下って

行くと突き当りの様になり、赤テープを目印に左に回り込み少し分かりづらい尾根を下

って行くと南に眺望の広がる展望岩があった。ここからも高丸山が見えた。ただ灰色の

重苦しい雲が高丸山のピークを隠している。今日は天気予報ではまずまずのはずだった

のに、相変わらず陽の光も薄く風も強い。











展望岩を過ぎると植林地の中の道になる。すると青色のテープで四角く囲われた場所に

『森林整備・施工管理標準地』と書かれた張り紙があった。後で調べて見ると保安林の

整備の為らしかったが詳しくは分からなかった。この後も何ヵ所も同じようにこの張り

紙と四角く囲まれた場所に出くわす。




















1270mの標高点から尾根は二手に分かれていて一瞬間違えそうになるが、ここは右

の広尾根を進んで行く。すると左側に作業道が続く場所になる。もちろん地形図にも載

っていなく、そのまま尾根を歩いて行く。

1270mのここは右に行く







1270mから樹脂の黄色と赤色の杭に沿って歩いて小ピークを一つ越えるとまた林道

に出る。『みんなの広場』と呼ばれる場所は北側が広々としていて、神山町を見降ろせ

その奥には焼山寺山が見えた。













ひと時その眺望を眺めた後さらに先へと。上勝町の標識からまた尾根へと取り付く。小

さなピークの手前にブナの古木。そのブナの木を眺めながら一旦暗部に。ここから参考

にさせてもらったザントブリッツさんは次の1300mのピークまで登って、への字に

曲がって菖蒲権現への尾根へと歩いていたが、鞍部から左に尾根に向かって適当に登っ

て行く。踏み跡も無くアセビの低木を掻き分けスマホを見ながら稜線を目指す。











途中で苔岩の庭を過ぎるとプールの様な大きなヌタ場。1300mほどの標高だけれど

けっこうな数のイノシシがいるんだな。ヌタ場を過ぎると菖蒲権現への尾根が見えた。













尾根道は快適な道、ほどなく菖蒲権現に着いた。三等三角点 菖蒲権現 1292.4m。今

日最後のそして四つ目のピーク。三角点の横には鳴門岳友会の山名を書いた杭がある。













菖蒲権現から境界の石柱に沿って下るとまた林道に。ここから先程のザントブリッツさん

は直ぐに尾根に取り付いていたが、三角点も標高点もない尾根。そして登ってもすぐまた

林道に出るので今回はパスして林道を歩く。














途中で開けた場所からは先ほどの旭丸峠から勝浦町へ抜ける林道と、勝浦川の源流部が

見えた。谷あいの奥に見えるピークのどれかは山犬嶽のようだが、正確に同定は出来な

い。







林道をしばらく歩くと法面をコンクリートで覆った切通のあけぼの峠だ。その法面の

脇には神山町の標識。そしてここからが雲早山から高丸山への稜線への登りとなる。











直ぐにコンクリート保護の脇を登って行くがこれがなかなかの急登(後で分かったがこ

の先からも取付きがあった)切通の上部にまで来ると北に三角の焼山寺山が見える。







立ち枯れた木々とシダの下草の中の踏み跡を辿って登って行く。その急登を登りきると

高度が上がった分さらに北西の景色が広がっていた。正面に見えるのは砥石権現だろう

か?そのピークから少し右下に視線を移すと建物が見える。恐らく岳人の森の観月茶屋














その斜面から吹き上げてくる冷たい風に、背の低いシコクママコナも震えていた。

展望所からしばらくは緩やかだった道もまた急登になる。1317mの標高点辺りでは

尾根の両側にシャクナゲの木が目立ち始める。開花の時期ならさぞ見応えがあるだろう。

















その1317mの標高点から一旦下り坂になる。いつもの事だがピークへの登りの途中

で下りになると『せっかく登って来たのに何も下らなくても』と思うのだが、そんなに

都合よく自然の地形はできていない。











鞍部では細い幹のヒメシャラが目立つ。このルートの途中からは赤テープが目印になっ

て役だったが、あけぼの峠からの道は色褪せた古いテープも目についた。最後の急登を

登り詰め、大岩とシャクナゲが現れると高丸山への稜線に着いた。予定していた通り、

あけぼの峠からは1時間弱かかった。













稜線上はまだ冷たい風が吹いている。木の陰に身を寄せてお昼ご飯にする。コップで飲

む温かい味噌汁が美味しいこと美味しい事。







木々の間から見える雲早山はまさしく雲の中。余裕があれば雲早山までと思っていたが

今日はここで線が繋がったので引き返すことにした。







シャクナゲの群生を過ぎ今度は逆に急坂を下って行く。所々で踏み跡を見失いながらも

赤テープと足元の踏み跡を探しながら下って行く。













あけぼの峠手前の展望所まで戻ってくると、今日初めて青空が見えた。焼山寺山の右奥

は高越山まで見えた。登りではコンクリート保護の横から登ったが、その奥の林道の脇

のホイールカバーが取り付きの目印だった。(このホイールカバー、雲早山のシャクナ

ゲ尾根への取付きにもあったような?)













あけぼの峠からは林道歩き。正面に菖蒲権現が見える。この辺り砥石権現、菖蒲権現そ

して杖立権現と権現と名の付く山が多い。その所以は何かあるのかな?












単調な林道歩きも、道の脇に咲く小さな花たちが気持ちを和ませてくれる。寒さのせい

か日当たりのせいか、まだ花を開かせないリンドウだったが珍しくピンク色に近いリン

ドウもあった。











菖蒲権現を南に回り込むとみんなの広場に着いた。ここで並んでいる丸太に腰掛けて、

味噌汁を作った残り湯でコーヒーを淹れて一息入れる。天気が良ければ阿讃山脈を飛び

越えて香川や小豆島も見えそうな雰囲気だ。




















途中の道の脇で往路で見た森林整備の張り紙。この張り紙を見ると入札での工事現場で

よく見る内容だ。木々に書かれた番号がとても気になる。














旭丸峠まで戻ってきた。往路では気にも留めなかったが、植林の碑の通り道の脇には白

樺が並んでいて少しだけ北の山の雰囲気(笑)










高根山の手前のススキがやっと差した日差しに輝いていた。高丸山までがまたひとつ遠

くなった。







柴小屋山休憩所まで戻ってきた。東に朝方よりもはっきりと稜線上に続く風力発電が見

える。東屋の手前からは徳島市街地までも見渡せた。













車まで戻ってくると一台の軽自動車がやってきた。東屋の横で靴を履き替えている間に、

ザックを担いでさっそうと歩いて行った。時間は14時を過ぎている。今からは柴小屋

山か大道丸辺りまでかな。でもこの時期にこの時間帯にと疑問が残る。





帰りの道、青空がどんどん広がってきた。山を下りたら晴れになったの山歩きのあるある。

予想した通り今日は一人も会う事はなかった。逆に何度も鹿を目にする。風の吹く音と鹿

の甲高い鳴く声だけが聞こえる静かな静かな一日だった。








次に柴小屋休憩所から梅ノ木峠まで歩けば、土須峠から杖立権現越えまでの線が繋がる

ことになる。実際は雲早山から砥石権現、高城山までは歩いているけれど、如何せんデ

ーターが残っていない。とにかくこんな線を繋ぐ山歩きをしようなんて以前は思っても

みなかった。これも奥様たちと一緒に歩き始めてからの事。まだしばらくは繋がる稜線

を見つけての山歩きになりそうだ。

















『線で繋ぐ西赤石山~阿讃縦走路』翠波高原~堀切峠

2023年10月05日 | 四国の山


今週は先週歩いた翠波高原の北峰展望台から、東に続く稜線を堀切峠を目指して歩いて

きた。ただこの稜線は法皇スカイラインの名前の通り、稜線を舗装路が堀切峠まで続い

ているので、そのまま歩くと10kmほどのただの散歩となってしまうので、出来るだけ

舗装路を歩かずに道の脇の樹林帯の中を歩く事にした。




いつもの様に豊浜SAに集合して今日は2台で高松自動車道を走り、川之江ICで降り、

国道11号線・192号線そして県道5号線・さらには国道319号線を通って、堀切

峠を目指した。堀切峠は新宮から川之江へ抜ける土佐北街道の峠。三差路になった峠に

ルリちゃんの車をデポして、奥様たちを私の車に乗せて北峰展望台へと車を走らせた。

北峰展望台からは西に鋸山・豊受山、眼下には土居町の街並みが、先週よりもさらに

青い空の下に広がっていた。













展望台からまずは舗装路を歩いて行くと。先週と同じ場所で伐採した丸太をトラックに

積み込む先週見かけた若者の姿があった。その積み込み作業の横を先週と同じおじさん

とおばさんが同じ格好で歩いているのを見て、その若者はどう思っただろう。

道の脇にはまた同じような花が咲いていた。

シロヨメナ








アキノキリンソウ



右手の水波権現へのコンクリートの登坂を過ぎると、スカイラインはくねくねと曲がっ

た下り坂になっていたので、ここはガードレールの間を通ってそのまま直進をして下っ

て行くと杉林の中に道があった。







枝打ちされ枯れた杉の枝が積もった道を下って行くと、二つの石柱。水波大権現と彫ら

れた石柱。今下ってきた道がスカイラインの出来る前の水波大権現への道だったのか?








その石柱の先はススキ原。薄い踏み跡を辿りススキを掻き分け進んで行くと、足元にコ

ンクリートの橋の様なものがあった。更に進んで行くと仮設のトイレも。ここはいった

い何だろう?と思いながら歩いて行くと、舗装路に飛び出した。














その舗装路の際にはアヤメ池と書かれた石の案内板と朽ちかけた木の案内板があった。

元々ここには小さな池がありアヤメ池と呼ばれていて、その池はノハナショウブの自生

地で市指定天然記念物にもなっているらしいが、今は鬱蒼としたススキ原で見る影もない。







翠波峰から下ったこのアヤメ池がこの辺りの底地になっていて、ここからは中曾根の三

角点に向かって緩やかに高度を上げて行く。一旦車道を歩き、道が曲がり始めるとショ

ートカットして道の脇の樹林帯の中を歩いて行く。







そのショートカットもすぐ終わり再び舗装路に。その舗装路から道の脇をひと登りする

四等三角点 中曾根 793.63m ここには比較的キレイなキティーちゃんがあった。










中曾根の三角点からは直線の舗装路歩き。道の両側の樹林帯は密度が高くて飛込む気に

ならない。



マツカゼソウ



時々道の南北に脇道があるが、地形図にも載っていない道。南側の道は稜線の南に東西に

続いている鉄塔への道かもしれない。



シモバシラ


カタバミ


ツリガネニンジン



すると今度は大きな三差路に出た。左に馬瀬林道と書かれた大きな標識と、その脇には

お地蔵さんが二体。ここが馬瀬林道の終点で虫仏山林道の起点になる。










二つ目の三角点はこの林道説明板の東側にある。斜面の様子を見ながらルリちゃんが登

って行く。あっちゃんと私はもう少しマシな取付きはないかと舗装路を歩いて探すが、

斜面と道との段差は高くなる一方。仕方がないので三角点を回り込み、左に続く林道か

ら登って行く。先に着いたルリちゃんは『取付きだけが荒れていたけど、あとはきれい

な尾根だった』と。




四等三角点 池ノ尾 778.31m にもキティーちゃんのプレートがあったが、きれいに

二つに割れて木の幹にぶら下がっていた。年月の経ったキティーちゃんのプレートが割

れているのを至るところで見かけるが、WOC登山部のメンバーのセニョさんは、その

補修にCDを裏当てして接着剤で丁寧に修理している。ただ今日はそんな準備もしてい

なくて、ルリちゃんが持ってきたテーピングで貼り合わせ、針金を巻きなおして修理完

了とした。少々不細工だが応急手当、良しとしよう。



















池ノ尾三角点からも舗装路歩きが続いて行く。四国中央東幹線はこの尾根の南側を東西

に続いているが、銅山川第一発電所、三島変電所へ送電線が何本か稜線を跨いでいる。
















今日唯一の山頂の平石山へ適当に取り付いて見ると直ぐに車道に出てしまった。






コウヤボウキ


ミゾソバ




南へ続くチェーンの張られた林道を横断して、向かい側の斜面を登ってみる。ただこの

斜面、落石防止のネットで覆われていて地面に靴が食い込まず、そのネットが合成繊維

なのでツルツルと滑り、目の前にあっちゃんが滑ってズリ落ちてきた。











何とかその斜面を登りきり、平石山への尾根へと歩いて行くと南側に伐採地が広がって

いた。目の前に四国中央東幹線の大きな鉄塔。その奥には大森山からカガマシ山へと続

く、比較的高度差のない稜線が見える。













南東の遠くに笹原のように見えるのは塩塚高原だろうか?南西に目を移すと、玉取山

奥には大座礼山東光森山そして右端には平家平まで見える。それにしても今目の前に

広がる峰々を繋いで良く歩いたものだと我ながら関心をする。伐採地に沿って尾根を歩

いて行くとフェンスで囲まれたDOCOMOの電波塔があった。その電波塔様に舗装路

からは階段が造られていた。










フェンスの周りは木々が密集していて先には進めそうもないので、階段を少し下って、

歩けそうな場所から手摺を跨いで次のピークへと歩いて行くと、平石山に着いた。

二等三角点 西平石 825.56m 翠派峰から東でこの山頂が最高地点になる。

ルリちゃんの車の中に帽子を忘れたあっちゃんが今日はタオルをほっかむりして歩いて

いる。『ここは山の中だからいいものの、橋の袂にでもその格好でいたらまるで〇鷹で

すね』と言うと、『そんな事はない、リンゴ娘と言って!』と訳の分からない事を仰る。







平石山からは東にそのまま下って行く。少し荒れてはいたが立ち止まる事無く右に左に

と枝葉を避けながら歩いて行く。






ゲンノショウコ



そして一旦ヒノキの植林地になる。植林地になると先ほどの自然林の中よりも随分と歩

きやすくなるが、そのあとすぐにまた舗装路に出た。







そこからは749mの標高点に向かってまた舗装路を歩いて行く。途中右手の斜面から

覆いかぶさるようにして生えた葉の先に、可愛らしくウェーブした花が一面に咲いてい

た。タカネハンショウズルの小さな花だった。
















右手にタカネハンショウズルの花を見ながら歩いて行くと、左手に一ヵ所眺望が広がっ

た場所があった。四国中央市の市街地の奥に観音寺市や仁尾町、そして荘内半島までも

見渡せた。






ミズヒキ






標高点を過ぎカーブを曲がると右にチェーンの張られた進入路があった。そのチェーン

には『施設休止のため立入禁止』と書かれた張り紙がぶら下がっていた。車をデポした

堀切峠に『自然の森』と書かれた大きな施設内の案内看板があったが、恐らくその施設

への進入路だろう。施設案内図にはキャンプ場やトイレ、展望台の画が載っていたが、

ここもアヤメ池同様に敷地内はもう草木で埋もれてしまっているのかもしれない。

そこを過ぎるとへんろ道が舗装路を跨いで南北に続いていた。北側の山裾にある三角寺

から南の銅山川の畔にある仙龍寺までの道。仙龍寺は通称三角寺の奥の院と呼ばれ、古

くから多くのお遍路さんがこの道を通って参拝したそうだ。










舗装路からへんろ道に入りヒノキ林の中の道を登って行くと地蔵峠と書かれた道標があ

り、脇には四体の地蔵が並んでいた。右から2番目は地蔵道標、その左も仏海による地

蔵道標)で、1番左は26丁の地蔵丁石だという。ちなみに右端の地蔵には顔が無かった。










その地蔵の向かいには奥の院への石の案内道標が立っている。ここから最後堀切峠に向

かって尾根を辿って下って行く。ヒノキの中を踏み跡を探しながら下って行くと作業道

に出た。尾根に沿った作業道で快適に下れるはずだったが、途中からイバラが道を塞ぎ

始めた。











ここからは三者三様。ルリちゃんはイバラを避けて作業道から外れて進み、あっちゃん

はそのまま無理やり突入してきた。私も当然イバラを避けて歩いて行く。








ピンクのテープは基本登山者ではなく、国土調査や林業の人が付けるケースが多いの

だけれど、この辺りに付けられているピンクのテープは比較的尾根の上の目印になっ

ているようなので、『ピンクのテープを目印に!』と奥様たちに声を掛ける。











その内に境界杭も現れた。腰が引ける位の急坂を下りさらに進んで行くと今日四つめ

の三角点大岳に着いた。三等三角点 大岳 682.12m ただ名前の割にはピークでも

なく周りも木々に囲まれた変哲もない場所だった。







ここではキティーちゃんのプレート見当たらない。ここまでの三角点でプレートがあ

ったという事は、ここにも必ずあるはずと三角点の周りを探していると、一本の木の

根元に割れたプレートが落ちていた。先ほどと同じ要領で取りあえずの応急処置をす

る。しかしこのキティーちゃんのプレートは香川の里山でも『え!こんな場所まで』

と思うような山で見かけるが、見かける度にどうしてだろう何だか嬉しくなる。ただ

そんなキティーちゃんも朽ちてしまうとゴミになってしまう。勿体ないな~と思いな

がら、今度からセニョさんの様に、山によっては修理キットを用意しようかな。













<





大岳の三角点から堀切峠まではあと少し。時間は12時40分。途中で行動食を口に

したがもうお腹がペコペコ。GPSを見ながら峠へと下って行くが広がった尾根は、

方角が分かりづらい。それでも何となく峠に向かっているとまたヒノキの植林地の

作業道に出た。作業道は植林地の中を縦横無尽に続いているので、出来るだけ下へ

続く道を選んで歩いて行く。途中でカヤの道になったりしたが、それでも下へ前へ

と前進する頼もしい奥様たち。














九十九折れになった道を真っすぐショートカットしたいのだが、道の脇には枝や木

が積み上げられて取りつけない。仕方がないのでその九十九折れになった道を道な

りに歩いて行くと、車を停めた峠の少し上に飛び出した。











翠派高原からの今日の行程はほぼ舗装路歩きになると思っていたが、意外とその脇の樹

林帯やススキ原を歩く事ができて楽しめた。スタート地点に停めた車を取りに戻ると、

展望台では香川から来ているご夫婦が、先週と同じように大きなカメラとレンズを抱え

て、鷹の写真を撮っていた。山歩きもご夫婦で歩いているご夫婦を時々見かけるが、趣

味が同じなんて良いな~と、あっちゃんと二人で羨ましく思った。

帰り道四国中央市から眺めた稜線はどこも特徴がなく、どの辺りを歩いたかが分からな

かったが、唯一ドコモも電波塔が確認できた。『そうするとあの辺りが平石山か・・。』

そう思いながら川之江インターチェンジから高速道路に乗り入れた。











次回上手くいけば阿讃縦走路までが繋がる計画だ。







『線で繋ぐ西赤石山~阿讃縦走路』寒川山・翠波高原

2023年09月28日 | 四国の山


法皇山脈(ほうおうさんみゃく)は、石鎚山脈から笹ヶ峰の東部(ちち山別れ)で北東

部に出た支脈。海岸にほぼ並行して西赤石山、東赤石山、二ッ岳、ハネズル山、赤星山、

翠波峰などが連なっている。東に行くにつれて山の高さはおおむね低くなる。ハネズル

山から西は赤石山系とも呼ばれる。』


愛媛の山に出かける際にいつも通る高松自動車道。豊浜SAで奥様たちを乗せて西に向

かうと、県境のトンネルを抜け川之江JCTに差し掛かる辺りで、正面に翠波峰から続

く稜線が見える。以前にあっちゃんが『あの稜線に鉄塔がずっと続いて立っているとい

う事は稜線を歩けると言う事かしら?』と聞いてきたので、その時は『恐らく巡視路と

かもあるでしょうから歩けるでしょうね』と軽く答えていた。

引地山から剣山が繋がった後は花の山巡りをしていたのだけれど、その花の季節も終わ

りになると『西赤石山から東を繋げたいわね』と奥様たちが言い始めた。ただ西赤石山

から東に線を繋いで行っても翠波峰で終わったら何だか尻切れトンボのような感じがし

て気乗りがしなかったのだが、ふとあっちゃんの言葉を思い出し地形図を眺め、YAM

APを調べて見ると、翠波峰から平石山堀切峠から境目峠を通って五郎山まで歩いて

いる人がいた。この通りに歩くと赤石山系から法皇山脈、そして阿讃縦走路が繋がる事

になる。その話しをするとやはり奥様たちも乗ってきた。

但しここのところずっと腰の調子が悪いへっぽこリーダーにとって、赤石山系の周回コ

ースはいずれも距離といい累積標高といい結構厳しいので、まずはリハビリを兼ねて、

鋸山の東の寒川山から翠波峰間を繋げることにした。とは言えその区間は翠波峰から続

く舗装路。舗装路歩きだけに終わってしまったのでつまらないので、四国中央市側から

翠波峰に向かって何本かの破線が地形図に載っていたので、その登山道を利用して、翠

波峰へと登ってみることにした。




スタート地点は具定展望台の駐車場。地形図ではここから翠波峰の稜線に向かって、真

っすぐに破線が延びている。駐車場のトイレで用を済まして展望台の方を見て見ると、

何人かの人が大きなカメラを構えて立っていた。話を聞いてみると鷹の渡りの定点調査

をしていて、昨日は2000羽以上カウントされたそうだ。それにしても遠くを飛んで

いる鷹の一羽一羽の種類まで区別できるなんて感心する。




駐車場の反対側にあるコンクリートの階段が今日の登山口になる。スタート直後の急な

石段に直ぐに息があがる。最初の階段を登り終えると直ぐにもう一つ石段が現れる。










階段を登り終えると西側の寒川町辺りの眺望が広がっていた。今日はここ最近にない気

持ちのいい青空だ。





展望台にいた野鳥の会の人がこの破線の道は元々この道を通って翠波峰を越えて金砂湖

へと続く峠道だと教えてくれた。足元は石が転がり少し荒れてはいたが、その話しの通

り道ははっきりとしていて、以前から人の往来があったような雰囲気がした。














道には中庄公益会の境界と書かれた樹脂製の細長いポールが続いて行く。支尾根の東側

に道は続き、その支尾根を境に東側は植林地になっていた。自然林と人工林の境になる

急登をやり過ごすと作業道が現れた。










作業道が現れると今まで歩いてきた道が所々で分断され、歩かれなくなった道は荒れ始

める。境界ポールを目印に登ってはいくが掘割状になった道は倒木によって塞がれ歩き

づらくなり、その道を外れて歩きやすい所を探しながら右往左往する。











稜線の北側を縦横無尽に走る作業道を所々横断しながらとにかく稜線目指して登って行

く。陽の当たらない杉林の先が急に明るく日差しが届くと作業道になる。










作業道を横断しては杉林の中へ入るのを何回か繰り返して行くと、目の前に鉄塔が現れた。

四国中央東幹線伊方発電所から川内変電所を経て、東予変電所と讃岐変電所を結ぶ50

万ボルトの基幹送電線。阿讃縦走路でも見かけた送電線の鉄塔だ。そしてこれがあっちゃ

んが高松自動車道から見た稜線を東へと続いている送電線と鉄塔だった。













この鉄塔まで来ると稜線の林道はすぐ上にある。鉄塔から一旦巡視路を南に歩き、東西

に続く巡視路を跨いで林道に向かって直登する。少し藪いた茅とイバラを掻き分けると

林道へと飛び出した。スタート地点からここまで奥様たちに『今日は花をまったく見か

けませんね』と話をしていたのだが、林道に飛び出した途端に道の脇に小さな草花がた

くさん咲いていた。













ここからは予定通り寒川山に向かって舗装路を歩いて行く。今まで珍しく黙々と登って

いた奥様が一気におしゃべりタイムが始まった。その後ろを道の右左を覗きながら寡黙

に歩いて行くへっぽこリーダー。












舗装路の林道歩きに飽きたのかルリちゃんが、YAMAPを見ながら寒川山への尾根を

目指して道の脇の樹林帯へと入って行く。途中で尾根は豊郷ダム用の電波塔のフェンス

で囲まれていて、そのフェンスの周りを避けながら進んで行く。










最後に急登を登りきると、見覚えのある木々に囲まれた寒川山に着いた。四等三角点・

寒川山・816.97m










この寒川山が今日の折り返し地点。電波塔まで尾根道を戻りそこから舗装路を歩いて行

く。往路と同じように奥様たちはお話に夢中。私は兎に角花を見つけては写真を撮る。



ダイコンソウ


ツユクサ


チヂミガサ



道の南側の少し開けた場所からは猿田峠大森山が見える。そう言えば以前歩いた時、

大森山から佐々連尾山の稜線からこの翠波高原の建物が見えた。相変わらず道の脇に

は小さな草花があちらこちらに咲いている。ここ最近花を目当てに歩いて来て、写真

を撮った花の名前はYAMAPで同じルート歩いた人の活動日記に載っている花の名

前の写真を参考にしてきたが、さすがにこの道を歩いている人はほとんどいなくて、

なかなか花の名前を調べても分からない。



















寒川山から2kmほど歩いて翠波高原の北峰展望台に着いた。ここからは土居町辺りの

平野部が眺められる。それにしてもこの法皇山系の山裾から海までの距離があまりない

のがここから見るとよく分る。展望台の大きな傘の下で腰を降ろしてひとまず行動食を

口に入れる。











ここから少し東にある地形図に載っている破線を下って行く計画だったが、その道を降

りると下りきった場所からスタート地点の具定展望台まで国道の、しかも登りを2km

以上歩くことになる。また登って来た道を降りるか計画通りの道を下るかでしばらく話

をして、やはり違う道を下って行くことにする。

すると稜線からの下りの取付きとなる場所には、大きなトラックが停まって、伐採した

木材の積み込みをしていた。

トラックの最後尾の運転席に座った若者が、その先のアームを器用に操作して次々と丸

太を荷台に積み込んでいた。これがUFOキャッチャーなら、景品が撮り放題だな何て

思って歩きながら見ていると、あっちゃんは立ち止まってずっと見入っていた。

登山道の入り口は作業車で塞がれていたので、その先の斜面を下って登山道へと取り付く。

重機が通った跡はキャタピラで道が掘られてぬかるんでいた。電力の保線路の目印杭の

奥から下って行くと作業道になる。この道を歩いているYAMAPの活動日記のURLを

奥様たちに事前に予習するようにと送っていたが、その活動日記に書いていた通り、途中

で二股になった場所からは左の細い道に入る。











雨の流れで地表が洗われ、石が露出ていて歩きづらそうにしてルリちゃんが下っている。

すると次にまた重機が通った後の作業道に出た。ぬかるんだ道は少し粘土質なのか、登

山靴の裏に冬山のアイゼンの雪ダンゴのように土がどんどんついてくる。







すると前方で重機が動く音が聞こえてきた。ぬかるんだ道を滑らないようにその音のす

る方向に下って行くと、先ほどの重機とまた違った重機が作業をしていた。伐倒された

木を掴んでそのまま枝払いをして丸太にしていた。しばらくその作業を見ていると運転

席の人がどうやらこちらに気づいてくれた。運転席から降りて来たのはまた若者だった。

『ここ通ってもいいですか?』と聞くと、重機の左手を指さし、『この横が登山道です

よ、途中に伐採した木が倒れていると思うので気を付けてください!』と教えてくれた。

教えてもらった通り重機の左横を通らせてもらうと、左に下って行く道があった。

(この道もYAMAPに載っていた)







作業道からは一旦離れて下って行くと、作業していた若者が言っていた通り伐採した木

が道を塞いで積み上げられていた。そこからまた作業道に出て下って行くと木々の間か

ら市街地が見え始めた、














さらに下って行くと右手の視界が一気に広がり、広大な伐採地の上部に飛び出た。正面

には四国中央市の製紙工場の大きなエントツが見える。すると一人の男性の姿が。最初

は林業の人が休憩しているのかと思ったが、近づいて見ると椅子に腰かけた膝の上に大

きなカメラが見えた。話を聞いてみるとこの下に見える正法寺山城跡のこんもりとした

ピークの沿って気流が登っていて、その気流に乗って舞い上がる鷹の写真を撮ろうと、

ここまで登って来たそうだ。それにしても一人でこんな山中まで歩いて来て、一日中座

ってシャッターチャンスを狙っているなんて・・・・。

それでもやはり退屈していたのかこちらから質問するネタが切れても、次から次と話を

始めてなかなか離してくれなかった。(笑)














四国中央市の奥には観音寺市と七宝山善通寺五岳まで見える久しぶりの快晴。視界を

遮るもののない伐採地からの景色を眺めながら尾根に沿って下って行く。先ほど見えた

三角のピークの城跡の左側を巻くようにして歩いて行くと、傾いた正法寺山城跡の道標。










さらに下って行くと花崗岩の立派な石碑が建っていた。『保安林改良事業』と書かれた

記念碑の様だが、ほとんどここまで来る人もないこんな場所に・・・・?。

伐採地からは道も明瞭で、どんどんと下って行く。














伐採の作業を眺めたり、鳥好きのおじさんと話をしたりしながら比較的ゆっくりと下り

1時間30分ほどで国道に飛び出した。







ここからは国道の舗装の上を2kmほど駐車場まで歩いて行く。朝晩は涼しくなってき

たとはいえ、日中は30度を軽く超えている。その日差しを浴びたアスファルトからは

熱気が上がってくる。出来るだけ日陰を選んで歩いて行くがそれでもやはり暑い。国道

からは先ほど下ってきた支尾根が見えた。











30分ほど歩いてシャリバテ手前で何とか駐車場に辿り着いた。具定展望台で速攻でお

弁当のおにぎりを口に入れ何とか落ち着く。展望台には朝以上に調査の人たちが集まっ

ていた。














着替えも済ませお昼ご飯も食べ終えた後、次週の予定となる翠波高原北峰展望台から

平石山、そして堀切峠までの道を確認するために車で移動をする。翠波高原展望台か

らは金砂湖を見下ろしその周りの峰々が眺められた。観光名所となっている高原のコ

スモス畑は、今年は台風の影響で散ってしまったそうで、きれいに刈り取られていた。














次回歩く予定の堀切峠までは舗装路が続いている。その車道以外を歩けないかと道の両

側を三人で確認しながら車を走らせるが、木々の茂り具合や尾根の地形を見る限りなか

なか厳しそうだ。堀切峠までは車道の距離が片道10km。舗装路を避けて藪の中を歩く

となったらどれくらい時間がかかるだろうか?

いずれにせよ石鎚山系から赤石山系、そして阿讃縦走路を繋ぐ新たな目標に向かって!














今日は県境ドライブ

2023年09月21日 | 香川の里山


久しぶりに夜中に帰宅しせっかくの休みに朝なかなか起きられなかった。カーテンの

隙間から見える窓の外が明るくなっていくのを時々目を開け見ながらも、布団のなかで

いつまでもグズグズとしていた。

そろそろと思って起きて、今日はゆっくりと温泉にでも浸かって過ごそうと出かけて

みると、目当ての施設がお休み。仕方がないので次の施設へ。ところがそこもお休みで

更に次の施設もお休みだった。結局家から随分離れた山の帰りに立ち寄る温泉でゆっく

りとお湯に浸かる。ヌルッとしたお湯とサラッとしたお湯に交互に浸かり、鳥の声を聞

きながら露天風呂で山並みを眺めたりしながら、いつになくのんびりとした。

温泉を出た後あてもなく車を南に走らせた。県内では一番新しくできたトンネルを抜け、

ドライブがてらぐるっと廻って家に帰ろうと、今度は県道を東へ走っていると『竜王山』

と書かれた道路標識が目に入った。その標識に従って国道を北に高度を上げて行き、三

頭トンネルの手前で県境集落への道へと進んで行く。この辺りで雨がパラパラと。

香川と徳島の県境の徳島側に続く山道を車を走らせながら、時々目に入った草花の写真を

撮りながら竜王峠、鷹山公園の辺りで香川県内へと入り、相栗峠を経由して塩江町へ。

そこから国道193号線を経由して家路へと向かった。

温泉でのんびりのはずだったのに、結局160km以上走って、何をしているのやら。

車を降りるとまた腰の張りが出てしまった有意義な?一日だった。

久しぶりに目にした半鐘


シコクママコナ


貞光から南の山側は怪しげな天気


ヤマハギ


ヒメジョオン


キンミズヒキ


アザミ


ゲンノショウコ


キバナアキギリ


アキチョウジ


相栗峠の手前では結構降って来た


相変わらずの天候不順で花散策に皿ケ嶺へ!

2023年09月13日 | 四国の山


先月のお盆前に剣山を登った時も『雨が降っても安全に歩ける山』と言う事で、少し濡

れながらも歩いた。それ以降ずっと週中の天気がスッキリとしない。今週も降水確率が

高く、特に午後からの天気が怪しい。奥様たちは『線で繋ぐ』の次のコースの縦走をご

所望していたが、なかなか厳しいコースで更にエスケープルートのない縦走路では天気

が崩れると・・・・。その上私自身の腰の調子がまだイマイチだったので、天気が良く

なる日を選んで『線で繋ぐ』シリーズを再開する事にして、今日も雨が降っても気軽に

歩ける皿ケ嶺を『意外と沢山花が咲いています』と提案すると喜んで了承して頂いた。


いつもよりゆっくりめで豊浜SAで待ち合わせをして、上林森林公園の駐車場に9時前

に着いた時には、まだ車は2台程度しか停まっていなかった。

駐車場からまずは風穴への遊歩道を登って行くとさっそくハガクレツリフネの群生が出

迎えてくれた。先週の剣山でも見かけたがここまでの群生を見るのは初めてだった。



ハガクレツリフネ





その群生に目がいきがちだが、他にも色々な花が咲いている。『これじゃ~山頂に着く

のは何時になるか分かりませんね』と言いながらも、立ち止まっては写真を撮る。

ダイコンソウ


キバナアキギリ





ハガクレツリフネの群生と同じくらい、花の終わったギンバイソウが斜面を埋め尽くし

ていた。駐車場から一緒になった女性があっちゃんに『ギンバイソウ』だと教えてくれ、

『可愛らしい白い花が好きなんです』と話してくれたそうだ。これだけの数の花が一斉

に咲いたらそれはそれは見応えがあるだろう。また7月の花が咲く季節に是非再訪して

みたい。

風穴の囲いの中からはいつもの様に冷気が上がってきていた。その囲いの横を通って遊

歩道から直登の道を登って行く。

ギンバイソウ





オタカラコウ


アキチョウジ


ヒカゲミツバ




この皿ケ嶺には何度も来ているけれど、ここまで沢山の花が咲いているのを見たのは初

めて。と言うか花を見つけながら歩く事が今まではなかったから。意識が変わると周り

の見えるものも変わっていくと言う事だろう。



シコクブシ


デバコモミジガサ




さすが皿ケ嶺は花の山。この季節だけでなく春にも秋にもまた違った花が次々と咲いて

いる。その花を目当てに松山市内からも気軽に来られると言うのもあって、地元の人た

ちが再三訪れ愛されている山だ。高知でいえば工石山になるのだろうけれど、地元香

川では、大勢の人が毎日でも登っている里山はたくさんあるけれど、ここまで花の咲く

山はなかなか無い。(知らないだけかも?)






シロヨメナ


オオバショウマ


レイジンソウ



引地山と皿ケ嶺への分岐を過ぎると道は東に向かって緩やかに続いて行く。



キンミズヒキ


オタカラコウ



それにしても三人とも写真撮影で前になかなか進まない。すると前を歩くお爺さんが

一人。すれ違いざまに『今日は11時位から雨が降るかもしれんな』と。『昨日もお

昼くらいに急に降りはじめたからな』と話してくれた。どうやらほぼ日参している常

連さんのようだ。そう言われて北側の空を見上げると、雲の色が濃くなってきていた。

















ベンチの並ぶ場所を過ぎると竜神平も近い。






ミヤマタニソバ


ヤブタバコ


タニソバ



竜神平上林峠への分岐からは更に東に少し遠回りして竜神平へ行くことにする。ここ

までの道と比べてあまり踏まれていないのか、所々で笹が道に被さりその露で足元が少

し濡れてきた。ミズナラブナの大木が点在する森の中の道。その静かな森の中で鳥の

鳴く声だけが大きく響いて聞こえている。














上林峠との分岐からは右に折れて竜神平へと向かっていく。ほぼ平らな笹の林床の中の

道に陽が差し込むと、雨の後の森の中で植物も昆虫もイキイキとしていた。

















その森の中から忽然と現れる竜神平。視界と青空が一気に広がり、足元には可愛らしい

タニソバの群生。白い花びらの先がちょこっと紫色に染まった姿が何とも言えない。



タニソバ










竜神平は、ブナ林に囲まれた盆地状の広大な湿原。以前はミズゴケに覆われた湿地だっ

たが、乾燥化が進みクマザサなどが侵食している。その湿原の中の道を歩いて行くと、

またまた可愛らしいツリガネニンジンがあちらこちらに咲いていた。






ツリガネニンジン


アキノキリンソウ






昔は小川が流れていたというその名残りで、小さな流れに架かった橋を渡って行くと、

この龍神平のシンボル愛媛大学の竜神小屋も近い。奥様たちは相変わらず度々立ち止ま

って撮影タイム!






サワヒヨドリ


イヌタデ





竜神小屋の前では何組かがベンチに腰掛け休んでいた。ここで何も言わないのにあっち

ゃんがザックからお弁当を取り出し始めた。すると横にいたルリちゃんが『え、ここで

お昼?』と聞くと、当然のような顔をして『そうよ!』と答えた。時間はまだ11時だ。

仕方がないのでルリちゃんも私もベンチに腰掛けお昼ご飯にする事に。




お弁当を食べている間も次々と歩いてくる人達がいた。途中で追い越したお爺さんもや

って来た。するとそのお爺さんが駐車場で一緒になった女性を連れて湿原の中を案内し

始めた。その様子を注視しているあっちゃんと私。『二人が立ち止まった場所には珍し

い花が咲いているはず』と、同じことを考えていたようだ。お弁当をさっさと食べ終え

て二人が立ち止まった場所まで行ってみるとヌマトラノオが咲いていた。



ヌマトラノオ







そのお爺さんが戻ってベンチで腰掛け休んでいると、周りに同じような常連さんが集ま

り挨拶をしている。その周りでも小さな花たちが咲いている写真を写していると、奥様

たちがその常連さんたちに話しかけて、湿原の中の道案内を頼んでいた。案内された先

には、これまた可愛らしいアカバナが咲いていた。



ゲンノショウコ


ダイコウソウ


タニソバ


アカバナ







アカバナを写真に撮り終わってベンチまで戻って腰掛けていると、今度は違う人の後ろ

に付いて歩くあっちゃんが手招きしている。



コオニユリ




森の中をどんどん進む常連さんの後ろを付いて行くと、ひっそりと佇んでいるアケボノ

シュスランの姿があった。まだ咲きはじめで花は開いていなかったが、確かにランの花

のように見える。






アケボノシュスラン




案内してくれた常連さんと色々話をすると、『おいわさんのHP』にも登場するWさん

との事。『違う場所にももう終わりかけだけれど咲いている』とその場所を教えてくれ

て『せっかくだから是非見て来てください』と。その教えてもらった場所には確かに茎

の上端の一輪だけ終わりかけだが花が残っていた。それでも奥様たちを大喜びをしている。

アケボノシュスラン






花散策に満足した奥様たちは今日は山頂へ登らないでいいと仰った。腰の調子が本調子

でない私も、無理に山頂にこだわる必要もなく、今日はこのまま引き上げることにする。














いつもなら超特急で下って行く二人も、今日はやはり所々で立ち止まっている。登りで

は気づかなかった花も時々目につく。




オオバヨメナ


フシグロセンノウ






風穴近くの遊歩道まで降りてくると足元に赤く色づいたモミジの落ち葉が。見上げて見

ると一本だけ色づいて木があった。ここでもそろそろ秋が近づいている。そんな秋の気

配を感じながら着いた駐車場には、十台以上の車が停まっていた。秋の花が終わると紅

葉の山にとほぼ年中楽しめる皿ケ嶺を後に、いつになく早めに帰宅となった。










リハビリと言えば剣山!(笑)

2023年09月08日 | 四国の山


『腰とは、背中側の肋骨の下縁から、お尻の下縁までの範囲を指します。』との事。


ここ最近、登山の後半になってくると背中がパンパンに張って痛くなっていた。通って

いる接骨院でその話をして『この辺りが痛くて・・・。』と言うと、『そこは腰やで』

と言われた。そうか腰痛だったんだと納得していたが、一昨日久しぶりに軽いギックリ

腰になってしまった。家の玄関を出て立ち止まって振り向いただけなのに・・・・・。

一日中デスクワークで椅子に座っていると、夕方になって立ち上がると痛む。昨日は

様子見で接骨院で治療をしてもらい、今日は軽めにどこか歩こうと考えた。じっと座っ

ているよりは歩いた方が調子はよくなる。但し腰に負担がかからない程度にあくまで軽

めにだ。そこで思いついたのが塔の丸。久しぶりに笹原歩きがしてみたいし、高低差も

それほどではないのでリハビリにはちょうどいい。天気予報は曇りだが、それでも稜線

からお向かいの剣山系の山々は見ることが出来るだろう。そう考えて出かけてみた。


朝起きると自宅付近は青空。しめしめこれなら笹原歩きには絶好の天気だ。そう思いな

がら自宅から県道5号線を前山の峠を越えると周りの雰囲気が一転した。目の前が霧で

真っ白で視界が悪く車のスピードを落とす。脇町に入る頃にはその霧は無くなったが、

正面に見える山には雲がかかっていた。そして貞光から国道438号線を見ノ越へと走

って行くと、第三ヘアピン辺りからまた周りが白く視界が悪くなってきた。スキー場跡

を過ぎる頃にはますます霧が濃くなってきた。『これじゃ~全く景色も見えずせっかく

の笹原歩きも楽しくないな』と思い、急遽、剣山に予定を変更する。


見ノ越の駐車場もこの空模様、いつになく停めている車の台数が少なかった。今日は独

り歩き、劔神社の石段も周りに咲いている草花を探しながらゆっくりと登って行く。



ハガクレツリフネソウ


レイジンソウ




神社簡易宿泊所の横の温度計は16度。県内ではまだまだ夏日が続いているけど、山で

はそろそろ服装を選ばないと思い、ジップシャツを一つ厚手を着て来たけれど、それで

も汗を掻く前だと少し寒い。







相変わらず登山道も霧の中。リフトも営業前で、いつもスピーカーから聞こえてくる観

光案内も流れていないのでとにかく静かだったが、今日は台風の影響で東からの風なのか、

木屋平側から吹き上げてくる風が強い。風が当たるととたんに寒くなってきた。










登山者も後ろから追いついてきた人と、前を歩いていた人の二人だけ。定点観測の場所

からも、もちろん雲に隠れて雲海荘は見えなかった。










西島駅の横のベンチに腰掛ける。いつもは見える今日歩こうと思っていた塔の丸の姿は

ない。駅の横の花壇に咲く花。



シコクフウロ


アキノキリンソウ


オニユリ




西島駅の横から刀掛けの松へと登って行くと、1ケ月ほど前に来た時はまだほとんど葉

だけだったテンニンソウの花が咲き誇っていた。花が下から上へと咲いて行く様子を天

人、天の花に例えたという説がある花だけれど、どう見ても天人のイメージが湧いてこ

ない。ここから先もほぼこのテンニンソウだらけの登山道になる。

西島駅までは支尾根西側を巻いた道だったが、西島駅から刀掛けの松への道は、東祖谷

と木屋平との尾根道になる。すると途端に東側からの雨交じりの風が強くなってきたの

で、風の当たらない場所でカッパの上着だけ着込む。

テンニンソウ








アキノキリンソウ









刀掛けの松に着いたがまだ時間は10時前。このまま山頂に登っても時間を持て余しそう

になったので、少しは咲いている花が多いかなと思って行場へと歩いてみる。










行場ではテンニンソウの薄黄色の花の中で明らかに色の違うシコクブシが咲いていた。

これ以上ない毒々しい紫の花の色は、周りのテンニンソウの中にあって特別目立つ。










夏の花がそろそろ終わり、秋の花への端境期なのか、期待したほどの花は咲いていなか

った。(それとも見つけられなかったのかな)

サラショウマ


カニコウモリ


??




不動の岩屋まで下って行くと岩屋の中からは、轟々と流れる水の音が聞こえて来た。辺

りは霧で薄暗く、さすがにこの雰囲気では中の梯子を下りて行く気にはならなかった。






オタカラコウ







不動の岩屋から山頂へと登って行く。岩壁を覆った苔の中に咲く花?を何の花かは分か

らないが取りあえず写してみる。














岩壁の頂部からは鎖場への分岐になる。その分岐を過ぎると道は笹原の中の九十九折れ

の道。これまで見た中でもけっこう大きなヤマミミズも、霧雨に濡れて何だか生き生き

している。














刀掛けの松からの道と合流する。前回はここからは大勢の人とすれ違ったが、今日は

宝蔵神社の雨戸も締められ、山頂ヒュッテの前もやはりひっそりと静まり返っていた。







時間もあるのでヒュッテに入ってコーヒーを頂く。ヒュッテの壁にはこのヒュッテの

昔からの写真が飾られていた。その中にかつては表参道だった富士の池の劔山本宮劔

神社
が盛況だった頃の写真もあった。










写真を眺めながらコーヒーを飲み終えたあと山頂へと向かう。山頂への木道も数十メー

トル先までしか見えない。この剣山には何十回と登って来たけれど、山頂に誰もいなか

ったのは初めてかもしれない。

















帰りは二度見展望所から西島駅への道を下って行く。展望所から西島駅への道は晴れて

いたらそびえ立つ御塔石が見えるのだが・・・・。ここでも道の両脇はテンニンソウが

斜面一面に咲いている。今日はこのテンニンソウに始まりテンニンソウに終わるといっ

た感じだ。

















途中でこの天気の中カッパを着て登山道の整備をする人がいた。『ご苦労様です』と声

を掛けてすれ違う。山頂から35分ほどでやはり人影のない西島駅に着いた。



ミヤマタニソバ




西島駅から見ノ越へも途中で一組とすれ違っただけだった。霧雨の中、眺望も期待でき

ずに平日にわざわざ登る人も少なかったのだろう。ここ数回の山行では夏場で気温も高

く、雨が降ってもカッパを着ずにそのまま濡れて歩いていたけれど、これからの季節は

やはり服装にも注意して歩かなければと気づかされた静かな静かな今日の剣山。登山道

には赤や黄色の落ち葉が目につき始め、秋の気配を感じたリハビリ登山だった。








帰り道、国道483号線の蜂須トンネルの手前の橋から右手にチラッと見える神社の赤い屋

根がいつも気になっていた。今日は時間も有ったので橋の上で車を停めて橋の下を覗き込ん

で見ると石灰岩だろうか、白い断崖の直下に鳥居と赤い屋根の神社の祠が見えた。GooglMap

では蜂須神社となっていた。口コミでは道が大変分かりづらいと書いてあったので、今日の

ところは次回に譲ることにして車に乗り込んだ。


『らんまん』の軌跡を追って横倉山へ!

2023年08月30日 | 四国の山


線で繋ぐで『引地山から石鎚山』を繋いでひと段落した後、大山の三ノ沢から登った

槍ケ峰イワカガミのお花畑で目覚めてしまい、新たに『花巡り』が始まった。大山も

さらにユートピア小屋のお花畑へ。そしてとうとう中央アルプスの千畳敷カールのお花

畑、そして伊吹山まで訪ねて行った。それには4月から始まった朝ドラの『らんまん』

の影響が少なからずある。私はその時間には出社しているので一度もドラマを見たこと

はないのだけれど、とにかく奥様たちは二人で歩きながらそのドラマの今後の展開やキ

ャストの話をしている。するとあっちゃんは出かける山に咲いているだろう花の絵を手

書きで書いてメモしてき始めた。そしてルリちゃんと言えば花の本を買って予習をして

きて、とにかくそんなに興味のなかった花に目覚めた奥様たちに釣られるようにして、

私の計画も花の咲く山をチェックするようになった。

そして先週は牧野博士所縁のコオロギランを目当てに甫喜ケ峰に出かけてきた。そうな

ればやはり牧野博士の故郷、そして博士が足げく通った横倉山は押さえておかなければ

ならない。できればまたコオロギランを見てみたいし、ミヤマウズラナツエビネも見

られればと思い出かけてきた。

ただしこのところずっと天気は週中でぐずついている。定例の水曜日は降水確率100%

の予報だ。仕方がないので少しはマシな今日にずらして、奥様たちには『それでも雨に

降られるのでそのつもりで!』と連絡して出かけてきた。





横倉山にはWOC登山部で4年前に。山楽会では18年も前に30名近くで来た山。

いずれも雨に降られて晴れた日の記憶がない。そしておそらく今日も・・・・・。

第一駐車場にはまだ木の香りが漂ってきそうな真新しいトイレが出来ていた。

駐車場からはアスファルトの林道を少し登って行くと登山口になる。その登山口までの

林道沿いにも小さな花がたくさん咲いていた。









ヤブラン




登山口には南遊歩道と書かれた朽ちそうになった古い標識と、新しく『ここから横倉宮

までは急な坂で岩場の多い登山道です。通行にはくれぐれも注意してください』と書か

れた標識が立っていた。道は階段状のいきなりの急登。しかもこの先には鎖場がある。

『これはやっぱり遊歩道ではなく、登山道やね!』とあっちゃんと話をしながら登って

行く。雨が降るというのに鎖場があるこのコースを選んだのはあっちゃんだった。そし

て『巻き道があるから!』とルリちゃんを何とか説得したのだった。








急登が終わると道の脇にはシコクママコナの群生。雲早山にはシャクナゲ尾根があるが

ここはママコナ尾根だ。



シコクママコナ






周りは次第にガスがかかり始め、ポツリポツリと雨が降り始めた。『一休み!』と書か

れた看板を見ながらも止まらずどんどん進んで行く奥様たち。











すると道に大岩が現れたと思うと、また階段状の急登、そして露岩の急登と変化のある道

になる。『気になるようなら上だけでもカッパを着ますか?』と前を行く二人に声をかけ

るが『もう濡れているからこのままでいいわ』と返事が返ってくる。














更に進んで行くと注意喚起の案内板。その先に一つ目の鎖が掛かっていた。ここは高さ

もなく足がかりもいいので、ルリちゃんも難なくクリアー!











一つ目を登りきると先頭のルリちゃんが『これは無理!』と声をあげた。見てみるると

けっこうな高さの岩壁に鎖が掛かっている。『私は巻き道で行くから、みんなはどうす

るん?』とルリちゃんが言っている横であっちゃんは鎖に手を掛けていた。『あ~あ、

雨降ってるし、岩も濡れてるし・・・。』と思いながらも仕方がないので付いて登って

行く。ガスがかかっているお陰で、左側は切れ落ちていても高度感がほとんどないのが

幸いした。あっちゃんはグイグイと登って行っているが、私の靴底がグリップが効かず

にズルズルと滑る。何度が冷や汗を掻きながらも何とか第二の鎖もクリアーした。




















鎖を登りきると今まで真っ白だった周りのガスが一瞬流れて、麓の坂折川に沿った集落

桐見ダムが見えた。『わ~素敵!』と声をあげるあっちゃん。




















鎖場が終わるとカブト嶽石鎚神社があった。ただ祠の横の標識には『かむとだき』

書かれていた。このカブト嶽の岩は4億年以上も前の日本最古の火山活動による火砕流

堆積物(溶結凝灰岩)からできている。











石鎚神社からは尾根筋の道になる。相変わらず雨は降っているようだったが、周りの

木々のお陰で大きくは濡れずに気持ちよく歩いて行ける。途中に右手に小さな祠がひと

つ。その祠からさらに進んで行くと夫婦杉への分岐に出た。前回WOC登山部で来た時は

ここから下って第二駐車場へと下りて行った場所だ。











尾根道は良く踏まれていて歩きやすい。『そろそろ何か花がありそうね!』と言いながら

奥様たちは道の右左を見ながら歩いている。










すると足元に何やら大きな物体が。よ~く見ると周りの落ち葉の保護色になったヒキガエ

ルくんだった。『あっちゃん』と小さめの声で先を歩くあっちゃんを呼び止め手招きする。

このヒキガエルはいつも多少の事では逃げようとしない。同じ姿勢でじっとしている。ひ

ょっとしたら保護色なので見つからないと思ってじっとしているのかもしれない。







『そろそろ花が・・・・』と言いながら、周りはキノコばかりが目に付く。










すると今度はルリちゃんが『あっ!』と声をあげた。そうオバケが空を飛んでいるよう

な、可愛らしい顔をしたミヤマウズラだった。(これも小さいのでピントが合わない)

まだ咲きはじめなのか他には蕾の花もある。







横倉山三角点の手前ではまたヒキガエルが、今度は道の真ん中でこちらに向かって座っ

ていた。私たちが見ていても『我関せず』と言った感じで、あまりにも堂々としていて

思わず笑ってしまった。








三角点から横倉宮までは何回かのアップダウン。青ヌタの十字路と呼ばれる田口社への

分岐の道標から少し歩くと横倉宮になる。














祭神が安徳天皇になる横倉宮。もともとは横倉権現と呼ばれていたそうだが、天皇崩御

750年祭(昭和24年)の際に横倉宮と改められたそうだ。






ヌスビトハギ


ヤマジノホトトギス




その本殿の横を通って行くとこれも牧野博士が命名したヨコグラノキが石灰岩の瘦せ地

に今もなお立っていた。新種として発表するための基準標本を採取した原木が現存する

のは非常に珍しいらしい。







そのヨコグラノキの先が80メートルの断崖の『馬鹿試し』。普通人では容易にその突端

には近づけず、敢えて危険を冒して先端に足を運ぶ者は“馬鹿者”の類いと称され、「馬鹿

か否かを試す」意味から“馬鹿試し”と呼ぶようになったといわれている。前回WOC登山部

で来た時はその先端まであっちゃん一人が降りて行ったが、今日はガスで何も見えないの

で、さすがに馬鹿を試すことなくあっさりとパス。










馬鹿試しからは本殿の横の反対側を通って正面まで戻る。






ヌスビトハギ




本殿からは住吉神社の方へ一旦下り、さらに南に平家の穴まで下ってみる。石灰岩の露

出する急な坂を下って行くと、途中に赤い屋根の岩屋神社の祠があった。この岩屋神社

からは、保安3(112)年. の年号の刻まれた四国最古の経筒(銅板製)が見つかっている。







その岩屋神社からさらに50mほど下って行くと、馬鹿試しの岩壁の根元になる場所に

平家の穴があった。この平家の穴は源氏の追っ手が襲来した際、安徳天皇の避難場所に

されたと言われる洞窟。敵の目を欺くためか正面からは穴があることがわからず、横か

ら覗き込まないと見えないようになっていて、身を潜めるには最適だったことだろう。

明治初年頃まで、刀剣や槍、銅鏡などが残っていたと言われており、その中にあった宝

剣が三種の神器のひとつ、天叢雲剣ではないかとも囁かれている。横倉宮からこの平家

の穴までの途中にも様々な花が咲いていた。(目当ての〇〇ダケは見つからなかった)









ヤブラン


アキノタムラソウ




平家の穴からは今度は当然登り返しの急登になる。杉原神社の下の夫婦杉も大きいが、こ

ちらの2本の夫婦杉の幹周りもかなり太い。その中の良い夫婦の間を分け入るあっちゃん。





横倉宮からの鞍部まで登り次に向かうは安徳天皇陵墓参考地。陵墓参考地とは、広義の陵

墓のうち、被葬者が特定出来ないが陵墓である可能性が高いため、宮内庁により管理され

ている墳墓等のこと。全国に46基あるうちの一つがここ横倉山にある。













陵墓は御影石の玉垣に囲まれてひっそりと佇んでいた。二重の玉垣に囲まれた陵墓の外

側の玉垣の正面には、Xの形の門扉が鎖と鍵で閉じられていた。ちなみにこの門扉。香

川の崇徳天皇の白峰御陵の門扉と全く同じ形をしている。







陵墓参考地からは尾根を通って今日のコースの西端になる住吉神社へと向かっていく。

尾根から一旦下って登り返していく途中に空池の看板。鬱蒼とした杉林に雲の切れ目か

ら陽が差し込む。苔むした岩が積み重なった空池との分岐を過ぎて登って行くと右手

には鹿害避けのネットが張られていた。













その坂を登り詰めると眺望が開けた場所に出た。たしかこの辺りが住吉神社?と思って

スマホを見ると神社はこの先一旦下った場所になっていた。











但しここから住吉神社に向かっても鎖が垂れていた。途中まではルリちゃんも付いて来

ていたが、神社の前の岩壁に垂れ下がったロープ場を見てまた『無理!』と言って引き

返して行った。














そんなルリちゃんを他所にあっちゃんはホイホイと下りて行き。先ほどルリちゃんが見

て無理だと言った大岩に取り付いていた。でも思っていたより足がかりもあり、二人と

も意外と楽に登って行き、岩の先端に祀られていた祠に手を合わせる。











ここが今日の折り返し地点。さっそく今登ったロープ場を降り、下って来た鎖を登り返

して行く。予定していなかった二つ目の鎖場を登りきって、あっちゃんも満足気だ。








住吉神社からは空池を経由して戻って行く。一旦階段を登って次に下って行くと空池の

底になる場所に出た。周りは苔むした大岩で囲まれ、水のない池の底は緑一色の底地。

まるで緑の深海の様。ここでも貴重植物の保護の為鹿よけのネットで囲ってあった。

















空池から先ほど通った分岐を抜け、御陵参考地の方へと歩いて行く。途中にはここでも

いろんな植物が目についた。

トチバニンジン


ツチアケビ










横倉宮を過ぎた辺りから既にあっちゃんは『お昼ご飯までにあとどのくらい?』と騒ぎ

始めていた。『住吉神社を廻ってですから1時間はかかります』と言うと、『え~そん

なに』と言いながら、ザックからおにぎりを取り出し頬張っていた。もう既におにぎり

を何個も食べているはずなのに、また騒ぎ始めた。所々であるベンチは先ほどの雨で濡

れている。『この先に山の家があるのでそこでお昼にします!』となだめる。










今日の最終地は杉原神社。そこまではほぼ下りの道。途中にある横倉宮の鳥居。銅板で

造られた鳥居は当初は眩しく輝いていただろうが、今は緑青の落ち着いた色になってい

る。鳥居を過ぎると今度は道の右手に越知町の天然記念物のカツラの巨木。樹高は30m、

幹周りは6.6m、樹齢は250年にもなる巨木だ。その奥にも二股に分かれたこちらも天

然記念物のカツラの木があった。










更に進んで行くと道の脇にもアカガシの巨木が並んでいた。木々にとっての環境がいい

のか、この横倉山には巨木が目立つ。田口社を過ぎ平安社の鳥居を横目に見ながら歩い

て行くと、山小屋と東屋のある広場に着いた。ここでお楽しみのお昼にする。













この広場には牧野博士の「森々と杉の木立の限りなく神代ながらの横倉の山」と書かれた

自筆の碑が立っている。屋島の合戦で敗れた平家一門が、安徳帝を擁しくこの地に落ち延

びられ、平知盛外80余名が天の高市(武家屋敷跡)に25軒の住を構え、都とした折りに、

ここの泉水を供御水とされた安徳水はここから少し下った場所になる。お昼ご飯を食べた

あと、少し先にあるすぐ杉原神社に。この杉原神社は明治時代に建て替えられたが、当時

長州大工と呼ばれる周防大島の一目置かれた宮大工が手掛けたそうだ。その長州大工でも

特に有名だった門井宗吉がこの杉原神社を手掛けている。愛媛から高知県にかけて数々の

社寺を手掛けているが、この杉原神社は特にその彫刻が凄い。こんな山の中でひっそりと

佇んでいるのはもったいないと思うほどの作品だ。






















杉原神社からは遊歩道を降りて行く。第二と第三駐車場の間へと続くコンクリートの

遊歩道。ここでも様々な小さな花が咲いていた。






ガンクビソウ






遊歩道から林道に出て車を停めた第一駐車場へと下って行く。林道の脇の斜面にも色々

な花たち。最後まで楽しませてくれた横倉山。

ヤブラン





イワタバコ







織田公園を過ぎ第一駐車場に着くと青空が広がっていた。先週と同じように汗で濡れた

衣服を脱いで真新しいトイレで着替える。夏の花の季節もそろそろ終わりを告げようと

している。花巡りが終わると次なる目標はまた『線で繋ぐシリーズ』の再開かな?なん

て考えながら、帰路にある芋や金次郎で自宅の奥様のご機嫌取りのお土産を買って帰る。










今日出会った花たち

咲いているコオロギランは見つけられなかった。


今日一番見たかったミヤマウズラ


とても愛くるしい顔をしている


幽霊?オバケ?





そして終わりかけのナツエビナ





クサアジサイ


ヨコクラツクバネ


キンミズヒキ


ヤブラン


シギンカラマツ


ミヤマウズラ


ヒヨドリバナ


ギボウシ


マツカゼソウ


今週も雨予報、それなら軽めに花散策!

2023年08月26日 | 四国の山
ここの所ずっと週中が雨模様。先週は体調もイマイチだったので、山はお休みして休息

日に。今週も雨予報だったけれど2週続けてお休みするのは身体がなまってしまうと思

い、雨が降っても安全に歩ける所はないかと探していたら、グランマさん甫喜ケ峰

コオロギランをアップしたのが目についた。そのページのURLを奥様たちに送ると、

ここ最近二人の共通の話題の、朝ドラの『らんまん』の牧野富太郎氏命名の花とあって

早速食いついてきた。『それじゃお昼ご飯はお弁当?それとも歩き終わって高知市内で

ランチにしますか?』と聞いたら『カツオのたたきが食べたい!』と返事があった。




大豊まで高速を走りICを降りて国道32号線を南下。32号線は大豊までは走る事は

あっても、そこから南へ走るのは高速道路ができてからは初めてかもしれない。そんな

話をしながらICを降りてから20分ほどで甫喜ケ峰森林公園の駐車場に着いた。

広い駐車場の周りには学習展示館や研修棟やトイレなどの施設もあり、まずは奥様たち

に学習展示館へコウロギランの咲く場所を聞きに行ってもらう。その間トイレの周りに

咲く小さな花たちの写真を撮る。



キツネノマゴ


キツネノマゴ白花


アキノタムラソウ



学習展示館から奥様たちがニコニコ顔で戻って来た。手には森林公園のパンフレット。

そのパンフレットの園内マップには、職員さんに聞いたお目当ての居場所がボールペン

で書き込まれていた。その地図が広い森林公園の中の宝探しの地図ように見えた。

まずはキャンプ場から一旦車道に出て『水源の森』から歩いて行く。

透き通った小さな水の流れを左に見ながら森の中を歩いて行く。最後に木の橋を渡ると

道はその沢から離れて少し急な登坂になる。











坂を登りきると林道に向かって今度は緩やかな下り坂になる。道の脇には可愛らしい花

たちがひっそりと咲いている。

ヒメヤブラン


ゲンノショウコ


キンミズヒキ



一旦林道に出てしばらく歩いて行くと草刈り機のブンブンと回る機械音が聞こえてきた。

林道の脇の草を管理の方数人で刈っていた。その作業を横目で見ながら林道脇の遊歩道

へと進んで行く。



シシウド










写真を撮った時には気づかなかったが、キノコの上に極細のクモが写っていた。








雨予報で期待はしていなかった展望台からの景色は意外と遠くまで見渡せた。左に物

部川と野市町と奥の山の上には見えるのは、確かお城の様な建物だったような記憶があ

る。視線を右に移すと高知市内まで見えた。展望デッキの案内板に大きなカマキリ。

足元には黄色く可愛らしいカタバミが咲いていた。














デッキのベンチに腰掛け菓子パンを頬張る。奥様たちも行動食を口入れている。








展望デッキから『アセビの森』の中を下って行くときれいな建物のトイレがあった。ト

イレの手前には派手な色をしたヒオウギがあちらこちらに咲いていた。







記念碑のある広場を通って正面に見える甫喜ケ峰を目指す。広場から山頂への道の途中

で一輪だけ咲くチャボホトトギス











甫喜ケ峰山頂は木々に囲まれて眺望は無かった。文字の消えかかった山名板の前には、

三等三角点 平山 610.99m




山頂から少し進んで行くと『この先公園外』の標識。グランマさんも何気にこの先へと

歩いて行ったようだが、そのブログをしっかり読んでいない私たちもそのまま進んでし

まい、途中で気がついて引き返す。分岐まで引き返し、『林道』の道標に従って下って

行くと、風力発電の風車のある『風の広場』に出た。この風車が高知自動車道からも見

える風車だった。











風の広場からはアセビの森を過ぎ、展望台のピークの下辺りまで林道を歩いて行く。途

中から道標に従って遊歩道へと進んで行く。最後に九十九折れの道を下って行くと、学

習展示館の裏側に出た。

駐車場の横にあるトイレの中にはシャワーと更衣のスペースがあった。さっそくびっし

ょり掻いた衣服を脱いで、少し冷たかったがシャワーを浴びてスッキリとした。

今日は降水確率70%だったが、一度も降られることなく花散策ができた。『やはり晴

れ男?のお陰かな?』と奥様たちに言われて、鼻の穴が膨らむへっぽこリーダーだった。














あまりにも小さなコオロギラン。山中でよくこんなものを見つけられたものだと感心す

る。牧野富太郎さんには見えないかな?


















今日出会った花たち

タカサゴユリ


ヘクソカズラ


シコクママコナ


ヤブラン


イヌトウバナ





コウゾリナ




お昼ご飯はカツオのたたきの専門店より、色々とメニューのある市内の『漁ま』へ。

ところが駐車場もほぼ満車で、店内から外まで待つ人で行列が出来ていた。仕方がな

いので、近くの『西村商店』へ。ここでは何とか駐車する事が出来て、私はタタキも入

った『お刺身定食』を頂いた。この店も市内の人気店。次から次とお客が入れ替わり、

店内は賑わっていた。










食事の後は牧野植物園へ。今日出かけるときに家の奥様に『今日はどちらの山に?』と

聞かれて『高知!』と答えると、『高知まで行くん。だったら牧野植物園に連れて行っ

て欲しいわ!』と言われながら出かけてきた。そのせいで何となく後ろめたさを感じな

がらも園内に咲く花を眺めながら、のんびりと今日の花散策を終えた。


植物園の花たち




























































今日は何の日・・・・『山の日』で剣山へ!

2023年08月12日 | 四国の山
『山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する』を趣旨として2014年に制定された

山の日だが、その由来については規定も明示もされていないそうだ。初めての山の日は

三嶺に登ったような記憶があるが、それ以降祝日はなかなか休みが取りづらく、今

日は何年かぶりに休みを取って出かけてきた。

太平洋上では台風6号と7号が変な動きをしていて、四国の天気も不安定な状態が続き

天気予報も右往左往をしていた。それでも少しはマシだったのが剣山(但し降水確率は

40%)。丁度キレンゲショウマも見頃だし、剣山なら雨が降ってもスタート時点の身

支度も駐車場の屋根があるし、昼食も雨になればお弁当はやめて山頂ヒュッテでランチ

を摂ることもできるので、奥様たちにそんな内容で案内をした。

お盆前後のこの時期、剣山はキレンゲショウマ目当てで登山客だけでなく、観光客が押

しかける。何なら見ノ越の駐車場に観光バスが数台停まることもある。第一駐車場が満

車になる前にと思って、今日は少し早めに貞光で待ち合わせをした。

ここ最近の待ち合わせは、貞光の道の駅ではなく街中を南に少し抜けた国道沿いの路肩

が広くなった場所。(以前に道の駅で不法駐車で張り紙をされたので)その広場に向か

う途中で木綿麻橋の電光掲示板の道路情報に『~桑平通行止め』のオレンジ色文字が見

えた。広場で奥様たちを待つ間にネットで『道路情報提供システム』を調べて見ると、

桑平と夫婦池の先にバツ印が付いていた。到着した奥様たちにもその話をして、取りあ

えずは先に行ってみる事にする。

『本当に通行止めかな?』なんて話をしながら走って行くと、木屋平への県道260号

線との分岐の先の道路に『異常気象時・通行止め』の看板が立っていた。但しその看板

は道路のセンターより左に置いてあり、右側は車が通れるようになっていた。後ろから

次々と車がやってくるので、廃屋の横の空き地に車を停めて暫く思案をする。ここから

木屋平を回って見ノ越というルートもあるが、たしかそちら側もバツ印がついていた。

どうしようかと考えていたら、後ろから来た軽自動車から女性が降りてきて、『どうな

んでしょうか?』と聞いてきた。二人で少し話をしているうちにその女性が、看板に書

いてある『県土整備部』の電話番号に電話をして問合せをした。すると電話口の男性が、

『通行止めになっていますが、異常気象時の通行止めなので通れますよ!』と言ってく

れた。但し道路状況の確認はまだできていないので自己責任でとの事だった。

そんなやり取りをしながら一路見ノ越へ。途中の道路は風で落ちた枝葉が少し散乱して

いた程度だった。そして見ノ越に着くとなんと何事もなかったように、かなりの数の車

が既に停まっていた。後には『高松市民登山学校37期生』のバスもやって来た。











予報通り空は曇り空。路面は少し前まで雨が降っていたのかけっこう濡れている。いつ

ものように劔神社の石段を登って行くと、登りきった脇の手水鉢はアジサイの花で飾ら

れていた。本堂の奥の簡易宿泊所の気温計は20度を指している。連日の猛暑の中から

のこの気温は別天地だ。










神社では涼しく感じた身体も、登り始めると直ぐに汗がでて暑くなってきた。いつもは

9時から営業のリフトも今日は1時間早く動いているようだ。








周りのブナやミズナラの木々も雨の後で瑞々しい。するといつも聞こえる鳥や鹿の鳴く

声は聞こえてこず、今まで聞いたことのない水の音が聞こえて来た。いつも枯れている

谷筋に音をたてて水が流れている。













西島神社の上の定点観測の場所からは、雲海荘の青い屋根も今日は全く見えない。普段

ならテンションが下がるところだが、『まぁ今日はお花が目当てだからね!』と奥様た

ちに言うと『そうそう!』と。







西島駅の脇の花壇には沢山の花が咲いていたが、この辺りも晴天が続いたのか、枯れか

かって縮んだ花弁が雨が当たって少しは生き返っているように見える。

クガイソウ


シコクフウロ


シロバナのシコクフウロ




西島駅から刀掛けの松へと登って行く。周りは次第に霧雨のようになってきた。ザック

を背負った背中はそうでもないが、シャツの袖はもうびっしょり濡れている。



オトギリソウ



刀掛けの松では男性と女性二人が休憩をしていた。すると行場の方から男女がやってき

た。男性の顔を見て『どこかで・・・?』で思っていると、先に『KAZASHIさん!』と

声を掛けられた。以前に南高城山でお会いしたねこバスさんだった。キレンゲショウマ

の様子を伺うと『全体としてはそれほどではないけれど、個体としてはきれいに咲いて

いる』『群生としては下の群生地の方が良く咲いている』と色々と教えてくれた。




ねこバスさんとはお別れをして、教えてもらった通りに時計回りに回ることに。途中に

ある鶴の舞は、そそり立つ崖の上の大岩の周りをカニの横這いの様に岩を抱えて廻るの

が行だそうだ。その手前の岩の足元にはソバナがたくさん咲いていた。




行場の分岐を左に折れて下がって行くと、まだ多く蕾を残したキレンゲショウマの群生

地。蕾も花弁も他の花にはなかなかない肉厚さが何とも言えずに可愛らしい。













保護柵のネットの中では、キレンゲショウマより少し背の高いオタカラコウが所々で

頭を出して咲いている。平開はせずに下向きに花を咲かせているキレンゲショウマは、

黄色い花びらの中心部がほのかに赤く、何だが俯いて恥ずかしがっている少女の様だ。

刀掛けの松で一緒になった三人組さんは、ここから引き返す予定だったが、『この先

の道はどうなっていますか?』と聞いてきたので、『ぐるっと周回できますよ!』と

教えてあげると、予定を変更して我々の後をついて来た。













下っていた道から少し登って行くと剣山本宮劔神社の末社になる三十五社は、山護神を

総数三十五社祀ってあると言うが、岩の上の祠は意外と小さかった。その大岩の脇の

奥には注連縄を張った大岩がさらにあった。途中の道には小さな花たちがたくさん。



アキノタムラソウ


ソバナ


ツルギハナウド




三十五社からまた下って行くと、背後の大岩をご神体とした両劔神社。ここから先に進

むと1.5kmで一の森となる。奥様たちも以前に上の道を通ってここまでは来たこと

はある。そして直ぐ横には穴吹川の源流となる沢がある。










その沢も今日は滝のような勢いで水が流れている。その水の流れは一筋ではなく、幾筋

にも分かれて道の途中に流れ出ている。沢の上部には霧がかかり大きな音をたてて流れ

落ちる水は神秘的でもある。

















しっかりと濡れた岩の足元に注意しながら登って行くとまた群生地となる。ここでは保

護柵のネットの奥に花を咲かせているのでアップの写真が撮りづらい。ハナウドの花に

は無数の小さな虫が群がっていた。









キツリフネ




群生地を過ぎさらに登って行くと行場のおくさり。岩の割れ目の中の鎖を登る行場。今

日はその割れ目の中の岩も鎖も濡れているので、さすがにあっちゃんも登ろうとはしな

い。(登りにくいのではなく服が汚れるから?・・・・。)







おくさりの前であっちゃんが声をあげた。『ヒャ~大きなカエルさん!』。指さす方を

見てみると大きなヒキガエルが微動だにせず石の上に座っていた。あっちゃんは初めて

見るらしく、珍しそうに何枚も写真を撮っていた。







おくさりから左手の巨岩の脇を登って行くと不動の岩屋。鉄製の梯子を下って奥に進む

と水の音が聞こえてくるが、その水源はどこなのか未だ分かっていないそうだ。




不動の岩屋の少し上が、刀掛けの松とおくさりの上部との分岐になる。先ほどから一緒

に歩いてきた三人組さんにルートが分れるのを教えてあげると、同じようにおくさりの

巻き道へついて来た。ここからは山頂近くまでほぼ直登、けっこうな急登が続いて行く。







それでも『私たち、後期高齢者なの!』と言っていた三人組さんもしっかりと登って来

ている。『まだ登り~!』とルリちゃんが言っている前方が少し明るくなってきた。樹

林帯を抜けると笹原の道になり、尾根道を歩いている人の姿が見えた。そして尾根道に

合流すると次から次と登ってくる人。その内の半分ぐらいは急遽ビニールポンチョを買

って着ている観光客の姿だった。当然足元はスニーカーだ。




剣山本宮の輪くぐりを通って参拝したあと、少し天気が回復してきたような感じがした

ので、『上のテラスででもお昼にしますか?』と言って、神社とヒュッテの間の階段を

登って山頂の平家の馬場に出ると、吹き抜ける風に濡れた身体で途端に寒くなり、『や

っぱりヒュッテで食事にしましょう』と引き返す。ヒュッテの中は食事を摂る人達で賑

わっていた。少し冷えた身体を暖めようと三人で温かいそうめんを注文をする。向かい

に座った北九州から来たという男性は、石鎚の方が天気が悪そうだったので剣山に来て

みたが、貞光からの道が通行止めになっていたので、祖谷を通ってやって来たという。

少し太めの半田そうめんと、塩分補給で出汁をしっかり飲んでヒュッテを後に山頂へ。










山頂の木道ではガスがかかってさらに南から風が吹き上げていた。体脂肪があと少しで

ひとケタになるあっちゃんが『寒い、寒い!』と言っている。当然山頂からの次郎さん

は姿を見せず。三脚を出して三人で写真を撮る間もなく、さっさと奥様たち二人で証拠

写真を撮って直ぐに踵を返す。







山頂からヒュッテの建屋の横まで来ると風が当たらなくなり少しは落ち着く。相変わら

ず下からは次々と登ってくる人の姿があった。



イブキトラノオ


トゲアザミ



西島駅までもすれ違い挨拶するけっこうな数の人。突発的に走る子供の後ろで、息を切

らして登ってくるおじいちゃんの姿もあった。西島駅ではリフトで賑やかに上がってく

る団体客の横で、リフトで荷揚げした荷物をキャタピラを付けた台車に移すヒュッテの

人がいた。その台車を指さし、『このキャタピラで登山道を登って行くんですよ!』と

あっちゃんに教えてあげると、駅横の階段状になった急坂を登るのを見てみたいと言い

だした。ヒュッテの人は荷物を移し替えながら『荷物の多いときはもちろんだけれど、

あまり急いでない時は台車で、急いでいる時は歩荷で運ぶ』と教えてくれた。



キンロバイ


キノコ?












西島神社からは前回と同じように左に折れて歩いて行くと、往路で見た谷筋の流れが下

流で一段と激しくなっていた。すると先頭を歩くルリちゃんが立ち止まり人差し指を立

てて『静かに!』とポーズをとった。そして指さす方向を見てみると可愛い鹿が一頭。

三人そろって眺めていてもじっとして動かない。ひょっとしたら他にもと思ったら、

さらに奥の方にもう一頭いるのをルリちゃんが見つけた。鹿の姿は今まで何度も見かけ

た事があるが、これでだけ長い時間じっとしていたのも初めてかもしれない。










予想していた通り祖谷川源流の沢でも勢いよく水が流れていた。行場の穴吹川源流から

流れた水は吉野川へと合流するが、香川用水の取水口となる池田ダムからは下流域とな

るが、この祖谷川源流域から流れ出た水は、吉野川そして香川用水を通って、何日後か

数カ月後には自宅の蛇口を捻ったら出てくるかもしれない。

















山頂では濡れた衣服が冷えて寒かったが、速乾性のシャツはもう乾こうとしていた。身

体の熱を奪いながら乾いていくシャツと、山肌を巻いて吹いてくる風とで何だか爽やか

さを感じていた。前を歩く奥様たちは朝ドラの『らんまん』に出てくる植物の名前で盛

り上がっている。この根っこが絡み合っているようにしか見えない植物も、ドラマに出

てきた植物ではと言っている。そして来週は今日のキレンゲショウマが出てくるそうだ。











見ノ越の駐車場はまだほぼ満車の状態だった。シャツは乾いていたが、まだ濡れていた

ズボンを履き替え車に乗り込み帰路についた。

花音痴の三人もここにきて出来るだけ花の名前をブログに書き込むようにしったのと、

奥様たちは『らんまん』の影響で、少しづつ覚えるようになってきた。これから先、

山歩きの一つの楽しみとして花を探しての山歩きもいいかなと、山頂や眺望に拘らず

歩いた今日一日の感想だった。



モミジガサ


??





帰りに寄り道した伊吹山もお花の山だった!

2023年08月05日 | 四国外の山


昨日は木曾駒ケ岳から下山して、飯田市まで移動してホテルに泊まった。ホテルの部屋

で、汗を流した後近くの居酒屋で祝杯をあげた。山を下りた後の生ビールは、それはそ

れは美味しく、頼んだ料理もどれも美味しくてついつい飲み過ぎてしまった。

そのせいで朝起きると頭が重く、昨日は高山病?で頭がクラクラ、今日は二日酔いで頭

がクラクラだった。

今日は帰り道の途中で関ケ原ICで下りて、日本百名山、新・花の百名山、関西百名山

に選定されている伊吹山に寄り道する予定。標高は1,377mあるが、ドライブウェイを

利用すれば、駐車場からは30分程度で登れるので、体調は最悪だが何とかなるだろう。

飯田市から中央道を走り名神高速の小牧辺りになると急に空が暗くなり、車のワイパー

が効かないほどのどしゃ降りの雨になった。いわゆるゲリラ豪雨だ。一般道なら停車も

出来るが高速道路ではそうはいかずに一瞬冷や汗がでた。

それでも関ケ原ICを下りる頃には青空が広がって、車窓からは山頂近くが少し雲がか

かった伊吹山が見えた。伊吹山ドライブウェイは麓から全長17kmの有料道路。その

距離もそうだがかなりのくねくね道で、後ろの座席ではあっちゃんがグロッキー。

ドライブウェイの駐車場には自家用車や観光バスが停まり、大勢の観光客で賑わってい

た。当然登山服の姿の人もいたが圧倒的に軽装の人が多かった。

麓では雲がかかっていた山頂だったが、ここでも晴れ男の本領発揮。雲は流れて青空が

見えていた。ルリちゃんは傘をさして軽装で、まずは西遊歩道コースを歩いて行く。







すると早速道の脇に次々と花が咲いていた。

ヤマホタルブクロ


クガイソウ


クサタチバナ



前を歩く女性も日笠をさしてのんびりとそんな花たちの写真を撮りながら歩いている。

遊歩道のスタート地点から少し登って行くと右手の山肌が、キオンの花で黄色一色に染

まっていた。里では菜の花畑やひまわり畑で黄色一色の景色はよく見るが、山中でここ

までの群生は珍しい。










奥様たちは相変わらず花散策でなかなか登って来ない。




キオンの群生地を過ぎさらに登って行くと植生保護柵の中で今度はシモツケソウで赤色

に染まったお花畑。柵の前では『伊吹山もりびとの会』の方が、花の説明や自分たちの

活動の説明をしていた。










ここで昨日の千畳敷カールでの花の写真をFBにアップしていたのを見たWOC登山部の

写真の先生から『花の写真が露出オーバーでは?』とコメントしてもらったのを思い出

した。さっそくネットでデジカメの取説を調べて設定を変更して見ると、今まで明るす

ぎたマクロでの写真が、随分と落ち着いた感じになった。(山の中でも電波の届く場所

だったのでネットで直ぐに取説を見られるなんて、便利になったもんだ。とは言え最初

から取説をちゃんと読んでおけば良かった。(^_^;) )

露出オーバーのイワアカバナ



設定を変えて写したクルマバナ






ウツボクサ




もりびとの会の方にクガイソウだと思っていた花はルリトラノオだと教えてもらった。

ルリトラノオは上から見ると葉が十字に見えるそうだ。

ルリトラノオ


キリンソウ



山頂が近づくとガスが流れて来た。後ろから来る女の子たちは流れるガスを見るのは初

めてなのか、喜んでスマホで動画を撮っている。




山頂の少し手前で上野登山口への分岐になる。植生保護柵のゲートを開けて奥に進んで

行くと、西から南にかけての眺望が広がっていた。石灰岩の白い山肌の向こうに、霞が

かかっているが薄く琵琶湖が見える。南には米原市の市街地の奥に夏らしくモコモコと

入道雲が盛り上がっている。







7月の豪雨で上野登山道は崩壊して通行禁止になっているらしいが、崩壊している場所

はどの辺りだろうか?奥様たちもこの絶景を堪能している。








分岐まで戻り山頂へと歩いて行く間にもいろんな花が咲いていた。



カワラナデシコ


シモツケソウ


クサフジ


イブキフウロ







山頂にはこの山での伝説が残る日本武尊が祀られている。







三角点はこの日本武尊の像から更に西に進んだ場所にある。一等三角点・伊吹山1377.3m








三角点から見える西側の斜面も石灰岩の石クズの様な雰囲気に見える。その三角点から

山頂中央部の植生保護柵で囲まれた場所を北側に回り込んで、中央遊歩道コースを下っ

て行く。西遊歩道と比べるとほとんど歩いている人の姿もなく、階段状の遊歩道を三人

でゆっくりと下って行く。






ヒメジョオン


ホタルブクロ


コオニユリ






すると下から長いポールを担いで登ってくる女性が二人。山側の斜面を見ながら手を叩

いて声を出している。その方向を見るとシカがピョンピョン跳ねながら逃げて行く。

その女性たちに『あそこは保護柵の外ですか?』と聞くと『柵の中なんです。網を破っ

て入ってくるんです』と教えてくれた。伊吹山レンジャーの二人は『最近は少々毒のあ

る草花でも食べちゃうんです』と。シカも生きていく上で耐性ができていくようだ。

たまに見かけて喜ぶ我々と違って、山では鹿害は大きな問題。安易に可愛いとは言えない。



オトギリソウ


イワアカバナ



あまりの花の多さにコースタイムでは35分の所を1時間30分もかかって山頂に。その

後も花の写真ばかりを撮って下りて来た。帰り道で見えた伊吹山は山頂にまたガスがかか

っていた。




帰り道、高速のSAで遅めの昼食を摂り一路香川へ。満腹の後の運転はさすがに少し眠

気がしてきたが、何とか無事に帰宅した。

今日の伊吹山で日本百名山を二座。YAMAPの山頂ポイントも4つゲットして、しか

も花の写真を1年分くらい撮った感じの二日間は、なかなか収穫の多い二日間だった。

色々と制約はあるが、年に一度は遠征に出かけてみたいものだ。


他の花たち



















三人で初めての遠征は花・花・花でした!

2023年08月05日 | 四国外の山
ここ最近、大山の三ノ沢・三鈷峰そして寒風山と、花音痴の三人が珍しく花を求めての

山歩き。その仕上げとして兼ねてより計画していた初の一泊しての遠征をしてきた。

目的地は中央アルプスの最高峰の木曾駒ケ岳。そのスタート地点となる千畳敷カールの

お花畑。そして翌日は帰りに花の山として有名な伊吹山に寄り道してドライブウェイを利

用しての観光コースで、両日ともに花を目当てに、そしてあっちゃんは初めてのアルプ

スデビューとなった。ルリちゃんは意外とあちこちの山にツアーで出かけているのだけ

れど、結構な確率で雨だったそうだ。今回はその雨女と晴れ男の私との勝負になった。

1週間前まで40%だった降水確率が20%まで回復して『シメ・シメ』と思っていた

のに、直前では40%にまた戻ってしまった。果たして二人の勝負は、お山の天気はど

うなるのか?今まで以上にずっと気にしながらの1週間だった。




夜中の3時に集合して高速を一路長野県を目指す。途中で淡路島の室津。宝塚北・黒丸・

恵那のPA・SAで休憩をとりながら6時間ほどで菅ノ台バスセンターに着いた。セン

ターの駐車場はすでに満車で、少し上の臨時の駐車場に案内された。

予定より2便早い9時15分発のバスに乗り込み、ロープウェイ乗り場のしらび平には

30分ほどくねくねの道を揺られながら到着。ロープウェイは1,662mのしらび平

から2,612mの千畳敷駅までの高低差950mを7分ほどで一気に登って行った。










千畳敷駅の前には以前にはなかった、千畳敷カールを目の前にして広いテラスが出来て

いた。宝剣岳から乗越浄土そして伊那前岳にかけての稜線の奥は残念だが曇り空だった

が、それでも山々はくっきりと見えて三人とも歓声をあげる。







周りは家族連れの観光客や登山客の姿があったが、ここでは観光客の方が多いような感

じがした。まずは駅舎の横にある駒ケ岳神社にお参りして千畳敷カールの遊歩道を歩

いて行く。さっきまで灰色一色だった空は時々青空がのぞき始めた。『ヨシ・ヨシ!』











遊歩道の脇には次々と花が咲いていて、道の右に左にと忙しく写真を撮って行く。写真

撮影に忙しい奥様たちもなかなかやってこない。振り返ると何やら女性から花の名前の

レクチャーを受けていた。

ヒメユキソウ








タカネツメクサ


ウサギギク






遊歩道と登山道の分岐となる八丁坂分岐からは足元はゴロゴロ石の登坂になる。九十九

折れの道は、時々上から降りてくる人との離合で立ち止まって意外と時間がかかる。






チングルマの綿毛



ロープウェイで一気に上がってきたせいなのか、それとも寝不足のせいなのか、先ほど

から息を吸うと頭がクラクラとする。たしかにもう既に標高は2,700n近いので、

高山病が発症してもおかしくはない。









ヨシバシオガマ



乗越浄土が近づくにつれ、周りは岩稜のアルプスらしい景色になって来た。相変わらず

頭がクラクラするが、奥様たちも同じような感じだと言っている。












サクライウズ




乗越浄土には遊歩道でゆっくりしていたのでコースタイムより時間がかかって1時間ほ

どで着いた。正面には天狗荘の赤い屋根の向こうに中岳。右手にはハイマツの緑と白い

稜線とのコントラストが美しい伊那前岳(山頂は更に奥)が見えた。まずは伊那前岳へ

のアタック(笑)を前に、ここでお昼ご飯にする。今日も麓のコンビニで買ったぶっか

けうどん!













ご飯を食べた後は少し時間が押して来たのでザックを置いて、早々に伊那前岳へと歩き

始める。乗越浄土浄土から見えるピークは山頂ではなく、さらに奥になるが15分ほど

で行けると奥様たちに男性が教えてくれたそうだ。周りは次々とガスが流れていく。













山頂の前のピークには、江戸時代中期に高遠藩郡代の阪本天山が木曽駒を検分した際に、

この場所で絶景を前に漢詩を詠み、すぐさま石工に命じ近くの岩に(鎖で囲まれた中の

岩)この詩を刻んだ勒銘石がある。その後詩が刻まれた岩が風化し始めたので、その傍

らに石碑が建立されている。







伊那前岳山頂には乗越浄土から25分ほどで着いた。今までほとんどなかったのに、な

ぜかここ最近『写真を撮ってもらえませんか』と山頂で頼まれることが多くなった。こ

こでもご夫婦に頼まれ写真を撮ってあげ、その後こちらもお願いをする。

















相変わらず次々とガスが流れて、一瞬はクリアだった周りの景色を刻々と変えていく。













山頂から乗越浄土に戻り宝剣山荘の横を通ってまずは中岳へと歩いて行く。振り返ると

先ほど歩いた伊那前岳への稜線と、険しい顔をした宝剣岳。

















中岳山頂から木曾駒ケ岳へは一旦下っての登り返しになる。鞍部には頂上山荘の前でテ

ントを張っている人の姿があった。山頂への道はここまでと同じようなゴロゴロ石の道。
















道の両側には立ち入らないようにロープをずっと張ってある。すると赤い小さな花が目

についた。『あっ、女王様だ!』










山頂には木曾駒ケ岳神社伊那駒ケ岳神社の二つの神社がある。まずは木曾駒ケ岳神社

にお参りして記念撮影してその後伊那駒ケ岳神社で手を合わせる。山頂に神社が二つあ

るのは珍しいことだが、昔の水利権の名残りだそうだ。山頂は長野県の上松町・勒銘石

木曽町・宮田村の3つの村の境界にあり山頂がどこに属するかは昔は大変重要で、谷を流

れ下る水の権利に関わったそうだ。











木曾駒ケ岳山頂からの下りで数人の人が立ち止まって写真を撮っていた。カメラを向け

ている方を見ると、岩の上にひょこっと雷鳥が立っていた。少し距離が合ったのでズー

ムで撮ったがガスの影響もあってイマイチ。








中岳との鞍部まで下り、今度は中岳山頂へは登らずトラバース道を進んで行く。すると

ここでも道の脇へカメラを向けている人の姿があった。さっきの雷鳥と比べると随分近

くの岩に立っていた。しかも周りでちょこちょこと小さな子供たちが歩いている。さら

に一羽や二羽ではなくかなりの数が動いている。なんなら親鳥から離れてこちらへやっ

て来る子供もいる。

木曽駒ケ岳の雷鳥は、昭和44(1969)年以降にライチョウの目撃がなく絶滅したとされ

ていたが、平成30年7月20日に一般登山者により撮影され、その後個体群復活事業がな

されているそうだ。目視では分からなかったが写真をみて見ると、個体識別の色足輪が

付けられている。雷鳥は北アルプスで何回か見た事はあるが、これだけの数を見たのは

初めてだった。それにしても子供たちは周りの花崗岩や花崗土にそっくりの保護色をし

ているので、よくよく見ていないと直ぐに見失ってしまう。













トラバース道は途中から岩稜の道になる。晴れていれば右は滑川へと続く谷筋の切れ落

ちた斜面のはずだが、ガスっているので高度感は感じられないのが助かる。










さきほど雷鳥を撮影していた団体は中国の人の様で、こんな雰囲気の中でも賑やかにと

言うより騒がしく前を歩いている。











ガスがどんどん濃くなってくる。宝剣山荘の横から『さぁ宝剣岳へ!』と稜線を登って

行くと、直ぐに雨が降り始めた。どうしようかと迷っていると雨脚はどんどん強くなる

ばかり。仕方がないので引き返して雨具を着るために宝剣山荘に入る。食堂の椅子に腰

かけ雨具を着こんでいると同じように次々と登山客が入って来た。食堂には8月だとい

うのにストーブに火がつけられていた。







雨具を着た後、宝剣岳は諦めて下山する事に。晴れの日を天気予報を見ながらの登山ば

かりしているので、雨具を着こむのは久しぶりの事だった。







乗越浄土から千畳敷駅までは花崗岩の急な下り坂。ただ花崗岩の表面がザラザラしてい

て雨で濡れても意外と滑りにくかったのが助かった。この時間この天気の中、下からは

まだ登ってくる人達とすれ違う。

<








八丁坂分岐からは往路と違う剣ケ池の方へ歩いて行く。こちらの道ではムカゴトラノオ

の群生地になっていた。

ムカゴトラノ












ロープウェイの出発時刻までには余裕があったので、花を見つける度に立ち止まっての

んびりと写真を撮る。幸い剣ケ池では雨も小降りになっていた。



ミヤマアキノキリンソウ


エゾシオガマ




下りは16時発のロープウェイ。乗り込む人も多くなくロープウェイもバスもスムーズ

に我々を運んでくれた。千畳敷駅で18度の気温から下界は一気に気温が上がっていた。

今晩は飯田市のホテルで宿泊。チェックインの後直ぐ近くの居酒屋で宴会。一口目の生

ビールの美味しいこと美味しいこと。最後の岩と鎖の宝剣岳に登れなかったのは残念

だったが、それでも千畳敷カールの高山植物、そして女王のコマクサ、花崗岩とハイマ

ツのコントラストの中の稜線歩き、最後に雷鳥の大家族にも会えて満足度100%の第

一回の遠征は無事幕を下ろした。













花の数が多すぎたのでまとめてみました。
















今週は寒風山のお花畑へ!

2023年07月27日 | 四国の山

ここのところ花音痴がお花を求めてお山の計画を立てている。大山の南と北でお花畑を堪能

した後、今週は事情があって、少し軽めの山と言う事でYAMAPで皆さんの活動日記を見

ていたら、アカリプタさん寒風山が目についた。そういえばこの時期の寒風山は意外と沢

山の花が咲いている。しかもアカリプタさんはアップした花の写真一枚一枚に花の名前を書

いてくれているのでとても参考になる。と言う事で奥様たちに連絡するともちろん即OKの

返事が返ってきた。

いつものように高松自動車道を西に待ち合わせの豊浜SAへと車を走らせる。法皇山系辺り

に少し雲がかかっているが申し分ない青空だ。




寒風茶屋の手前の駐車場に車を停めて身支度をする。トイレを済ませて手を洗おうとしたら、

トイレの横にあった水場は寒風トンネルの方に移動していた。手洗いを済ませた後、水で濡

らすと冷たくなる冷感タオルをホースの先から流れ出る水に漬け、氷水の様な冷たい水でつ

いでに顔を洗って準備万端スタートをする。茶屋の前の休憩所からは194号線沿いの谷合

の奥に西門山と稲叢山。明るい日差しに『今日も暑くなりそうだ!』






ノリウツギ



いつもの様に桑瀬峠への取付きはいきなりの急登。昨日雨が降ったのか木の根や岩の上が濡

れていたので、以前より多くなった?ロープを使って滑らないように登って行く。



ヤマジノホトトギス


ギンバイソウ




今日は花散策。花が咲いていないか右に左にと目線を移しながゆっくりと歩いて行くと、少

し前を歩く三人の女性も同じように時々立ち止まっては花を探しながら歩いている。






ヒメキンミズヒキ


ヒナノウスツボ




桑瀬峠が近づき樹林帯から笹の中の道になると一気に暑さが迫って来た。足元にはニガナが

チラチラと咲いていて、珍しく白いな花もある。



ニガナ



シロバナニガナ




桑瀬峠の手前では右手前方に冠山。この標高からはまだ平家平は隠れて見えない。少し左に

回り込むと、寒風山西峰の岩峰、そしてちち山から笹ヶ峰までが見渡せた。











桑瀬峠では前を歩いていた三人の女性陣がザックを降ろして休憩していた。先週の三鈷峰と

同じで、直ぐに高知の方だと判った。少し話をしていると桑瀬峠の標識と寒風山西峰をバッ

クに『写真を撮ってください!』と頼まれる。これも先週と同じだなと思っていると、『ぜ

ひ牧野植物園へ来てください!』と。少し話を聞くと三人さんとも植物園で調査員としてボ

ランティア活動をしているという。植物園の調査員、そして朝ドラの『らんまん』の話で奥

様たちと盛り上がっている。いつもの様に峠では吹き上げてくる風が涼しかったが、女性5

人の話声で峠は熱く賑わっていた。








しばらくの間女性陣が盛り上がった後、高知の方より先に峠をスタートする。しばらくは笹

の中の道。以前はこの辺りの笹も刈り払われていたが、ここ最近のこの間は笹の中の道にな

り、雨の後で濡れた笹がタイツを冷たく濡らして気持ちがいい。道が寒風山からの稜線の西

側になるとやっと山頂の笹原が見え始める。









ヤマシグレ


クロヅル



道の脇にある展望台からは伊予富士から東黒森山が見渡せた。樹林帯の中の道は時々谷筋の

細尾根になった場所では冷たい風が吹き上げてくた。一つ目のステンレス製の梯子を登り、

二つ目の梯子の周りではシモツケソウが目立ち始める。









シモツケソウ


ホツツジ




するとルリちゃんが『あっ、黄色いのが咲いている!』と声を上げる。教えてもらった場所

の岩肌にタマガワホトトギスが咲いていた。この先で一旦梯子を下った鞍部ではいつも見か

けたタマガワさん、途中で見るのは今日が初めて。後ろから登って来たソロの女性に教えて

あげると、その方もこの場所で見るのは初めてだそうだ。

タマガワホトトギス






空には綿菓子の様な白い雲があちこちで泳ぎ始め、山肌に黒い影を落としている。ただまだ

圧倒的に空の青色の面積の方が広い。







今日のお目当てのお花畑はベンチの手前から左に脇へ入って行く。少し下って進むと岩肌が

現れ、色とりどりの花が咲いている。

イシヅチボウフウ


シモツケソウ


ホソバノシュロソウ


コウスユキソウ



今日は最初は東赤石山にと思っていたが、今回は疲れが残らない程度にと言う事で寒風山に

なった。その東赤石にも咲いているタカネマツムシソウもこのお花畑には咲いている。

タカネマツムシソウ










そしてこのお花畑の存在を初めて知ったのが6年前だった。その時にすれ違ったリップさん

に『ウチョウランが咲いているわよ!』と言って、この場所を教えてもらった。そのウチョ

ウランはもう盛りを過ぎていたが、何輪かはまだ花を付けていた。

ウチョウラン






アキカラマツ




あっちゃんと二人で岩場のお花畑の一番奥まで行ってみる。イシヅチボウフウが一番多く咲

いていた。先ほどの女性もやって来て『いつもよりマツムシソウの数が少ない!』と言って

いる。このお花畑は岩場にあるので上り下りには注意が必要だ。

















お花畑を堪能した後山頂を目指す。往路で唯一の下りの梯子を下りると、いつもの様にヤマ

アジサイとタマガワさんが迎えてくれる。













その鞍部から登って行くと最後の梯子。そしてここでもいつもナンゴククガイソウが咲いて

いる。道が樹林帯を抜け笹の中の道になるとイヨフウロが目につき始める。



ナンゴククガイソウ





イヨフウロ









山頂が近づくにつれ空の顔色が変わってきた。圧倒的だった青空が白い雲に迫れれている。

振り返ると稜線をガスが覆い隠そうとしている。








山頂は笹ケ峰と比べるとあまり広くはない。その笹ケ峰も北側からドンドン雲が流れてきて

表情を次々と変えている。しばらくはその景色を眺めていたが、ここで腰を降ろしてお昼ご

はんにする。今日は三人ともに冷やしうどんだ。




















復路は登山道から少し外れて裏寒風の方へ回り込んでいたアカリプタさんのルートを辿って

みる。アカリプタさんが登山道から外れてわざわざ違うルートを歩いていると言う事は、何

か珍しい花が咲いているのかもしれない。登山道は山頂から小ピークの東をトラバースして

いるが、その小ピークの先で踏み跡を辿って尾根へと登って行く。尾根は以前に裏寒風を登

った時に通った尾根だった。






コメツツジ


イワキンバイ





クロヅル






尾根は少し先で岩壁になっていて先に行けそうにない。YAMAPでアカリプタさんのルー

トを確認して見ると、尾根から南西に下がっている。よく見ると灌木に青いテープが巻いて

あった。そこから急坂を下って行く。するとすぐにロープが掛った岩場になる。途中でタマ

ガワさんの群生。そこから少し下って行くと突然手のひらに激痛が走る。『刺された!!』

そう思って慌てて払いのけるが逃げずに刺してくる。その内首筋にも激痛が走る。普通なら

手で払うとハチも逃げるのだが、何度も何度も刺してくる。何匹いたのか、ハチなのかアブ

なのかブヨなのか、慌てていてその正体を確認する余裕もなかった。
















何とかやり過ごすと今度は後ろであっちゃんの悲鳴があがった。そしてその後ろのルリちゃ

んも刺された。一人が刺されることは今までもあったが、三人とも刺されたのは初めての事。

痛みを堪えながらロープの掛った岩場を何とかやり過ごす。笹で踏み跡が分からなくなった

が、テープを目印に下って行くと次に現れたのはガレ場だった。足を踏み出すたびに足元が

崩れていく。周りには掴める木々も少なく苦戦する。
















途中でバイケソウやシクガイソウの群生が目につくが、ゆっくりと眺める余裕がない。











左手には高い岩壁が見える。ルート的にはその岩壁の足元を巻いているような感じだ。思っ

た以上にけっこう下まで下って行く。たしか前回裏寒風を登った時は、ザレ場を登りきると

この岩壁が現れた記憶がある。そこから上になる今下っているザレ場の記憶があまりない。






スダレギボウシ




YAMAPを確認するとザレ場の途中から左に、岩壁の足元を巻いている。ルート図に沿っ

て左手へと方向を変える。ここでもテープを目印に進んで行く。






テバコマンテマ


イワキンバイ






岩壁を回り込んだ後今度は登山道に向かっての直登。ここもかなりの勾配で足元はぬかるん

でいて踏み出しては滑って足が元の位置に戻ってしまう。













奥様たちは稜線の登山道目指して登っていたが、ふと横を見ると更に岩壁の足元が見えた。

足元を巻いて行けば進んで行けそうなので、奥様たちと別れて岩場の方へと登って行く。す

ると予想した通り岩のあちこちにお花が咲いていた。そして見た事もない花も・・・・。



シュウキラン


コウスユキソウの群生


ミヤマカラマツ


タマガワさん


シモツケさん


ノリウツギ




これは何?花たちを眺めながら岩壁を回り込み最後は登山道に向かって直登する。登山道直

前では木の枝を掴みながら何とか登りきり、登山道に飛び出した。すると丁度下ってきてい

るあっちゃんに出くわした。『あら!』・・・『あら!』








正規の?登山道からは一気に下って行く。山頂付近は寒風山も伊予富士もガスがかかっていた。









トゲアザミ




往路では花を探しながらゆっくりと登ったので、下りはそのせいで至極あっという間に下っ

た感じがした。瓶ケ森林道に降り立つ手前で桑瀬峠でお話をした高知の三人組―24金さん

(ハチキンさんが三人なので)とまた出会った。早速あっちゃんが写した写真を見せながら

花の名前を聞いている。さすが牧野植物園の調査員。見せる写真の花の名前を全て答えてく

れた。ただ我々は家に着くころには忘れてしまうかな?







いつになく花を愛でながらののんびり登山。とは言っても裏寒風のザレ場では予想以上に苦

戦をした。『今度は下から登って見たいわ』とあっちゃん。『それなら秋の紅葉の季節に登

りましょう』と約束をする。

来週は我々三人での初めての遠征。天気予報はまだイマイチだけれど、初アルプスにあっち

ゃんは期待に胸を膨らませている。取りあえず第一回は一泊で登れる山木曽駒ケ岳。夜中に

出発して日帰り登山。その後山から降りてのホテルで泊まり。帰りは途中にある伊吹山を散

策。木曾駒ケ岳のスタート地点となる千畳敷カールも伊吹山も花の山。どうか天気がよくな

りますように!(晴れ男と雨女、どちらが強いかの勝負になる)


花の名前は調べて書いたが間違っているのもあると思うのであしからず。

そしてその他の花たち

バライチゴ


アクシバ


ナガサキオトギリ













いざユートピアのお花畑へ、GO・GO!!

2023年07月22日 | 四国外の山
昨年の夏に大山ユートピア避難小屋の周りのお花畑の存在をネットで知った。その時は

シーズンを少し過ぎた頃だったので、『来年は出かけてみましょうと』と奥様たちと話を

していた。そして前回に三ノ沢から剣ケ峰に登った時に、剣ケ峰の山頂で出会ったご婦人に

お花畑の話をすると『今年はどこも花の開花が早いので、7月の初旬が見頃かも?』と教

えてもらったのだが、今月の第一・二週は都合が付かず、とうとう三週目に入ってしまい、

この間花はまだ咲いてるのかが気がかりだったけれど、YAMAPを見ていると、どうや

らまだ間に合いそうな雰囲気。それならと晴れの日を狙って金曜日に出かけましょうと言

う事になった。前日には中国地方が梅雨明けをして期待大で出かけてきた。





6時に坂出で待ち合わせ。自宅を5時に出て高速を西に走らせると、まだ陽が登る前の薄

っすらと朝焼けの空。『日本海側も晴れているかな?』と思いながらアクセルを踏み込む。




瀬戸大橋を越え中国道から米子道に入る頃に周りは次第に雲が多くなり、少し天気が怪し

くなってきたが、蒜山の手前になると一気に青空が広がった。『ヤッタ~!』溝口ICで

下りて県道45号線を桝水高原の中をグングンと高度を上げて行くと、南側から見る大山

とは全く違ったシルエットの、まさしく伯耆富士の大山が朝陽の中に浮かんでいた。




南光河原駐車場は満車状態だったので県営第4駐車場に車を停める。登山口へは南光河原が

一番近い駐車場なのだが、この第4駐車場からは大山の北壁が見渡せるビューポイントにな

っている。思っていた通り雲一つない空に大きな大きな大山が横たわっていた。







駐車場の上にあるナショナルパークセンターでトイレを済ませた後、道の両側に宿が並ぶ

御幸参道本通りをまずは大山寺へと足を運ぶ。本堂はまだ朱色の大きな扉を閉じていたが、

その扉の前で手を合わせ、本堂を左に回り込んで次に大山神社の奥宮へと向かう。自然石を

敷き詰めたこの参道の長さは日本一だそうだが、デコボコしていて歩きにくい。その参道が

終わると逆さ門と呼ばれる神門がある。この神門は大山寺本坊西楽院の表門(宮家のお成門)

にあったのが仏毀釈によりこの奥宮の門に移転された際に、そのまま移転したので後向きに

なったという。その逆さ門を潜り本殿へ。国内最大の権現造りの本殿は残念ながら改修工事

中でその全容は見ることが出来なかった。



















本殿を参拝した後、その社殿の右側奥の登山口から取り付いて行く。平日だったが梅雨明け

を狙って訪れた何組もの登山者と一緒になる。原生林の中の道は途中で大山頂上への道と分

かれ、左の下宝珠越の道へと進んで行く。道の脇にはヤマアジサイが咲いていた。このヤマ

アジサイは三鈷峰の尾根近くまで最後まで咲いていたが、尾根近くにあると濃い青色へと色

が変わっていった。











道は涸れ沢の中の道になり途中で一旦舗装された林道に飛び出す。ここからは『通行注意』

で、自己責任でと書かれた道標。後ろから登って来た常連の様な方が『ここから下宝珠越は

30分位ですよ!』と教えてくれる。麦わら帽子に小さなザック。地元の方だろういかにも

通い慣れているといった感じの男性だった。次第に涸れ沢は沢というより深く切れ込んだ谷

筋のような雰囲気になって来た。足元もゴロゴロ石が多く歩きにくい。









クサアジサイも咲いている



この辺りからヤマジノホトトギスが所々で見かける




振り返ると大山町の街並みと白い雲の下には日本海が見える。谷筋から尾根直下の直登の急

登になる。木の根に足の運びを戸惑いながら登って行くと、下宝珠越には25分ほどで着い

た。ここから左に行くと宝珠山。復路はこちらから下る予定だ。














下宝珠越からしばらくは緩やかな尾根道。密度の濃い樹林の中を進んで行くと右手にチラチ

ラと北壁が見え始めるが、駐車場で見たあの青空の面影は全くなく、白いガスの上にちょこ

っとだけ稜線が見える程度になってしまっていた。







中宝珠越の手前の1242mの標高点は展望台になっていた。最初は真っ白なガスで全く姿

が見えなかった三鈷峰が、しばらく待っているとその姿を現した。白い岩肌と緑のコントラ

ストは四国には無いどちらかと言うとアルプスの様な雰囲気の山容だ。視線を右に移すと北

壁の稜線が青空に映える。このまま晴れてくれればと話をしていると、後から来た大きな一

眼レフを抱えた男性が『昼からは晴れる予想です!』と言ってくれた。その言葉を信じて!
















標高点からは一旦下って行く。それもなかなかの急坂だ。『も~、どこまで下るんやろ?』と

先頭のあっちゃんが言っている。急坂を下りきった場所が中宝珠越になっていた。







中宝珠越を過ぎると右側にロープが張られた崩壊地。ここからは木の根を握ったり、ロープ

を握ったりしながらの変化のある道。
















さらにもう一ヵ所大きく崩れた場所があったが、足元はしっかりしているので問題はない。

次々と登ってくる登山者。そして上から降りて来たのは高校の登山部。この時間だとユート

ピア避難小屋で小屋泊だったのかな?










ガスが次々と現れては北壁の稜線が見え隠れしている。三鈷峰の尾根の延長にあるユートピ

ア避難小屋も薄く見える程度だ。







上宝珠越の道標はここまでの道標と同じように朽ちて落ちていた。冬は雪に埋もれてしまう

ので、どうしても腐るのが早くなるのだろう。この道標の左手に侵入禁止のロープが張られ

ていた。ここでも後から来た男性が、『ここが砂すべりの入り口ですよ』と教えてくれた。

前回の三ノ沢での下りで砂利滑りが楽しかったと言うあっちゃんの目が一瞬輝いた。すると

間髪入れずにルリちゃんが『もう変な事考えんとってよ!』と。すかさず私も『帰りにここ

から下ってしまうと宝珠山に行けませんけど、いいですか?』と言うと直ぐに諦めた。

相変わらず三鈷峰の稜線のガスは濃い。今日はこのままかな?







ホタルブクロ



上宝珠越からは左に回り込むように三鈷峰の尾根へのトラバースの道になる。このあたりか

ら道の脇には今までなかった花が目立ってくる。巨大なシシウド越しのユートピア避難小屋。

トラバースの道はキャラボクの中を続いている。何ヵ所も枯れた古木が横たわっていて、そ

の度跨ぎながらで時間がかかる。稜線が近づくと左手の景色が見え始める。天狗ケ峰からの

支尾根だろうか、その下の方には勝間ケルンと呼ばれている鉄骨の大きな三角錐が見える。







シモツケソウ



クサボタン



ダイモンジソウ










三鈷峰とユートピア避難小屋との分岐の尾根に出ると左手に三鈷峰、右手に象ケ鼻から16

36mの標高点へと続く稜線が見える。でも相変わらず北壁は姿を現せてはくれない。







コオニユリ






目の前に見えるユートピア避難小屋でお昼ご飯にすることにして尾根を歩いて行くと、前を

歩く奥様たちから歓声が上がった。『凄~い!』

稜線の両側に色とりどりの花が咲き乱れている。ネットで見た印象としてはナンゴククダイ

ソウとシモツケソウのお花畑かと思ったら、その他にも色々な花が咲いている。お花畑に感

激した奥様たちが『写真を撮って!』と催促してきた。『周りのお花に負けてませんよ!』

と胡麻をする。










ホゾバシュロソウ



シシウド




稜線上に建つユートピア避難小屋。その道筋に咲くヤマブキショウマ。そして左の山肌には

オオバキボウシとナンゴククガイソウの紫色。右の斜面にはシモツケソウの濃いピンクが目

立つ。例年に比べると今年は少なめだと書いている活動日記もあったが、それでもこの数は

特筆すべき、本当にお花畑だ!










クガイソウ



ただコンデジではこの辺りが限界。見た目ほどはきれいに写せない。








ユートピア避難小屋にザックを置いて取り敢えず象ケ鼻まで登ってみる。岩場になった象ケ鼻

までの間もお花畑が続いて行く。
















カラマツソウ







奥様たちは更に先の通行禁止の看板のある場所まで行ってみると言う。私はこのお花畑をもう

少しゆっくりと写真を撮りたくて引き返す。そして先に小屋まで戻ってお昼ご飯にする。小屋

の建屋の日陰に腰を降ろしていると奥様たちも戻って来た。先ほどまで大汗を掻いていたのに

動かなくなった途端に汗冷えで少し肌寒く感じ始めた。










ホソバヤマハハコ



アカモノ



ダイセンオトギリソウ



ダイコンソウ



シコクフウロ






その間次々と登ってくる登山者。お昼ご飯を済ませた後は三鈷峰へと向かう。その稜線上にも

山頂にも多くの人の姿が見える。



















分岐から一旦小ピークを越えて鞍部まで下ると、そこから先は西側が崩れた稜線になる。足

元の岩は割としっかりしているので手足を使って登って行く。ただ左手を見るとなかなか迫

力のある斜面になっている。
















山頂は多くの人で賑わっていた。そんな中でも話声で高知の人はすぐ分かる。その高知から

来た団体さんにシャッターを押してくれと頼まれる。二枚ほど撮った後、今度は私たちの写

真をお願いすると年配の女性が快く撮ってくれた。するとその中の一人の方から『すみませ

ん、ひょっとしてKAZASHIさん?』と声を掛けられた。『そうです!』と答えると、

YAMAPでフォローしているとしくんさんだった。『よく縦走であるかれてますよね』と

言うので『こちらの奥様たちと一緒に歩いています。いつもついて行くのがやっとなんです

。』と奥様たちを紹介する。としくんさんは登山会のメンバーと一緒に来ていて、今日は一

泊して明日は甲ケ山を歩くそうだ。甲ケ山と聞いて直ぐにあのゴジラの背が頭に浮かんだが、

としくんさんのメンバーを見ると年配の方も多い。さすが登山会、熟達者揃いのようだ。

相変わらず周りはガスの中。1242mの標高点で『午後からは晴れますよ!』と言った男

性の予想はどうやら今日は外れのようだ。するとまた今度は女性4人と男性1人のグループ

に写真を頼まれた。撮り終えると女性たちが山頂標を前に思い思いのポーズで写真を撮り始

めた。そのポーズを見て私も撮ってと真似をするあっちゃん。













時間は13時を廻っていた。少し予定より遅れ気味だったのでポーズ写真を撮って直ぐに下

山を開始する。













としくんさんとはユートピア避難小屋への分岐で分かれ、そのまま上宝珠越へと下って行く。

遅れ気味の時間を気にしてスピードを上げたいところだが、道は相変わらず倒木が多くてス

ピードはあまり上がらない。











中腹辺りまで掛った雲の下に大山から広がる緑の山裾が見えた。車を停めた辺りの建物も見

えるが、まだまだ随分と下の方に見える。崩壊地まで下って来るとさらに考霊山が正面に見

えた。そしてその奥には霞んではいるが名前の通り弓なりになった弓ケ浜が見える。










北壁はやはり全容を見せてはくれない。中腹の険しい岩肌と年々崩れていく石クズになった

沢。地形図には元谷沢、天狗沢、弥山沢と名前が載っているが、その地形が複雑すぎてどの

沢かはさっぱり分からない。










上宝珠越から中宝珠越も岩肌のロープ場や岩の間の道になっていてスピードは上がらない。

北壁は相変わらずだったが三鈷峰はガスが流れて午前よりはユートピア避難小屋とともに

綺麗に見えた。こちらも植生のある山肌はいいが、岩場の斜面は少しづつ崩れてきている

ように見える。













中宝珠越からの道はやはりブナの林が見事だった。けっして大きくはないがこれだけの数が

密集して並んでいるブナの尾根は見た事がない。










下宝珠越からは直進して宝珠山を目指す。流石に歩く人の数が今までと比べると少ないのか

足元が見えない程度に木々が茂っている。暑さ対策でズボンからショートパンツに最近切り

替えたので、枝葉が当たるタイツが破れはしないだろうかと気になる。宝珠山の山名札も同

じ様に朽ちて杭から落ちていた。今日三つ目のポイント。そういえばYAMAPのポイント

は三ヵ所だったが、その内のひとつも三角点ではないのも珍しい。







宝珠山からは下り一辺倒。最初は先ほどと同じようなブナ林。その内に笹が道を覆うように

なり、その笹道を抜けると一気に視界が広がった。中の原スキー場の最上部のリフトに出た。

冬場のスキーシーズンはここでリフトを降りて滑り始める場所だ。そのスキーで何度も来た

事のある場所だが、夏場のこの時期は初めて。その開放感に『ウォ~!』と声が出た。











正面には豪円山、その奥に考霊山。そして更にその奥には弓ケ浜。大山北壁は駐車場からし

かその姿は見ることが出来なかったが、この景色でそれも帳消し。素晴らしいの一言に尽き

る。それじゃボーゲン?パラレル?で下って行きましょう!













下草はそれほど伸びていなくて歩きやすかったが、それでも一直線の下り。しばらくすると

登山靴の中の指先が痛み始めた。ついでに膝と腰も・・・・・。










計画では最長7時間と読んでいたが、結局30分ほどオーバーして駐車場に着いた。やはり

途中で散々花の写真を撮っていたせいかな?着いた駐車場では直ぐに靴を脱ぎ、汗でびっし

ょり濡れた服を着替えて帰路につく。もちろん途中の蒜山SAでソフトクリームを食べたの

は言うまでもない。

奥様たちを坂出で降ろして自宅へと高速を走っていると、サイドミラーには陽が落ちた夕焼

けの空が写っていた。朝焼けから夕焼け。今日も一日よく遊びました!





他に見かけた花たち(一応調べたつもりですが間違ってたら・・・・ゴメンなさい)

ウツギ



ホツツジ



トキショウマ



トチバナニンジン



シモツケ



ダイセンオトギリ


今週は島へ!

2023年07月15日 | 雑記


今週はお山はお休みをして南の島に出かけていました。

守礼門



首里城は工事中



国際通りの人通りは割と少なめ



海中道路



やっぱり海の色が違う



CAVE OKINAWA(鍾乳洞)





残波岬





アメリカンビレッジ







ウミカジテラス





今のところ体調に変化なしです!(笑い)

奥様念願の黒滝峰直登ルートとタキユリ

2023年07月07日 | 四国の山


梅雨入りしてから雨降りでも苦にならずに歩ける山を色々とピックアップしていた。

その内のひとつに工石山を挙げていた。工石山なら雨が降っていても青少年の家の

体育館の建屋の下の駐車場で、雨を気にせず雨具を着こめるし、下山後も着替えが

出来る。登山道はよく整備されているので雨降りでも安全に歩ける。そんな感じで

候補の一つと考えてYAMAPを見ていると、昨年のこの時期の活動日記には

タキユリの写真が上がっていた。ただ最初はタキユリは工石山の登山道のどこかに

咲いているのだと思っていたら、どうやら山中ではなく、高知市内からの県道16号線

沿いに咲いていることが分かった。そこで昨年の活動日記を書いていたギッチャンさんに

『県道のどの辺りに咲いていますか?』と尋ねると、タキユリは探すほどの事はなく、

高川あたりの県道沿い沢山咲いていると教えて頂いた。

さらにプラスして七ツ淵神社のウスキキヌガサダケも是非見に行ってとお勧めされた。

『タキユリはまだ蕾ばかりですよ』と教えてもらったが、来週、再来週と予定が

入っていて出かけられるのは今週しかない。今年はどこの山でも花の開花が早い。

ひょっとしたら一輪でも咲いていたらラッキー!くらいの気持ちで出かける事にした。


当初は工石山ではなく、地形図には山名が記載されていない高知の三つ目の

笹ケ峰を歩こうと奥様たちと連絡を取り合っていたが、急遽ルリちゃんが参加

出来なくなった。せっかくなら未登の山。三人で歩く事にしてコース変更。

するとあっちゃんから『黒滝峰の岩場を登りたい!』とメッセージが届いた。

私が黒滝峰への直登ルートには岩場にロープがかかっていて、楽しいよ!と

前々から話をしていたので、いつかは登ってみたいと思っていたらしい。

ではでは直登ルートを登って三辻山へ歩いて、その後は花散策ということで!


高速を大豊ICで下りるまでは山にはガスがかかっていたが、国道439号線から

県道16号線を南下して赤良木トンネルの手前では青空が広がっていた。

予定通り青少年の家に車を停めて、まずは県道を南に下って行く。

途中、少し霞んではいたが南に太平洋まで見える眺望が広がっていた。







木々の上にちょこんと頭を出した黒滝峰の岩峰。山手には伐採地の作業道への入り口。

最初のヘヤピンカーブが三辻山・黒滝峰への登山口となる。











小滝の手前で左に折れて急登を登って行く。以前にはなかった矢印の道標が何ヵ所で

建っていたが、目印は以前からあった色褪せてはいるが白と赤のテープ。











前日の雨で湿った斜面を足を滑らさないように登って行く。時々現れる大岩は右に

右にと巻いて行く。この山域で見られるレンガ色の石。白い筋が入っているのが

大トロの様に見えるのは私だけかな?













すると最初の岩壁が現れる。ここも右へと巻いて行くと、岩の隙間に根を張り、

途中から真直ぐに高く伸びている『ド根性の木』。『ド根性の植物』と言われて、

アスファルトの隙間から生える植物や野菜はよく目にするが、ここまで大きく

育った木は珍しい。







この岩壁を巻いて上部に出る途中で前を歩くあっちゃんから何やら匂って来た。

岩壁の上部に出たところで『あっちゃん、今日のお昼は冷やしうどん?』と尋ねたら、

『そうよ!』と。『ひょっとしたら出汁が漏れてないですか?』と言うと、ザックを

降ろして中を見るあっちゃん。予想通りタッパに入れたうどんの出汁が漏れていた。

あっちゃんがザックの中身を取り出しゴゾゴゾしている間に、ふと横を見ると木々の間から

見晴らしが良さそうな岩が見えた。枝葉を掻き分け岩場に出て見ると南に太平洋から

浦戸湾の景色が広がっていた。怪我はしていないが怪我の功名。あっちゃんが立ち止まった

お陰で、前回は気づかなかった展望岩で絶景を見ることができた。











ザックの中身を片付けたあっちゃんも展望岩でひとしきり写真撮影。その後歩き始めると

さらに高い岩壁が現れた。岩の足元の土だまりを右にどんどん進んで行くが、前回はあった

はずのロープが見当たらない。仕方がないので引き返して二人で右往左往しながら、

『そっちはどう?』『こっちは何とか登れそうや!』などと言いながら、木が生えた

岩の隙間を狙って適当に登って行く。少し藪ぽい岩崖を木の枝を握り、潜りながら

登って行くと(この間は写真を撮る余裕が全くなかった)、何とか岩壁の上部に

たどり着くと、ここでも南側の眺望が広がっていた。








ここからは赤良木峠から樫山峠へのトラバース道まで直登。足元は踏み跡も無く

不明瞭だが、テープを探しながら何とか登って行くとトラバース道に出た。










トラバース道に出た後一旦赤良木峠の方へ左に折れて歩いて行く。しばらく歩いて行くと

道の両側にテープが垂れ下がっている。ここから山側に登って行けば黒滝峰の直下になる。

ここからもテープを目印に登って行くと目の前に巨大な岩壁が現れる。











ここでも先ほどの岩壁と同じように岩の下を右に巻いて歩いて行く。岩壁の下に白赤の

テープは続いているが、どうやらこのまま岩壁を巻いて上部に出るルートの様だ。

お目当てのロープ場に行けなくなると気づいて、引き返して太い白テープのある

場所から登って行く。








最初は岩と岩の間の隙間の様な場所。少しロープを使って登って行くと、最後の岩場には

太い白と茶色のロープが掛かっている。










白骨樹に括り付けられたロープは真ん中あたりで輪っかにしてアブミのように

なっているが、段差が結構あってここで少しあっちゃんがてこずる。

それでも何とかこの場所をクリアすると、あとはグイグイと登って行った。
















この岸壁は固く脆くもなく足がかりがしっかりしているので、見た目よりは簡単に登れる。

ロープが途切れる最上部からは少し籔いた灌木の中を進んで行くと黒滝峰の岩峰の

手前にでた。尾根からは左に折れて黒滝峰の岩峰の突端にでる。

ここからも先ほどまでの展望岩と同じように南の景色が広がっていた。標高が上がった分、

先ほどまでの岩峰展望台では見えなかった浦戸湾に隣接する五台山も見えた。











さらに右手には工石山と青少年の家、そして緑の山肌が大きく地肌になった伐採地が見える。

するとあっちゃんが初めてこの景色を見たと言う。『いえいえ2年前にルリちゃんと

ちゃんと来ていますよ!』











展望岩での絶景を楽しんだ後、黒滝峰の標高点を踏んで三辻山へと歩いて行く。











赤良木峠と三辻山との分岐にある東屋を指して、『これは見覚えがあるでしょう!』と

言っても『こんな東屋、どこにでもあるし!』と返事が返ってきた。それにしても

奥様たち二人は意外と山での記憶があまりない。



ヤマシグレ



さすがに三辻山山頂の丸い山名案内板は見覚えがあるらしく、『ハイハイ、ここは来ました』と。

青空の下、日差しはきついが吹く風は乾いていて心地よい。

時間はまだ10時30分過ぎなのにあっちゃんがここでお昼ご飯にしようと言う。

兎に角タッパから漏れたうどんの出汁が気になるらしい。『過去最速のお昼ご飯ですね』と

言いながら、コンビニで買ったヘルシー巻きずしを取り出す。










山頂からでの眺望はやはり霞がかかっていて、北側の峰々の山座の同定は難しい。







食後はコーヒーでまったり時間を過ごし、記念写真を撮った後一旦東屋のある分岐まで

下って、赤良木峠を目指す。山頂の下を巻くようにして続いていた道が杉林の中の道になると

傾斜も急になり九十九折れの道になる。足元に今日三匹目の登山靴より大きいヤマミミズ!














途中でテープのある分岐らしいヶ所があり最初は右に下って行ったが、どうやらルートから

外れている様子だったので、ルートの左の道へと斜面を登って行く。(実はこの分岐から

右の道が、伐採地を通らずに赤良木峠に行ける道だとあとで分かった。)

すると以前からのルートは途切れてしまい伐採地の中に入っていった。







ここでGPSを確認して見ると、すぐ下に林道の実線がある。その距離もさほどでも

ないので、作業道の行止りから林道めがけて降りて行く。少し笹が藪いてはいるものの

そこはあっちゃん手慣れたもの、躊躇なくどんどん下って行く。











すると三辻山の道標の立つ場所に出た。そしてその先には前回来た時、杖塚から樫山峠に

行こうとしたが、ロープが張られて通行止めの標示のあって引き返した場所に出た。











ここからは赤良木峠を通って杖塚経由で青少年の家へと戻って行く。






ウツボグサ


コナスビ




登山口を過ぎ青少年の家への舗装路を下る途中で見えた伐採地は、黒滝峰の直下まで迫っていた。

樫山峠から三辻山を経由して工石山というメジャーなルートが、もう歩けなくなったのが

とても残念だが、恐らく三辻山から伐採地との間にあった分岐から赤良木峠への迂回路が

これからは利用されることになるのだろう。



ヒメシャラ




青少年の家の横の県道沿いには今は盛りに色とりどりのアジサイが咲き誇っていた。







建屋の下の駐車場では四国森林管理局の方がお昼休みをとっていた。しばらくして車から

出てきた方と話をしていると、どうやら伐採地は民地の様で、登山道はそんな中を

通っていたので、通行止めは仕方がないとの事だった。ついでに今日の黒滝峰の岩場の

話をすると、その方はそのルートの事を知らず、『登山道以外の所を歩くのは危険です』と

お小言を頂いた。何度も言うので『ハ~イ分かりました』軽くいなして車に乗り込んだ。


ここからはギッチャンさんに教えてもらった花散策。県道を南に下って行くと何ヵ所かの

道路の脇の法面に、花を咲かせたタキユリが見えた。『もっと下がって行ったら沢山咲いて

いるわよ』とあっちゃんが言うのでどんどん南下していくが、タキユリは見つけられず、

そのうちに『ネットのある場所には色々な花が咲いているわ』とギッチャンさんが教えて

くれた場所に着いた。そこに咲いていた花たち!

オオキツネノカミソリ


ギボウシ


??


バイカアマチャ



そこで何枚か写真を撮った後、七ツ淵神社へと向かう。県道から標識に従って車を走らせると、

鳥居の前に二台程車が停まっていた。鳥居の場所から少し上に車を停めて、鳥居の脇から

参道を降って行くと直ぐにお目当てのウスキキヌガサダケを見つけることができた。

ただギッチャンさんがアップしていたフランス宮廷の女性が着るドレスのような形ではなく、

少し萎んで形が崩れたスカートになっていた。そしてその先には完全にそのドレスを脱ぎ

捨て寂しそうに立つ女性の姿があった。











道はどんどん下っている。この先に神社があるのだろうかと思いながら歩いていると、

女性が独り屈んで写真を撮っていた。『何か咲いているのですか?』と尋ねると

『私も初めて見るコクランです!』と教えてくれた。花がとても好きそうで、ここにも

何度も来ている方が初めて見たというのなら珍しいのだろうが、花音痴にはその希少価値も

分からない。するとその女性がキヌガサダケがどんどん萎むんでいく動画を見せてくれた。

その方の説明によると明け方に黄色い菌網を広げその日のうちに姿を消してしまうそうだ。

綺麗なドレスをまとった貴婦人が何とも儚いな~とあっちゃん。








七ツ淵神社は車を停めた場所からかなり下の谷底の様な場所にあった。ここまでは下る

一方だったがすでに額に大汗を掻いていた。境内にはまだ硬い蕾のタキユリと花を散らし

始めたナツツバキ。
















神社からの帰り道。今度は登りの一辺倒。青少年の家でせっかく着替えたシャツが

汗でびっしょりになった。車に乗り込みエアコンを全開に。『ここから南にいっても

タキユリが咲いてそうな雰囲気がしないので、さっき見かけた場所まで戻りましょう』と

話をして引き返す。高川の集落に差し掛かる所で、低い位置に咲いているタキユリが

目についた。早速車を停めて撮影会。白い花びらに薄いピンクのグラデーションと

赤い小さな斑点。斜面から垂れ下がった茎に上に向かって反り返った花弁が、

何とも優雅でそして可憐で見惚れてしまう。













黒滝峰の岩場・タキユリそしてウスキキヌガサダケの三点セットの今日の目的を完了。

『ご満足いただけましたか?』とあっちゃんに問うと、ニコリ顔を返してくれた。